重苦しい状況が続いている。
米国大統領候補で、「彼らの代わりに到来したものが遥かに酷いのだから、もし中東の独裁指導者サダム・フセインやムアマル・カダフィが、まだこの世界にいれば、世界はずっとましな状況だっただろう」という、まともな発言をした者がいる。これが誰のものかわかる人は、まずいないだろう。
これは、あのドナルド・トランプの発言だ。
「CNNのジェイク・タッパーに、彼の番組ステート・オブ・ザ・ユニオン・ショーで、フセインやカダフィが、今もイラクとシリアを支配していれば、世界はもっとましだっただろうか聞かれて、トランプは“100 パーセントそうだ”と答えた。
”リビアを見なさい。イラクを見なさい。イラクに昔はテロリストなどいなかった。[フセインなら]テロリストを即座に殺害していただろう。それが今や、テロのハーバード大学のようなものだ” とトランプは述べた。
”彼が良い人物だったと言っているわけではない。彼はひどい奴だが、昔は今よりずっとましだった。今や、イラクはテロリストの教練場だ。今やリビアを、誰も知らず、率直に言って、イラクも、リビアもなくなったのだ。皆崩壊してしまった。両国はどうすることもできない。何が起きているのか誰にもわからない。”」(「サダムやカダフィが権力の座にあれば、世界はずっと良い状況だったろう - トランプ」『マスコミに載らない海外記事』)
ドナルド・トランプは広義の反体制派なのかもしれない。少し見直したところだ。しかし、かれは、これではおそらく大統領にはなれないだろう。もしかれが大統領になったら、来日して広島・長崎にくる最初の米大統領になるかもしれない。このような型破りの大統領でなければ被爆地にくることはないだろう。
この米国で、債務上限引き上げにホワイトハウスと与野党が合意した。米財務省は11月3日にも資金が枯渇するとしていた。日本の宗主国は、デフォルト(債務不履行)のリスクに常に脅かされている国なのである。
米国は、米海軍のイージス駆逐艦「ラッセン」を、南シナ海のスプラトリー島海域の、中国の人工島に入れた。航行したのは、スビ礁付近のみで、ミスチーフ礁付近は通航しなかった。これに対して、中国の艦船が追跡し、警告を発した。
安倍晋三は「わが国は開かれた自由で平和な海を守るため、同盟国であるアメリカをはじめ国際社会と連携していく」と相変わらずのポチぶりを発揮した。また、フィリピンのアキノ大統領も、「パワーバランスが維持される事を歓迎する」と米国の行動を歓迎した。
このイージス駆逐艦を、南シナ海の「中国領海」に入れた米国の戦略は、次の3点であるように思われる。
1 日本・フィリッピンへ、米国がアジア太平洋地域から撤退しないというメッセージを送る
2 南シナ海の警戒活動頻度を増やし、南シナ海の危機を煽り、日本の軍事予算を増やさせ、米国の高額兵器を買わせ、米日軍産複合体の利益を拡大する
3 日本と中国との対立を煽り、いずれ日本に南シナ海のパトロールを任せ、日中戦争に至らせる
この米海軍イージス駆逐艦「ラッセン」の行動に対して、中国外務省は「航行と飛行の自由が、他の国の主権や安全を侵害する口実として使われてはならない」との声明を出した。
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様々な専門家の意見には、米中とも戦争をする気はないとの見方が多い。
それは、10月23日に、訪中した米軍高官に対して、中国海軍の呉勝利司令官が述べた、中米海軍の関係は「歴史上最も良好」との発言などにも見られる。かれは「両国の前線部隊の交流は徐々に、より体系的なものになる」とも発言している。
これは中国の遠大な戦略に基づいた発言だ。常にデフォルトに見舞われ、しかし、軍事力では世界最強の暴力国家と、事を構えるほど中国は愚かではない。相手は何もせずに放っておけば衰退していく国である。したがって中国から見る限り、不必要で愚かな米中戦争はない。
しかも、9月に習近平国家主席が訪米して、総額4兆6000億円ものボーイング製旅客機300機を購入したばかりだ。これほど中国の明確な戦略を物語るものはない。オバマやボーイングが感謝していない筈はない。
しかし、それは中国から見た願望だ。
米国には、3つの顔がある。米国の3つの顔とは、メルマガ「キッシンジャーの言葉を巡って(その2)」(606号 2015年10月21日)で述べた顔である。
1 大統領と国務省を中心とした、ハレ(晴れ)の顔(対中、対露戦争を忌避する)
2 「米国軍産複合体・イスラエル」を中心としたハレ(晴れ)の顔(ジャパンハンドラーはこの顔の日本における手足であり、安倍の日本もこの中に組み込まれつつある)
3 米国を陰で支配し、操っている顔。それはケ(褻)の顔であり、国際金融資本であり、具体的には、ロスチャイルドやロックフェラーら、シオニズムのグローバリスト、ワン・ワールド主義者、世界統一政府の樹立を志向する顔
この第2と第3の顔の共通項は、戦争をビジネスと捉え、経済を回していく戦略である。このふたつの顔に、第1のオバマが押し切られて、イージス駆逐艦「ラッセン」の、中国の主張する領海内への侵入となったのだと思われる。
だから、中国から見ると、米中戦争はないが、米国から見ると、米国のふたつの顔は、必ずしもそうではないのである。
とりわけ日中が戦争してくれたら、米国は戦わずして、戦争ビジネスの巨大利権に預かれる。
ただ、日中戦争は、米国の思い描いたようには進まないだろう。それは限りなく第三次世界大戦に近いものに発展していくだろう。つまりロシアが黙って見過ごすことは考えにくいのである。
中ロを深奥で結びつけているのはマルクス哲学なのだが、マルクス哲学への理解が、米日の政治家たちには致命的に欠けている。
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