ツイッター上でのTPPに関するツイートが非常に増えてきた。危機感が増している証拠である。

3月2日にTPPに関して想田和弘が次のようにツイートしていた。

「アメリカでは歯科治療は普通の保険ではカバーされない上に、物凄く高い。学生時代の1996年、親知らずが急に痛み出したとき、NYの歯科に行ったら「難しい抜歯なので2千ドル掛かるけどやる?」と聞かれた。飛行機代をかけても日本で治療した方が安いし安心なので、一時帰国したよ、あのときは」

「日本の医療保険市場に参入を希望する米国の保険会社にとっては、日本の公的医療保険制度はTPPの「非関税障壁」だ。だって公的医療保険に入れるのに、子供のいる家族で月に10~15万もする医療保険を買う人は少ないでしょう。TPPの原則に従えば公的医療保険制度を撤廃させられる可能性は高い」
(引用終わり)

医療ひとつをとっても、 TPP参加には何のメリットもない。与党の政治家たちは、ただ米国に命じられたので、思考停止のまま参加しようとしているだけだ。

これまで何度か述べてきたように、 TPPにおける米国の狙いは、たかだか年間総生産高が13兆円規模しかない日本の農林水産業の、関税撤廃にあるのではない。

日本の農業は、TPPの本丸ではなく、砦である。TPP問題では、郵貯マネー約270兆円、医療保険を通じた日本人個人資産700兆円の、米国への献上を隠すために、農業を前面に出す、悪質な目くらましが行われている。

砦の攻防をあたかも主戦場のように装うことで、国民の目を本丸から逸らす策動が、日米両政府と「記者クラブ」メディアによって行われている。

農業はあくまで見せかけである。 TPPの本質は、米国による、わが国の保険・医療・知的所有権の構造改革と富の収奪にある。

日本が農産物の米などを「ネガティブリスト」に入れ、米国が了解した時点で、JAの万歳章会長がTPP 参加やむなしのゴーサインを出すとするならば、これほど不幸なことはない。

それはJAの完全な戦略の間違いである。

いちどTPPに参加させてしまえば、米国はどうにでもあとで変更させられるのだ。TPP条項にある「規制必要性の立証責任と開放の追加措置」がそれである。

これは参加国の「例外品目」に対して、米国がさらなる関税撤廃を要求したとき、日本政府は規制の必要性を立証しなければならないとする条項である。立証できない場合は、関税撤廃のための追加措置を日本政府はとらねばならないのだ。

したがってTPP参加の是非をめぐる問題では、反対か賛成かしかないわけであって、一部の産品をめぐる条件闘争などはTPPの恐ろしい本質を見誤ったものである。

これまで多角的にTPPを取り上げてきた。さて、今回は「知的財産権の米国による直接規制」を取り上げる。

2011年2月に、有力NGOを通じてネット上に流出した米国の、「TPPにおける米国政府の知財要求項目」には、以下のものが含まれる。

(1)音、匂いにも商標(2.1項)

(2)電子的な一時的記録も複製権の対象に(4.1項)

(3)真正品の並行輸入に広範な禁止権(4.2項)

(4)著作権保護期間の大幅延長(4.5項)

(5)アクセスガードなど、DRMの単純回避規制(4.9項)

(6)診断、治療方法の特許対象化(8.2項)

(7)ジェネリック医薬品規制(医薬品データの保護)(9.2項)

(8)法定損害賠償金の導入、特許侵害における3倍額賠償金の導入(12.4項)

(9)著作権・商標権侵害の非親告罪化(15.5(g)項)

(10)「ノーティス・アンド・テイクダウン」「反復侵害者のアカウントの終了(いわゆる3ストライク・ルール)」を含んだ、米国型のプロバイダーの義務・責任の導入(16.3項)

以上はすべて弁護士福井健策の「TPP米国知的財産条文案(2011年2月10日版)を抄訳してみた」からの引用である。
http://bit.ly/Xi4jGU
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この抄訳については、「内容は2011年2月10日付の流出文書に基づいており、現時点で協議されている条文と一致するとは限らない。国内法令の用語は参考にしたが、理解しやすさのために異なる用語を用いた箇所がある」との、福井の断りがある。

前号では、次の3つの中心的な項目に絞って取り上げた。

(4)著作権保護期間の大幅延長(4.5項)

(8)法定損害賠償金の導入、特許侵害における3倍額賠償金の導入(12.4項)

(9)著作権・商標権侵害の非親告罪化(15.5(g)項)

今回は、さらに紙幅の許す限り、TPP参加の、次の項目の危険性について論じてみることにする。

(1)音、匂いにも商標(2.1項)

この恐るべき項目は「第2条 地理的表示(GI)を含む商標」の「1」にあって、以下の通りである。

「(商標)

1. 当事国は、登録の条件として標章が視覚的に認識できることを要求してはならない。当事国はまた、標章が音や匂いから成ることのみを理由に商標登録を拒絶してはならない」

つまり「知的財産権の米国による直接規制」には、目には見えないが音や匂いも商標に含まれるということだ。

私がこの条文を読んで真っ先に思い浮かべたのは、例えばパラマウント映画『ターザン』の裏声のかかった雄叫びである。 TPP参加後には、たとえパロディーであろうと、著作権侵害の対象になる。

匂いも商標に含まれるということで、例えば香水・香料の匂いも、厳しい監視の対象になっていく可能性が高い。

しかしこれはどういった基準で知的財産権の侵害を見分けるのであろうか。

似た匂いというのは世界に何千何万種とあるだろう。仮に科学的に判定できたとしても、原告に先んずる同一あるいは酷似した匂いが出てきたら、原告が今度は被告に逆転するのではないか。

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