5月14日、安倍晋三は、オバマの広島見物(謝罪しない宗主国のトップは、見物にくるのである)に関して、「歴史的な訪問にしなければならない」と述べた。

それにしても、それほどオバマの広島見物はすごいことなのか。実は、それはすごいことなのである。なぜなら謝罪なしの広島見物をやってのけ、日本の政権も謝罪を要求しないという意味で、実にすごいことなのだ。

安倍は「世界で唯一の戦争被爆国の首相と、世界で唯一核兵器を使用した国の指導者が共に犠牲者に哀悼の誠をささげることは、核のない世界に向けての一歩になる」と語った。米国へのヨイショが身に染みついているのである。

戦後の日本の1%は、民族の負の遺産を語るのが好きだ。「世界で唯一の戦争被爆国」、「失われた10年」、「失われた20年」、「失われた30年」(どこまで失い続けるのか。いっそ「永遠に続く喪失」とでもしておけばいいのだ)「阪神・淡路大震災の教訓」、「東日本大震災の教訓」、「福島を完全にコントロール」……。すべてに失政が深く絡んでいるのだが、それさえわからなくなっているのだ。

だいたい不幸や悲劇は、誇らしげに他人に語るものではない。それさえわからなくなっているのである。

『Sputnik日本』(2016年5月10日)が「オバマ米大統領、訪日で広島視察」と題して、次のように報じている。

「オバマ米大統領は5月末の訪日時に広島を視察する。
10日、ホワイトハウスが明らかにした。

オバマ大統領 原爆投下について日本に謝罪の必要はない

今までに広島訪問を行った米大統領はいなかったことから、オバマ氏は米大統領として初めて広島を訪問することになる。

米空軍は第2次世界大戦も最終段階に入っていた1945年8月6日に広島に、また9日には長崎にそれぞれ原爆「リトルボーイ」「ファットマン」を投下した。広島では1発の原爆投下によって14万人近くの人命が失われた」(「オバマ米大統領、訪日で広島視察」

わたしは、メルマガ『兵頭正俊の優しさ出前』の「オバマの広島センチメンタル・ジャーニイ」(2016年5月2日号)で、伊勢志摩サミット(5月26、27日)でやってくるオバマについて書いた。そのとき、オバマが被爆地の広島を訪問するか否かについて、訪問する場合と訪問しない場合とに分けて、その理由を次のように分析した。

もしオバマが広島を訪問する場合の6点の理由。

1 オバマの任期が二期目に入り、かれ個人への政治的影響が少ないこと

2 4月11日に、米国の現役閣僚として、ケリー国務長官が平和記念公園を訪ねて原爆ドームを視察していること。かれは記者会見で「大統領もここにきてほしい」と語っていること

3 オバマの非核化運動に弾みがつくこと

4 米国離れが続く世界で、日本をつなぎ止めておきたいこと

5 日米同盟の深化の象徴となること

6 ニューヨーク・タイムズとワシントン・ポストが、オバマの広島訪問を求める社説を載せたこと

反対に、オバマが広島訪問をやめる場合の5点の理由。

1 退役軍人を中心とした米国保守層の反発と批判

2 中国・韓国の警戒と反発への配慮(広島・長崎が免罪符になり、日本の戦争責任が後退する)

3 米国大統領選への配慮(共和党からの謝罪旅行の批判)

4 日本軍国主義と米国とともに戦って勝利したとする中国共産党正当性への配慮

5 太平洋戦争における日本加害者論の根拠が、希薄になることへの、米・中・韓の共通した危惧

結局、オバマは謝罪せずに今月27日に広島を見物して帰るということに落ち着いた。

なぜ長崎は見物さえしないのだろう。

(1945年原爆投下直後の長崎。米軍の報道写真家ジョー・オダネル「10歳ぐらいの少年が歩いてくるのが目に留まりました。おんぶひもをたすきにかけて、幼子を背中に背負っています。(中略)背中の赤ん坊はぐっすり眠っているのか、首を後ろにのけぞらせたままです。(中略)白いマスクの男達がおもむろに近づき、ゆっくりとおんぶひもを解き始めました。この時私は、背中の幼子が既に死んでいる事に初めて気付いたのです。(中略)まず幼い肉体が火に溶けるジューという音がしました。(中略)その時です、炎を食い入るように見つめる少年の唇に血がにじんでいるのに気が付いたのは。少年があまりきつく噛み締めている為、唇の血は流れる事もなく、ただ少年の下唇に赤くにじんでいました。夕日のような炎が静まると、少年はくるりときびすを返し、沈黙のまま焼き場を去っていきました」)
(1945年原爆投下直後の長崎。米軍の報道写真家ジョー・オダネル「10歳ぐらいの少年が歩いてくるのが目に留まりました。おんぶひもをたすきにかけて、幼子を背中に背負っています。(中略)背中の赤ん坊はぐっすり眠っているのか、首を後ろにのけぞらせたままです。(中略)白いマスクの男達がおもむろに近づき、ゆっくりとおんぶひもを解き始めました。この時私は、背中の幼子が既に死んでいる事に初めて気付いたのです。(中略)まず幼い肉体が火に溶けるジューという音がしました。(中略)その時です、炎を食い入るように見つめる少年の唇に血がにじんでいるのに気が付いたのは。少年があまりきつく噛み締めている為、唇の血は流れる事もなく、ただ少年の下唇に赤くにじんでいました。夕日のような炎が静まると、少年はくるりときびすを返し、沈黙のまま焼き場を去っていきました」)

原爆投下された1945年当時の長崎は、500年以上も続いた日本キリスト教の中心地であった。米国は、市の中心部に投下した広島とは違って、長崎では、わざわざ軍需工場の三菱造船所を外し、浦上天主堂があった市の北西部を狙っている。

米国はすでに戦後を考えており、神としての天皇がいなくなった間隙をキリスト教が埋めることを潰しておく必要があった。極東の場末の神道などどうでもいい。欧米からはあらかじめ場末のカルトとして排除されている。しかし、キリスト教は世界への発信力がある。フリーメイソン(その奥の院としてのイルミナティ)への反撃力もある。

長崎は、米国も恐れる日本のバチカンであった。その象徴としてキリスト教大聖堂を狙ったイルミナティの、反キリスト教の戦略が長崎への投下を隠し続けるのである。

広島・長崎への原爆投下を、米国は戦争を終結させるためのものとして語る。しかし、この当時の日本に戦争継続の余力はなかった。昭和天皇裕仁はすでに戦犯免責を求めて画策していた。すでに制空権は奪われ、好き放題に大都市は焼き払われていた。

広島と長崎とで、違う原爆を市民に対して使ったのは、明らかに人体実験のためである。広島では爆弾の燃料としてウラン235(TNT火薬換算15kt)が使われた。

長崎では、破壊力が強力な最新のプルトニュウム239(TNT火薬換算22kt)が使われた。広島の1.5倍の威力である。

技術的な意味においても、政治的な意味においても、米国1%にとっては、広島より遙かに長崎の方が位置づけが重いのである。だから長崎は隠されるのだ。

フリーメイソンのトルーマン大統領は、原爆投下の指示書にサインしたとき、周囲の閣僚に向かって笑い、「獣(のような人間)に対処するときは、彼らを獣として扱わなければならない」と言い放ったといわれる。おそらく、そのときのトルーマンは獣の顔をしていたのだろう。

オバマの広島見物に関して、こんなツイートが目についた。

「有田芳生

自民党衆議院議員の重鎮たちがダブル選は確実と動き出している。ある議員に根拠はと聞けば、オバマ大統領の広島訪問で決定的になったという。さらに昨夜は都知事選があると聞いた。まさかと思っていたら、さきほど衆参ダブルに加え、都知事選あるかもと連絡があった。
「まさか」があるからわからない。

昨夕ある大臣経験者と話をしました。何人もの自民党ベテラン議員の名前をあげ、みんな衆参ダブル選挙があると言い出したというのです。根拠を訊ねるとオバマ大統領の広島訪問が決定的だといいます。たしかに解散は首相の専権事項です。しかし方向性ある雰囲気は現実を動かしていきます。要注意です。

橋下徹

オバマ氏の任期はどうせあと半年ちょっと。そうであれば反対者の声など無視して、広島訪問で原爆投下の過ちを認め、被爆者の心情に寄り添い、核兵器廃絶への決意を表明する。それも安倍首相と一緒に。これこそ世界を動かすメッセージとなり最高の政治的レガシーになる。そんな政治判断はできないのかね。

被爆者の心情を無視した形でオバマ氏の広島訪問の意義付けをするのは、自称インテリたちのいつものかっこつけの典型例。こういう、いわゆるエスタブリッシュメントの欺瞞的政治への怒りが、トランプ旋風の根拠。

オバマ大統領が広島を訪問したからといって核廃絶が進むわけではない。しかし過去の戦争について謝罪は不要という基準が確立することになる。広島訪問で歓喜している朝日や毎日、その一派の自称インテリはこの意味を分かっているのかな?

asuka

日本人はオバマが広島に行っても騙されたらダメだよ。アメリカの年間軍事予算70兆円。核兵器近代化する為に100兆円。広島の訪問は日本への核配備が狙いかもよ。

エリック ・C

オバマ大統領が広島を尋ねる訳だが、これを機会にアメリカが原爆を落としたのは、アメリカがわざと日本にパールハーバーを攻撃せざるを得なくさせたのと同じように日本政府がアメリカに原爆を落とさせた面がある事を指摘したい。日本に原爆を落とさせたのは当時の安倍政権の様な日本政府だった。

日刊ゲンダイ

【政治】世界最大の“核武装国家”である米国はいまだに新型核兵器の開発に余念がありません。今回のオバマ大統領広島訪問を「歴史的」と絶賛してハシャいでいるのは日本政府だけです。

Masa Okumura

オバマの広島訪問、核廃絶の裏で、米国は最新の原爆を1兆ドルの予算で開発中

パレスチナ情報共同デスク.JP

広島のオバマ「私達はシリアに民主主義をもたらそうとしています。あなたの国にしたのと同じ方法で

2004年の民主党大会の基調講演でオバマは「進歩のアメリカと保守のアメリカとがあるのではない―アメリカ合衆国があるのみだ。黒人のアメリカが、白人のアメリカが、ラテン系人のアメリカが、アジア系人のアメリカがあるのではない ―― あるのはアメリカ合衆国だ」と語った。

この空虚な美辞麗句に人々は酔いしれた。この嘘は現実がすぐにあばいた。米国には、進歩のアメリカと保守のアメリカとがあった。アメリカ合衆国なんてなかった。あったのは依然として黒人のアメリカであり、白人のアメリカだった。ラテン系人のアメリカが存在し、アジア系人のアメリカが存在した。だから正直なトランプはメキシコとの国境沿いに、メキシコの金で壁を作るといって拍手喝采を受けるのである。

キング牧師は、人種差別の問題、経済的搾取の問題、戦争の問題を、三大悪としてすべて一緒につながっていることを喝破した。オバマが任期中にやったことは、この三大悪を拡大し、強化したことである。アジアでのTPP 、ヨーロッパでのTTIPはその象徴である。米国の黒人は、皮肉なことにむしろトランプやサンダースによって部分的に救われるかもしれない。

オバマ大統領誕生の意味は、黒人を差別し、排除してきた白人の偽善が、過去を免罪しようとしたのである。

その動機は広島でも実行される。広島見物で実現されるのは、広島・長崎への二度目の原爆投下であり、原爆ホロコーストの免罪であり、謝罪なしに広島見物を実現したという米国の最終的勝利の勝ちどきなのである。

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