今日のメルマガではいよいよ最終局面にきたTPPを採り上げる。その際、asuka の訳してくれた、すでに米国で公表されている、「米国の総体的利益」(「環太平洋戦略的協定」(米政府のTPPに関するファクトシート))」を引用する。

引用文は、ディスプレイ上の読みやすさに配慮して、改行を増やしてある。

なお、シンガポール在住の asuka については、今後、アスカと日本語で表記する。ちなみに、わたしは表現する人物を、すべて作家論に準じて、たとえば「小沢一郎」「安倍晋三」と敬称略で統一している。

アスカの翻訳してくれた「米国の総体的利益」の全文は、クリックして全文が読める。

TPPに関して、与党は、熊本地震もあって、審議日程を練り直すようだ。できたら今の国会で承認を目指したい、と後退してきた。民進党は、表向き、TPPよりも熊本地震を優先すべきだという考えだ。しかし、もともとTPP賛成の、自民党二軍のヌエ政党である。一軍と裏取り引きする可能性は払拭できない。

自公がTPPを先送りするとしたら、アホノミクスの信用詐欺がバレたせいであろう。もはや誰に訊いても「成功」とはいわない。好意的な人でも「失敗」したと断じる。ほんとうは、「失敗」したのですらない。信用詐欺がバレたのである。すでに2年前の『Foreign Affairs Report』7月号の、リチャード・カッツの論文では「信用詐欺」として正体が見抜かれていた。

TPPの本質は、以下の2点である。

1 政治・経済的な本質は、米国グローバルエリートによる新植民地主義

2 軍事的な本質は、米国による、中国包囲網(TPPは、米国のアジア・リバランシング戦略の中核をなす)

(米国会計検査院のデイブ・ウォーカー元院長「市民や軍人に払いきれていない年金額、健康年金の18兆5千億ドルを加え、社会保障、医療費他、様々な国の義務の未払い支出を加えた場合、国の債務額は65兆ドル近くに上る。これは改革がないがために自動的に増えている」 『Sputnik日本』2015年11月10日)
(米国会計検査院のデイブ・ウォーカー元院長「市民や軍人に払いきれていない年金額、健康年金の18兆5千億ドルを加え、社会保障、医療費他、様々な国の義務の未払い支出を加えた場合、国の債務額は65兆ドル近くに上る。これは改革がないがために自動的に増えている」
『Sputnik日本』2015年11月10日)

「米国の総体的利益」を読むと、「1」の正体がよくわかる。「2」の正体を書くと、米国での反対が出てくる可能性があるので、あえて触れなかったのであろう。

TPPを考えるときに大切なのは、それが関税の撤廃を目指す米国の戦略(新植民地戦略)に基づいていることを押さえることだ。貿易の相手国に関税を課すことは、独立国家が自国の産業を、すなわちその産業で生活し家族を養っている国民を守るために絶対的に必要なことだ。

したがって関税を撤廃することは、独立国家の基本的な要件を奪われること、手放すことである。そのときに売国奴たちの犠牲になるのは、わたしたち国民なのだ。

TPPでは、工業製品、農産物、金融サービス、医療、著作権など、すべての商品の、例外なき関税撤廃を目標にしている。

しかも、TPPは米国は自国の国民を守るために関税を残しながら、日本には関税の撤廃を求める、不平等条約になっている。

だから、「米国の総体的利益」では、次のように、TPPの本質の一端を、実に正直に、かつストレートに述べるのである。

「環太平洋戦略的協定(TPP)は、米国の労働者と企業が公平な(不公平と読め 注 : 兵頭)活躍ができるよう貿易分野を改革して、米国製品の輸出を拡大し、米国民の収入を増やすよう後押しする新しい高基準貿易協定です。

TPPは諸外国が米国製品にかけている18,000以上の個別輸入関税を撤廃するので、世界で最も急激に成長する市場のいくつかにおいて、わが国の農家、酪農家、製造者、小企業は、競争に参入し、そして勝つことができるのです。世界の消費者のうち95%以上は海外に居住していますが、TPPによって米国製品とサービスの輸出は大幅に拡大して、米国民の職を確保するでしょう」

不公平というのが、TPPの最大の特徴である。たとえばTPPにはラチェット条項がある。これは、TPP参加国が、将来、あまりにも関税を撤廃しすぎたと後悔してももはや後戻りはできないとする条項である。しかし、この逆の特権を米国に対してのみ与えるのがスナップバック(Snap-back)条項である。つまり米国のみが、深刻な影響を受け、損害を受けると判断したときは、後に戻れるのだ。

TPP参加国のうち、米国のみが、条約よりも国内法が上位にくることが許される。それで米国が不利益を被るとわかった時点で、条約は反故にされる。TPPは、典型的な不平等条約なのだ。

貿易国でない日本、内需国の日本が、TPPに参加すること自体が、米国救済の一環であることがこれでわかるだろう。

確かにまだTPPは、批准には至っていない。しかし、すでに安倍自民党は多くの譲歩(売国)を積み重ねてきている。日本の植民地化も、自衛隊の傭兵化もすでに実現している。

最終合意の前に、小保方晴子のSTAP細胞発見も宗主国に献上された。日本国民を高い医療費と薬漬けにして、米国の医薬品・保険業界を救済することになる。

だいたい、国民にはむろん国会議員にさえ交渉の内容が公開されていない。交渉文書は協定発効後4年間は秘密にされることになっている。それはとりもなおさず、その内容が国民に知られては困るようなものであるからだ。

「米国の総体的利益」から米国勝利の一部を要約すると、こうである。

1 米国製工業製品:TPP加盟国への輸出に課せられている米国製工業製品の輸入関税をすべて撤廃。TPP加盟国への米国製機械製品の輸出にかかっている最大59%の輸入関税を撤廃

2 米国製の自動車製品:TPP加盟国が米国製自動車製品にかけている、最高70%の関税(ベトナム)を撤廃

TPPの中で、重要な市場である日本が、米国製自動車、トラック、その部品を排除してきた非関税障壁についても撤廃

3 米国製情報・通信技術製品: TPPは、加盟国への米国製情報・通信技術製品の輸出にかかる最高35%の関税を撤廃。

4 米国産農産物:TPPは加盟国が米国産農産物にかけている関税を引き下げ。たとえば、米国産鶏肉製品に対する最高40%、大豆製品に対する最高35%、フルーツに対する最高40%の関税は、TPPによって撤廃。協定が施行されると、米国産農産物の輸出品の大部分が、すぐに免税扱い。(金額ベースで見ると)日本が輸入する米国産農産物の50%以上から、すみやかに関税が免除

5 鶏肉:TPPは輸入関税を撤廃

6 牛肉:日本は38.5%の関税を9%に削減。TPP協定に基づき、日本は今後15年で牛肉・牛肉製品のタリフライン(関税対象の詳細な品目リスト)の74%から関税を撤廃

7 豚肉:日本は豚肉にかけている諸関税の80%を11年間で撤廃し、残りについても大幅に削減。TPPによって、わが国は日本にすべての豚肉製品にかかる関税を下げさせ、豚ひき肉味付け加工製品(日本での名称は「シーズンド・ポーク」。ハンバーグ・肉団子・ミートソース、ソーセージ、餃子の具など)にかかる20%の関税を撤廃させる。米国の輸出業者にとって、これは年間4億3500万ドルの関税節約となる

8 乳製品:日本は米国産チーズに40%の関税をかけてきたが、TPPにより撤廃

9 ワイン・バーボン:現在、日本へ輸出する際、ワインには最高で58%の関税。TPPはこれらの税をゼロに引き下げる

10 大豆:日本は大豆油に21%の輸入関税をかけてきたが、TPPにより日本の輸入関税を撤廃

以上のような米国との売国条約が、いま、国会で批准されようとしている。しかも与党の自民党は、選挙でTPPに反対して政権を奪還した政党なのである。

関税自主権の放棄、日本の完全屈服、譲歩に次ぐ譲歩、すなわち売国を日本に求めた米国には、それなりの理由があった。現在、米国での大統領予備選でドナルド・トランプがいみじくも語っているように、米国は斜陽の帝国なのである。ドル基軸通貨体制はすでに崩壊した。米国の覇権は終わった。

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