このページは、2017年5月9日に更新しました。

『兵頭に訊こう』は、現在の国内外の重要問題について、最新の情報と考え方(批評)を公開しています。

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このページのポイント。

仏大統領選でルペンが敗れた。
トランプのシリアへのミサイル攻撃が、トランプへの幻滅をもたらし、仏選挙に影響を与えた。
ルペンには不利に影響した。
しかし、ルペンの主張した反EU、反グローバリズム、反移民、反NATO感情は仏に残り続ける。
大統領になったマクロンは、今後困難な政治運営を迫られ、政権は機能不全に陥る可能性が高い。

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はじめに

安倍晋三が総理になってからの、日本の状況は、よく日本の北朝鮮化といわれてきた。
しかし、次第に北朝鮮以下の国になりつつあることがわかってきた。

現在の安倍政権が続けば、これから日本は、米国の手先になって海外に軍隊を派兵し、戦争をやる国になっていくだろう。
少なくとも北朝鮮は海外派兵をやっていない。

いまでも、世界の指導者で、積極的に北朝鮮攻撃を選択肢のひとつとして評価しているのは、日本の安倍晋三だけである。

この日本の軍国主義化は、政権の腐敗と同時進行しているのが、最大の特徴だ。
森友学園事件、加計(かけ)学園事件などは、その典型である。
国家・国政の私物化が、安倍夫婦で進められており、後世まで語り伝えられるような権力腐敗が進捗している。

日本はもともと世間様に極端に気をつかう、生きにくい社会である。
安倍晋三が政権をとってから、それが軍国主義を実現する警察国家を目指すことで、極端に生きにくい社会になってきた。

まだツイッターなどのさまざまなWeb表現で、生きにくさが呟かれるうちはいい。
しかし、共謀罪でこれさえ弾圧されたら、もはや政権を批判することは許されなくなり、1%だけが優雅な生活を送る奴隷国家になる。

マクロンの絶望のはじまり

マーチン・A・シャイン ニューヨーク大学名誉教授(政治学)は「マクロンとル・ペン ―― フランス大統領選の行方」のなかで書いている。
この論文は、仏大統領選投票の前に書かれたものである。

国民戦線のマリーヌ・ルペンが、15年前の父親よりも手堅い支持を得るなか、社会党と共和党の政治家は公然とマクロンに歩み寄っていくだろう。
だがオランド政権の前経済相のマクロンに対して、主要両党の議員たちが大きな不信感をもっているのも事実だ。
フランスの他の主要な政治機関と比べても、市民の政党全般への信頼度は8%と大きく落ち込んでいる。
しかし、ド・ゴール以降、主要政党の支援なしで大統領選に勝った候補はいないし、しかも、フランスの有権者は、自分が支持する党に忠実な投票行動をとる傾向がある。

(中略)

だが根本的な問題となるのは、二人のどちらが選ばれるとして、国を統治できるかどうかだろう。
ともに主要政党の代表ではなく、2017年6月の議会選挙で自分の政党が下院の過半数をとれる可能性はほとんどない。

大統領の所属政党が議会で過半数をとれなかった場合、これまでは他党の政治家を首相に選ぶ「コアビタシオン」という手法が取られてきた。
その例は過去に3度あり、大統領の影響力がなくなったわけではないが、政府は首相が主導した。

ジスカール・デスタン政権(1974―81)のケースは、今年の選挙後に何が起こるかを知る上で参考になる。
ジスカール・デスタンは、ド・ゴール主義者が多数だった下院の右派連合に頼り、ド・ゴール派のジャック・シラクがまず首相となった。

だがその後(コアビタシオンが行き詰まり、シラクが2年後に辞任すると)レイモン・バールが首相を引き継ぐこととなった。
コアビタシオンの間、政権は内部にライバルを抱え、絶え間ない交渉を続けなければならなかった。

世論調査通りにマクロンが大統領選挙に勝利を収めれば、6月の議会選挙の結果として考えられるのは、先ず「アン・マルシュ!」と社会党が連立を組み、社会党の首相を立てるというシナリオだ。

だが議会選挙で国民戦線が大きく票を伸ばすことに成功し、共和党が第二回投票で大勝することになれば、中道・左派連立政権がスムーズな統治を行うには、共和党右派の少なくとも暗黙の支持が必要となる。
(訳注 フランスの議会選挙では有効投票のうち、過半数かつ有権者数の25%以上を得た候補者が当選する。
条件を満たす候補がいない場合は1週間後に決選投票が実施される。

このようなアレンジメントの場合、統治権力は依然として大統領にあるとしても、議会における安定多数派の支持を期待できないために、その立場は弱くなる。
そうなればマクロンがフランスをどれだけ「前に進めることができるか」は定かではなくなるだろう。(『Foreign Affairs Report』2017 NO.5)

仏国民の政党全般への信頼度は8%だという。
これは仏の政治民度の高さでもある。
政党なるものへ不信感をもつというのは、ある意味で政党人よりも、国民が政治を深く知っているからこそ可能な認識のレベルである。

今回の仏大統領選で、白票・無効票も合わせて史上もっとも高い12%近くに達した。
これを日本の選挙にたいする無関心と一緒にすることはできないだろう。

日本の場合は、多くの国民は政治について何も考えない。
考えないことで棄権する。
自民党に投票する国民も、まるで選択肢はひとつしかないように、何も考えずに、何十年にもわたって自民党に投票し続ける。
すべてとはいわないが、こういう人が実に多い。

機能不全政治のなかへ

政策の裏側の意図など、けっして考えない。だから安倍晋三は、共謀罪も憲法も東京シロアリンピックに結びつけるのだ。

仏では伝統的な既成政党は、左派・右派とも決選投票に進めなかった。
「前進」のエマニュエル・マクロンも国民戦線のマリーヌ・ル・ペンも既成政党ではない。

今回、仏大統領選の陰の主役は米国大統領トランプであった。
トランプの背後には、クシュナーやソロスなどグローバリズムのワン・ワールド主義者が存在している。
それがトランプを1%利権政治へと変質させつつある。

とりわけトランプのシリアへのミサイル攻撃が、トランプへの幻滅をもたらし、仏選挙に影響を与えた。
ルペンには不利に影響した。

確かに「国民戦線」のマリーヌ・ルペンは負けたが、極小政党から大統領選を争うまでに飛躍したといっていい。
何があってもルペンという、底堅い支持層が存在した。
その点、トランプに似ている。
伝統的な既成政党離れがこれで決定的になった。
既得権益支配層の政党・政治家たちから99%に政治を取り戻す運動は、緒に就いたといえる。

ルペンが主張した反EU、反グローバリズム、反移民、反NATO感情は、消えたわけではない。
仏に残り続けることになる。

しかしながら、ルペンは選挙戦術を厳しく総括する必要があるのではないか。
過激な主張のため、中道右派とも連携を組めなかったことから、これまでの主張を後退させてしまった。
これがマクロンを利した。
このあたりルペンの未熟さが露呈された形である。

マリーヌ・ルペンの父ジャン=マリー・ルペンは、2002年の大統領選挙で、他のすべての主要政党がジャック・シラクの支持にまわったために敗北した。
娘のルペンも同じ既得権益支配層の包囲網にかけられた。

ルペンは、自分の革命性の認識を深めた方がいい。
彼女の反既得権益の政治思想にとって、他の政党との連携などないのである。
それほど(いまのところ)彼女の政治思想は本物だと思っていい。
他の政党との連携を模索しはじめたところから、敗北ははじまったのである。

仏の米大統領選は、エマニュエル・マクロンが勝利した。
これで仏は、分裂することになる。

勝利したマクロンでさえ、「EUが自らを改革できなければ、仏の離脱の可能性に直面する」と述べたように、EUは非常に困難な状態にある。

仏のEU離脱は当面回避されたが、マクロンは既成政党とルペンの、厳しい注文にあって、政権を運営していけるかわからない。
マクロンは、選挙中に「仏は政治の機能不全に陥っている」としたが、皮肉なことに大統領になって、みずからそのことを実証する可能性が高い。

マクロンにとって最初の難関は、2017年6月の議会選挙で、かれの「アン マルシュ」(前進)という党派が下院の過半数をとれる可能性がないことだ。

マクロンを待っているのは、「コアビタシオン」の手法によって、連立する他の政党から選んだ首相に政府を任せる手法である。
39歳の若さで、こんな芸当ができるとはとても思えない。

何のために大統領になったのか。
その自問に苦しむ日々がはじまりそうだ。

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