まだ、世界でトランプショックが続いている。とりわけメディアにおいてだ。

なぜ、米国メディアは、世論調査をヒラリー勝利と間違ったのか。

この問題設定自体が間違っている。米国メディアは、間違ってはいなかった。

かれらは世論調査を間違ったのではなかった。ただ、意識的計画的に支援したヒラリーが敗北しただけだ。したがって、なぜヒラリーは、メディアの支援にもかかわらず敗北したのか。本質的な問題はこのように立てられねばならない。

ワシントン支配体制とは、メディアを使った米国1%による支配体制のことである。その中央のギアのひとつがヒラリーだった。だからメディアは必死になって世論をヒラリー勝利に向けて煽り、洗脳したのである。

しかし、ヒラリーは勝てなかった。ヒラリーの知名度は世界的に高かった。巨費を選挙に投じ、メディア支援があり、現職大統領の支援もあった。それでもヒラリーは勝てなかった。その理由は7点ある。

1 米国民が格差社会のなかで、貧困に苦しんでいたこと

2 トランプ陣営、とりわけトランプの政権移行チームに入っているイヴァンカの夫ジャレッド・クシュナーの戦略の秀逸

3 ウィキリークスによるヒラリーメールの暴露

不正選挙が、ロシアなどの外国、また米国民、ネット、ハッカーなどの監視・牽制によって十分にできなかったこと

オバマ・ヒラリーのポリティカル・コレクトネスの嘘に、米国民が辟易していたこと

米国1%の側に立ったメディアの、ヒラリー勝利の洗脳(トランプバッシング)が効かなかったこと

投票二週間前のFBI介入が、ヒラリー票を、若干だが奪い、一部の接戦州で敗北したこと

以上の7点である。メディアは、世論調査に焦点を当て、「隠れトランプ」の存在で逃げ切ろうとしている。しかし、これでは、選挙期間を通じて、ヒラリーと一緒になってトランプをロシアの手先、ロシアの第五列として非難してきた過去を正当化できない。

もし、ほんとうにトランプがロシアの手先、第五列だったら、トランプ勝利後も、トランプバッシングは継続した筈だ。問題は余計に深刻になった筈だからだ。ところが、トランプのロシア手先論、第五列論はぴたりとやんだ。でっち上げだったからだ。

安倍晋三は、これまでのヒラリーヨイショから手のひらを返して、就任前のトランプにお詫び外交を始めた。日本の御用メディアは、ふたりだけの会談と囃す。しかし、まだ国務長官も決まっていない時点での非常識な会談だから、ふたりだけは当然だろう。

御用メディアがしきりにトランプは外国に先駆けて安倍だけに会った、と持ち上げている。世界で、もっとも軽い、米国のいうことなら何でも聞くトップは安倍しかいないので会ったまでだ。

安倍晋三がトランプに貢ぎ外交をやっているとき、オバマはドイツでメルケルに会っていた。メルケルと安倍晋三とは比べるのも酷だが、ふたりの指導者の対応には象徴的なものを感じる。

第二次世界大戦で、同じ敗戦国のドイツと日本に対して、米国の対応は明らかに違っていた。敗北しても民族の矜恃を手放さないドイツに対しては、敬意をもって米国は接した。しかし、支配層の助命のために売国を率先して申し出る日本に対しては、その奴隷根性を見抜いて、より過酷な姿勢をとった。

矜恃を失って卑屈に隷属すると、軽蔑され、より奴隷として扱われる。日本の支配層には、その関係の綾が、どうしてもわからないのである。日本の支配層は、今や、対米隷属を、支配層の利権とするまでに堕落してしまった。

安倍晋三の訪米を受けて、こんなツイートが目についた。

「孫崎享

安倍・トランプ、トランプ選挙中日本への言及は”日本にもっと金を出させる”。で、安倍トランプがいい関係になるということは。(1)トランプ、要求を下げる。(2)安倍首相が、はい、仰せのとおりというのどちらか、(1)の可能性はない。だったら(2)になることが日本にいいことなのかね。ノー天気日本マスコミ。

きむらとも

安倍首相、トランプ氏とたった1時間半会談しただけで「信頼できる指導者と確信」と。今後、日本に対してどんな無理難題を押し付けてくるかも分からぬ相手に、あまりに軽率。もし主権国家の首相であるなら、このタイミングで絶対してはならない発言だ。

やった! 「トランプー安倍会談」成功!などと、小躍りして喜んでいる日本人が一部にいるようだが、会談の内容も知らされぬまま、安倍首相のトランプへの「おべっか」を聞いただけで大喜びとは、浅いというか卑屈というか。ご主人様の靴を舐めに馳せ参じた奴隷のカシラを讃える哀れで愚かな奴隷の如し。

空【安倍政権打倒!】

国会の会期中に税金を使って私人である「トランプ」に会いに行く我が国の総理大臣。アメリカ合衆国の国家元首である「オバマ大統領」を無視して「トランプ」詣でする日本国の総理大臣。各国の首脳がオバマ大統領に失礼が無いようにトランプに対しては電話で済ませている姿とは対照的だ。

きっこ

「ベトナムのグエン・スアン・フック首相は17日、アメリカの次期大統領にTPP反対派のドナルド・トランプ氏が当選し、現オバマ政権がTPPの年内批准を断念すると発表したことを受け、TPPの批准案の国会への提出を中止したと明らかにした」とのこと。安倍晋三より百万倍以上マトモな首相だな」

マイケル・カジン(ジョージタウン大学教授(歴史学))は、「アメリカにおけるポピュリズムの歴史 ― ポピュリズムと政治的進化」のなかで次のように書いている。

アメリカのポピュリズムが怒りの矛先を向けるのは自分よりも上にいるエリートたちだ。これが第1のポピュリズムで、その敵は企業エリートであり、彼らの成功を可能にしている役人、つまり、「必要不可欠な仕事をしている普通の人々の利益を裏切るエリートたち」だ。

このタイプのポピュリストは「民衆」を階級ベースで考え、民族や宗教を重視しない。アメリカ政治において、彼らはおおむねリベラル派に属し、一種の「市民ナショナリズム」を標榜する。歴史家のゲーリー・ガーストルは、このポピュリズムは「万人の平等、各人が有する生命・自由・幸福追求権、そして民衆の支持を政党制の拠り所とする民主的政府への確信」によって支えられていると定義している。

第2のアメリカン・ポピュリズムの信奉者も、大企業や政府のエリートたちが市民の経済的利益と政治的自由を傷つけていると非難する(トランプはこちらに属する)。但しこのタイプのナショナリズムは「民衆」の定義が狭く、民族的な選別をする。

彼らは、ヨーロッパ系市民だけを「本物のアメリカ人」とみなし、そうした人々だけがこの国の恵みにあずかる権利があると考えている。

一般にこのタイプのポピュリストは、「腹黒いエリートと価値がなく貧乏な黒人が結託して、その中間にいる愛国的な(白人)多数派の利益と価値観を脅かしている」と主張する。トップと底辺層が暗黙の協定を結んでいるという疑念の根底には、ガーストルが「人種的ナショナリズム」と呼ぶ「人々が血筋と肌の色、そして生まれ持つ自己統治の適正によってまとまっている民族人種的なアメリカ」という考えが横たわっている。

どちらのタイプのポピュリストも、政治的影響力を手に入れることがある。しかしそのタイミングは偶然ではない。人々が本当に不満をため込んだときに、その反動としてポピュリズムが台頭する。そしてその不満の原因は、金持ちを優遇する経済システム、移民に雇用を奪われる不安、大多数の幸福よりも自分の出世を重視する政治家に対する怒りだ。ポピュリストの訴求力を低下させるには、こうした不安や怒りに真剣に対処するしかない」(『Foreign Affairs Report』2016 NO.11)

ここでマイケル・カジンが述べている米国のふたつのポピュリズムはこうである。

第1のポピュリズム

このポピュリズムでは、「民衆」が階級ベースになる。民族や宗教を重視しない。怒りの矛先は企業エリートや役人で、普通の人々の利益を裏切るエリートたちになる。

おおむねリベラル派に属し、一種の「市民ナショナリズム」といっていい。このポピュリズムは「万人の平等、各人が有する生命・自由・幸福追求権、そして民衆の支持を政党制の拠り所とする民主的政府への確信」によって支えられている(ゲーリー・ガーストル)

第2のポピュリズム(トランプはこちらに属する)

腹黒いエリートと黒人が結託して、愛国的な(白人)多数派の利益と価値観を脅かしていると主張する。「民衆」の定義が狭く、民族的な選別をする。「人種的ナショナリズム」(ガーストル)で、ヨーロッパ系市民だけを「本物のアメリカ人」とみなす。選挙期間中のトランプが「民族差別者」と批判されたのは、このポピュリズムの特徴が出ていたのである。トランプの個人的な偏見から出ていたのではない。

「1」も「2」も、国民の貧困という現実から出発している。そこから、ポピュリズムが台頭する。貧困はなぜ生まれたか。それは、

1 金持ちを優遇する経済システム

2 移民に雇用を奪われる不安

3 大多数の幸福よりも自分の出世を重視する政治家に対する怒り

「1」「3」は、日本の現実でもある。しかし、日本には国民の怒りがない。

マイケル・カジンは、「ポピュリストの訴求力を低下させるには、こうした不安や怒りに真剣に対処するしかない」という。これは、米国1%の方向性になるだろう。

また、トランプの政権移行チームの、とりわけワシントン派の戦略になるだろう。トランプに勝利をもたらしたニューヨーク派は、これに抵抗するとみられ、すでに政権移行チーム内で権力闘争が始まっている。

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