まだ米国は獲り足りないのだ。

もっと外国から獲る。獲らないと国が潰れる。TPPに現れた米国の姿はそれを物語っている。そこまで米国は追い込まれている。

米国の良識的な知識人は、TPP交渉が、けっして公平でまともなものであったとは考えていない。

TPPの恐ろしさは、公平な交渉ではなかったが、それでも米国はTPPで損失を被ると考えていることだ。つまりTPPは天下の愚策なのであり、参加国全てに災いをもたらす条約ということだ。いいことは何もない条約、といわれてきたが、それは米国さえそうなのである。

国家よりも巨大化したグローバル大企業。TPPによってそのグローバル大企業の支配下におかれる国家と国民。その構造は米国とて例外ではないのである。

交渉過程がこの異様な条約の本質を物語っている。その極端な秘密主義。それは米国の政治家さえ例外ではなかった。交渉過程で情報を得ていたのは一部の担当者とグローバル大企業だけで、政治家は最初からつんぼ桟敷に置かれた。その過程から条約の全容を知らされなかった議員たちが、条約を批准せねばならない。

わからないこと、理解していないことに、米国を初め、各国の国会は賛成するのだ。つまり国会の自己否定であり、間接民主主義、代議員制度は死んだのである。

はっきりいえることは政治の自己否定である。国民によって選ばれた政治家が政治を行う民主主義の原則が空中分解した。まったく機能不全に陥ったということだ。

国会という幻想が消える。民主主義という仕掛けも消える。国家の上にグローバル大企業がそびえ立ち、陰のワン・ワールド政府が国家を統治・支配し始める。

その一部は、すでに次のように現実化している。

自由からファシズムへ 7of8 JP A F2Fascism

その意味で、TPPに賛成する政治家たちは、オバマを先頭に自己否定的に振る舞った。オバマという政治家は、結局、米国史上、もっともイルミナティストの国際銀行家たちに忠実に仕え、米国を破壊した大統領だった。トランプ現象は、それへの反動であり、オバマが作ったものだ。

トランプがまともなのであり、オバマが異常なのだ。

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米大統領選では、メディア関係者の寄付の96%がヒラリー側に送られていた。つまり、米国は、フリーメイソン(その中核がイルミナティ)支配のタヴィストック人間関係研究所によって、ヒラリー支援に一本化されている。(ところがヒラリーのスキャンダルが出てから、米国のメディアの動揺が始まっている)

リチャード・カッツ(オリエンタル・エコノミスト・レポート エディター)の「アメリカのTPP批准はほぼあり得ない ―― 何をどこで間違えたのか」を読んだが、考え得る限り、良心的なこの論文にも、ISD条項は触れられていなかった。これが現在の米国知識人の限界なのだろう。

(リチャード・カッツ(Richard Katz)は、アメリカの経済ジャーナリストで、日米関係、日本経済に関する多くの著作をもつ。オリエンタル・エコノミスト・レポート誌代表)

「アメリカは、実質的に自らが書き上げた環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)に背を向け、遠ざかろうとしているのかもしれない。

(中略)

アメリカは、交渉パートナーたちに譲歩を強いつつも、それに見合うような市場開放を約束していない。米国際貿易委員会(USITC)によれば、2032年までにTPPによってアメリカの輸入はベースライン予測と比べて対国内総生産(GDP)比で0・2%増えるにすぎない。輸出増となると、さらに少ない。アメリカが交渉パートナー以上に大きな恩恵を手にするのは投資、金融、知的所有権などの領域においてだ。

数年に及んだ困難な交渉で合意がまとめられたにも拘わらず、いつもなら自由貿易を支持する議会共和党も、主に医薬品産業やタバコ産業などの利益団体のご機嫌をとろうと、合意の再交渉を求めている。それぞれTPPに反対する国内の利益団体を抱えつつも、それを克服して合意をまとめたアメリカの貿易パートナーたちが、大きな怒りを感じているとしても無理はない状況にある。

<利益団体とTPP>

上院のミッチ・マコネル院内総務(共和党、ケンタッキー州選出)は、この20年にわたってすべてのFTA法案を支持してきた自由貿易派だ。しかしその彼でさえ「現在の合意内容のままでTPPを成立させるよりも、批准しない方がよい」と考えている。

マコネルは、特に「投資家対国家の紛争解決」の対象からタバコ産業が外されたことに反発している。これは、投資家(企業)が投資対象国の規制が見直された場合に被るダメージをめぐって相手国政府を訴訟するためのメカニズムだ。(なぜISD条項と書かないのか、不可解である)

上院金融委員会委員長で自由貿易派だったオリン・ハッチ上院議員(共和党、ユタ州選出)も、医薬品産業が生物学的製剤の試験データ保護期間をめぐって譲歩したことに強く反発しているために、TPP批准に反対している(米国内法では企業の生物学的製剤のテストデータには12年間の保護が認められているが、TPPではそれが8年間とされている)。ポール・ライアン下院議長(共和党、ウィスコンシン州選出)も、「TPP条約案を議会に認めさせるには、オバマ政権は合意を見直し、一部を再交渉する必要がある」と明言している。

民主党サイドはどうだろう。上院金融委員会の有力者ロン・ワイデン(オレゴン州選出)は、2015年に議会でのTPP成立へ向けた環境整備のために、大統領貿易促進権限(TPA)法成立に向けて13人の上院議員を率いた自由貿易支持派だ。だがその彼でさえ「支持すべきか、反対すべきかを決めるために、TPPの内容を検証している」と語っている。

(党の支持基盤である)労働組合と環境保護団体が合意に反対していることもあって、民主党は接戦が見込まれる上院の選挙ではTPPを争点に挙げ、反対の立場を表明してきた。一方、2015年にTPA法案を支持した共和党の候補たちも、選挙ではTPP支持を控えてきた。

民主党が上院の多数派になれば、おそらく、労働組合、自動車・鉄鋼産業が求めてきた「為替操作に対する強制力あるルールの導入」などをめぐって貿易パートナーに再交渉を求めるはずだ。一方、下院の多数派は共和党のままだと考えられるが、共和党もこれまでの再交渉を求める姿勢を崩さないだろう。

TPP合意のパートナー諸国にとっては、米議会のどちらの政党の説得を試みるべきかさえ、分からない状態が続くだろう」((『Foreign Affairs Report』2016 NO.11))

TPP交渉で、米国は強引に米国系グローバル大企業の権益確保に走り、一人勝ちした。その米国でさえ、共和党、民主党とも再交渉を求めているのだ。つまりTPPは、米国系グローバル大企業が90%勝つ条約ではダメなのだ。100%勝つ不平等条約でなければならないのである。

「アメリカは、実質的に自らが書き上げた環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)に背を向け、遠ざかろうとしているのかもしれない」とリチャード・カッツはいう。しかし、わたしはそうではないと思う。かれは米国の政党・政治家を見て書いている。それはそれでたいへん参考になるが、TPPの目指すものはワン・ワールド政府の構築である。米国系グローバル大企業は最終目的ワン・ワールド政府の樹立があるので、けっして一度掴んだ富を手放さない。

「アメリカは、交渉パートナーたちに譲歩を強いつつも、それに見合うような市場開放を約束していない」と指摘するのは、米国の良心である。

TPPによって、米国が「交渉パートナー以上に大きな恩恵を手にするのは投資、金融、知的所有権などの領域」であるが、とりわけ医薬品産業は、参加国の医療を米国並みの劣悪なものに変えるにちがいない。

にも拘わらず、議会共和党は、これでも不満な医薬品産業やタバコ産業などの利益団体のさらなる収奪のために再交渉を求める。

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