戦略と国益なき日本外交

山本太郎の「街頭記者会見(新宿アルタ前)」があった。山本の話はわかりやすい。説得力がある。嘘がない、本音の話だ。聴衆の質問は、原発の再稼働、TPP、農産物、安全な食糧、教育と多岐にわたる。

政治家が街頭に出る。聴衆を仮想の記者に見立てて、直接に対話する。従来の街頭演説と違うのは、仮想の記者との、双方向の対話になり得ていることだ。

国民は何を考え、何に困り、政治家にどうして欲しいと思っているのか。これを、ほんとうは自公の政治家がやらなければならないのである。

しかし、かれらは国民が怖くてできないだろう。かれらにとって国民とは、官僚であり、東京大手メディアの記者であり、裕福な後援会のことなのだ。野党の政治家でも、ここまで自信を街頭に立てる政治家は少ない筈だ。

「そんなに戦争がやりたかったら、あなたが真っ先に戦場に行くべきじゃないか」

「あなたはアメリカ人なのか。それとも日本人なのか」

「外国にばらまく金は税金ではないか。なぜ日本の貧困救済に使わないのか」

「風評被害といっているが、それではあなたは福島の米と野菜と魚を毎日食べているのか」

「あなたはISD条項を知っているか。それでなぜTPPに賛成するのか」

これはわたしが考えた質問であるが、自公の政治家には、どこかでこれらの質問が出るにちがいない。今の自公議員の大半は、返答に窮するにちがいない。

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さて、前回のメルマガで、AIIB(アジアインフラ投資銀行)について触れた。

最初はアジア・中東中心の参加国だったものが、英・独・仏・伊・ルクセンブルク、スイスなどが参加を表明し、ベルギー、オーストラリア、韓国が続くはずである、と書いた。その韓国が参加を表明した。参加表明して、設立メンバーを目指したわけだ。

安倍晋三は何かというと「価値観の共有」をいうが、もうそういう時代ではなくなっている。韓国はもちろん、米国も中国も、価値観ではなく、国益で動いている。
AIIBに関していえば、安倍晋三は、今に米国にもおいていかれるかもしれない。

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ポスト冷戦の秩序は、確実に解体している。

それは別言すれば米国の凋落である。

リチャード・ハース(米外交問題評議会会長)は、「解体する秩序 ― リーダーなき世界の漂流」のなかで、「三つのトレンズが重なり合うことで秩序の解体が起きている」として、次の3点を挙げていた。

(1)国際的パワーが非常に多くの、しかも多様なアクターに分散していること。

(2)アメリカの政治・経済モデルのソフトパワーが大きく低下していること。

(3)中東政策を含むアメリカの政策上の選択が、ワシントンの脅威をめぐる判断、約束に関する信頼性への疑問を高めてしまっていること。

その結果、「相当大きなパワーを温存しているにもかかわらず、アメリカの影響力は今や失墜している」とした。(『Foreign Affairs Report』2014 NO.11)

これは比較的良心的な見方である。しかし、もっと米国にとって嫌な現実も受け入れる必要がある。

世界は盟主なきカオスになった、と米国はいいたかった。しかし、新秩序は着実に出来上がりつつある。それは中国を中心とした世界秩序であり、BRICSが形成する秩序である。

世界の指導者たちは、安倍晋三を除いて、新しい世界の盟主が中国であるとの認識でほぼ一致している。

逆にそれは米・日の衰退である。とくに日本の場合は、政治の劣化が酷く、この情勢裏に愚かにも中国敵視、中国封じ込めを唱えている。

日本は2020年の東京オリンピックを控えている。しかも安倍は、国連の常任理事国入りを希望している。まさにお坊ちゃんの愚かな政治が続いているわけだ。

まともな大人の外交なら、オリンピックに来てもらうために世界に敵を作らないようにする。常任理事国入りしたいのなら、その常任理事国の中国を敵視するようなバカなことはしない。少なくとも靖国に参拝して刺激したりはしない。

外務省にも政府にも、考え抜かれた長期の戦略がないのだ。その時々の思いつきで外交をやっている。顔は米国にしか向けていない。

TPPも、米国は経済ばかりを考えているのではない。明確に政治と軍事(安全保障)とを絡ませている。

日本がTPPに参加し、関税を撤廃して米国企業に儲けさせないなら、安全保障がどうなっても知らないという脅しだ。

TPP批准によって、名実ともに日本は米国の植民地となる。食糧までも宗主国に押さえられた悲惨な植民地は、歴史的にもないのではないか。

しかも国内で生産される農産物は、モンサントの遺伝子組み換え食品になる。民族の健康は、遺伝子組み換え食品と放射能汚染に挟撃されて、これから悪化の一途を辿るだろう。

民族の食糧は外国任せ、防衛も米国任せ、政治は官僚と米国任せ、外交は米国と金任せ、原発の安全管理はイスラエル任せ、選挙はムサシ任せ、政権維持は隠蔽と嘘のメディア任せ。これほど政治家が劣化し、だらしない国はないのではないか。

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エリザベス・C・エコノミーは、「すべての道は北京に通ず―習近平の遠大なビジョンとリスクと機会」のなかで、次のように書いている。

(エリザベス・C・エコノミーは、米外交問題評議会フェロー(中国担当)兼アジア研究担当ディレクター)

「一方、習近平の愛国主義的なレトリックと強硬な軍事姿勢は、アメリカのアジアにおける利益を脅かす直接的な脅威であり、力強い対応をとる必要がある。幸い、ワシントンの「アジアリバランシング」戦略は、中国の攻撃的な行動に対処していくだけに留まらない、奥行きと深さを持っている。

この戦略はアメリカ外交を支える重要な価値である海・空・宇宙空間における自由、自由貿易、法の支配、基本的人権を重視している。逆に言えばリバランシング戦略を実現していかない限り、アジアパワーとしてのアメリカの役割は小さくなり、ワシントンは世界でもっとも活力のある経済地域から恩恵を引き出すチャンスを失うことになる。

したがってアメリカは、アジア太平洋地域における強固な軍事プレゼンスでリバランシング戦略を支え、中国の攻勢を抑止するとともにその脅威に対抗していくべきだ。さらに、コンセンサスをまとめてTPPに批准し、民主政治が育まれつつあるカンボジア、マレーシア、ミャンマー、ベトナムの民主制度と市民社会を支援するアメリカのプログラムを強化していかなければならない」(『Foreign Affairs Report』2014 NO.11)

「強固な軍事プレゼンスでリバランシング戦略を支え」るという。その目的は「中国の攻勢を抑止するとともにその脅威に対抗していく」ためだ。その一環としてTPPは仕掛けられている。

したがって、中国はTPPを警戒する。それはTPPが、中国を除外して、米国がアジア経済にエンゲージするための枠組みだからである。TPPは、米国、日本、オーストラリアを中心とした中国の台頭に対する抑止策である。

今回、AIIB参加に踏み切った韓国の姿勢は、韓国与党セヌリ党の金武星(キム・ムソン)代表の説明によると、「安保は米国、経済は中国」ということである。

「安保は米国、経済は中国」がアジア全体に広まれば、米国のプレゼンスは衰退を早めるだろう。なぜなら国家も個人も日々経済を巡って回転しているからである。

そこで米国は、「安保も経済も米国」という戦略が必要になる。そこでTPPが生まれたのである。

ところが、中国は、経済だけではなく、実は、安保でも構想を打ち出しているのだ。

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持続する希望のために

3月11日から、「生活の党と山本太郎となかまたち」が、街頭に出て市民との直接の対話を始めた。

第1回は、渋谷ハチ公前で山本太郎がやった。試みには賛成だ。動画を見たが、迫力のある話で、山本は、2年間でずいぶんと逞しくなった感じだ。動画に最後まで付き合うことになった。

(山本太郎の街頭記者会見 政党による日本初の試み)

(山本太郎の街頭記者会見 政党による日本初の試み)

山本太郎の話を聞きながら、途中で橋下徹の顔が浮かぶ。橋下徹も街頭演説がうまい。しかし、かれの場合は、自民党政治家のうまさとぴったりと重なっている。つまり聴衆をバカにし、持ち上げ、笑わせ、見捨てる。橋下徹は、マイノリティの出自ながら、社会的弱者の側に立たない。権力の側に立った、自分のための演説だ。

その点、山本太郎は、違っている。真剣にこの国の行方を心配し、自分のことよりも社会的弱者を守るための演説をしている。

このレベルの話をしていたら、必ず選挙に好ましい影響力が出てくる。どうせ記事にはしてくれない、その意味では票に繋がらない「記者クラブ」メディアを相手にするより、街頭に出て直接に国民に語りかけた方が、意味がある。

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ただ、街頭で定例化した場合、警備を怠らないようにした方がいいだろう。警察にも依頼し、党・事務所からも複数の若者を、前に立たせておいた方がいい。世の中には、バカがいるからだ。

かれの演説で初めて知ったが、小沢一郎が、いわゆるカジノ議連の最高顧問を外れるらしい。誤解を解くためにもこれはいいことだ。

仙台市で14日から国連防災世界会議が開かれた。

安倍晋三の、「貢献」という名の、国民の税金のバラマキが、ここでも繰り返された。今後4年で総額40億ドル(約4900億円)を拠出する「仙台防災協力イニシアチブ」を表明した。また、約4万人の専門家を育成する防災支援策を表明している。

わが国の1%の精神は、軒並み「日本なんてどうなったっていい。自分の今さえよけりゃ」である。安倍晋三が、現在、世界に向けてやっているバラマキは、日本の国富を、世界のグローバリストへ移し替えているのだ。それをやるために「難民救済」とか「防災」とか「支援」とか、とにかく「人道支援貢献」を装う。これにほとんどの日本人はだまされている。

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「安倍政権が外国にばらまいた金額一覧」

日本の世界への「貢献」とは、99%から収奪した税金を、1%へのキックバックを狙って世界にばらまくことである。わたしたちは、生活保護や様々な社会保障に税金が使われることには冷淡であるが、外国にばらまかれる金については、その使途についてもまったく関心を示さない。愚かで異様な国民である。

何かというと、官僚・政治家は、世界への「貢献」という。しかし、こんな余裕と資格が、現在の日本にあるのか。もちろん、ない。福島の復旧・復興は遅々として進まない。

国連防災世界会議で、福島第1原発事件(2011年3月11日)に触れないで、何が「防災」であり、「貢献」だ。

地震と原発には触れないで、津波ばかりをいう。それは地震頻発国に原発を作って、安全管理を放置してきた失政の隠蔽に、津波が都合がいいからだ。

だいたい、国内原発の安全管理を外国(イスラエルのマグナBSP社)に任せておいて、「防災」を語る資格はないのである。

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さて、これまで何度かメルマガで紹介した鈴木敏明の『逆境に生きた日本人』が、日本人の民族的資質として、次の5点を指摘していた。今日は、( )内にわたしのコメントを差し挟みながら、もう一度採り上げてみよう。状況に、日本人の負の資質が露出してきたからだ。

日本人は、

1 権威、権力に極端に弱い。

(これは日常的に見ることができる。日本人は、社会の末端に至るまで、トップの指示に実によく従う。異議申し立てをしない。また、犬HKの報道を疑わない民度に、もっともよく表れている。さらに外国からもらう賞に極端に弱いことにも現れている。

権威、権力に極端に弱い日本人を、今日のメルマガでは日米原子力協定に見てみよう。

米国は、原爆を作るためのウラン濃縮工場を作りすぎ、余った濃縮ウランの販売先として日本に目を付けた。これは原子炉のパテント(特許、特許権)を米国が持っているので、米国が儲かるのである。

しかし、原発は危険なので、米国自身は1974年から原子力から撤退し、日本に作らせることにしたのである。日本には核兵器保持の野望もあり、日米原子力協定が出来上がった。

この原子力協定のなかに、日本民族が異様なまでに権威、権力(この場合は米国)に弱いかを物語る文章がある。それは第12条4項と第16条3項である。矢部宏治の『日本はなぜ、「基地」と「原発」を止められないのか』からその条文を引用する。

「第12条4項
どちらか一方の国がこの協定のもとでの協力を停止したり、協定を終了させたり、〔核物質などの〕返還を要求するための行動をとる前に、日米両政府は、是正措置をとるために協議しなければならない(shall consult)。そして要請された場合には他の適当な取り決めを結ぶことの必要性を考慮しつつ、その行動の経済的影響を慎重に検討しなければならない(shall carefully consider)」

Fukushima nuclear power plant shelter

「行動をとる前に」とは恐れ入る。つまり「協定を終了」することは現実的に認められないのだ。あくまでも「是正措置」を協議して継続しなければならないのである。せいぜい可能なことは「他の適当な取り決めを結ぶこと」程度のことであり、そのときも米国の「経済的影響を慎重に検討しなければならない」のである。

彼我の政治力・外交力の違いからして、実質的にはわたしが読んだような現実しか起きてこないだろう。

第16条3項になると、もはや日本は愚弄されているとしか思えない。

「第16条3項
いかなる理由によるこの協定またはそのもとでの協力の停止または終了の後においても、第1条、第2条4項、第3条から第9条まで、第11条、第12条および第14条の規定は、適用可能な限り引きつづき効力を有する

これほど侮辱的な2国間の協定はないだろう。これはまさしく戦勝国が敗戦国を見下した条文である。米国は、いかなる意味においても対等の主権国家として日本を見ていない。この協定が停止したり終了したりしても、ほとんどの条文はひきつづき効力を有する、というのだ。

いちど結んだ協定から抜け出ることはできない、といっているのと同じである。まさにTPPのラチェット条項と同じで、もはや後戻りはできない、いちど入ったら抜け出ることはできないのだ。

今回のメルマガのテーマに即して考えると、この協定を結んだ日本の官僚や政治家たちは、権威や権力に極端に弱く、考えられる限り無能で無責任ということだ)

2 変わり身が実に早い。

(太平洋戦争の前と後とでは、天皇から末端の国民まで、掌を返すように変わった。日本民族にとっては、戦前・戦中は、主人が天皇・軍人であった。戦後は昨日までの敵の米国が新しい主人になった。今は安倍晋三の軍国主義に同調している。その都度、合わせるだけで、反抗しないのだ)

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