このページの要旨

トランプは、記者団に対し「北朝鮮はこれ以上、米国にいかなる脅しもかけるべきでない。そうしないと、これまで世界が見たこともないような炎と怒りに見舞われよう」と述べた。
米国は、凋落の帝国とはいえ、その軍事力は依然として世界一であり、米軍のメンツを潰すような挑発はやめた方がいいだろう。
それにトランプには黙示録の終末思想があり、これを刺激するのは非常に危険である。

「アメリカがハルマゲドンに向かっていく」その核心にあるのは、米国の経済的破綻であるが、ここにきて複雑なひとつの因子が加わってきた。
北朝鮮問題である。
つまり、このハルマゲドンは、米本土から遠く離れているだけに、なかなか魅力的なのだ。
日本の場合、安倍晋三はすでにトランプの開戦にゴーサインを出していると思ったほうがいい。
ただ、トランプの場合、かれがたびたび口にし、それが戦術的なものではなく、身に染みついた思想的なものであることに特徴がある。
トランプの「アメリカ第一主義」は、米国民のためなら、戦争も辞さない国家エゴと同衾している。
金正恩はこれを忘れるべきでない。

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1 トランプの終末思想

北朝鮮を巡る世界の動きが慌ただしくなった。

北朝鮮は、北朝鮮を意識した米軍のICBM発射実験や、グアム基地からの戦略爆撃機派遣に強く反発した。
北朝鮮戦略軍が「金正恩同志が決断すれば、グアムが火の海になる」と米国を威嚇。
グアム近海へのミサイル4発の同時発射を検討、と予告した。

トランプは、8日に、記者団に対し「北朝鮮はこれ以上、米国にいかなる脅しもかけるべきでない。そうしないと、これまで世界が見たこともないような炎と怒りに見舞われよう」と述べた。

北朝鮮は、米国のこの警告をそのまま受け取った方がいい。
米国は、凋落の帝国とはいえ、その軍事力は依然として世界一であり、米軍のメンツを潰すような挑発はやめた方がいいだろう。

それにトランプには黙示録の終末思想があり、これを刺激するのは非常に危険である。

マティス米国防長官も、9日に、金正恩に対し「体制の終焉や自国民の破滅につながるような行動を検討するのをやめるべきだ」と警告した。

日本では政治とメディアが劣化しているので、ほんとうのことを国民が知らない。

政治家とメディアは、ただ、北朝鮮への嫌悪感を煽るだけだ。
米国が北朝鮮を先制攻撃したらどうなるか。
被害に遭う市民は北朝鮮、韓国、日本であること。
その背景にある、「アメリカ第一主義」という国家エゴについては何も知らされない。

アリソン・マックイーンは、「ドナルド・トランプの黙示録 ―― アメリカ政治思想における終末思想」のなかで書いている。

(アリソン・マックイーンは、スタンフォード大学准教授(政治学))

2 トランプの終末思想と北朝鮮

共和党の大統領候補、ドナルド・トランプは「凶事の予言者」であるかのような発言を繰り返している。
われわれの国は地獄に落ちる」と彼は警告する。
経済的崩壊の瀬戸際にあり、重要なインフラは解体しつつある。
イスラム過激派テロによって壊滅させられる恐れがある。
・・・もっとタフにスマートになり、迅速に行動を起こさなければ、この国は崩壊する」。

こうした黙示録的メッセージを彼は次のように結んでいる。
今行動を起こさなければ手遅れになる。
市民がこの警告を真剣に受け止めれば、今後に期待できるようになる。
私なら、アメリカがハルマゲドン(最終戦争 注 : 兵頭)に向かっていくのを回避できるし、アメリカを再び偉大な国にできる

評論家たちは、このように黙示録的なレトリックを弄するトランプのスタイルは、伝統的なアメリカの主流派の議論にはかつてみられなかったと言う。
例えば、論説ブロガーのポール・ウォルドマンはワシントンポスト紙に寄せた記事で「これまでアメリカを、かくも憂鬱で絶望的なディストピアとして描いた大統領候補は一人もいない」と指摘している。
だが、それは真実ではない。

実際には、数多くのアメリカの指導者たちがアメリカの衰退を予言してきた。
憂鬱な予測を示すことで、国難に市民を立ち向かわせようとした政治家もいる。
トランプに特有なのは、黙示録的な予測に危険な誇大妄想をまとわせていることだ。

さらに、過去の政治家やデマゴークと違うのは、「アメリカを救えるのは私だけだ」と主張していることだろう。
問題を解決できるのは私だけで、あなた方を失望させることはない

<アメリカ政治における「苦難とあがない」>

トランプの黙示録的なレトリックを「政治の主流から逸脱した意味のない過激な主張」として片付けるのは簡単だし、そう考えるのが安心かもしれない。

だが、カリスマのある指導者の指令に応じて集まった人々が荒れ狂う「審判の日」に備えようとするシーンをイメージできる事件をわれわれは現実に経験している。
1993年、終末思想に取り憑かれ、武装した新興宗教「ブランチ・ダビディアン」のメンバーたちが、テキサス州のウェイコ近郊での銃撃戦を経て、FBI(連邦捜査局)と51日間にわたってにらみ合いを続ける事件を起こしている。(『Foreign Affairs Report』2016 NO.9)

トランプが「凶事の予言者」であるかのような発言を繰り返しているというが、おもしろがっていっているわけではなく、トランプの本音であり、思想なのである。

米国が地獄に落ちる、というのも、近付くデフォルト(財政破綻)を考えるとき、当然の発言だ。
むしろ安倍晋三のように出来もしないうそをつかない分、人間的には信用できるといっていい。

「もっとタフにスマートになり、迅速に行動を起こさなければ、この国は崩壊する」。
これも、ほんとうは世界中の指導者が知っていることだ。
「今行動を起こさなければ手遅れになる。
市民がこの警告を真剣に受け止めれば、今後に期待できるようになる。
私なら、アメリカがハルマゲドンに向かっていくのを回避できるし、アメリカを再び偉大な国にできる」。
これを選挙民に向かっての自己アピールと矮小化してはならない。

「アメリカがハルマゲドンに向かっていく」その核心にあるのは、米国の経済的破綻であるが、ここにきて複雑なひとつの因子が加わってきた。
北朝鮮問題である。

北朝鮮は米国にとって、次の意味をもっている。

(1)核を搭載できる北朝鮮のICBM開発が急ピッチで進められ、ついに米本土の西海岸が射程に入った。

(2)北朝鮮を先制攻撃した場合、いまなら米本土への被害はない。
被害は韓国・日本だけに留まる。難民を考えると中国も被害に遭う。

(3)北朝鮮、韓国、日本の死者数は合計で400万人以上と見られるが、そのあと米国に莫大な復興特需があり、破綻した米国経済を立て直すきっかけになる。北朝鮮にはほぼ手つかずの豊かな地下資源がある。

つまり、このハルマゲドンは、米本土から遠く離れているだけに、なかなか魅力的なのだ。

日本の場合、安倍晋三はすでにトランプの開戦にゴーサインを出していると思ったほうがいい。
敗戦直後の1946(昭和21)年2月17日、預金封鎖が起きたが、このときも政治の失敗を、国民からの借金を踏み倒すことで、国民を犠牲にして支配層は権力の延命を図った。

もし、トランプが北朝鮮を攻撃し、北朝鮮のミサイルが日本に飛んできた場合、デフォルト(財政破綻)に近付いている日本も預金封鎖や政府の借金の踏み倒しなどをやるだろう。

トランプの終末思想は、しかし、かれだけに特有なものではない。
多くの大統領が終末思想を語り、ある方向に米国民を結束させてきた。

ただ、トランプの場合、かれがたびたび口にし、それが戦術的なものではなく、身に染みついた思想的なものであることに特徴がある。

「トランプ政治の背景」(『兵頭正俊の優しさ出前』2017年3月6日vol.831)で述べたように、ウォルター・ラッセル・ミードは、トランプ思想のルーツを、米国最初のポピュリスト系米大統領だったアンドリュー・ジャクソンの思想と文化に求めていた。

トランプの支持基盤となり、かれを大統領に押し上げたものも、この「ジャクソニアン」であった。
その思想の文化には、米国の例外主義は、米市民の平等と個人の尊厳を守ることへのコミットメントに根ざしており、米国政府の役割は、市民の安全を確保し、経済的繁栄を手にできるように配慮することだとする思想があった。

つまりトランプの「アメリカ第一主義」は、米国民のためなら、戦争も辞さない国家エゴと同衾している。

金正恩はこれを忘れるべきでない。

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