トランプ勝利の結果を出した米国は、現在、どうなっているのだろうか。

わたしたちに関心があるのは、米国の分裂である。そしてその分裂の真相である。今日のメルマガではそれを考えてみる。

サラ・エステスが「行き場を失った道徳的怒りと米社会の分裂 ―― 熾烈なネガティブキャンペーンの果てに」を書いている。

(サラ・エステスは詩人、エッセイスト。ジェシー・グラハム 南カリフォルニア大学准教授(心理学))

「<分断した社会>

アメリカ建国初期の酷い選挙戦と同様に、ヒラリー・クリントンとドナルド・トランプの対決はベトナム戦争以来かつてないほどの大きな分裂をアメリカ社会にもたらした。

(中略)

道徳的な怒りが異様な盛りあがりを続ける状態はさまざまな意味で危険でもある。すでに表面化している市民の分断をさらに広げてしまうからだ。ハーバード大学の心理学者による最近の調査によれば、(選挙キャンペーンでの両陣営がそうだったように)イデオロギー上の敵対者を「脅威」とみなせば、ストレスの高い反応を引き起こし、相手を無視するだけでなく、敵意をもつようになる。

道徳的な怒りに燃えた状態が続けば、個人レベルでも集団レベルでも精神の安定が脅かされる。選挙戦の人種的不寛容や不安をさらに煽り立てることになる」(『Foreign Affairs Report』2017 NO.1)

わたしたちは、米大統領選は終わり、米社会の分断も次第におさまっていくだろうと考えがちである。しかし、現実はむしろ分裂の深刻さを強めている。

それをサラ・エステスは、「ヒラリー・クリントンとドナルド・トランプの対決はベトナム戦争以来かつてないほどの大きな分裂をアメリカ社会にもたらした」と書いている。

深刻さは、それが米大統領選での、いわば身内の対立でもたらされたことだ。現在のところ、沈静化する様子がないのである。

トランプあるいはヒラリーへの道徳的な怒り、「脅威」が、敵意を生み、それが選挙戦を延長させ、人種的不寛容や不安をさらに煽り立てる。つまり、米大統領選はまだ終わっていないのだ。

現在、オバマ・ヒラリー・CIA陣営が、躍起になって煽っているのは、ロシアのプーチンが米大統領選に介入し、ヒラリーメールを公開し、トランプ有利に操作したというものだ。

ヒラリーメールのロシアハッキングは、ヒラリー攻撃用にウィキリークスに渡されたとする。

プーチンもトランプも、相互に信頼と敬意を表明していることから、この噂には、洗脳されやすいリアリティがある。

サラ・エステスはもっぱら大衆的レベルを問題にしている。確かに移民問題が対立の根本にあるので、ほんとうはベトナム戦での国内対立より先鋭化する要素がある。

それに火を付けたのはトランプである。現在の米国の対立は、支配層エリート内部の闘いと大衆レベルでの闘いとを分けて考える必要がある。

トランプは、反中国のオリガーキーを代表し、ヒラリーは、反ロシアのオリガーキーを代表している。

ここでさらに踏み込んだ説明をしておくと、トランプの反中国は、イデオロギー的なものではない。経済的な面での中国批判である。つまり知的所有権や、為替操作による輸出価格の引き下げといったものだ。

トランプの中国批判といっても、親中国のブランスタッドを中国大使に任命したことからもわかる通り、話し合いで解決していこうという姿勢が強い。有り体にいって、対中国で貿易収支の改善が図られたら、トランプの反中は終わる、といったものだろう。

その証拠は、トランプのTPP離脱に求められる。

TPPは中国包囲網の一環であり、軍事的な側面をもつ。
トランプのTPP離脱の意味は、誰よりも中国が評価している。したがって、これからの中国は、トランプの反中が経済的な損得に限定されたものであることを理解して、一定の譲歩を図るように思われる。そうすれば、米国一極支配から米露中の多極化支配への移行は、スムーズに推移することになる。

反中の安倍晋三は、極東の厄介者として、米国からも見捨てられる可能性が出てくる。

今回の北方領土献上は、安倍晋三の対米隷属が、究極の形で露出したものだった。つまり、次期米大統領トランプとプーチンの友好を見越して、北方領土をロシアに実質的に献上し、日露の共同経済活動でトランプにおもねったものだ。

しかし、米国エリート対立の一方の旗頭オバマ・ヒラリーが激怒していることは想像に難くない。EUも対露制裁を延長すると決めたばかりである。それを逆に、オバマ・ヒラリーを見切って、安倍はトランプにおもねり、ロシアとの経済協力に転換してしまった。

このように、日本の外交力は非常に無能である。ただ、米国に付きしたがっていけばよかった時代は終わりつつある。

しかし、安倍晋三は、米国なき中国包囲網に走る可能性が強い。それは安倍の信念に基づくものよりは、ジャパンハンドラーの指示によるものだろう。

ジャパンハンドラーは、反トランプのヒラリー派であるが、まだ一掃されずに、安倍晋三をコントロールしているものと思われる。つまり、安倍晋三は、ロシア問題ではトランプの側に付き、中国問題ではオバマ・ヒラリー・ジャパンハンドラーの軍産複合体につくという、アクロバット的なことをやっている。

トランプの反中に比べて、ヒラリーの反露は、きわめてイデオロギー的なものだ。彼女が米大統領になったら、中東でロシアとぶつかり、第三次世界大戦が始まっていた可能性は高い。ヒラリーを支持しているエリート層は、米国の戦争屋たちである。

ただ、トランプが実績を挙げれば、ヒラリー的な反露派は駆逐されるかもしれない。一定程度の抽象化を加えれば、米大統領選は、ネオナショナリズムのトランプと、ネオリベラリズムのヒラリーとの対決だった。

時代はネオリベラリズムからネオナショナリズムへと変わってきている。そしてその通りの結果が出たのである。トランプが貧困の問題、格差の問題に真剣に取り組み、一定の成果をあげれば、時代が味方するから、ネオナショナリストとしてのトランプは最終的にヒラリーに勝利することになろう。

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