在日米軍基地の騒音被害について、周辺住民への損害賠償13件分約220億円の判決。

これは当然日米地位協定に基づいて米国が払わなければならない。ところが、米国は費用負担にも応じない。この問題が表沙汰になったのは2004年のことだ。10年経過したわけだが、いまだに支払わせられないばかりか、なんと日本政府が全額を肩代わりしていた。

Osprey airplane

1960年に発効した日米地位協定の第18条(請求権・民事裁判権)によると、米国のみが責任を有する場合は、「裁判により決定された額は、その25パーセントを日本国が、その75パーセントを合衆国が分担する」と定めている。

また、日本と米国の両方が責任を有する場合は、「両当事国が均等に分担する」と定めている。

米国が一方的に加害者で悪い場合でさえ、25%を日本が払うというのには驚かされる。

しかし、こんな取り決めは、米国は最初から守る気はなかったのではないかと思う。

『琉球新報』(11月7日)は、社説で、「政府は米側に是が非でも支払わせるべきだ。夜間や未明などの爆音で賠償金支払いが発生するとなれば、米軍は不要な深夜の離着陸を控えることになろう。つまり爆音予防につながるのだ」と述べている。賛成である。

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日本政治は、自ら進んで主権を放棄している。差別的な地位協定さえ守らせられずに、「法の支配」(安倍晋三)などと外国に向けていってほしくないものだ。「法の支配」下にないのは、日本ではないか。

卑屈な支払いの肩替わりは、5日の菅官房長官の記者会見で明らかになった。これまでの自民党なら、こういうのは隠蔽してきたものだ。もはや屈辱的な隷属にも不感症になってしまったのだろう。

メディアが何も騒がず、国民も知らんぷりだ。野党も騒がない。とりわけ「左翼」が静かだ。すっかり植民地が身についた感じである。

他国には法を説きながら、自分は無法を繰り返す米国である。その米国ジョージタウン大学教授(歴史学)のマイケル・カジンが「同性愛者に優しく、労働者に冷たい社会―アメリカの左派運動の成功と挫折」のなかで、面白い指摘をしている。

「左派は、アメリカの政治的伝統でもっとも神聖な二つの概念である「自由と平等」の双方を実現しようと努力してきた。彼らは、進歩主義・リベラルとも呼ばれる改革主義志向の政治家・さらには共感を示してくれるメディアの助けを借りて、自由と平等の双方において一定の成功を収めてきた。

しかし左派が最大かつもっとも恒久的な勝利を手にしたのは、平等ではなく自由の側面においてだった。奴隷制を廃止し、女性の参政権を獲得し、産児制限を合法化し、黒人とヒスパニックの公民権を勝ち取り、人種的マイノリティのアイデンティティを守る上で重要な貢献をしてきた。

(中略)

左派は、政治活動よりも、むしろ文化やアートを通じて社会を変化させることに成功してきた。この数十年にわたってアーティスト、作家、俳優などのパフォーマーは、かつては急進的とみなされた人種、性別、ジェンダー、経済的正義についての考え方を社会のメインストリームにアピールし、世論を少しずつ動かしてきた。

文化的な手段をとると世論により大きな衝撃を与えることができたし、政治的手段だけに頼るよりも速やかに支持を広げられた。しかも、大きな改革に必要とされる政治エリートの支持を真っ先に取り付ける必要もなかった。

結果的に個人の権利や民族のアイデンティティを擁護する活動の方が、平等の実現を目指す活動よりもはるかに大きな成功を収めてきた。

結局、現代のアメリカはリバタリアン(自由至上主義)の時代にあり、「一人の痛みを皆で連帯して分かち合う」という昔ながらの労働組合のスローガンは、ユートピア的とは言わないまでも、時代遅れのようだ」(『Foreign Affairs Report』2014 NO.10)

米国左派の運動を「自由と平等」に切り分け、「最大かつもっとも恒久的な勝利を手にしたのは、平等ではなく自由の側面においてだった」と指摘しているのは面白い。

ただ、マイケル・カジンの論の瑕疵は、米国左派の「自由」と「平等」のどちらを米国の支配層が許容し、あるいは攻撃して潰したか、といった観点を欠いていることだ。

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この論文で、マイケル・カジンは、レズビアン、ゲイ、バイセクシュアル、トランスジェンダー(LGBT)の自由と権利拡張を求める運動を、左派の運動として括っている。

それにも違和感がある。仮にそれを左派の運動として認めたとしても、それが成功してきたのは富の公平・平等をいわないからにすぎない。

America Slums

すなわち、米国支配層の富という、支配が支配として成立するもっとも根源的なものに抵触しないからだ。米国支配層にとっては、主として宗教的あるいは文化的な観念に抵触するだけである。支配層の富に現実的な被害はもたらさない。

レズビアン、ゲイ、バイセクシュアル、トランスジェンダー(LGBT)の自由と権利拡張運動に白人が関わっていたことも大きいだろう。人種的な問題が希薄であった。

逆に「平等」を求める左派の運動は、必然的に富の公平・分配を求める。そこで、国際金融資本(シオニズムのグローバリスト。ワン・ワールド主義者。世界統一政府の樹立)の逆鱗に触れる。

「企業の労働組合は存亡の危機に直面し、公務員組合も多くの州で知事や議会から目の敵にされている」現実は、「平等」を求める左派の運動がより根源的な哲学をもっているからだ。

本来、「自由」を求める運動は、「平等」を求める運動に発展せざるをえない。「自由」であっても「平等」でなければ、それは観念のなかでだけ成立する、現実の「不自由」にすぎないからだ。

demonstration control

「現代のアメリカはリバタリアン(自由至上主義)の時代」というのは、いささか勝ち組に組みする暴論のようだ。現代の米国は弱肉強食のグローバリストが支配している。

それが外に向かっては絶えざる侵略を繰り返している。侵略には暴力的な外国の支配(ハード)と、TPPのような支配(ソフト)とがある。

ここで重要なのは、左派の現状、「平等」を獲得する運動が潰されて勢いがないように、米国の外国に向けての侵略にもこの「平等」の価値観がないことだ。

それは、冒頭にみた日本における騒音被害で、米国が金を支払わない、日本に肩替わりさせるという、「平等」を欠いた民族差別にも顕在化している。

さらに米国は内に向かっては、息苦しい、国民監視の警察国家になっている。

嘘とでっち上げで成り立つのが、警察国家である。日米とも、この警察国家を深化させている。米国は9.11後の必然性があって。日本は必然性なしの米国の指示で。

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