昨日のメルマガでも論じたが、ヒラリー、トランプのいずれが大統領になっても、TPPは再交渉の舞台に上がり、日本植民地化が深化することになる。

現在、オバマが展開している新植民地主義のTPPは、米国のグローバル大企業とその投資家が儲けるものである。

それは、国家の上にグローバル大企業が君臨する。グローバル大企業の有力株主による国家支配が実現する。

したがって、たとえば反原発運動や反基地闘争は原理的に不可能になる。そのことによって損害を受けたとグローバル大企業にISD条項を武器にして訴えられることになるから、政府は巨額の賠償金を恐がって、99%のために政治はやらないようになる。ひたすらグローバル大企業のために政治は行われることになろう。

TPPの正体は、米国グローバルエリートによる新植民地主義である。同時に、米国による、経済的・軍事的な中国包囲網である。中国包囲網は、米国防総省が09年に出した軍事戦略案「エアシーバトル」を受けて、2011年からオバマ政権が始めた。この策は、中国とイランを仮想敵としている。

これを見た中国は、対抗策として「一帯一路」(=シルクロード(「シルクロード経済ベルト」と「21世紀海上シルクロード」)構想)政策を打ち出した。この構想の強みは、AIIB(アジアインフラ投資銀行)の「新シルクロード基金」(400億ドル)と、BRICS開発銀行(新開発銀行)の資金があるということだ。

「一帯一路」は、大変スケールの大きな構想である。米国のアジア・リバランシング戦略、その中核をなすTPPへの対抗策として打ち出された。

2015年5月8日には、プーチンと習近平による、ロシアのユーラシア経済連合(EEU)と、中国の一帯一路(シルク・ロード)経済圏の統合に関する共同声明発表があった。わたしにいわせれば、かつてマルクス哲学を志向した国家同士の連帯である。

(画像 ドミートリー・ヂヴィン )
(画像 ドミートリー・ヂヴィン )

オバマのTTPとTTIPは、

1 反国民性

2 米国覇権の維持(参加国の植民地化)

3 中ロを中心としたユーラシア経済連合(EEU)と、シルク・ロード経済圏への攻撃と排除

を特徴としている。

現在、トランプが、対日公約として語っているのは、日本が米国産牛肉に38%の関税をかけているのだから、米国も日本自動車に同じ38%の関税をかけるというものだ。厄介なのは、トランプが、米国1%ではなく、99%の利益のためにいっていることだ。

「わたしの外交政策はいかなる時もまず米国民の利益と米国の安全保障を念頭に置くものであり、これこそがあらゆる決定の土台となる。『米国第一』こそがわたしの政権において主要かつ最重要なテーマになる」(『ロイター』(4月27日)

これは安倍晋三の言葉ではない。トランプの発言である。5月8日には、富裕層の税率を引き上げるべきとの認識を示している。

つまり、トランプの背後には米国民が存在する。日本の政治は、常に米日1%のための政治なので、交渉では譲歩を繰り返し、99%の増税でケリを付けるのである。

交渉に当たった日本側は「協定内容は12か国の長い交渉の結果で、再交渉は受け入れられない」、「TPPを前向きに捉える農家が出てきているなかで、米国の内政問題で発効できないと主張するのは勝手だ」と怒っている。しかし、これが米国の前に出ると、病膏肓に入る奴隷根性が発揮されて、譲歩が始まる。そんなことはトランプもヒラリーも百も承知だ。

また、トランプは、米軍の日本駐留費を、日本に全額負担させるとも語っている。トランプのこの発言の背景には、米国内に「日本安保ただ乗り論」があり、そう簡単な問題ではない。

劣化した日本政治は、すべてを「金目でしょ」で収拾する。これは国際的に定着しているので、相当にむしり取られることになろう。韓国とNATOは全額支払いを拒否するだろう。

ドナルド・トランプの共和党での勝利は、米国内に何をもたらしたか。トランプの破壊力は凄まじく、米国1%、グローバリストは悲憤慷慨といった感じになっている。それを『エコノミスト』(2016年5月7日)に見ると、こんな調子だ。 

「米共和党はその160年の歴史において、奴隷制を廃止し、公民権法の成立に議会で票を与え、そして冷戦の終結を手助けした。

今後の6か月は、それほど輝かしくはないだろう。インディアナ州予備選挙の後、共和党は、1人の候補者に導かれて大統領選挙に臨むことが今や明らかになった――テロリストの家族を殺すと言い、自分の支持者の暴力行為を奨励し、的外れの陰謀説に弱く、保護主義で経済を知らない一連の(空想的で自損的な)政策を承認・支持する候補者である。

その結果は、共和党にとって、そしてより重要なことに米国にとって、破滅的になり得る。彼が進み得るのは候補者までだとしても、トランプ氏は既に実際のダメージを与えたし、そして今後数か月で、さらなるダメージを与えるだろう。なお悪いことに、一騎打ちの競争で彼が大統領に当選する可能性は、ゼロをかなり上回っている」(「ドナルド・トランプの勝利は、共和党と米国にとって災難だ」)

実は『エコノミスト』は一貫してトランプを叩いてきた。それがここにきて、現在への苛立ちと、将来への怖れとが混淆してきた。これは米国エスタブリッシュメントの気持ちと重なるものだ。

TPPに関して、日本国内の状況を見てみよう。『東京新聞』(2016年5月8日)が「政府、TPP議事録「作成せず」 公文書管理 違法の恐れ」という記事を載せている。

「環太平洋連携協定(TPP)の交渉を巡り、政府が関係国との閣僚間協議の議事録を公文書として作成していないと説明していることに対し、専門家から「法律に違反し、公文書の適正な作成や管理を怠っている」との指摘が出ている。政府が内部文書を「公文書ではない」と言い張れば、情報公開の対象外にできることになりかねないからだ。 (中根政人)

TPPの承認案と関連法案の国会審議では、民進党が甘利明前TPP担当相とフロマン米通商代表の交渉の内容を文書として公開するよう政府に求めた。これに対し、政府側は三月末、会談内容は一部の幹部職員のみで情報を共有し、公文書に当たる議事録は作成していないと回答した。

一方、政府は交渉の前後に論点を整理した文書は存在すると認めた。四月五日に衆院TPP特別委員会に論点整理の文書を提示したが、表題と日付を除き黒塗りだった。政府側は論点整理の文書は公文書に該当するとしつつ、黒塗りの理由については「他国との交渉上、不利益を受ける恐れがある」と説明した。

(中略)

公文書管理に詳しい長野県短大の瀬畑源(せばたはじめ)助教は「行政機関の政策責任者が保有する情報は公文書として保存すべき対象だ。外交交渉や政策検討の議事録を作成していないのは、公文書管理法の趣旨に反する」と指摘。黒塗り文書も「外交上の理由などを盾に本来公開できる情報まで隠す可能性がある」と話した」(「政府、TPP議事録「作成せず」 公文書管理 違法の恐れ」

TPPに関しては、とくに政府側の隠蔽の姿勢が際立っている。ということは、それだけ国民に隠さねばならない内容を多く含んでいるということだ。

TPP交渉で閣僚間協議の議事録を公文書として作成していないのは、後の国会対策として、わざと作らなかったのである。

(メルマガの公開はここまでです。申し訳ありません)

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