米国大統領オバマが来日した。 2泊3日とはいっても、23日の夜にやってきて25日の午前に出国したので、実質的には1泊2日と考えてよい来日だった。

オバマ来日の目的はふたつあった。

1 安全保障(集団的自衛権)

2 TPP

である。結果は、オバマにとっても安倍晋三にとっても、何の成果もなかった。現状維持だけの来日だった。

宗主国のメディアに転落した日本のマスメディアが、共同記者会見の後に、米国の大統領が初めて尖閣を日米安保の適用範囲に含めたと、はしゃいでいる。これはとんでもない間違いである。

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オバマが正確に説明したように、それは「新しいものではな」かった。「ヘーゲル米国防長官が日本を訪れたときも、ケリー米国務長官が訪れたときも、両方ともわれわれは一貫してこの立場を取っている」ものだった。

日米安保条約の第五条は、次のように書かれている。引用するのは、この条文を知らずに、テレビで喋っている政治評論家がいたからだ。

「第五条

各締約国は、日本国の施政の下にある領域における、いずれか一方に対する武力攻撃が、自国の平和及び安全を危うくするものであることを認め、自国の憲法上の規定及び手続きに従って共通の危険に対処するように行動することを宣言する。

前記の武力攻撃及びその結果として執ったすべての措置は、国際連合憲章第五十一条の規定に従って直ちに国際連合安全保障理事会に報告しなければならない。その措置は、安全保障理事会が国際の平和及び安全を回復し及び維持するために必要な措置を執ったときは、終止しなければならない」

つまり、「自国の憲法上の規定及び手続きに従って共通の危険に対処するように行動する」ので、かりにそのときの米国大統領が、日本に味方して参戦しようと思っても、その大統領は米国議会に参戦を諮ることになる。

現在のシリアやウクライナ問題を見てもわかるように、厭戦気分にとらわれている米国が、尖閣を守るために中国と一戦を交えるというようなことは100%ありえない。

まして尖閣は小さな無人島である。さらに米国は尖閣に対する日本の領有権を認めていない。認めているのは実効支配のみである。そのような無人島のために、世界一の米国債の購入国であり、原水爆を保有する核大国の中国と一戦を交えるなどというのは、ブラックユーモアの類にすぎない。

日本人というのは、つくづくお人好しで、民度の低い民族だと思わざるを得ない。

さらに尖閣で偶発的な日・中間の軍事衝突が起きた場合も、日米安保条約で「直ちに国際連合安全保障理事会に報告しなければならない。その措置は、安全保障理事会が国際の平和及び安全を回復し及び維持するために必要な措置を執ったときは、終止しなければならない」とあることから、米国が、安全保障理事会を通じて外交的政治的に戦闘の終結に動くことは明確だ。

米国の参戦などは、条約文に照らしても、現実論に照らしても、あり得ないのである。

わたしたちが目指さなければならないのは、日・米・中の、平和に基づく相互繁栄の道である。平和こそが最も賢い選択であり、政治である。そういう意味では、日本は、邪悪な戦争の民族的DNAから、憲法9条によって自国を守ってきたといってよい。

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ここで共同記者会見での発言を、オバマの発言に限定して、ポイントを抜き出してみよう。

Obama

1 米国は、日本の集団的自衛権の行使を、歓迎し、支持する。

2 米国が尖閣を安保条約の適用範囲にするのは、新しい変更ではない。日米安保条約は日本の施政下にある全ての領域に当てはまる。これまでもヘーゲル米国防長官、ケリー米国務長官などによって表明されてきたことである。

3 領有権に関しての決定的な米国の立場は示さない。
(尖閣の領有権については、米国は中立の立場にある。つまり日・中いずれに対しても尖閣の領有権を認めていない。注 : 兵頭)

4 尖閣問題は平和的に解決することが重要だ。言葉による挑発を避け、どのように日本と中国がお互いに協力していくことができるかを決めるべきだ。

5 米国と中国は、非常に緊密な関係にある。中国は世界にとって非常に重要な国だ。中国が平和的に台頭をすることを米国も支持している。

China

6 大国も小国もすべて正当で公正なルールに従い、平和的に問題を解決する必要がある。これが中国に対しても直接、わたしが伝えたいメッセージだ。中国に関してはこれからも成功していってほしい。

7 中国が成功するだけでなく、中国には非常に大きな日・中協力の可能性がある。ベトナムと中国の可能性もある。フィリピンと中国の協力の可能性もある。

8 (米国は中国が尖閣に軍事侵攻を行った場合、武力を行使するのか。超えてはいけない一線はどこにあるのか、との米国人記者の質問に対して)日本の施政下にある領土はすべて安全保障条約の適用範囲に含まれている。そしてレッドライン、超えてはならない一線は引かれていない。しかし、同時に安倍首相に申し上げたが、この問題に関して事態がエスカレートし続けるのは正しくないということだ。日本と中国は信頼醸成措置をとるべきだ。

以上、共同記者会見でのオバマ発言のポイントを挙げてきた。それは、これまで米国の要人が発言してきたことと何も変わっていないのである。

安倍晋三の周辺で「満額回答」と、はしゃいでいる向きもあるが、それは事実に照らして無理である。

オバマは冷静に平和の大切さ、日・中友好の重要さを説いた。その意味では軍国主義者、歴史修正主義者の安倍晋三としては、逆に不機嫌にならないとおかしい記者会見の内容だった。安全保障については、新味なし、成果なしの、オバマ来日であった。

次にTPPについてだが、何事も原点が大切だ。とくに日本のように嘘吐きが天職のように政治家になる国では、政党の国民への確約を常に振り返ることが大切だ。
自民党の国民との確約をもう一度見ておこう。

「(1) 政府が、「聖域なき関税撤廃」を前提にする限り、交渉参加に反対する。

(2) 自由貿易の理念に反する自動車等の工業製品の数値目標は受け入れない。

(3) 国民皆保険制度を守る。

(4) 食の安全安心の基準を守る。

(5) 国の主権を損なうようなISD条項は合意しない。

(6) 政府調達・金融サービス等は、わが国の特性を踏まえる」

(1)であるが、米国はTPP参加各国には「聖域」を認めない方針だ。しかし自国については、日本には自動車、オーストラリアやニュージーランドには砂糖や乳製品などの聖域を作る。TPPは、まったくの不平等条約である。

食料は人間存在の根幹に関わってくる。誰もが食べずに生きてゆくことはできない。そのため、古今東西、戦争では兵糧攻めが重要な戦術になってきた。

米国は、軍事に加えて、食料で日本を支配しようとしている。食糧安保を考えない日本政府は、あっさりと国民のもっとも大切な食料を、他国に依存して生きる道を選択しようとしている。

食べ物を他国に依存する。これほど見識のない政治家が統治する奴隷国家は、歴史上存在しなかったと思われる。

ところで、日本は、コメや牛肉・豚肉などの重要5項目を含む全品目について、99年後に関税を撤廃する案を米国に伝えていた。

つまり年数は長いが、自民党はこれまで農産物の重要5項目を「聖域」として関税撤廃の対象外と公約していたのだから、99年と長いとはいえ、完全な裏切りである。

この長さも、交渉戦術として出されているのであって、すぐに50年に後退し、10年に押し込められるのは明らかだ。

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