状況への呟き 〜安倍晋三・佐川宣寿・伊藤詩織〜 (2018/02/17)

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状況への呟き(2018年1月15日)

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売国政治のもと、苦悩する自衛隊

12月20日、安倍晋三は、東京・京橋の日本料理店「京都つゆしゃぶCHIRIRI」で、例によって御用メディア関係者と酒食をともにした。

腐敗した御用メディアによって守られ、維持されている腐敗政権なので、この行事だけは決してやめない。

出席したのは、石川一郎・BSジャパン社長、小田尚・読売新聞グループ本社論説主幹、粕谷賢之・日本テレビ解説委員長、島田敏男・NHK解説副委員長、曽我豪・朝日新聞編集委員、田崎史郎・時事通信特別解説委員、山田孝男・毎日新聞特別編集委員といった面々である。

われらの政府御用達田崎スシ楼もしっかりと参加していた。

今年の御用メディアの特徴は、これまでの真実を伝えないという姿勢からさらに突き進んで、事実そのものを報道しなくなった。
官邸お抱えレイピスト山口敬之の「準強姦」もみ消し事件はその典型である。

現在の日本の状況は、少数派による独裁支配である。
その本質的なゆがみがあちこちに出てきている。

「大・モリ・山・カケ・スパ」事件も、本質を認識しない、暗愚で幼稚なおごりから出たものである。
トップに謙虚さのかけらでもあったなら、起こりえない事件であった。
ちなみに「大(大林)・モリ(籠池)・山(山口)・カケ(加計)・スパ(齊藤・山口)」事件ともすべて安倍晋三のオトモダチが関係している。

日本が安倍色に染め上げられつつある。
それは実質を伴わない、嘘とでっち上げの政治である。
それを指摘した、こんなツイートが目についた。

日本がヘンタイの国だという外国の評判は、早くから聞いていた。
ヤマグチ(山口敬之)はその一端にすぎない。

鬼の検察復活か、という見出しに期待した人もいたかもしれない。
わたしは最初からそんなことはないと思っていた。
日本の司法は中世にあると書いてきたが、現在、それを古代の奴隷政治が利用している。
籠池夫妻の5か月に及ぶ勾留はその典型例である。

ここで特捜が「大・スパ」事件に絡んで政界にメスを入れるということは、あり得ないことだ。

森本特捜部長は、「佐藤栄佐久福島県知事の弟を取り調べた際には、「佐藤知事は日本にとってよろしくない、抹殺する」と告げ、この発言はのちに『知事抹殺』という書名となった」(ウィキペディア)人物である。
体制の番人であり、それが政界に正義のメスをいれることなどありえない。

それどころか、国から助成金や優遇融資として総額100億円超の受給決定を受けていた「PEZY Computing」社長の齊藤元章は、社長辞任届を出し、すっかり幕引きモードだ。
安倍のオトモダチのヤマグチは、ここでも逃げおおせるだろう。

安倍の悪政のツケが国防にも出てきた。
米軍産学複合体を支援して長期政権を保証してもらう。
そのためのポンコツ兵器大量の「爆買い」。
ところが肝腎の兵士が集まらない。
つまり辞めていく自衛隊員の増加と、新規の募集難とから、萌え系の募集ポスターまで出てきている。

萌え系ポスターに釣られて自衛隊に入る。米国の傭兵になって戦地に出陣する気の毒な自衛隊員。売国政権の罪深さはとうとうここまで国民の命を軽んじるようになったかと思い至らざるを得ない。

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デートレイプドラッグ 〜伊藤詩織の『Black Box』を読んで(6)〜

1 伊藤詩織の『Black Box』が問いかけたもの

米カリフォルニア州サンフランシスコ市(市長はエドウィン・M・リー)が、慰安婦像と碑文を公共物化したことについて、姉妹都市の吉村洋文・大阪市長が、24日に、年内に姉妹都市関係を解消することを明言した。

率直な感想をいわせてもらえば、短気は損気である。
大阪もサンフランシスコもいずれは市長が代わる。
大阪に慰安婦について吉村とは違う考え方の市長がなるかもしれず、また、サンフランシスコも同様である。

吉村のような若造の短慮で、60年も続いた姉妹都市関係を解消するようなことがあってはならない。

喧嘩したから仲良くなれるということもある。
我慢強い話し合いで臨むのがいい。

けっして姉妹都市を解消などしてはならない。

こんなツイートが目についた。

立川談四楼

サンフランシスコとの姉妹都市解消は大阪市長さん、短慮にして狭量というもんですぜ。
粘り強く交渉すべきところ、地元市議に4回も「恥を知れ」と言われるなんて、活動家は何を言ったのかね。
つまり怒らせ嫌われたわけだ。
さあ踏ん張りどころだ。
60年の親交が水泡に帰すことだけは避けてくれ。
頼む。

ブルドッグ

これねぇ…。

本来は中立で日本政府や大阪の立場にも理解を示していたサンフランシスコ市が、以後完全に日本の一部活動家を毛嫌いするようになり、慰安婦像の設立が決定的になった瞬間。

それほど彼らは無礼で支離滅裂で見るに堪えなかった。
議論以前の問題。

結果がこれですよ。

さて、伊藤詩織の『Black Box』については、5回で終わりにするつもりであった。
しかし、『朝日新聞』がデートレイプドラッグの問題を特集するなど、さらに『Black Box』の影響は拡大深化している。

ただ、朝日の取り組みは腰が引けている。デートレイプドラッグを採り上げるのはいいが、3回連続して採り上げながら、肝腎の、山口敬之の「準強姦」もみ消し事件については一切触れない。これはどういうことだろうか。

きむらゆい

デートレイプドラッグを3日連続特集、25日夕刊にはハリウッドの性被害にも紙面を大きく割いた。
なのに、肝心の詩織さん事件、安倍氏友人山口敬之氏のドラッグレイプに関しては言及なし。
なぜ腰が引けているのか?
朝日に今回の特集への応援と、詩織さん事件報道要請を。
03-3545-0131

大学の紀要ではないのだ。
ジャーナリズムがデートレイプドラッグを特集しながら、肝腎の山口敬之の「準強姦」もみ消し事件を問題にしないとなると、国会よりも週刊誌よりも腰が引けていることになる。
権力の監視がきれいにそぎ落とされているではないか。

わたしも最後は駆け足になったところがあり、ここにきて6回目を書くことにした。

伊藤詩織の『Black Box』は不思議な本である。
本人はおそらく意識していないのであるが、次のような状況的な位置を占めている。

(1)山口敬之の「準強姦」もみ消し疑惑事件は、安倍晋三による、国家・国政の私物化、身内びいき・縁故主義(ネポティズム)の、象徴的な事件になっていること。

(2)この「準強姦」もみ消し事件によって、この国の男性優位、女性差別の現実を剔抉したこと。

(3)性被害者に対する警察の様々な対応の仕方を問題にしたこと。

伊藤詩織は、おそらく(1)に関しては、意識していなかったと思う。
そういった意味では、彼女の立ち位置は、自分で主体的に選んだものではない、強いられたものだ。

2 デートレイプドラッグを使った性犯罪

伊藤詩織は書いている。

先生のリサーチは、患者のMさんに出会ったことから始まる。
Mさんは仕事が終わってから会社の上司2人、女性の同僚1人と飲みに出かけた。
意識が戻った時にはホテルで裸にされ、上司2人から性的暴行を加えられていたという。
アルコールに強い彼女は、記憶を亡くすほど飲んでいなかったにもかかわらず、記憶を失っていた。

長井先生は、これをきっかけにアメリカや日本の文献などを調べ、デートレイプドラッグの問題を深く認識するようになる。
アメリカの強姦救援センターなどの調査を読んだ際、先生の目にとまったのが、「被害者から学ぶ」というコラムだ。
ソコにはおおよそ、次のようなことが書かれていたという。

(1)事件はレストランとかパーティーとかクラブといった場所で起こる。
そこで何者かが飲み物に薬物を入れ、彼女らが飲み物を飲んだ後、気分が悪くなったり感覚を失ったような感じになる。
しかし、彼女らが数時間後に目が覚めたときには別の場所にいる。
つまり、薬物を入れた場所と強姦が行われた場所は異なっている。

(2)彼女らが再び意識を取り戻したとき、自分が強姦されたのかどうかはっきりしないことがある。
服を脱がされていたり、衣服や体に精液が付着していたり、あるいは膣や肛門に裂傷やひりひりした痛みを伴う傷を受けたりということで痕跡を見出すこともある。

しかし、すべての被害者が重大な記憶の欠落を報告している。
何人かの被害者は、短くてとぎれとぎれの覚醒した時期を覚えているが、それでも彼女たちの意識がないとき、彼女たちに何がなされたのか、誰がかかわっていたのか、何人の人がそこにいたのか思い出すことができない。

(3)被害者がこうした犯罪を警察に訴えても、記憶がはっきりしないという理由でほとんど却下される。

ある被害者は次のようにいわれたと語った。
「相手の記憶はしっかりしている。
なのにあなたは何も覚えていない。
証拠もない。
これでこの件は終わりだ」と。

被害者からも犯罪現場からも決定的な物的証拠は得られない。

ここに、薬物を利用した強姦事件の問題点が凝縮されている、と先生は感じた。

この文章を読んだだけで、いかにデートレイプドラッグを使った性犯罪の立証が困難であるか、逆にいうと卑劣な男たちが使いやすい犯罪であるかがわかる。

まとめるとこうである。

(1)デートレイプドラッグを飲まされた被害者は、一時的に記憶を失ってしまう。
犯行場所はレストランとかパーティーとかクラブといったアルコールが出る場所である。
犯罪者はそこから気を失った女性をホテルなど別の場所に運ぶ。
つまり薬物を飲ませた場所と強姦が行われた場所は異なっている。

(2)被害に遭った女性は、自分が強姦されたのかどうかはっきりしないことがある。
しかし、強姦の痕跡は見出すこともある。

(3)被害者がこうした犯罪を警察に訴えても、記憶がはっきりしないという理由でほとんど却下される。
被害者からも犯罪現場からも決定的な物的証拠は得られない。

つまりデートレイプドラッグは、犯罪者にきわめて都合のいい薬なのだ。

日本の取り組みはきわめて遅れている。
たとえば米国では次のように取り組まれている。

アメリカでは、政府機関がインターネット上に「デートレイプドラッグ」についての警告サイトを展開して久しい。
現在では、司法省、保健福祉省、FBI(連邦捜査局)NIH(国立衛生研究所)、州政府、教育機関などのパブリックサイト、Wikipediaや医療関係の民間サイトが警告啓蒙サイトを立ち上げている。

日本でも、現在の『朝日新聞』のように、時々、啓蒙警告に努めてほしいものだ。
また、教育現場でも、中高で年に一度は指導していく必要があるだろう。
卒業までに3回頭に入れたら、いざというときに何も知らないのとでは、だいぶ対応の仕方が違ってくる。

さらに国会でもこの問題の検証に立ち上がったので、事件の究明のほかに、上記の米国の例を参考にしながら警告啓蒙の具体化を図ってほしい。

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衰退する教育と若者

1 衰退する日本の教育

デマというのは恐ろしいもので、一度拡散してしまうと、真実が語られても、それを読まなかった者には、訂正されずに拡散し続ける。
枝野幸男に関して、福島第1原発破壊の後に、自分のこどもを外国に避難させたというデマが拡散され、そのデマの打ち消しに、いまも枝野は追われている。

今度は山口敬之の「準強姦」もみ消し事件に関して、枝野が民進党で問題化するのを止めていたというデマが拡散された。
その打ち消しに追われることになった。

枝野幸男

私は上杉氏の取材を受けていません。
ご指摘の国会追及を止めてもいません。
私がいた時の民進党議員は本件を取り上げています。
メール事件の教訓もあり、一般論として以前から「週刊誌だけで質問せず裏付けを取って質問しろ」と言っていましたから、伝聞が重なる中で、誤って伝わっているのでしょうか?

ハンニバル

立憲民主党枝野代表が「詩織さん準強姦疑惑」の国会追及を止めていたことを認める!

上杉とは上杉隆のことであるが、枝野のツイートで、上杉は取材なしに、このとんでもない重大な情報を発信していたことがわかった。
ツイッターでも上杉情報をもとにした枝野批判をたくさん見ている。これでまた上杉は信用を失うことになろう。

日本政治の劣化が凄まじいが、衆目の一致するところ、自民党がもっとも深刻だ。
自民党の竹下亘総務会長は、23日に、岐阜市内で開かれた党支部のパーティーで「(国賓の)パートナーが同性だった場合、私は(晩餐会への出席には)反対だ。日本国の伝統には合わないと思う」と語った。

これが世界の先進的な流れに逆行することはいうまでもない。
自民党がダメなところは、女性の地位向上など、およそ社会的弱者を守る姿勢に乏しいことだ。
政策の中心は、社会的強者に仕えるものばかりである。
法人税減税はその最たるものだ。
かれらもトリクルダウンなど信じているわけではなく、ただ米日の1%に仕えるのがミッションだからなのだろう。

ブルドッグがこんな素敵なスピーチを紹介してくれていた。
日本の政治との格差を、これほど感じさせる動画は珍しい。

2013年にニュージーランドで同性婚を認める法案が出来たとき、賛成票を投じた1人のおじさん議員が議会で語った内容。

当時も世界中で賞賛されたスピーチ。
知らない若い人に向けて。

その自民党が例によって選挙公約をあっさりと反故にした。
大学などの高等教育を含めた「教育無償化」について、憲法改正案に「無償」という表現自体は盛り込まない方針を固めた。
このように自民党が何か99%に寄り添う姿勢を見せるときは、当選の誘蛾灯であり、毛針にすぎない。
いい加減、国民も学んだらどうかと思う。
あまりにも愚かすぎる。

政治も国民もメディアも暗愚の国。
こんな国には、遊び以外には人は来たがらない。
移住して働くには極端に魅力がないのだ。

20日にスイスのビジネススクールIMDが発表した2017年版世界人材ランキングによると、調査対象のアジア11カ国中、日本は高度外国人材にとって最も魅力がないという結果になった。
世界では63カ国中51位。
アジアではシンガポールが1位、香港は2位だった。

IMD世界競争力センターのシニアエコノミスト、ホセ・キャバレロ氏は、技術力向上で労働人口減少に対処しようとする日本のシナリオを脅かす調査結果だと分析。
高齢化が続く中でこの傾向が続けば、いずれ問題になる」と述べ、国内の労働力だけで必要な技術開発ができるか疑問視した。

日本の人材不足はさらに悪化する可能性もある。
経済産業省が昨年発表した調査によると、ビッグ・データ、人工知能、IoTなど先端IT分野で、2020年には約4万8000人の人材不足に直面する見通しだ。
情報セキュリティ分野は約19万3000人が不足する見込み。

第4次産業革命での中国や米国と競争では、データ活用も課題。
IMDが別に発表した世界デジタル競争力ランキングによると、日本はデジタル競争力では世界27位だが、ビジネスや意思決定の際のビッグ・データや分析ツールの使用は下位だった」(「日本はアジアで最下位、高度外国人材への魅力欠く―IMD」 竹生悠子、Henry Hoenig 『Bloom berg』2017年11月21日)

2 無能な政治が教育を破壊する

これは東京の大手(「記者クラブ」)寿司友メディアが、けっして流さない情報である。
安倍政治の失敗を証明するものだからだ。

2017年版世界人材ランキングで、日本は、調査対象のアジア11カ国中で、「高度外国人材にとって最も魅力がない」国になった。
ランキングは、世界では63カ国中51位で、相手にされていないことがわかる。

このデータが深刻なのは、「技術力向上で労働人口減少に対処しようとする日本のシナリオ」を根本的に否定しているからだ。

デジタル競争力では、まだ日本は世界27位に留まっているが、「ビジネスや意思決定の際のビッグ・データや分析ツールの使用」、つまり判断力や思考力が要請される分野では下位になっている。

これは日本における教育の急速な荒廃、崩壊とパラレルになっている。

高度外国人材が来たがらない国という話だったが、今度は、日本から出て行った方がいい、という話。

『ニュースイッチ』に「ノーベル物理学賞受賞の中村氏「日本は研究者から選ばれない。上意下達が過ぎる」」(2017年11月23日)が載っている。

中村は、現在、米カリフォルニア大学サンタバーバラ校教授である。

「米国では政府は大学の経営に口を出さない。
日本では大学が一つ一つ文部科学省にお伺いをたてて、官僚主義で検討もされずに認められない。
米国の研究者は自由だ。
実力があれば資金を集め、大学と交渉していく。
そしてスポンサーとなればロシアや中国など、米国の仮想敵国にさえ通い詰める。
日本の大学は日本の企業だけ相手にして、チャンスをつぶしている」

ー大量リストラで日本にも人材が来るかもしれませんね。

「日本は選ばれないだろう。
最近、給料を増すからと東大に引き抜かれた同僚が1年で帰ってきた。
『あんな共産主義国では研究できない』と漏らしていた。
京大に准教授としてスカウトされて帰ってきた研究者は、『同じ研究室にもかかわらず教授との面会にアポが必要。
直接連絡がつかない』と嘆いていた。
日本の研究室は上意下達が過ぎる。
米国は学生と教授が対等だ。
もし研究で不正を強いれば、裁判になり、自分の首が飛ぶ」

「日本は職位や性別、年齢、健康で差別がある。
企業も採用試験で研究内容や専門性ではなく、部活動や趣味など、課外活動について尋ねる。
研究者や技術者の人事選考で研究以外の経験で人物を選ぶ国だ。
研究者や科学技術を尊重する社会ではない」

「そして官僚主義がまん延している。
私はノーベル賞の際に米国の市民権を取ったことを話した。
すると二重国籍は問題だと日本のパスポートは更新できなくなり、取り上げられた。
同僚の在米ドイツ人研究者はノーベル賞受賞を機に特例で二つ目のパスポートが贈られた。
ドイツも二重国籍を認めていない。
日本の社会はノーベル賞に狂喜するが、日本の政府は官僚主義だ。
この対応の差に同僚たちも驚いていた」(「ノーベル物理学賞受賞の中村氏「日本は研究者から選ばれない。上意下達が過ぎる」」)

かりに米国で大量リストラが起きても、日本に人材が来ることはあり得ない。
日本は官僚独裁国家であり、縦割り社会である。
学生と教授が対等な米国から、『同じ研究室にもかかわらず教授との面会にアポが必要。直接連絡がつかない』という権威主義的な縦割り社会にくれば、誰でも米国に戻りたくなるだろう。

「日本は職位や性別、年齢、健康で差別がある。
企業も採用試験で研究内容や専門性ではなく、部活動や趣味など、課外活動について尋ねる]というのは、高校からしてそうだ。

そして中村の最後の言葉が、これまでわたしが何度もメルマガで語ってきたことと一致していて、複雑な思いに駆られた。

「ー研究者を目指す若者へのメッセージを。

「工学系を目指す若者は、まず日本から出ることだ。
そして企業を経験することを薦める。
ただ日本は半導体や家電、太陽電池など、どの産業も地盤沈下している。
学術界も産業界も沈んでいく国に留まり、それでも支援を求めて国にすがりつく日本の大学研究者にどんな未来があると思うか。
若者には自分の脚で立ち、生き抜く術を身につけてほしい」

「本来、こんなにも悲惨な状況に置かれていて、米国なら市民が政府を訴える。
このインタビューは日本で読まれる限り、私の言いっ放しになるだろう。
官僚や政治家、市民、日本は誰も動かない。
米国なら司法を通じて市民が社会を変えることができる。
日本は何も変わらない。
それが当たり前だ、仕方ない、と思っているから沈んでいるということに気が付くべきだ。
一度すべて壊れなければ、若い世代が再興することもできないのだろう」

複雑な思いに駆られたというのは、これはどうやら現実化するな、という思いが過ぎったからだ。

「工学系を目指す若者は、まず日本から出ることだ」「官僚や政治家、市民、日本は誰も動かない」「一度すべて壊れなければ、若い世代が再興することもできないのだろう」。
そう思っている有識者は多い。
ただ、日本では口に出さないだけだ。
工学系だけではない。
これからの日本の若者は、海外での修学、労働、結婚を目指した方がいい。
あまりにも政治家・メディアが無責任で愚かすぎて、魔境のような状況になっている。

今回の衆議院選挙は、日本を政権交代で立て直す最後の機会だった。しかし、やはり米国に使嗾された、とびきりのバカが登場して、すべてをぶち壊した。
こういった暗愚な政治劇に付き合って、一回きりの大切な人生を棒に振ることはない。

デビン・スチュワートが「凋落する日本の大学教育 ―― 負の連鎖を断ち切るには」を書いている。

(デビン・スチュワートは、カーネギー倫理国際関係協議会シニアフェロー)

「<大学教育とクリティカル・シンキング>

この夏、イギリスの教育専門誌タイムズ・ハイアー・エデュケーションの「アジアの大学ランキング」で、東京大学が昨年の1位から7位に転落すると、日本社会は大きな困惑に包み込まれた。
日本の社会文化において、東大はアメリカにおけるハーバード、プリンストン、イエールを合わせたような高い評価をされている。
東大は日本の一流企業やエリート機関のトップを担う人材の出発点なのだ。
それだけに、ランキングが発表されると、多くの日本人は、大学だけでなく日本という国が下降線をたどっているように感じた。

東大の凋落は、(この国の教育部門が直面する)広範な問題を象徴している。
日本の教育システムは、日本と世界で起きている変化についていけずにいる。
東大の順位が落ちたのは、交付金や補助金の削減、芳しくない研究実績、そしてグローバル性が不十分であることが原因だ。

経済協力開発機構(OECD)によると、2013年、日本政府が高等教育に分配した予算は国内総生産(GDP)の1・6%。
一方、韓国は2・4%、アメリカは2・6%を教育部門に投入している。
かつての工業化時代に合わせて設計された時代遅れの学校システムは、学生、教員、資金、そして雇用をめぐるグローバルな市場競争を前に軋み音をたてている。

これでは、教育関係者や学生たちが、「身動きできない、息苦しい、閉塞感がある、逃げ出したい」と、まるで囚人のような表現をインタビューで口にするのも不思議ではない。
イエール大学の学生歌にある「喜びに満ちた輝かしい大学時代」とはほど遠い状況だ。

いかなる国も、教育問題の是正を最優先課題にする必要がある。

第1に、学校は家庭と共に、若者の精神と価値観を育む特別な役割を担っている。
日本では25―34歳の成人の過半数(60%)が高等教育を受けている。
これはOECD加盟国で、韓国に次ぐ第2位の高い水準だ。
教育システムは、(経済や社会の)ダイナミズムを強化する非常に大きなポテンシャルを秘めている。

第2に、世界における日本の役割を擁護し、国内経済の躍動性を高める上でも質の高い教育は不可欠だ。
この4年間で、安倍晋三首相の経済対策「アベノミクス」にも限界がみえてきた。
経済の成長を刺激する上で、財政政策や金融政策にできることは限られている。
しかも、人口の減少が成長のポテンシャルをさらに抑えこんでいる」(『Foreign Affairs Report』2016 NO.12)

米日の凋落が著しい。
米国はデフォルトのあと、いずれ立ち直るだろうが、日本は立ち直れない可能性がある。
その最大の原因は人口減少だ。
この問題に関する政権与党の、のんきさは特筆ものだ。
まるで関心がない。
とくに政府に。
これは恐ろしいことだ。

小泉純一郎の日本破壊を受けて、安倍晋三の日本破壊も着実に進んでいる。

昨年はイギリスの教育専門誌タイムズ・ハイアー・エデュケーションの「アジアの大学ランキング」で、東大がアジアの1位から7位に転落した。
今年になって、さらに激しい凋落の現実が浮き彫りになった。

同じタイムズ・ハイヤー・エデュケーションが、5日に「世界大学ランキング2018」を発表したのである。
これによると、1位がオックスフォード大学(英)、2位がケンブリッジ大学(英)で、3位はカルフォルニア工科大学(米)とスタンフォード大学だった。

10位にチューリッヒ工科大学(スイス)が入ったが、トップ20を英国と米国の大学が独占した。

ところでアジアでランクが高かったのは、22位のシンガポール国立大学、北京大学(27位)と清華大学(30位)などだった。
東大は46位で、京大は74位とともに急落した。

しかも200位以内にランクインしたのがこの2校のみという寂しさ。
こういう場合、閣議で文科相が報告し、早急に対策を打たねばならないのだが、そんな気はさらさらないようだ。
まさか事実も知らないことはないのだろうが。

なぜ閣議かというと、「東京大学が順位を下げたのは、研究資金の不足や中国などアジアの大学が急速に順位を上げていることが主な原因と分析されている」からだ。
要は政権の教育政策の貧しさがもたらした結果なのである。

政府は、2013年に閣議決定した「日本再興戦略-JAPAN is BACK」で、今後10年間で世界大学ランキングトップ 100 に我が国の大学が10校以上入ることを目指す、と決めていた。
永田町の深々とした椅子に埋もれて、現場を知らないのだ。

もうすでに現実はインパール作戦である。
愚かな安倍晋三の限界が日本を染め上げ、政治家も官僚も学者も、羞恥心のない愚か者になっている。
失敗は隠し、悲劇を拡大している。
政権が太平洋戦争の日本軍そのものになってきた。

「人材・教育システムのグローバル化」や「英語による授業拡大」はすでに時代遅れの理念、植民地日本の完成を目指すものにすぎない。
「人事給与システム改革による、優秀な若手・外国人研究者の活躍の場の拡大」といったところで、何も知らずにやってきた外国人研究者は、あまりに硬直化した官僚王国に驚いて逃げ帰るだろう。

安倍晋三がトップにいるかぎり、大学改革などできる筈がない。
せいぜい大学を専門学校化して破壊するのが関の山である。

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トランプと逆襲する米官僚

1 国会で動きはじめた「準強姦」もみ消し事件

山本太郎が14日に、官邸お抱えレイピスト山口敬之の「準強姦」もみ消し事件について、野党で追及していく必要があると語った。

ようやく政治の場から具体的な発言が出てきた。
かれは語っている。

伊藤詩織さんの件を追及して頂きたいんですが、という話なんですけれども。
この件本当、モリカケの問題に並ぶというか、超える位の案件だと思います。
これ足並み揃えて野党で追及出来るようにしていけば、かなり酷い話ですから。
していけば、その反響というのはかなり大きくなると思います。
やっていく必要があると思います。

また、国会では「伊藤詩織さんの訴え、捜査を検証する「超党派の会」」が発足した。

最初の会合には、立憲民主、民進、共産、自由、社民、希望、日本維新の会、沖縄の風の野党各党・会派から約20議員が出席した。

呼びかけ人の森ゆうこ参院議員(自由)は「逮捕状が発付されたにもかかわらず、直前で取りやめになった。
国会が厳しく検証すべきではないかという意見が寄せられている」と話した。(『朝日新聞デジタル』11月21日)

政治がようやく最初の一歩を踏み出した。

それにしてもどうしてこの重大な問題に対して、かくも政治の出足が遅れたのか。
森友・加計学園事件への斬り込み方に対して、奇怪なほどの国会の静かさだった。
これに対して『日刊ゲンダイ』(11月22日)に、こんな「永田町関係者」の分析が載っている。

恐らく理由は2つです。
1つは、今年9月に検察審査会で『不起訴相当』の判断が下され、刑事事件としては一応の決着がついたこと。
もう1つは、民進党が事実上解党したことで追及しやすくなったことでしょう。

事件を握りつぶした張本人と言われている中村格総括審議官は、民主党政権時代に官房長官秘書官を務め、自民が政権を奪取した後も留任している。
民進党は、民主政権時代の弱みを握られているからか、あるいは恩義があるのか、これまで中村氏の捜査介入疑惑について国会で大きく取り上げられなかったようです。(ようやく本腰 野党超党派で“詩織さんレイプ事案”徹底追及

警察や検察、裁判所のなかには、この事件に疑問を持っている人も多数いる筈だ。
何事でもそうであるが、誰もがおかしいと思っていることが現実化するとき、上層部が関係のしがらみで、無理難題を部下に押し付けているのである。

このレイプ事件もそうであるが、司法関係者のなかには、この政治の動きをよくやってくれたと喜んでいる人たちも多いはずだ。

どこまでゆけるのかわからないが、注意深く見守りたい。
この会の参加者に敬意を表して、『Black Box』「あとがき」の次の言葉を贈っておく。

そして、彼(米国の軍人だった娘を、海兵隊のレイプの後に自殺で失った父親 注 : 兵頭)は私にこう言ってくれた。

あなたが自分の体験を公にしたことは、想像を絶するほど勇気ある行動だ。
君が今立ち向かっているように、私たちにはその力がある。
これから待ち受けている道は決して平坦なものではないと思うが、決して諦めないでくれ

政治家が諦めたり、保身の人生を送り出したりしたら、日本はお終いである。

2 トランプが露出させた植民地の現実

さて、来日して、まったく評判の悪かったトランプ大統領だが、米国でも袋だたきの様相を呈している。

米国での権力闘争は続いている。
いまやディープステートだけではなく、身内の共和党、それにメディアと官僚からもトランプは攻撃されている。

今日のメルマガでは、トランプと官僚との闘いを考えてみる。

ジョン・D・マイケルズが「トランプ政権と政府機関の対立 ―― 政府機関による逆襲」を書いている。

(ジョン・D・マイケルズは、カリフォルニア大学ロサンゼルス校 ロースクール(法科大学院)教授。
行政法、国家安全保障法、権力分立が交差する領域を研究している)

就任から最初の6ヶ月を過ぎた段階になっても、彼(トランプ 注 : 兵頭)は依然として自分だけで判断を下し、自分が率いているはずの連邦政府の多くをあからさまに軽視し、予算に大ナタを振るい、規制ルールを廃止し、通常の手続を踏むことを拒絶している。

このやり方ゆえに、政府内のトランプ支持派は追い込まれ、官僚たちによるクリエーティブな反対が誘発され、これが次第に効果をもちつつある。
官僚たちが反発するなか、大統領は一連の調査の対象にされ、政党は気力を失い、議会における大統領の支持も失墜しかねない状況にある。

大統領と彼の側近たちは、「政府内部で後方攪乱を企てる者たちによる裏切り」と彼らがみなす行動に憤慨し、政治学の専門用語を借用して、「国家内国家」、つまり「独自のアジェンダの実現を水面下で模索する、選挙の洗礼を受けていないパワフルな官僚たちによる陰謀の犠牲にされている」と主張している」(『Foreign Affairs Report』2017 NO.9)

これまで何度もトランプが人事を知らないと書いてきた。
これは政治を知らないと同義語だ。
それがいまかれの追い詰められ方にも露出している。

トランプは安倍の日本をなめきって(安倍が総理だったら誰だってなめきるだろう)、来日に当たって横田基地に舞い降りた。

それで多くの国民はマッカーサーが敗戦国へ降り立った姿と重ね合わせた。

そして待ち受けた米軍兵士への訓示から来日行事をはじめた、と誰でもが思っている。

しかし、犬HKはじめ日本のメディアはすべて隠したが、実はそこには自衛隊もいたのだ。
トランプは米軍と自衛隊を前にして訓示を行ったのである。

幸運なことに、非常に強く有能な協力者の方々がそばにいてくれます。
前原航空総隊司令官、浅井航空総隊幕僚長、今城航空総隊防衛部長、安藤航空戦術教導団司令、皆さんのリーダーシップと奉職に感謝いたします。
ありがとうございます。

米国民を代表して、私は、米軍兵士そして自衛隊員の皆さん一人ひとりに、皆さんの国への奉仕と献身が皆の安全を保ち、皆を強くし、自由を守ってくれているのだと知ってもらいたいと思います」(横田基地トランプ演説で自衛隊を“隠した”NHK

トランプは植民地の自国の基地に降り立ち、宗主国と植民地の軍隊に訓示を与えたのである。
安倍にも天皇にも会う前に。

こんな2国間関係が世界にふたつとあろうか。

よほど相手をバカにしなければ、こんなことはしない。
人には礼儀や思いやり、それに感謝の気持ちがあるからだ。

これをトランプがやったのは、侮辱するほど、そして脅すほど、へりくだって隷属し、金を差し出す日本政治を知っていたからだ。
民族の誇りなどないのである。
安倍はその期待に応え、米国製ポンコツ兵器の「爆買い」を約束した。

ここに表出していたのは、実質的な植民地の姿と、その現実を利権化している与党自民党の姿であった。

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『Black Box』とネット監視

1 「安倍官邸 — 電通 — ネット監視会社 — ネトウヨ(アルバイター)」のシステムが起動

伊藤詩織の『Black Box』を採り上げて、考えたことを5回のメルマガで配信した。
また、その都度、メルマガの一部ではあるが、ブログ『兵頭に訊こう』にも掲載した。

11月10日 狩りの日 (1)

11月12日 伊藤家の誇れる長女 (2)

11月13日 どんでん返し (3)

11月15日 中世の日本司法 (4)

11月17日 「準強姦」と安倍側近との接点 (5)

11月12日(日曜)は、無料メルマガ『兵頭正俊の知らなきゃ滅ぶニュースの真相』でも配信し、またわたしのブログ『兵頭に訊こう』にもその都度アップしていたから、わたしが伊藤詩織の『Black Box』を書いていることは多くの人が知っていた。

そして11月15日に次のツイートをした。

横綱の日馬富士の傷害事件。
これは横綱の権威を汚したとか、進退の問題ではない。
態度が気にくわないとビール瓶で頭を殴り、さらに素手で30発、マイクに灰皿でも殴り続け、骨折・入院させた傷害事件である。
6週間の診断。
横綱を辞めたら一件落着ではない。
安倍政権下で無法者が増えている。

新聞記事の情報を元に書いた、このなんでもない普通のツイートが、14時間で7600リツイート。
11月19日の段階で1万回のリツイートを超えていた。
もちろん日馬富士の暴行事件に関心があってリツイートしているわけではない。
お仕事の人たちを使って、その筋が指示して、わたしをくさすためにリツイートしていたのである。

ちょうど東京の大手(「記者クラブ」)寿司友メディアに広告費を支払って懐柔していく手法のネット版である。

1万回というと、驚くムキがあるかもしれないが、ワンクリック○円のアルバイトを稼いでも仕方がないから、複数のアカをもった個人が何百回もリツイートしまくっているのである。
あるいはその手のソフトを使っているのかもしれない。
すると荷担した人数はごく少数になる。

わたしにこの事象を採り上げられる方が、よほど影響力は拡大するので、こんな浅はかなことはやめるがよい。

中央で最初に指示した者は、日馬富士の暴力事件を「安倍政権下で無法者が増えている」と結びつけたことにいきり立った(喜んだ)のである。
ここに飛躍があるというのである。

人を批判するときは、その最深の高みで批判しなければならない。
こんな低みで批判すれば、バカにされるだけだ。
よほどわたしが苦手だったとみえる。

それで少し総括しておくことにする。

(1)140字のツイッター制約のなかで、ある種の省略、抽象化、飛躍は仕方がない。
さらにいえば、たとえ長大な論文でも、自明の前提が執筆者にあって、いちいち頭の空っぽな連中に、このエビデンスは、といった書き方は誰もしないのである。
また、日本の短詩型の文学は、この省略、抽象化、飛躍の卓抜によって輝いている。

(2)「安倍政権下で無法者が増えている」という状況については、わたしは森友・加計学園事件を中心に、伊藤詩織の『Black Box』も含めて、これまで何百のメルマガを書いてきている。

安倍晋三による国家・国政の私物化、身内びいき・縁故主義(ネポティズム)は、必然的に無法者の跋扈する泥棒国家・マフィア国家を実現する。
これがわたしの認識の原点にある。

ツイッターでは、わたしは原則的に、自分のフォロワーに向かって書いており、そこでは「安倍政権下で無法者が増えている」は自明の前提なのだ。

日本が人権無視の無法状態にあるのは、世界的な認識になっている。
おりしも、国連人権理事会の作業部会は、11月16日に、日本に対して3回目の、218項目もの勧告を発表した。
そのなかに、福島第1原発破壊に関する言及があって、安倍政権の被災者の命を守らない政策が批判されていた。

それを受けて、「国際環境NGOグリーンピース」が「2017/11/14 国連人権理事会の対日人権審査で、福島原発事故被害者の人権問題に懸念 ーー日本政府は勧告の受け入れを」という声明を出した。

2 官邸が恐れる伊藤詩織の『Black Box』

グリーンピース・ジャパンのシニア・グローバル・エネルギー担当のケンドラ・ウルリッチは「ドイツとベルギーは、原発事故の被害を受けた女性と子どもの権利の保護について、日本政府に対して厳しい質問をしましたが、日本政府はきちんと答えませんでした。

日本政府は、自らが署名している国際的な人権条約を守らず、福島の女性と子どもたちを犠牲にしています。
女性と子どもは、社会的、経済的な弱者であるだけでなく、放射線の影響を受けやすく、日本政府は、今すぐに、被害者とりわけ女性と子どもの人権侵害の状況を是正すべきです」と訴えました。

福島原発事故によって、国際的な公衆被ばく限度である年間1ミリシーベルトを上回る量の放射能に汚染された地域への帰還は、多くの人権問題を伴います。
日本政府は、2017年春にいわゆる「自主避難者」への住宅支援を打ち切り、2018年3月には、避難指示が解除された地域の賠償も打ち切ります。

これにより被害者は、経済的な理由によって、汚染された地域に自らの意思に反して戻らざるを得なくなる可能性もあります。
このような方針は、日本が締結している複数の人権に関する条約に違反しています。

ポルトガル、オーストリア、ドイツ、メキシコは、日本政府に対して、原発事故被害者への経済面、健康面そのほかの支援の継続を正式に勧告しました。
ドイツは、年1ミリシーベルト基準を帰還政策で採用するよう求めました。
これは2012年に来日した健康の権利特別報告者の報告にも沿っています。

国際民主法律家協会(International Democratic Lawyers)代表で、国連人権理事会担当の弁護士ミコル・サヴィア氏は「国際社会は日本政府に対し、原発事故被害者の人権、特に女性や子どもの権利侵害に対処するよう要請しています。

私たちは、日本政府が勧告を受け入れ、その帰還政策を改めるよう強く求めます。
被害者は、住宅支援や賠償の打ち切りによって、汚染地に帰るか、貧困に直面するかという選択を迫られています。
これは国際的に見ても人権侵害にほかなりません」と語りました」(「国際環境NGOグリーンピース」)

これが安倍政治に対する世界の共通認識だ。
福島に対して恐ろしい人権侵害、人体実験が行われている。
それを東京の大手(「記者クラブ」)寿司友メディアが批判しないために、国民は無知の加害者にされている。

(3)わたしに、もっとも関心があったのは、わたしに対して「安倍官邸 — 電通 — ネット監視会社 — ネトウヨ(アルバイター)」のシステムが起動したタイミングである。
それは、間違いなく、伊藤詩織の『Black Box』を書き始めたからだろう。
それだけ官邸お抱えレイピスト山口敬之の「準強姦」もみ消し事件は大きいのだ。

ここでは無法者は山口だけではなかった。
政治・検察・警察・「記者クラブメディア」といった権力が、打って一丸となって山口無罪に動いていた。
「記者クラブ」メディアが関わらないわけだ。

政権とメディアといえば、『Black Box』には、知人のジャーナリストが詩織に対して、「政府サイドが各メディアに対し、あれは筋の悪いネタだから触れないほうが良いなどと、報道自粛を勧めている」と語るのが紹介されている。

また、伊藤詩織は、「検察審査会の結果が出た後、何人かのジャーナリストから、次のような「噂」を聞いた。

防犯ビデオの映像を見たけれど、彼女は普通に歩いていた。
タクシー運転手の証言には、彼女が自分で吐いたものを自分で片付けていた、とあった。
だから、彼女には最後まで意識があったんじゃないか」。
そういう声があって不起訴相当の議決が出たのだ、と話している新聞記者がいる、と」書いている。
要は合意を洗脳しているのだ。

もう5回も書いたので、ここでは細部は語らないが、『Black Box』を読んだ者は、タクシー運転手がその逆のことを語っていることを知っている。
まったくのデマである。
官邸サイドとメディアとが一体となって、不起訴相当の正当化をデマによって謀っているのだ。

以上の3点を総括しておけば、いまのところ十分だろう。ここで兵頭をやっつけておかないと、国会で伊藤詩織の『Black Box』でも取りあげられたら適わない、と思ったにちがいないのである。

日米両国とも極端な格差社会に向かっており、それを批判する力もメディアから奪われている。

メディアの退廃と国民の不幸とは、同時並行して進んでいる。

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「準強姦」と安倍側近との接点 〜伊藤詩織の『Black Box』を読んで(5)〜

1 真のジャーナリストとして楽しみな伊藤詩織の今後

伊藤詩織の『Black Box』(文藝春秋)についての、今日は5回目、最終回である。

前回でも書いたが、この著作は、安倍政権下の腐敗した司法私物化の状況、無法者が跋扈する状況を的確に抉っていた。

彼女は左翼ではない。
総じてイデオロギー色のない人である。
ところが、現代日本の、もっとも深刻な問題、彼女自身が被害者だった準強姦事件を切り口に鋭く迫っていく。
それが安定していて的確だった。

状況を的確に判断するのに、イデオロギーは必要不可欠なものではないのかもしれない。
大切なのはセンスなのだろう。

このことは政党に入っている人の言動を見ていて、わたしがいつも感じることだった。
職場に生起する状況というのは、どのひとつとして同じものはない。
しかも刻々と変わる。
それを的確に判断して状況の深部にあるものを洞察し、判断していく。
これにはセンスが必要なのだ。

これは、おそらく持って生まれたものである。
党にあっても間違う者は常に間違い続ける。
その大切なセンスが伊藤詩織には備わっている。

いま読み終わって、けっして心は穏やかではない。
しかし、ひとつの確かな希望を与えてくれる本である。
それは望月衣塑子と並んで、わたしたちは伊藤詩織という、優れたジャーナリストをもったという、ある種の安堵感である。

犬HKを筆頭にダメな日本の東京の大手(「記者クラブ」)寿司友メディアであるが、しかし、若い優れた真のジャーナリストが確実に育ってきている。

これまでのまとめ

(伊藤詩織は、米国の大学でジャーナリズムと写真を学び、ジャーナリストの仕事を探していた。
帰国後に就職を餌に、官邸お抱えレイピスト山口敬之に酒の席に呼び出され、薬を酒に混入(詩織とわたしの見方)されて、意識を失い、強姦される。
やっとの思いで警察に相談し、妹や両親にも打ち明ける。

その後、詩織と山口との緊迫した電話やメールでのやりとりが続く。
また、詩織は弁護士、警察との対応が続く。
山口が、詩織に法的な対応をとられることを警戒していることがありありとわかる。
しかし、何回かの詩織とのメールやりとりのなかで、ついに山口は性交渉があったとの尻尾をだしてしまう。

そんなとき、捜査員のAから、山口を帰国した空港で逮捕するとの連絡を受ける。
詩織は喜ぶが、4日後には、それが警視庁トップ(のちに中村格(いたる)と判明)の指示で不可能になったことを知らされる。

捜査は警視庁捜査一課が担当することになり、警察が不起訴に向かって政治的に動き出す。
山口の弁護士が示談交渉をしたいといっているので、示談の弁護士を紹介すると捜査官がいう。

数日後に、警察車両で弁護士事務所まで送られた。
衝撃の展開が続く。

その後、伊藤詩織には、自分で選んだふたりの優れた女性弁護士がつく。

しかし、7月22日に不起訴が確定し、伊藤詩織は弁護士からその旨、伝えられた)

その後、伊藤詩織には『週刊新潮』から取材の申込みがある。
この仕事で画期的だったのは、編集部が、中村格から自分が捜査中止を命令したと聞きだしたことだ。
ここではじめて安倍晋三の近くから、捜査中止を指示した具体的な名前が出てきたことになる。

2 接点が浮かび上がった安倍の側近

『週刊新潮』編集部は中村氏本人に、「トップの意を受け、あるいは忖度して捜査を中止したのか」と問うと、
「ありえない。(山口氏の立場に)関係なく、事件の中身として、(逮捕は必要ないと)私が決裁した。
(捜査の中止については)指揮として当然だと思います。
自分として判断した覚えがあります。
事件が最後にどう評価を受けているかを見てもらえば……」
と答えた。(「週刊新潮」2017年5月18日号)

(中略)

当時刑事部長だった中村格氏が自分の判断で逮捕を差し止めたと認めたこと、山口氏が以前から「北村氏」(北村滋内閣情報官 注 : 兵頭)に私のことを相談していたこと、この2つの事実がわかったのは、本当に大きな進展だった。

『週刊新潮』のインタビューに対して、中村が逮捕は必要ないと自分が決裁したと語ったのは、もちろん口を滑らしたのではない。
官邸の指示を隠して自分が泥を被ることで出世の糸口を掴んだものである。
実際、かれはその後に出世している。

それでも、当時刑事部長だった中村格、それに北村滋内閣情報官という、安倍晋三側近と、官邸お抱えレイピスト山口敬之とに接点があることが明確になったのは大きい。

たんなる揣摩憶測の類いではないことがわかった。

ここで、山口敬之も認める事実を整理しておこう。
(番号は兵頭の打ったもの)

あの日の出来事で、山口氏も事実として認め、また捜査や証言で明らかになっている客観的事実は、次のようなことだ。

(1)TBSワシントン支局長の山口氏とフリーランスのジャーナリストである私は、私がTBSワシントン支局で働くために必要なビザについて話すために会った。

(2)そこに恋愛感情はなかった。

(3)私が「泥酔した」状態だと、山口氏は認識していた。

(4)山口氏は、自身の滞在しているホテルの部屋に私を連れて行った。

(5)性行為があった。

(6)私の下着のDNA検査を行ったところ、そこについたY染色体が山口氏のものと過不足なく一致するという結果が出た。

(7)ホテルの防犯カメラの映像、タクシー運転手の証言などの証拠を集め、警察は逮捕状を請求し、裁判所はその発行を認めた。

(8)逮捕の当日、捜査員が現場の空港で山口氏の帰国を待ち受けるさなか、中村格警視庁刑事部長の判断によって、逮捕状の執行が突然止められた。

以上の8点であるが、「レイプ被害で手記 伊藤詩織氏「ブラックボックスに光を」 注目の人 直撃インタビュー」(日刊ゲンダイ)では、次の項目が加えられている。

(9)山口氏に会ったのは3回目で、2人きりで会ったのは初めてだった」(番号は兵頭の打ったもの。なお、本とインタビューとでは順序が変わっており、文章も若干異なっている)

レイプでなかったとしても、彼女が受けたと同レベルの肉体的さらには精神的苦痛を受けて、彼女のように忍耐強く闘える人が、どのくらいいるだろうか、と考える。
それはとても少ないのではないか。

彼女の最初の記者会見、例の司法記者クラブでの記者会見のあと、この本の読者は、彼女が帰宅途中に倒れて病院に行ったことを知る。

この記者会見ひとつをとっても、彼女を心配する家族や友人などの反対があり、どれほどの葛藤があったことか。

会見では自覚していた以上に気が張っていたのか、終わったらどっと疲れが出た。

会見直後にオファーのあったいくつかのインタビューに対応した帰り道で、私は倒れた。
幸い友人がつきそっていてくれ、すぐに病院に連れて行ってもらえた。

それから数日間、体が動かなかった。
咀嚼する力もなく、お腹も空かない。

固形物は1週間以上、喉を通らなかった。
息が深くできず、体は死人のように冷たくなっていた。

すべてをシャットダウンして、このまま終わりにしたいと願った。

会見から10日経ち、やっと少しずつ、ものを咀嚼して食べられるようになった。
体も動き出した。

あの司法記者クラブ会見のあとに、このような苦しみが彼女を襲っていたのだ。
要は、10日間寝込んだということである。
これは語られない限り、想像もつかないことだ。
この精神力の強さには敬服するばかりである。

人間の強さには様々な形がある。
キッとにらみつけて対峙する強さもあれば、その場は穏当にやりすごして、何かの機会にやりかえす強さもある。
相手にへりくだって逃げ回り、しかし、けっして忘れていずに、機会を捉えてやり返す強さだってある。
柳に雪折れなしというが、彼女の強さは、しなやかな折れない強さだ。

ひとりの人間が、意図しなかったのに、状況の象徴的な位置を占めることがある。

伊藤詩織の場合、レイプされた男がたまたま安倍晋三のオトモダチであったことから、「記者クラブ」メディアは逃げ回り、外国人特派員協会も最初は不可解な態度をとった。しかもすでに執行されていた逮捕が、直前に警視庁のトップによって政治的に止められることになった。検察審査会まで不起訴相当の議決を出した。誰が見ても司法の私物化がここに露出しているのだ。

わたしがこの事件に注目するのは、国家・国政が私物化された状況の象徴的事件とみるからだ。今後は民事に舞台を移すが、引き続き注視し、伊藤詩織を応援し続けるつもりである。

 

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中世の日本司法 〜伊藤詩織の『Black Box』を読んで(4)〜

1 安倍司法に追い込まれる

伊藤詩織の『Black Box』(文藝春秋)についての、今日は4回目である。
思ったより長くなったのは、平易な言葉で書かれた内容が示唆に富み、現在の腐敗した司法私物化の状況、無法者が跋扈する状況を的確に抉っていたからだ。

この本をまだ読んでいない方は、ぜひ読まれることをお勧めする。
彼女はまだ28歳であるが、実によく考えており、事件を通じて語ることが日本の暗部を剔抉していた。

これまでのまとめ

(伊藤詩織は、米国の大学でジャーナリズムと写真を学び、ジャーナリストの仕事を探していた。
帰国後に就職を餌に、官邸お抱えレイピスト山口敬之に酒の席に呼び出され、薬を酒に混入(詩織とわたしの見方)されて、意識を失い、強姦される。
やっとの思いで警察に相談し、妹や両親にも打ち明ける。

その後、詩織と山口との緊迫した電話やメールでのやりとりが続く。
また、詩織は弁護士、警察との対応が続く。
そこは一気に読ませるが、山口が、詩織に法的な対応をとられることを警戒していることがありありとわかる。
しかし、何回かの詩織とのメールやりとりのなかで、ついに山口は性交渉があったとの尻尾をだしてしまう。

そんなとき、捜査員のAから、山口を米国から帰国した空港で逮捕するとの連絡を受ける。
詩織は喜ぶが、4日後には、それが警視庁トップの指示で不可能になったことを知らされる)

伊藤詩織は、ニューヨークでジャーナリズムを学んでいたときに、ハウスメイトだった友人を訪ねてイスラエルにいた。
そこへ事件を担当していた輪署のAの上司から、電話がある。

これからは警視庁捜査一課が事件を担当するという。
このあたり、すでに警察が不起訴に向かって政治的に動き出したことをうかがわせる。
捜査態勢の政治的な格上げである。

日本に帰国すると、警視庁に呼ばれる。
そしてこの件について4、5名の陣容で動いていくという。
「もう任意でできる捜査はすべてしたはずなのに、輪署とはずいぶん違う陣容だった」。
わたしも同じ感想をもった。
明らかに不起訴に向かって格上げされたのだ。

これから驚くべきことが起こる。
相手の山口の弁護士が示談交渉をしたいといっているので、示談の弁護士を紹介すると捜査官がいったのだ。

これはただのアドバイスですが、あなたが直接交渉しない方がいい。
弁護士を通して話をするべきです。

(中略)

一気に話してすみませんが、弁護士は誰かに相談していますか? 被害者専門の弁護士がいて、その先生に頼むと基本的にはタダでやってくれます。
国費が出るので。

もし不安だったら捜査官が一緒に行きますし、お願いしてから選任するまで時間がかかるから、今日お返事をもらって進めてしまっていいですか?

(中略)

無料の弁護士に頼める制度があるなら、と思い、次回に会ってみることを承諾した。
警察が熱心に示談の斡旋をすることに不思議を感じないではなかったが、逮捕状について警視庁に聞きに行くためにも、ともかく弁護士は探さなければならない。
当時、それ以外のことにまで気が回らなかった。

(中略)

数日後、この時に取った調書の文章を確認するため、警視庁へまた行った。
確認作業には時間がかかった。
そこで一旦中断して、前回ここで紹介された弁護士のところへ出かけることになった。

(中略)

警察車両で弁護士事務所まで送られた。
自分一人で面会に行くものだと思っていたが、なぜか捜査員も数名、車に乗り込んだ。

(中略)

紹介された女性弁護士のところでは、また事件のことを聞かれた。
しかも、一から経緯を話している間、捜査員がずっと同席していた。
これでは「逮捕状がどうなったか聞いてもらえないか」などと頼めるはずもなく、捜査員には途中で断って席を外してもらった。

弁護士は、やはり示談専門の人らしかった。
捜査員がいなくなった後、私が警察の捜査に感じている疑問について少し話してみたが、あまり反応はなかった。

これ以上ここで警察への疑問や、逮捕状について話さないほうがいいと確信した。
警察車両で彼らの推薦する弁護士のところまで連れて行かれ、席を外してくださいとお願いするまでぴったりと捜査員が寄り添いながら示談の話を一緒に聞くなんて、ちょっとおかしい、という考えが浮かんだ。

2 中世の日本司法

ここはとてもショッキングなところだ。
被害者の詩織は明らかに監視下におかれている。
不起訴にするための示談を警察が勧め始めた。
「これはただのアドバイスですが、あなたが直接交渉しない方がいい。
弁護士を通して話をするべきです」。

弁護士にもいろいろいる。
優れた弁護士もいれば、依頼人よりも相手方あるいは示談にもっていきたい警察や裁判所のために動く弁護士もいる。

事件にもよるが、わたしなら警察が紹介する弁護士はまず断る。
敗北のレールに乗せられることはまず間違いないからだ。

数日後に、「警察車両で弁護士事務所まで送られた。
自分一人で面会に行くものだと思っていたが、なぜか捜査員も数名、車に乗り込んだ」。
まるで映画のようだ。
というか、よほど優れた脚本家でなければここまで想像できないだろう。
まさに事実は小説より奇なり、である。

しかも紹介された女性弁護士のところで話すときは、捜査員が同席していたというから、被害者が監視の対象になっていたわけだ。

詩織は、捜査員に席を外すように頼む。
ここは本来、弁護士がいうべき言葉だ。

詩織は、捜査員がいなくなった後に、警察の捜査に対する疑問を少し話してみるが、弁護士の反応はない。
そこで、「これ以上ここで警察への疑問や、逮捕状について話さないほうがいいと確信した」。
この判断は正しい。
とにかく日本の司法は中世にある。
弁護士だからと信じていたら、とんでもないことになる。

その後、伊藤詩織には、自分で選んだふたりの優れた女性弁護士がつくことになる。
ふたりの弁護士は口を揃えて、「逮捕直前に現場で突然ストップがかかったのは、絶対におかしい。他の弁護士や、警視庁に詳しい人に聞いても、皆そんな話は聞いたことがないと言っている」と語る。

2016年1月、K検事は山口氏の聴取を行った。

山口氏は、検事による聴取から4ヶ月ほど経った2016年5月30日、TBSを退社した。

ひと月後、安倍首相について書いた『総理』(幻冬舎)という本を上梓し、コメンテーターとして、盛んにテレビに登場するようになった。

こうしたことを私は、友人から聞いたのだが。

新しいアパートに、テレビは置かなかった。
極力、彼の顔を見ないで済むように。

彼が今後どのような人生をおくろうと、私に関係はなかった。
日本の法律がきちんと機能することを願うだけだ。

ここには興味あることが書かれている。
時系列に沿って書くと、

(1)2016年1月、K検事が山口の聴取をおこなう。

(2)検事による聴取から4ヶ月ほど経った2016年5月30日、山口はTBSを退社。

(3)ひと月後、安倍晋三へのヨイショ本『総理』(幻冬舎)を出版。
コメンテーターとして、テレビに登場し、森友学園事件に関して、安倍擁護の論陣を張る。

この流れを見ていくと、不起訴獲得のための運動ととれなくもない。
あまりに山口のテレビでの安倍擁護が臆面も無いので、先輩筋の「政府御用達田崎スシ楼」にちなんで「小僧寿司」とわたしはツイッターで揶揄していた。

いま考えると、かれなりに逮捕から逃れるために必死だったのだろう。

それにしても、なぜ急に山口がテレビに出まくったのかという疑問だ。
わたしは官邸からそのような指示がテレビ各局にあったのだと思っている。

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どんでん返し 〜伊藤詩織の『Black Box』を読んで(3)〜

1 山口敬之のメール

伊藤詩織の『Black Box』(文藝春秋)についての、今日は3回目である。

伊藤詩織は、米国の大学でジャーナリズムと写真を学び、ジャーナリストの仕事を探していた。
帰国後に就職を餌に、官邸お抱えレイピスト山口敬之に酒の席に呼び出され、薬を酒に混入されて(と詩織もわたしもみている)、意識を失い、強姦される。
やっとの思いで警察に相談し、妹や両親にも打ち明けるところまで書いた。

その後、詩織と山口との緊迫した電話やメールでのやりとりが続く。
また、詩織は弁護士、警察との対応が続く。
そこは一気に読ませるが、山口が、詩織に法的な対応をとられることを警戒していることがありありとわかる。
しかし、何回かの詩織とのメールのやりとりのなかで、ついに山口は尻尾をだしてしまう。

あるとき、山口はこのようなメールを詩織に送ってしまう。

「レイプって何ですか?
全く納得できませんね。

法律的に争うなら、そうしましょう。

私は全く構いません。

次の面会には弁護士を連れて行きます。

あなたが準強姦の主張しても
あなたが勝つ事はあり得ません。

(中略)

弁護士(詩織の弁護士 注 : 兵頭)は、こちらから何も言っていないのに、山口氏が「準強姦」という専門的な言葉を使った点に注目した。
前述のように、薬や酒などなんらかの原因で意識がなかった場合は、この罪状が適用される。

誰もが常識として知っている言葉ではなく、記者とはいえ、このケースがそれにあたると山口氏が認識している事実は注目に値した。

「準強姦」とは詩織がいっていないのに、みずから山口はこのキーワードを出してきた。それも妙であるが、「あなたが勝つ事はあり得ません」も不可解な言葉である。よほど自信があったとみえる。それは安倍晋三や政権上層部との付き合いの深さからきたものだろう。

また、別のメールで、「妊娠の可能性がないと以前断言していましたが、なぜですか」という詩織のメールに対して、山口がこのように返信したのである。

「私はそういう病気なんです」
「何の病気ですか? 私の健康に関わることなので詳しく教えてください」という詩織のメールに対して、山口は「精子の活動が著しく低調だという病気です」と答えてしまう。

語るに落ちるとはこういうことだ。

つまり山口は性交渉があったことを認めたことになる。

しかも「医療的な面で緊急を要する対応があるなら、いくらでもサポートしますから具体的に言ってください。
それから、会って話をしたいという事ならば、その為に日本に一時帰国する事も提案しましたが、その後あなたからは具体的な返答はいただいていません」とまでいっている。

性交渉がなければ、それも強姦でなければ、「いくらでもサポートします」「一時帰国する」などと、3回しか会っていない女性にいうことはあり得ない。

これはもうはっきりしている。
性交渉があったことを山口は認めているのだ。

伊藤詩織は書いていた。

2 どんでん返し

A氏(この事件担当の高輪署の捜査員 注 : 兵頭)は精力的に捜査を進めてくれた。

最後に行った鮨屋を出てから、私たちをホテルまで乗せたタクシー運転手の証言が取れた、と聞いたのはこの頃だった。
正確には5月13日のことだ。

この時に聞いたのは、「近くの駅で降ろして下さい」と何度も言っていたこと、タクシーの中で最初は仕事についての会話があったが、途中から私が静かになり、降りる時には自力では降りられない状態だったこと、降りた後に見たら、私のものとみられる吐しゃ物があったこと、だった。

記憶のない時間帯の自分の行動について語られるのを聞くのは、本当に気が重いものだが、私が何度も「駅で降ろして下さい」と言っていたと知り、ほっとした。
やはり、最後まで自分は家に帰ろうとしていたのだ。

ホテルのハウスキーパーの記録から、シェラトン都ホテルの部屋に吐しゃ物があったという記載はみつからなかったこともわかった。
山口氏は部屋の二カ所とトイレに「ゲロ」を吐かれたとメールで説明していたが、清掃員は、そのような状態に対する特別な清掃をしていないと日誌に記している。

また、これは当時、調書に取られなかったものだが、そのフロアを担当したハウスキーパーは、「ベッドは片方しか使われていなかった。もう一つのベッドには血がついていた」と証言していることも聞いた。

その後、詩織はドイツで仕事をする機会を得る。
日本にいて、山口に似た人間を見ただけでパニック症状を起こしていたので、日本人の比較的に少ないベルリンは精神的によかったのである。

そこへ日本のA(高輪署の捜査員)から電話がかかってくる。

山口氏の帰国に合わせ、成田空港で逮捕する、という連絡が入ったのは、6月4日、ドイツに滞在中のことだった。
「逮捕する」という電話の言葉は、おかしな夢の中で聞いているような気がして、まったく現実味を感じることができなかった。
8日の月曜日に(山口が 注 : 兵頭)アメリカから帰国します。
入国してきたところを空港で逮捕する事になりました
A氏は、落ち着きを見せながらも、やや興奮気味な声で話した。
逮捕後の取り調べに備えて、私も至急帰国するように、という連絡だった。

(中略)

この電話から4日後、逮捕予定の当日に、A氏から連絡が来た。
もちろん逮捕の連絡だろうと思い、電話に出ると、A氏はとても暗い声で私の名前を呼んだ。

伊藤さん、実は、逮捕できませんでした。
逮捕の準備はできておりました。
私も行く気でした。
しかし、その寸前で待ったがかかりました。
私の力不足で、本当にごめんなさい。
また私はこの担当から外されることになりました。
後任が決まるまでは私の上司の〇〇に連絡してください」
驚きと落胆と、そしてどこかに「やはり」という気持ちがあった。
質問が次から次へと沸き上がった。

なぜ今さら? 何かがおかしい。

「検察が逮捕状の請求を認め、裁判所が許可したんですよね? 一度決めた事を何故そんな簡単に覆せるのですか?」
すると、驚くべき答えが返ってきた。

ストップを掛けたのは警視庁のトップです
そんなはずが無い。
なぜ、事件の司令塔である検察の決めた動きを、捜査機関の警察が止めることができるのだろうか?
「そんなことってあるんですか? 警察が止めるなんて?」
するとA氏は、
「稀にあるケースですね。本当に稀です」

(中略)

「全然納得がいきません」
と私が繰り返すと、A氏は「私もです」と言った。
それでもA氏は、自分の目で山口氏を確認しようと、目の前を通過するところを見届けたという。

何をしても無駄なのだという無力感と、もう当局で信頼できる人はいないだろうという孤独感と恐怖。
自分の小ささが悔しかった。
今までの思い、疲れが吹き出るかのように涙が次から次へと流れ落ちた。

これが日本である。

日本で警察や検察が正義の味方と信じる人がいたら、その人は政治も状況も、いや文学も語ってはならない。

ずいぶん前から三権分立は幻想だと書いてきた。
日本では司法も行政の支配下にある。
安倍晋三のオトモダチであれば準強姦も無罪なのだ。

もちろん末端の捜査員は真面目に仕事をしており、正義感もある。
だからA捜査員は、空港で目の前を通り過ぎる山口を確認している。
おそらく怒りと無念の混淆した思いでにらみつけたのであろう。

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