中国旧暦の正月、春節なのに、日本への中国人観光客が、これまでと比べてめっきり減って話題になっている。

2015年7月末には、たとえば静岡空港における国際線の搭乗者数は、約40万もあった。しかし、2016年は約28万人にまで激減した。

減少の中心は、中国からの団体客である。爆買いもすっかり減ってしまった。

その中国は、連日、トランプの話題で盛り上がっている。

それは実に納得できる。トランプの激しい中国批判を聞いた後では、そのトランプが米国内で叩かれたら小気味よいに決まっている。

中国で、トランプ批判が盛り上がるばかりか、ある程度自由に報道できる理由は、2点あるということだ。ひとつは、党中央からの報道自粛の要請がきていないこと、それに米国の混乱を面白がっているというのもあるという。

今日のメルマガでは、米中とグローバリズムの問題を考えてみる。

中国に関しては、習近平の昨今の発言から、グローバリストと捉える間違った意見が目につく。

それを正すのも執筆動機のひとつである。

エリック・X・リ(Eric X.Li)が、「グローバリズム・イデオロギーの終焉 ―― 米中は何処へ向かうのか」を書いている。

(エリック・X・リは、上海在住のベンチャーキャピタリスト、政治学者)

「中国の考えはトランプのビジョンに基本的にうまく重なり合う。「機能する国際システムの主役は力強い主権国家でなければならない。文化の重要性を認識する必要がある。国家的な課題よりも、国際的なルールを重視するのは間違っている。二国間合意の効率が高いときに、あえて多国間ルールを持ち出して二国間合意を潰すべきではない」。

これらの原則は、トランプ、習近平のどちらが主張しても違和感はない。

(中略)

長年にわたってグローバリストたちは「頑なに国家主権を守ろうとする中国は時代遅れだ」と北京を批判してきたが、自国の民衆の安全と利益を保護することについては、北京はうまくやってきた。この点でも中国とトランプのアメリカは、自国の安全と利益に関して、共通基盤を見いだすことができるだろう。

貿易についても利益認識が近づいていく可能性がある。グローバリストのエリートの考えでは、貿易と保護主義は相反するものだ。誰であれ、グローバルスタンダードを疑うと、保護主義者のレッテルを貼られる(実際、こうした視点から、中国は保護主義的だと批判されてきた)。

しかしグローバリストのこのような二分法は間違っている。貿易を促進しつつ、正当な国家利益を保護することはできる。例えば、中国がアジア太平洋地域での貿易拡大を目的に提案している東アジア地域包括的経済連携(RCEP)は、参加国毎に異なる政治・経済状況に配慮し、関税と産業基準の多様性を認めている。

対照的にオバマのTPPは、それぞれの経済開発レベルの違いゆえにその必要性も異なるにもかかわらず、画一的なルールを適用するように設計されている。皮肉にも、いまや多くの米市民はTPPが自国のニーズに合致していないと考えている。

(中略)

世界を自国のイメージにあわせて作り替えようとする米エリートたちの野心は、アメリカと世界に大きなコストを強いた。

世界人口の5%足らず、世界の国内総生産(GDP)総額の約20%を担っているだけなのに、軍事支出でみるとアメリカのそれは世界の40%にも達し、今後、その割合は50%に達するとさえ考えられている。

トランプはこのような介入主義路線を抑制したいと表明しているが、グローバリストのエリートは彼のことを孤立主義者だと小馬鹿にしている。いずれにせよ、「他国の統治についてあれこれ口出しするアメリカ」と「完全な孤立主義」の間には数多くの別の選択肢が存在する。

例えば、アメリカは中東問題への関与を続けるべきだが、中東での体制変革や国家建設路線は放棄すべきだろう」(『Foreign Affairs Report』2017 NO.2)

初めに書いておくが、反グローバリズム、反ワン・ワールドのナショナリズムにおいて、米露中は緩やかな連帯が可能である。

地上波メディアを中心とした現在のトランプ論には、次の問題が見られる。

1 そもそもグローバリズムへの問題意識を欠いていて、トランプの政策や大統領令を倫理的に非難する。

2 グローバリズムへの問題意識はあるのだが、権力闘争の何たるやについての政治的認識を欠く。

3 専門的な知識はあるのだが、いわば政治音痴で、この種の問題では必ず間違って、多数派の常識から発言する。

4 政治的知見はあるのだが、個人がバッシングに遭うと、頼まれたか、それとも金を貰って、いつも多数派の側に立ち、一緒になって魔女狩りをやる。

5 トランプの発言に距離をおくことができず、辞書的意味を追いかけ回し、その都度、あの政策はいいが、この政策はダメだと右往左往を繰り返す。

だいたいこの5パターンに分かれるようだ。

トランプと中国の考えとは、原則で一致している。グローバリズムよりは、主権国家を重視している。

「国家的な課題よりも、国際的なルールを重視するのは間違っている。二国間合意の効率が高いときに、あえて多国間ルールを持ち出して二国間合意を潰すべきではない」。これはまさにTPP批判そのものだ。

トランプが、中国包囲網としてのTPPを潰したことから、中国としてはトランプ評価の条件は整っている。わたしは、トランプの中国への激しい批判は、多分に軍産や共和党向けのパフォーマンスだと思っている。

欧米のグローバリストたちは、中国を批判してきた。しかし、中国はグローバリズムには行かなかった。なぜなら、それが自殺行為だったからだ。グローバル大企業は、いずれ中国の共産党一党独裁を否定する。そればかりは共産党としてけっして認められないことだった。だから中国の一帯一路構想は、国家主権・民族を残したままの市場統合なのである。

また、東アジア地域包括的経済連携(RCEP)も、「参加国毎に異なる政治・経済状況に配慮し、関税と産業基準の多様性を認めている」。

TPPのようにどこかのグローバル大企業がISD条項を使って国家主権の上に立ち、損害賠償と新法を求めるのとは、まったく違っているのだ。

「世界を自国のイメージにあわせて作り替えようとする米エリートたち」とは、具体的にいうとワシントンDCであり、その中心にビル・クリントン、ブッシュ、オバマ、ヒラリーはいた。かれらの野心は、米国と世界に大きなコストを強いたのみではない。破壊と死者、そして荒廃をもたらした。

それは侵略先の荒廃をもたらしたばかりではなく、米国自身の荒廃をもたらした。世界人口の5%足らずの一国で、軍事支出は世界の40%にも達している。「今後、その割合は50%に達するとさえ考えられている」というから、もはや狂気である。

トランプはこのような介入主義路線を抑制したいと考え、また表明もしている。しかし、ワシントンDCには通じていない。そこで熾烈な権力闘争が続いているのだが、その真実が世界には伝わっていないところに、トランプの悲劇がある。

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わたしのようにどの組織にも属さず、辛口の政治評論が中心で、どの政党も遠慮せずに批判し、既得権益支配層を批判するばかりか、だらしのない国民をも叱咤し続けて、3千部達成というのは、珍しいのです。

たまにお便りで読者を知ることがあるのですが、わたしの読者は粒よりで、一騎当千のつわものばかりです。これが何よりのわたしの誇りです。

なにぶん歳なので、いつまで書けるかわかりません。それ以上に、狙われているので、ネットから追放される可能性もあります。皆さんのなかにもわたしのツイートをリツイートして、妨害された方がおられるでしょう。共産党からネトウヨまで、幅広い妨害に遭っております。つまり公認左翼と右翼とに怖がられております。

毒にも薬にもならない言葉ではないわけで、妨害はわたしの栄光だと思っております。

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