朝鮮半島有事における米中協調の可能性

オリアナ・スカイラー・マストロの「中国は北朝鮮を見限っている—半島有事における米中協調を」を切り口に、朝鮮半島有事を考えた。

(オリアナ・スカイラー・マストロは、ジョージタウン大学外交大学院 アシスタント・プロフェッサー(安全保障研究))

もし朝鮮半島有事になった場合、次の3つのケースではじまるように思われる。

(1)米国による北朝鮮先制攻撃

このケースでは、韓国軍も自衛隊も参戦することになる。
当然、韓国の事前の了承が必要であるから、そのためにCIAによる、でっち上げの「北朝鮮による攻撃」が、たとえば米艦船に対してなされることになろう。

北朝鮮先制攻撃の大義名分作りである。
韓国も北朝鮮への攻撃止むなしに至り、短期間のうちに戦闘状態になるだろう。

(2)米国と中国による合同の北朝鮮侵攻と統治

このケースでは、ポスト金正恩体制を中国に任せ、そのバーターとして北朝鮮の非核化が図られる。
トランプのオフショアバランシング戦略にとっては、これは好都合なのであり、いずれ統一された朝鮮を中国に任せて、THAADも撤去し、米軍は日本に撤退する可能性がある。

金正恩はロシアに亡命するかもしれない。

(3)中国による北朝鮮侵攻と統治

米国による北朝鮮先制攻撃を察知した中国が、機先を制して北朝鮮に侵攻して占領する。
それを米国は黙認する。
米中の利害は、北朝鮮の非核化で一致しているからだ。
その後、北朝鮮の核の解体等で、米国が協力関与する。

以上の3点のケースが考えられる。

日韓両国民にとって、もっとも被害が少ないのは、(2)(3)のケースで、中国が侵攻した場合である。
逆に(1)のケースでは膨大な死者が生まれることになろう。

さて、オリアナ・スカイラー・マストロの論文を読んでみよう。

アメリカが北朝鮮へと部隊を向かわせる気配をみせれば、中国は朝鮮半島にかなりの規模の軍事介入を行うと考えるべきだ。
但し、中国が先制行動をとると言うつもりはない。
北京はこの段階になっても、戦争の道へ米朝が突き進むのを阻止しようとするはずだ。

紛争が主にミサイルと空爆の応酬に限定されるのなら、中国はおそらく関与してこない。
だが、アメリカが危機を大規模な戦争へとエスカレートさせるのを抑止できなければ、北京は、自国の利益が戦時・戦後を問わず、間違いなく尊重されるように、かなりの規模の戦力を北朝鮮に投入するのを躊躇しないだろう。

中国は、金正恩体制の核の兵器庫がどうなるかを心配しており、この懸念ゆえに、第二次朝鮮戦争で積極戦略をとる可能性があり、北朝鮮の核施設を管理しようと、早い段階で介入せざるを得ないと判断するかもしれない。

中国の北朝鮮問題の専門家、沈志華は「核爆弾が北朝鮮で爆発すれば、放射能の拡散と放射性降下物の犠牲になるのは誰だろうか」と問いかけ、「それは中国と韓国だ。日本は海(日本海)によって、アメリカは太平洋によって隔てられている」と述べている。

しかし、中国はこの脅威にうまく対処できる立場にある。
アメリカの非営利団体「核脅威イニシアティブ」の情報によれば、中国軍が国境線を越えて南へ100キロ地点まで支配下に置けば、北朝鮮の重要な核サイトのすべてと、重要なミサイルサイトの3分の2を管理することになる。

核爆発による汚染を防ぐことが中国の目的だとすれば、これらの核・ミサイルサイトに中国軍を送り込めば、忌まわしいシナリオの多くを回避できる。
施設で偶発事故が起きるのを回避し、アメリカ、韓国、日本による北の核サイトへの攻撃を抑止し、平壌がこれらの兵器を使用したり、破壊したりするのを阻止できる。

統一朝鮮が北朝鮮の核能力を引き継ぐことも中国は警戒している。
私が接触している中国側の人物たちは、韓国は核兵器の保有を望み、アメリカは韓国の野心を支持していると確信しており、金正恩体制が崩壊すれば、韓国軍は、アメリカの立場に関係なく、北朝鮮の核サイトと核関連物質を確保するのではないかと懸念している。

こうした懸念は不自然に思えるかもしれないが、韓国では現実に核武装支持派が増えている。
主要な野党勢力も、アメリカが戦術核を韓国に再配備することを求めている(トランプ政権も再配備という選択肢を排除することを躊躇っている)」(『Foreign Affairs Report』2018 NO.1)

朝鮮半島有事において、もちろん米朝の対立を軸に見ておかねばならないのだが、わたしたちは、これからは中国を格上げし、常に米中朝の対立として見る必要が出てきた。

朝鮮半島有事になり、紛争がミサイルと空爆の応酬から、米国の地上軍投入といった本格的な戦争へとエスカレートした場合、中国は、かなりの規模の戦力を北朝鮮に投入することになろう。

中国が警戒していることは、次の3点である。

(1)米国によって北朝鮮が支配され、ひいては米国主導で朝鮮統一が実現すること

(2)朝鮮半島有事で北朝鮮の核が使用されること

(3)統一された朝鮮が、北朝鮮の核能力を引き継ぐこと

そのため、早い段階で中国が介入する可能性が高い。

中国軍が国境線を越えて南へ100キロ地点まで支配下に置けば、北朝鮮の重要な核サイトのすべてと、重要なミサイルサイトの3分の2を管理することになる。

これが米国に好都合なのは、核施設で偶発事故が起きるのを回避し、米・韓・日による北の核サイトへの攻撃を抑止し、平壌がこれらの兵器を使用したり、破壊したりするのを阻止できるからだ。

北朝鮮問題の専門家、沈志華が、核爆弾が北朝鮮で爆発すれば、放射能の拡散と放射性降下物の犠牲になるのは、中国と韓国。
日本と米国は海によって隔てられているから、と述べたとされるが、この見解は間違っている。

それは次の2点による。

(1)核爆発を広義にとる必要がある。
核爆発は米国の攻撃によって北朝鮮でのみ起きるのではない。
北朝鮮の通常ミサイル攻撃によって、日韓の原発が破壊される可能性があり、それは原爆以上の惨禍を両国にもたらす。

(2)日本が海によって隔てられているから、放射能汚染から守られているという見方は、まったく浅薄である。
かりに北朝鮮でのみ原爆が爆発しても、偏西風によって日本も放射能汚染にさらされる。
韓国の原発が破壊されたときも同様で、日本海近くの韓国の破壊された原発の放射性物質は、偏西風で日本へと運ばれる。

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