米朝会談にお花畑の楽観論をもつべきではない。それは愚かであるばかりか、会談の成功と朝鮮半島の平和、さらには南北統一の妨げにさえなる。

わたしたちは冷静に論理的に分析し、何が問題なのか、何が阻害要因なのか、それを排除するには何が必要か、といったことを、慎重に見極めていかねばならない。

今日は、最新の情報をもとに、米朝会談を展望してみよう。

文正仁が「米朝間の立場の違いと韓国の立場―― 南北首脳会談と非核化に向けた今後の課題」を書いている。

(文正仁は、韓国大統領特別補佐官。外交・国家安全保障担当で、延世大学教授)

完全な非核化が公的な文書に書き込まれたことも画期的な展開だった。これまで北朝鮮は南北交渉の場で核問題をアジェンダとして受け入れることを拒み、それについては米朝が対処すべき問題だと主張してきた。

だが今回、金正恩は書面で非核化へのコミットメントを示し、朝鮮労働党の機関紙・労働新聞も、完全な非核化の合意を初めて報道した。金正恩は完全な非核化へのコミットメントを裏付けようと、文在寅に対して、北朝鮮の豊渓里にある今も使用可能な核実験場を5月に閉鎖し、閉鎖プロセスの監視と検証のために米韓の専門家やジャーナリストを受け入れると約束した。

首脳会談において、金はつねにプラグマティック(実利的)で現実主義的な立場をとった。非核化の前提条件(a precondition)として、彼が在韓米軍の規模の削減や撤退、あるいは米韓同盟について言及することはなかった。「協議を始めれば、私が韓国、太平洋、アメリカに向けて核兵器を発射するような人間でないことが、アメリカにも分かるだろう」と彼は語っている。

金は「ワシントンに対して何を望んでいるか」についても文に伝えている。頻繁な会談、信頼醸成、朝鮮戦争の正式な終結、そして不可侵条約だ。これらの条件が満たされるのなら(If these conditions are met)、「私たちが核兵器を保有して苦しむ理由はなくなる」とも語っている。

非核化を戦争終結と平和的体制の構築のプロセスをリンクさせたいと彼が考えた理由はここにある。最終宣言にあるように、朝鮮戦争を終結させて休戦協定を平和条約に転換させるプロセスが動き出せば(if the process of ending the Korean War and transforming the armistice into a peace treaty occurs)、北朝鮮は非核化のプロセスを促進させるだろう。

最後に、2人はいずれも過去の合意の過ちを認識し、合意内容を実行するために正確で具体的な約束を示している。宣言には、主要な会談やイベントの日付が明記され、ハイレベル交渉と軍高官レベルの会談を5月に実施することが予定されている(訳注:5月16日に開催予定だった南北閣僚会談は中止された)。離散家族の対面は8月15日に実現する予定で、秋には文が平壌を訪問する計画だ」(『Foreign Affairs Report』2018 NO.6(予定))

ここで米朝韓三国の戦略を明確にしておこう。

1 米国「非核化が先で見返りは後」という戦略

2 北朝鮮非核化の(部分的)履行と見返りを、段階的に繰り返す戦略

3 韓国非常に重要な立ち位置を文在寅は占めている。どちらにもつかず、双方が折れ合える条件を模索し続けることになる。習近平と協力してトランプと金正恩を説得する機会が増えそうだ。

ここでわかるのは、金正恩が本気だということだ。「協議を始めれば、私が韓国、太平洋、アメリカに向けて核兵器を発射するような人間でないことが、アメリカにも分かるだろう」という発言は、いかなる意味においても本音だと思っていい。

金正恩は、北朝鮮の豊渓里にある核実験場を、5月に閉鎖すると約束した。その監視と検証のために米韓や欧州の専門家やジャーナリストを受け入れるとまで約束した。こういう積み重ねを米国も評価し、信頼し、譲歩すべきである。

部分的な実績を積み重ねていかねば、相互の信頼は醸成されない。世界の大きな国家間交渉はすべて何年もかかっている。

非核化が先で見返りは後、という戦略はいかにも米国らしい。傲慢で、大国が小国を見下して一方的な譲歩を迫る戦略だ。これでは有無を言わさず北朝鮮は丸裸にされてしまい、米国はその後の交渉をやらずに、イラクやリビアの運命が待ち構えているかもしれない。その不信感から出た北朝鮮の核武装なのに、米国の戦略は相手国の立場を完全に無視している。

文在寅の役割が大きくなりそうだ。

米朝会談が重要なのは、米国の傲慢な戦略が、北朝鮮を追い詰めて、皮肉にも交渉をはじめたために、朝鮮半島での第三次世界大戦にまでつながっていく可能性を秘めていることだ。

この論文を書いた文正仁は、金正恩が「頻繁な会談、信頼醸成、朝鮮戦争の正式な終結、そして不可侵条約」と突き進み、「これらの条件が満たされるのなら(If these conditions are met)、私たちが核兵器を保有して苦しむ理由はなくなる」と語った内容を紹介している。

物事には順番がある。トランプも時間をかけて、ひとつずつ段階的に解決してゆき、最後に北朝鮮の核放棄を求めた方がいいだろう。これまで米国が各国との交渉で見せてきた強引な手法を金正恩に適用すると、金正恩の立場を危うくする。

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