5月6日、民進党の野田佳彦が、消費税10%引き上げの、2012年の民主(当時)、自民、公明3党の合意が、安倍晋三の増税再延期で崩壊したと安倍を批判した。

参議院選挙直前である。それで安倍晋三は、選挙目当てに増税再延期を図った。それを野党の元首相が増税をしっかりやれとけしかける。自公は大喜びである。そういう状況さえ野田にはわからないのである。

自分が首相のときに決めた消費税増税なので、10%増税に意地になっているのだ。この小物観はどうだろう。旧民主党を潰したA級戦犯らのなかでも、もっとも罪が重いのがこの野田佳彦である。野田佳彦が増税を語る毎に票が逃げていく。それがこの男のミッションなのだろう。

6月5日の沖縄県議選で、民進党は、前回に続いて1議席もとれなかった。日本でもっとも政治民度の高いのは沖縄である。本土の家畜化した国民が知らない現実も、沖縄の人々は肌身で知っている。生活を通して知っている。その沖縄で1議席もとれない原因を、民進党は少しは真面目に考えた方がいい。

野党のなかで、もっとも良質な、覚醒した国民のいる、コアとなるべき沖縄で、1議席もとれない政党が、国政でまだ野党第一党になっている。そして今回の参議院選挙の統一名簿でも野党勝利の足を引っ張っている。民主党時代から未だに政権交代の意義がわからないままきているので、「今だけ、党だけ、自分だけ」の党利党略をやって、政治家面しているのだ。

この民進党に対する、他の野党、そして国民の甘さこそが、好きなように米日1%に日本が破壊されていく原因のひとつになっている。

さて、米国の大統領選はヒラリーとトランプの決戦になった。

今日のメルマガでは、米国のトランプ現象を叩き台にして、独裁政治について考えてみよう。

(「トランプ大統領」を想定し始めた世界の指導者たち。( ウォール・ストリート・ジャーナル))
(「トランプ大統領」を想定し始めた世界の指導者たち。( ウォール・ストリート・ジャーナル))

オマー・G・エンカーナシオン(バードカレッジ教授(政治学))は、「ドナルド・トランプの台頭 ―― ラテンアメリカ化するアメリカ政治」のなかで書いている。

「われわれラテンアメリカの研究者は、アメリカの政治が段階的ながらも着実にラテンアメリカ化していることを興味深く見守っている。そうしたトレンドを示す、最近のしかもパワフルな例が米共和党からの大統領候補として出馬しているドナルド・トランプの台頭だろう。

大ぼら吹きでデマゴーグ、しかも法の支配など気にも留めない彼のスタイルは、まさにラテンアメリカ政治における伝統的なカウディーリョ(独裁的な指導者)のスタイルに重なり合う。

(中略)

彼ら(カウディーリョ(独裁的な指導者) 注 : 兵頭)は「超法規的に権力を行使し、経済イデオロギーを何度も見直すことを躊躇わない。そしてグローバル化やネオリベラリズムに対する貧困層の怒りを巧みに利用する

(中略)

トランプの成功を説明する要因として、格差の存在を無視することはできないだろう。

1970年代以降、アメリカの格差は拡大し、有権者の多くが政治に裏切られ、無視され、取り残されていると感じるようになった。

さまざまな研究が示すように、アメリカでの格差は他の先進諸国以上に大きく、いまでは、1920年代以降、この問題がもっとも深刻になっている。

カリフォルニア大学バークレー校のエコノミスト、イマニュエル・サエズの研究によれば、トップ1%の所得が国民所得に占めるシェアは、1928年以降、もっとも大きくなっている。

この分析は広く引用されているが、一方であまり認識されていないポイントもある。それは、アメリカの格差が、世界でもっとも格差が大きいことで知られるラテンアメリカのレベルへと急速に近づいていることだ。

世界銀行が世界の格差を測るのに用いているジニ指数でみると、ラテンアメリカが45―60であるのに対して、アメリカのそれも40―45。対照的に、カナダや多くの西ヨーロッパ諸国のそれは25―30のレンジにある。

古典的なカウディーリョたちと同様に、トランプは、減少する所得によって逆境に追い込まれた人々 、特に白人労働者の怒りをうまく追い風にしている。トランプは、アメリカの「エスタブリッシュメント」は、力なき人々の生活を無視してきたと批判し、アップルなどの米企業がその製品を外国ではなく国内で生産することを強制し、国際貿易協定を再交渉することで、中国やメキシコへとアウトソースされた雇用を国内に戻すと約束している」(『Foreign Affairs Report』2016 NO.6)

ドナルド・トランプは面白い。面白いといっては語弊があるが、わたしがトランプに関心をもつのは次の5点の理由である。

1 トランプは、ネオコンやメディアといった米国の1%に叩かれている大統領候補であること

2 にも拘わらずトランプは米国で支持されていること

3 トランプは過激で奇妙な政策に反して平和主義者であり、ロシアのプーチンを評価していること

4 もしトランプが大統領になったときに、政策は実現できるのか、といった根本的な関心

5 トランプの政策が実現できなかったとき、米国民がどのような反応を示すかへの関心

オマー・G・エンカーナシオンは、ドナルド・トランプ現象を指して、米国政治が着実にラテンアメリカ化しているという。しかし、これは米国政治ばかりでなく、世界的な現象なのかもしれない。日本でも安倍晋三のような憲法まで平気で踏みにじる首相はこれまでいなかった。

また、フィリピンの次期大統領ロドリゴ・ドゥテルテは、一般市民でも麻薬の密売人を見つけたら射殺するように推奨している。しかも麻薬の密売人を射殺した市民にはひとりあたり約1100万円の報奨金を支払うと約束した。3人殺せば3300万円になる。今に西部劇のような賞金稼ぎが出てくるかもしれない。さらに麻薬中毒者は死刑にするそうである。

オマー・G・エンカーナシオンは、「大ぼら吹きでデマゴーグ、しかも法の支配など気にも留めない彼のスタイルは、まさにラテンアメリカ政治における伝統的なカウディーリョ(独裁的な指導者)のスタイルに重なり合う」という。これはそのまま安倍晋三の政治スタイルだ。

政策への大ぼら吹き。アホノミクスはすでにデマゴーグの類いにすぎない。選挙はムサシによる不正選挙だ。すでにオバマの広島見物によって支持率が急上昇したという、参議院選挙勝利の伏線が、電通に支配された東京の大手(「記者クラブ」)陰謀メディアによって張られている。

立憲主義を安倍が知らなかったことは有名である。しかし、知った後も憲法を守る気などさらさらない。国民への約束は「新たな判断」で反故にしていく。

ただ、安倍晋三の場合、トランプと決定的に違っているものがある。それは、安倍が1%の側に立って、99%の棄民を積極的に押し進めていることだ。安倍晋三はいかなる意味でもグローバリストであり、売国の政策に熱心だ。

格差の問題は、トランプには解消すべき問題であるが、安倍の場合は、消費税増税や法人税減税に見られるようにさらに拡大する政策を採っている。その点、世界のカウディーリョ(独裁的な指導者)のなかでも、安倍の頭の悪さは群を抜いている。最悪のカウディーリョといっていいだろう。

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