鶴保庸介沖縄北方担当大臣が、11月8日の参議院内閣委員会で、共産党の田村智子参院議員の質問に対して「(土人発言は)差別であると断定はできない」と述べた。

これは、大阪府警の機動隊員が、ヘリパッド建設工事阻止を闘っている沖縄県民に対して「土人」と発言したことに対する認識を、他でもない沖縄北方担当大臣が示したものだ。

鶴保の発言を、もう少し引用すると、こうである。

「土人という言葉が差別以外の何ものでもないとおっしゃったけれども、それこそが、申し訳ないけれども、私は判断のできるものではないというふうに思っています。その言葉が出てきた歴史的経緯でありますとか、様々な考え方があります。

土人であるということが差別であるというふうに、私は個人的に、自分がこれは差別であると断定はできませんと、このことを強調しておきたいと思います」

「人権問題の一番のポイントは差別発言を受けた方の感情に寄り添うことであることは論をまたないわけだが、誰が、どういう理由で差別だと判断するかについては議論があるところだ。私個人が大臣という立場でこれが差別だと断じることは到底できない」(『TBS NEWS!』11月8日)

意味不明の発言だが、要するに自分に都合のいい人間はかばい、都合の悪い人間は切り捨てているだけのことだ。自民党のおごりが出たものである。これがせめて衆参でねじれでもおきていたら、とてもこのようなふんぞり返ったおバカの発言はできなかっただろう。

鶴保庸介は和歌山県選挙区の議員である。もし他府県の機動隊員が和歌山県人に対して「この土人が」と罵ったら、とても「(土人発言は)差別であると断定はできない」とはいえなかっただろう。次の選挙に響くからである。

鶴保は、和歌山県民に対して土人とは何だ、と怒るだろう。あるいは怒るパフォーマンスを演じるだろう。まして国会の質疑で、「この土人が」といわれたら、「失礼だ。取り消せ」と気色ばむにちがいない。

日本の政治は、保身と利権のためなら何でもする政治に劣化している。その究極が、中身も知らずに採決し、可決されようとしているTPPである。

今日は米大統領選の開票日である。(この原稿は昨日書いた)今日の午後には新大統領が決まる。それで、ポピュリズムとしてのトランプ現象を考えてみる。

ファリード・ザカリア (CNNの討論・インタビュー番組「ファリード・ザカリアGPS」のホスト)は、「トランプ後もポピュリズムは続く ―― なぜ欧米でポピュリズムが台頭したのか」のなかで書いている。

(小林節のツイート)「トランプ当選は衰退するアメリカ(の政治)の犠牲者(実は多数派国民)の反乱。商売政治家の信用失墜の現れ。日本もそうなれば良い」
(小林節のツイート)「トランプ当選は衰退するアメリカ(の政治)の犠牲者(実は多数派国民)の反乱。商売政治家の信用失墜の現れ。日本もそうなれば良い」

「重要な側面において彼(トランプ 注 : 兵頭)は特異な存在ではない。トランプ現象は欧米世界に広がるポピュリストの台頭という流れの一部にすぎないからだ。繁栄するスウェーデンから危機のなかにあるギリシャに至るまで、多様な環境にあるさまざまな国々でポピュリズムが台頭している。

そのほとんどは依然として野党の運動にとどまっているとはいえ、ポピュリズムは勢いを増している。ハンガリーのように、すでにポピュリストの指導者が政府を主導している国もある。ほぼすべての地域で、ポピュリズムが人々の関心を集めている。

そもそもポピュリズムとは何か。集団ごとにそれが意味するところは違うが、あらゆるポピュリズムは、エリートや主流派政治そして確立された組織に対する懸念を共有し、敵意をもっている。

ポピュリストの指導者たちは、「自分は忘れ去られた普通の人々」の立場を代弁し、純然たる愛国主義の立場を取っていると自認している。

トランプは2016年4月にウォール・ストリート・ジャーナル紙で次のように指摘している。

長く続いた一握りのエリートによる壊滅的な支配を粉砕するには、民衆の意思を(政治に)大胆に注入するしかない。この国に関わってくるあらゆる主要な問題をめぐって、正しいのは民衆の立場だ。統治エリートのそれは間違っている」。

2016年、オーストリアの大統領選挙に「オーストリア第一主義」をスローガンに掲げて立候補したノルベルト・ホーファーも、対立候補だった元大学教授(アレクサンダー・ファン・デア・ベレン)に「貴方の後ろにはハイソサエティがついているかもしれないが、私は民衆とともにある」と発言している。

歴史的に、ポピュリズムは左派・右派双方の系譜を引き、現在は左派ポピュリズム、右派ポピュリズムがともに台頭している。左派のバーニー・サンダースから右派のトランプ、ギリシャの政権党である急進左派連合から、フランスの右派政党・国民戦線という具合だ」(『Foreign Affairs Report』2016 NO.11)

米国のポピュリズムだからトランプは「特異」とみられたのにすぎない。トランプ現象は、欧米で顕著な政治潮流のひとつである。

まだ、多くは野党の位置に留まってはいるが、これからポピュリストが政権をとる国が増えるだろう。

ここでファリード・ザカリアは、ポピュリズムの定義をしている。「そもそもポピュリズムとは何か。集団ごとにそれが意味するところは違うが、あらゆるポピュリズムは、エリートや主流派政治そして確立された組織に対する懸念を共有し、敵意をもっている」。

その結果として起きる、99%に寄り添う政治である。
「ポピュリストの指導者たちは、「自分は忘れ去られた普通の人々」の立場を代弁し、純然たる愛国主義の立場を取っていると自認している」。これが実は、日本でポピュリズムの政治が出てこない一番の理由である。愛国主義は、戦略としての対米隷属に違反するからだ。

日本政治の主流は、自公も維新も、最大野党の民進党も、新自由主義のグローバリストが占めている。だから愛国心の欠如に加えて、同胞愛も希薄である。現在、ろくに内容も知らないTPPの批准に突き進んでいる。

経済第一主義なのだが、その経済も99%の生活を豊かにするものではなく、1%の減税など、富裕層に仕える経済第一主義なのだ。

選挙になると、必ず争点を経済に絞るのも、遅れているうえに、1%に仕える残酷な政治が顔を出しているのである。

そういう意味では、日本政治よりも欧米のポピュリズムの方が、99%にとっては福音をもたらすものといえる。

トランプの「この国に関わってくるあらゆる主要な問題をめぐって、正しいのは民衆の立場だ。統治エリートのそれは間違っている」という発言は正しくポピュリズムのものだ。

欧米のポピュリズムを見るときは、左派ポピュリズムと右派ポピュリズムとに分けてみると理解しやすい。左派ポピュリズムは、バーニー・サンダースであり、右派ポピュリズムには、トランプ、フランスのマリーヌ・ル・ペン、オーストリアのノルベルト・ホーファーなどがいる。

ヒラリーは間違いなく1%側に立つ、1%の利権に仕える政治家だ。犬HKなどが開票日当日まで、ヒラリーに肩入れした現地報告をし続けたのも、犬HK自身が1%の利権を守るメディアであるからだ。

hilary

ヒラリーの語る政治言語は、一貫してポリティカル・コレクトネスである。ヒラリーのいうマイノリティの味方など、ただの建前にすぎない。常識的で無難な言葉の裏で、彼女の政治手法は、邪魔者を消し、金銭欲は外国にまで魔手を伸ばしてきた。

こういった政治家が米大統領になったら、いったい世界はどうなるのか。

と、ここまで書いたところで、どうやらトランプ大統領が決まる情勢になってきた。

テレビをつけると、米国のメディアが必死の弁解を始めた。世論調査はすべて間違いだった、それは有権者が正直にいわなかったからだ、と自己正当化を謀っている。

そうではない。世論調査とは世論誘導である。それが、肝心の不正選挙をやれなくて、活かせなかったのだ。それは当人のトランプを初め、米国市民、ハッカー、そしてロシアなど外国から不正選挙を選挙の前から牽制されたために、十分にやれなかったのである。

米国のテレビで、「わたしたち(メディア)のいうことを有権者が聞かなかった」とジャーナリストのひとりが語っていた。これには笑ってしまった。洗脳が効かなかった、と聞こえたからだ。

選挙期間中、トランプの演説で、もっとも人気を博したのはメディア批判だった。このあたり、日本と比べた場合の、米国民の健全さを感じる。

TPPの批准をまだやるのだろうか。世界の笑われ者である。外国はもう批准しないだろう。

それより、安倍晋三は選挙中にヒラリーと会っている。この外交センスのなさはどうだろう。トランプに失礼になるとは考えなかったのか。トランプが勝って米大統領になった場合、まずくなるとは考えなかったのか。

素人でもしないような外交だ。

米国一辺倒の外交をやっているから、あわてることになる。中国、ロシア、韓国、北朝鮮と、隣国と友好関係をもっておれば、こういうときに慌てなくてすむのだ。

自民党と官僚は、敗戦後、対米隷属を利権と結びつけてきた。米国にいわれるまま中国、北朝鮮を敵視し、ロシアとも距離を置いてきた。それが、トランプが米大統領になり、米露中の新三国関係が構築される可能性が高い。そうなると、日本が一番馬鹿を見ることになりそうだ。

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