ヒラリーとエルドアンの危険な明日

米国の元外交官のダン・シムプソンが「2015年末の段階で、米国について述べるならば、次のような結論に達する。それは『我々は、まるで殺人民族だ。自分達の家の中でも。外国でも人を殺している』」「米国が、武器取り引きを続け、戦争を引き起こしている間は、地上に平和は訪れない」「地球の平和? 米国が武器取り引きを止め、戦争を始めている間は無理」と語ったことは、広く知られている。

(奴隷国家の未来は、米国と同じ)

(奴隷国家の未来は、米国と同じ)

この発言は、新聞『Pittsburgh Post-Gazette』に載ったものだが、『Sputnik日本』に転載された抜粋記事から紹介する。

国内で、米政府は、規制することもなく武器を売らせ、その事は、教会や学校も含め、あらゆる場所での殺人行為を引き起こしている。一方国外で、米国人は、殺し屋とみなされている。

他の国々は、米国が自分達に己の意思を押し付けないよう、自分の神、あるいは神々に祈るしかない。彼らは、米国が、己の目から見て相応しい統治形態を、自分達の元で確立しようとしないよう、また爆弾を投下したり、指導者を殺害するために無人機を飛ばしたりするための口実として何らかの自分達の違反行為を利用したりしないよう、ただ祈るしかない。

イラクやアフガニスタンから、リビアまで米国により破壊され、イエメンは、米国の援助のもとサウジアラビアが破壊している。

外国人の大部分は、米国は、世界共同体に脅威をもたらす狂人のように思っている。

米国の所謂『同盟国』のいくつかは、殺人をよしとする我々の傾向をいくらか抑えようとするだけだ。例えば、英国がそうだ。

米国が、自分達の武器の巨大市場にしたいと欲しているインドが、米国とでなくロシアと関係を持つことをよしとするのも偶然ではない。

米国は、自分達の軍部隊を祖国に戻さなくてはならない。我々が、それをしないうちは、この地上に平和はない。

さあ米国よ、人殺しを止めようではないか!」(「米元外交官「我々はまるで殺人民族、国内でも外国でも」『Sputnik日本』2016年1月2日)

わたしは米国には3つの顔があると語ってきた。

1 大統領と国務省を中心とした、ハレ(晴れ)の顔(対中、対露戦争を忌避する。オフショアバランシング戦略は、ここで支持されている)

2 「米国軍産複合体・イスラエル」を中心としたハレ(晴れ)の顔(ジャパンハンドラーはこの顔の日本における手足であり、安倍の日本もこの中に組み込まれている)

3 米国を陰で支配し、操っている顔。(それはケ(褻)の顔であり、国際金融資本であり、具体的には、ロスチャイルドやロックフェラーら、シオニズムのグローバリスト、ワン・ワールド主義者、世界統一政府の樹立を志向する顔)

この第2と第3の顔の共通項は、戦争をビジネスと捉え、戦争で経済を回していく戦略である。ヒラリーは明確にこの勢力に担がれている。

Hilary

トランプはこの第2と第3の顔(勢力)を敵に回しており、プーチンとの話し合いの外交を模索すると思われる。

ダン・シムプソンが語る恐ろしい米国とは、この第2と第3の顔(勢力)のことである。

ダン・シムプソンは、「米国の所謂『同盟国』のいくつかは、殺人をよしとする我々の傾向をいくらか抑えようとするだけだ。例えば、英国がそうだ」と語るが、それでもまだ英国はマシだ。英国は、米国のお先棒を担いだイラク侵略についても、間違いだったと、しっかりと総括をした。

悪質なのは日本である。殺人をよしとする米国の傾向を抑えようとするどころか、むしろ助長している。オバマが数少ない実績のひとつとしようとしている「核の先制不使用宣言」についても、日本だけが反対している。

イラク侵略荷担については、日本は未だにまともな総括さえしていない。野党のだらしなさもあって、政治民度の低い日本では、これが通じるのである。

ダン・シムプソンの嘆く米国の病みは、もしヒラリーが大統領になれば、一挙に悪化し、死の宣告をされることになろう。

ヒラリーについては金銭スキャンダルが絶えない。もし彼女が大統領になれば、日本を筆頭に世界の上納システムはフル稼動させられることになろう。

彼女につきまとうスキャンダルには、金銭、健康、不正選挙、殺人まである。ヒラリーに関しては「米国初の女性大統領」と囃す向きもあるが、これは女性に対する侮辱である。ヒラリーには女性のもつ長所など何もない。むしろ悪い男性政治家を、さらに凝縮した政治家である。

ヒラリーは、「封じ込めではなく、イスラム国の打倒と粉砕を」のなかで、次のように語っている。
 

「われわれがどのような事態に直面しているかを明確に認識すべきだ。パリの同時多発テロだけではない。ナイジェリア、レバノン、トルコでもテロが起きている。
(シナイ半島上空では)ロシアの民間旅客機の爆破テロも起きた。

そうしたテロの中枢に位置するのがイスラム国(ISIS)だ。彼らは宗教的、民族的マイノリティを迫害し、民間人を誘拐し、斬首し、子供さえも殺害している。女性や少女たちを奴隷にし、拷問にかけ、レイプしている。

イスラム国はイラクとシリアの支配地域、中東を越えたグローバルな関連組織を含む国際テロネットワーク空間、急進派ジハード主義のイデオロギー運動という、相互に支え合う三つの領域で活動している。われわれはこの三つの領域の全てで、彼らを追い詰め、打倒しなければならない。

大胆な野望を掲げるイスラム国は、奥行きと能力を備えた集団だ。われわれはこの集団の勢いを食い止め、背骨を折らなければならない。われわれの目的をイスラム国の抑止や封じ込めではなく、彼らを打倒し、破壊することに据える必要がある。

テロリストの指導者とネットワークを粉砕しても、脅威はいずれ復活する。長期的な戦いが必要になる。われわれは包括的な対テロ戦略、つまり、過激なジハード主義との闘いというより大きな枠組みのなかで、対イスラム国戦略を実施していくべきだろう。

目の前にいる敵との戦争だけでなく、根深いルーツをもつ彼らのイデオロギーとの闘いは長期的なものになり、容易には決着しない。
アメリカのパワーのあらゆる側面を動員し、この世界的な戦いを主導しなければならない。

われわれの戦略には次に指摘する三つの要素が必要になる。(1)シリアとイラクを中心とする中東地域でのイスラム国勢力の打倒。(2)テロリスト(のリクルート)、テロ資金、プロパガンダ領域での活動が必要とするテロインフラの破壊。そして(3)内外の脅威に対するアメリカと同盟諸国の防衛体制の強化だ」(『Foreign Affairs Report』2016 NO.1)

今年の1月に書かれたことを割り引いても、彼女の恐ろしさは伝わる。女性政治家ゆえの発想など毫もない。ただ、米国の第2、第3の戦略に乗って、その利権に仕える態度表明をしているのにすぎない。

「テロの中枢に位置するのがイスラム国(ISIS)だ。彼らは宗教的、民族的マイノリティを迫害し、民間人を誘拐し、斬首し、子供さえも殺害している。女性や少女たちを奴隷にし、拷問にかけ、レイプしている」と息巻いたところで、そのISISを育てたのはCIAだ。これらの事件は米国内でも多発していることなので、苦笑を誘う発言である。

それに冒頭のダン・シムプソンが語ったように、世界が恐れているのは米国のテロである。G7に入っている日本でさえ国益の政治をやることを臭わせただけで総理から降ろされるほどのものである。

ISISの「勢いを食い止め、背骨を折らなければならない。われわれの目的をイスラム国の抑止や封じ込めではなく、彼らを打倒し、破壊することに据える必要がある」と語っているのだが、この目的の大半はロシアがやってしまった。つまり、もし米国が本気でISISの破壊をやっておれば、ロシアと同等の成果を上げられたのに、これまでやらなかったことは、世界周知の事実だ。

米軍産複合体は、経済を回していくために戦争が必要だ。そこでISISを作り、育て、米国は中東に居座ってきたのである。その大義名分として掲げられたのが、「テロとの戦い」であった。

「テロリストの指導者とネットワークを粉砕しても、脅威はいずれ復活する。長期的な戦いが必要になる」とヒラリーが語るのは、第2、第3の米国の顔、米軍産複合体にとってはその方が恩恵が大きいからにすぎない。

「われわれは包括的な対テロ戦略、つまり、過激なジハード主義との闘いというより大きな枠組みのなかで、対イスラム国戦略を実施していくべきだろう」という発言は重要である。「目の前にいる敵との戦争だけでなく、根深いルーツをもつ彼らのイデオロギーとの闘いは長期的なものになり、容易には決着しない。アメリカのパワーのあらゆる側面を動員し、この世界的な戦いを主導しなければならない」。テロとの戦いは永続化された。これはまったく米軍産複合体を驚喜させる発言である。

現在、米国の頭痛の種は、トルコのエルドアンであろう。オバマだからまだ我慢しているが、ヒラリーが米大統領になったら、イラクやアフガニスタン、リビア、イエメンの二の舞いにならないともかぎらない。

エルドアンのトルコがロシアへと接近している。

Erdogan (2)

9日、ロシアのサンクトペテルブルクで、トルコのエルドアン大統領がロシアのプーチン大統領と会談した。両首脳は関係を正常化させていくことで一致した。

ロシア軍機撃墜事件後に、ロシアが発動していた対トルコ経済制裁も、今後、段階的に解除していく。

トルコがロシア接近を図る理由は、主に4点ある。

1 シリア内戦は、ロシア・シリアアサド政権の勝利に終わった。EUを初め、世界の国々は、米国離れを強めている。これ以上、中東支配に失敗した米国についていてもメリットはない。

2 ロシア・シリアにつけば、イランとの関係改善も図れる。すると、将来的にロシア・シリア・イラン・トルコ・中国といった同盟を構築すれば、英国の抜けたEUに加盟するより、政治的・経済的なメリットが遙かに大きい。

3 世界は、米日が退潮し、「一帯一路」(シルクロード構想)、BRICS、上海協力機構(SCO)が新興して発展していく。「一帯一路」構想の中心は、中国、ロシア、イランであり、地政学的にも、トルコがここに加わるメリットは大きい。

4 ギュレン、トルコ軍部は世俗主義の立場を採っており、イスラム主義の立場を強化し始めたエルドアンとは、いずれ決着をつけねばならない関係にあった。偽旗作戦で親欧米のギュレン、トルコ軍部を中心とした勢力を一掃したエルドアンは、ロシアに接近し、国内の政権基盤を固める必要があったのである。

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トルコの闇

7月22日はポケモンGOの配信開始日。これで日本の愚民化は間違いなく深化する。

携帯については、文科省が抜本的な対策を打ち出さないといけないのだが、そういった器量も度量もない。ただ、大企業の政治部門として金儲けのお手伝いをする立場なので、この国の愚民化は文科省を筆頭に深化し続ける。

(自民党が「永遠の与党」なら民進党は必然的に「永遠の野党」になる。民進党は抗議しないらしい。この政党は日本人を知らないし、ポケモンGOの政治性も知らないのである)

(自民党が「永遠の与党」なら民進党は必然的に「永遠の野党」になる。民進党は抗議しないらしい。この政党は日本人を知らないし、ポケモンGOの政治性も知らないのである)

そういった植民地の、傭兵化に米国も具体的に乗り出した。『東京新聞』(2016年7月21日)に「米兵、中3に「新兵訓練」 交流行事でほふく前進」が載っている。

「米軍横田基地(東京都福生市、武蔵村山市など)の米兵が武蔵村山市立第五中学校で催された地域交流行事に参加し、「ミニ・ブートキャンプ(新兵訓練)」と称して生徒に行進やほふく前進などを指導していたことが分かった。

市教育委員会によると、行事は今月二日に学校が主催。地域の人らが講師を務め、将棋や茶道、ダンスなど二十六講座に分かれて全校生徒が参加した。

「ミニ・ブートキャンプ」と題した講座には、希望した三年生三十三人が参加。空軍の医療班に所属する軍人や基地従業員ら二十三人が指導に当たった。生徒らは敬礼の仕方や整列、行進などを学んだ後、砂場でほふく前進したり、担架で土のうを運んだりする障害物競走をした。地域交流行事は毎年開かれ、横田基地の米兵らは五年前から参加しているという。

市教委の佐藤敏数学校教育担当部長は「中学校は、この講座を体力トレーニングの一環として捉えていた。新兵訓練を意味する『ブートキャンプ』との講座名は適切ではなかったが、内容自体は特に問題はないと考えている」と話している。

一方、横田基地はホームページで、この行事を取り上げ「生徒たちはキャンプを通じて米軍の規則や習慣の一部に触れた」などと記載。迷彩風のフェースペインティングをして障害物競走に参加する生徒らの写真も掲載していた。

◆交流意味合い違う

軍事評論家の前田哲男さんの話 米軍が休日に基地を一般開放するなど、立地地域と交流をすることはよくあるが、意味合いが違う。公教育の場にまで軍隊が持ち込まれるのは行き過ぎだ。実際に学校で軍隊の基本動作や作法を教えたりする事例はあまり聞いたことがなく、交流のためという一線を越えている」(「米兵、中3に「新兵訓練」 交流行事でほふく前進」)

日本では上に行くほどバカが出てくる、というのだが、教育の現場もその例外ではない。学年主任(部長)、教頭、校長、教委、文科省と上にゆくほどバカが出てくる。

こういう場合、現場では学年会・職員会等で、これは問題だ、という意見が出ている可能性が高い。それを学年主任・教頭が押さえつける。校長が了解する。教委は何も知らない。

それにしても「ミニ・ブートキャンプ(新兵訓練)」とは恐れ入る。意味も知らず、知らされず、参加した生徒たちがかわいそうである。

時代はここまできてしまった。これからは全国の学校で、自衛隊の訓練が行われることになろう。いや、もしかすると米軍が教育現場にきて訓練するかもしれない。今の自公の軍国主義的な状況を見ていると、何でもあり、である。まさか、などと思っていてはならない。

軍事といえば、英国のEU離脱後、EUは米英からの自立を果たし、軍事的にも自立を果たしていく。具体的にいうと、NATOから自立したEUの独自の軍事的統合が具体化していく。わたしたちが思った以上に、英国のEU離脱は決定的な意味を持つことになる。

そのEUの米英からの自立に、間接的に大きな影響を与えたのが、トルコのエルドアン大統領である。難民を大量にEUに送り込み、難民問題での英国のEU離脱に追い風を送った。

高野敦志がこんなツイートをしていた。

「トルコのエルドアン政権は、クーデターの発生にともない、非常事態宣言を発令した。トルコの人権は危機的状況に陥り大弾圧が始まっており、軍人や教職員が多数逮捕されている。日本が緊急事態条項を含む憲法改正を行ったらどうなるか、国民はトルコ情勢から目を離してはいけない。明日の日本の姿だから

エルドアンと安倍晋三は非常によく似ている。すでにメルマガで書いたので、ここでは繰り返さないが、おかれた環境も政治手法もよく似ているのである。

あと少しの法案を通した後、安倍晋三に偽旗作戦をやられたら、日本は止めを刺されることになる。

トルコのエルドアン大統領が仕組んだ偽旗作戦。これをCIA策謀の失敗とするのは、あまりにもCIAを軽く見過ぎている。

これまで世界各地でやってきたCIAの策謀は、少なくとも第一段階では相手国首脳の殺害をもって成功している。それがエルドアンの偽旗作戦とは根本的に違っている。

外国の反米的な政権に対して、軍部あるいは民衆の反乱が起きた場合、すべてをCIA策謀に決めつけて事足れりとするわけにはいかない。そうである場合と、そうでない場合とがある。全体を見なければならない。

誰もがCIA黒幕説で納得する状況は、独裁者の偽旗作戦にはもっとも都合がいい状況でもあるのだ。果敢な独裁者なら、先手を打って政敵の一掃に乗り出す。今回の場合がそうである。

クーデター策謀者連中が、なぜ、休暇中のエルドアンを逮捕し、銃殺しなかったのか。CIAが、そしてトルコの軍人が、こんな初歩的なミスを犯す間抜けばかりが揃っていたと考えるのは、いささか無理である。これに失敗したときの報復の大きさは誰にでも想像できるものだったからだ。現在、トルコで起きていることは、自作自演のクーデター失敗と、本来の目的の粛清である。

また、米国は欧州・中東から撤退して、アジアにシフトするオフショアバランシング戦略のなかにある。ここでトルコに介入して泥沼に入ることは、戦略的にあり得ない。オバマの残り少ない任期(2017年1月20日まで)を考えてもあり得ないことだ。それにトルコはNATO加盟国なのである。

『マスコミに載らない海外記事』(2016年7月22日)にウェイン・マドセンの「エルドアンは今や彼自身の陰の政府を運営している: “エルゲネコン2”」が載っている。

「エルドアンがエルゲネコン(トルコの軍・治安部隊に浸透しているとされる世俗主義・愛国主義的な秘密結社、陰の政府 注 : 兵頭)に対して攻勢にでると決めた際、多くのトルコ人が広く喝采し、彼は主要当事者の多くを一掃し、軍やトルコ諜報機関MITから追い出した。だが、エルドアンは、エルゲネコン共謀者たちを見つけ出す上で、軍とMITだけで止めはしなかった。

自分と自分の政権に対する秘密の策謀について、益々妄想的になったエルドアンは、政敵全員をエルゲネコン主義者だと非難し始めた。益々イスラム主義化するAKP政府は、ジャーナリスト、クルド人、アルメニア人、学者、非エルゲネコン・メンバーではない軍人、憲法裁判所の裁判官、野党指導者たちを、エルゲネコンの一部だとして告訴し始めた。間もなく、エルドアンは、陰謀論に曇った目を、かつての政治的盟友ギュレンと、ギュレン主義者として知られている彼の信奉者たちに向けることとなった。

2007年大統領選挙の後、エルドアンと盟友ギュレンは、エルゲネコン策謀者たちが、大ハンマーという暗号名の作戦で、政府転覆を計画していたと訴えた。300人以上の軍当局者が逮捕され、反逆罪で訴えられた。大ハンマー・コンピューター文書は、日付が2003年となっていたが、Word 2007で書かれていた。文書が、エルドアン支持者に書かれた可能性が高い捏造なのは明白だったが、エルドアン政権は、更に非民主的な権力を集中しはじめた。数年のうちに、エルドアンとギュレンとの関係は分裂し始めた。

2013年に、エルドアンとギュレンの同盟は終わった。ギュレンはエルドアン支持を撤回した。トルコ首相は、閣僚を含めた自分の政権の粛清で応えた。エルドアンは、彼らを、ギュレン主義者で、“並行政府”のメンバーだと非難した。“秘密政府”工作員の逮捕が増加した。完全に妄想的偏執症に病んでいるエルドアンは、自分にとって脅威であると考えているのと同じ種類の“陰の政府”をたちあげたのだ。

わずかなトルコ軍による、7月15日のクーデター未遂が、“エルゲネコン2”とも呼ぶべきエルドアン自身の“陰の政府”のメンバーによって指揮されていたことは明らかだ。

故意に、できる限り可能なミスをしたクーデター未遂には、いくつかの狙いがあった。一つ目は、エルドアンが、誰がクーデター策謀者側につくのかを見分けるまで待ち、軍内に残っていた彼の敵を追い出すことができたこと。

二つ目は、エルドアンは、クーデター未遂を、何より、トルコ中で、2700人の裁判官の首を切って、さらなる権力掌握に利用したこと。

三つ目は、支持者に街頭に出るよう促して、エルドアンは、AKPの狙いに対し、弱体化していた支援を活気づけることができたことだ。スンナ派過激主義のトルコ宗教局からの命令で、トルコ中のモスク尖塔上につけられたスピーカーが大音量で流すメッセージで、宗教指導者たちは、エルドアン側につくようトルコ国民に熱心に説いた。

7月15日のクーデターは、エルドアン自身の手によって、失敗する運命にあった。クーデターは、典型的な、軍隊による文民政府に対するものとして始まり、戦略的拠点、ボスポラス海峡の橋二本、イスタンブール国際空港、国営放送局TRTと、アンカラの参謀本部 – 全てがクーデター指導者に占拠されたとはいえ、それは失敗するように仕組まれており、エルドアンに必要な、国民の支持を押し上げた。

クーデター策謀者が、奇妙にも連中の行動を、同時に、Facebook、Twitterや、YouTubeを含むトルコの大半のソーシャル・メディアも閉鎖できたであろうに、一体なぜ、戦略的な拠点全てではなく、ごく僅かな拠点の制圧に限定したのかも謎のままだ。

クーデター策謀者連中が、一体なぜ、エーゲ海の休暇の地で、エルドアンを逮捕する動きに出なかったのかという、決して消えることのない疑問もある。実際、エルドアンがマルマリス海岸のリゾートホテルを出た後、彼の飛行機は、反乱側の手中にあったと報じられていたイスタンブールのアタチュルク国際空港への着陸を拒否された。エルドアンのプロパガンダ工作は、大統領機にのって空中にいたエルドアンは、ドイツへの亡命を求めていたというニセ情報を流しはじめた。

真実は、エルドアンの飛行機は決してトルコ領空から遠くに迷いでてはいなかった。主要なソーシャル・メディアは閉鎖されていたが、エルドアンは自分のiPhoneで、反乱軍に制圧されていなかったCNN Turkで、FaceTimeに登場した。

もしクーデターが、政府を打倒する本気の企みだったなら、FaceTimeも閉鎖されていたはずだ。アメリカ・ケーブルニュース・ネットワーク(CNN)の子会社CNN Turkも、TRT国営放送局同様、即座に閉鎖されていたはずなのだ。また、国営のアナドル通信社は、クーデターは始まった直後に鎮圧されたと主張するビナリ・ユルドゥルム首相の声明を流し続けていた。本当のクーデターなら、この通信社も封鎖されていたはずだ」(「エルドアンは今や彼自身の陰の政府を運営している: “エルゲネコン2”」)

最初からエルドアンには邪悪な陰謀家としての天分がつきまとっていたようだ。2007年の大統領選挙の後、まだ仲の良かったエルドアンとギュレンは、エルゲネコン策謀者たちが、「大ハンマー」という暗号名の作戦で、政府転覆を計画していたと訴えた。

しかし、「大ハンマー・コンピューター文書」なるものは、日付が2003年となっていたが、Word 2007で書かれていた。つまり、陰謀家のわりには、大雑把なところがあり、それは今回の偽旗作戦にも顕れている。

ウェイン・マドセンは、今回の偽旗作戦には3点の狙いがあったという。

1 エルドアンが、誰がクーデター策謀者側につくのかを見分けるまで待ち、軍内に残っていたかれの敵を追い出す狙い。

2 クーデター未遂を、トルコ中で2700人の裁判官の首を切って、さらなる権力掌握に利用する狙い。

3 支持者に街頭に出るよう促して、AKP(公正発展党)に対し、弱体化していた支援を活気づける狙い。

いずれにしても7月15日のクーデターは、エルドアン自身の手によって、あらかじめ失敗させられる筋書きのもとにあった。失敗して、初めて報復としての政敵一掃の大義名分は手に入るからだ。

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エルドアンという狂気の正気

エルドアンの精神状態が疑われる状況になっている。

Turkey (2)

もはや周りの人間がすべて敵に見えているようだ。疑心暗鬼になり、選択肢は大量粛清しか知らないようになっている。裁判官の停職、教員の停職(トルコ教育省は、クーデターに関与したとして教員ら15200人を停職、公立大学の学部長1577人に辞職を求める)。粛清は45000人規模になり、刑務所に入りきらないのではないか。

Turkey rebellion (3)

『毎日新聞』(2016年7月20日)によると、こうである。

「トルコの一部軍人らによるクーデターが失敗した事件で、半国営アナトリア通信は19日、トルコ政府が、エルドアン大統領と対立し、米国に亡命中のイスラム教指導者、ギュレン師との関連が疑われるテレビとラジオ計24局の免許取り消しを決めたと報じた。

事件に関連して計7543人の軍人や司法関係者らを拘束したほか、計約2万5000人の公務員を停職処分とし、私立教育機関の教員約2万1000人の免許を取り消した。敵対勢力弱体化のための粛清が拡大しており、「政治的追放」との批判が広がっている」(「クーデター失敗 放送24局、免許取り消し 公務員2.5万人処分」

こうなると、もはや政治ではなく、独裁者の精神状態を疑うレベルである。

こういう政治の末路は歴史的にはっきりしている。粛清するほど、報復の恐怖に駆られ、さらなる粛清に走る。ところが悪無限のターゲットは軍部である。これは地獄ではないか。

エドワード・ルトワックが「トルコのクーデターはなぜ失敗したのか」を書いている。

「軍事クーデター成功のためのルール」の第2条は、実行に参加しない機動部隊(これには当然だが戦闘機の飛行大隊なども含む)は、動員不可能の状態にしておくか、介入してくるには遠すぎる場所に置いておくべきである、というものだ(サウジアラビアの陸軍の部隊が首都から遥か離れた場所に配置されているのは、まさにそのような理由からだ)。

ところが今回のトルコのクーデター計画者たちは、実行に参加しない(戦車、ヘリ、そして戦闘機)部隊を活動不能にしておくことができなかったのであり、いざ実行段階になると、逆に軍の内部からの反発を強めることになってしまったのだ。

ところがこのような事実は、はじめから意味がなかったのかもしれない。なぜなら彼らはすでに、このルールの第1条である「まず最初に政府のトップを奪取(もしくは少なくとも殺害)すること」を守れなかったからだ。

トルコのレジェップ・エルドアン大統領は、クーデターが始まってから支持者たちに向かって軍事クーデターに抵抗することを呼びかけており、最初はiPhoneを使いながら、そして次にイスタンブール空港での会見をテレビ中継によって行っている。

この会見においてかなり皮肉だったのは、彼が近代世俗国家としてのトルコの建国の父であるケマル・アタチュルクの公式肖像画の下で語っていたということだ。なぜならエルドアンが政治活動を始めてからの最大の目標は、この世俗国家を、様々な方法で「イスラム系国家」につくりかえることだからだ。

この「方法」には、世俗系の学校を閉鎖することによって生徒たちをイスラム系の学校に入学させることや、アルコールの禁止の増加、そして多くの場所――これには以前はキリスト教の教会であった場所や、つい最近まで頭に被るスカーフ禁止だった大学のキャンパス内も含む――でモスクを建設しまくっていることなどが挙げられる。

クーデターに反対するために街に繰り出してきた群衆を映し出したテレビの画像は、実に様々なことを教えてくれるものであった。まず彼らは口ひげを蓄えた男たちだけ(世俗的なトルコ人は口ひげを嫌うものだ)であり、女性は誰ひとりとして目にすることはできなかった。
(わたしの偽旗作戦の証拠にもなっている。要はあらかじめ準備されていたエルドアン派が街頭に出たのだ。 注 : 兵頭)

さらに、彼らの唱えていたスローガンは愛国的なものではなく、イスラム的なものであったことが挙げられる。彼らは「アラーは偉大なり」と叫びつつイスラム教の信仰告白を行ったのである。(これも偽旗作戦の証拠になっている 注 : 兵頭)

それと同じくらい皮肉的なのは、アメリカのオバマ大統領、ドイツのメルケル首相、そしてEUの外相になると見込まれているフェデリカ・モゲリーニらが、「民主制度」の名の元にエルドアン大統領の支持をすぐに表明したことだ。

ところがエルドアン自身はトルコの壊れやすそうな民主制度を破壊するためにあらゆることを行っている張本人であり、彼を批判したジャーナリストの逮捕の指示から、トルコ最大の新聞であるザマン紙の占領から閉鎖、そしてドイツやイタリアのような象徴的な存在で権限は首相にある大統領制度であったにもかかわらず、アメリカやフランスの大統領のように権限を持ちはじめたことまで含まれる」(『日々のストレス溜まりまくり』「トルコのクーデターはなぜ失敗したのか」)

エドワード・ルトワックの文章を読みながら、大方、わたしがこれまでメルマガやツイッターで書いてきたことと一致しているのに意を強くした。ただ、かれはわたしのように偽旗作戦とはいっていないのだが。

今回のトルコの「クーデター」なるもの、随分と乱暴で下手である。軍人あるいはCIAがやるとしたら、真っ先にエルドアンを捕獲して射殺しただろう。これでほぼクーデターは成功する。反エルドアン派の抵抗を断念させることができる。ところがプロだったら当然実行したであろうクーデターの1丁目1番地ができなかった。

エルドアンは静養地から「逃亡」し、のんきにiPhoneやテレビを使って国民に抵抗を呼びかけている。

欧州理事会拡大委員会ヨハン・ハン委員は、「クーデター」の前にすでに逮捕者リストがあった可能性を示唆した。偽旗作戦であるから、準備万端、逮捕者のリストが準備されていたのである。

「「軍事クーデター成功のためのルール」の第2条は、実行に参加しない機動部隊(これには当然だが戦闘機の飛行大隊なども含む)は、動員不可能の状態にしておくか、介入してくるには遠すぎる場所に置いておくべきである、というものだ」。ところが「クーデター」に加わらなかった部隊は動員可能な状態であった。内戦にならなかったのがおかしいぐらいで、それはひとえにこれがエルドアンの偽旗作戦だったためである。

Turkey rebellion (5)

偽旗作戦ということは、必然的な「クーデター」失敗の後にエルドアンの目的があったということだ。軍や司法関係者を6000人拘束して粛清を始めた。

エルドアンは、死刑制度のある国は加盟国になれないとするEUの神経を逆撫でするように「トルコの憲法に死刑はないが、(反乱が)二度と起きないよう法改正を検討する」と、2002年に廃止した死刑制度の復活を言明した。

オバマもメルケルもフェデリカ・モゲリーニも、偽旗作戦とはつゆ知らず、エルドアン支持を表明してしまった。これがこの偽旗作戦ではもっとも成功したところである。エルドアンは反民主主義の独裁者なのに。

実はエルドアンとわれらの安倍晋三には、表面的な共通点が多い。どちらも独裁者である。立憲主義を否定している。ともに憲法改悪を志向している。しかし、両者とも憲法改悪に必要な数の議席をとっていない。

エルドアンは、奴隷のように充実なビナリ・ユルドゥルムを首相にしている。それに匹敵するのは、安倍晋三の場合、公明党の山口那津男であろう。

ふたりの政治手法も似ている。メディア対策(弾圧)に熱心である。ロシアへの接近の姿勢を見せることでも似ている。また、両者は原発の輸出と輸入の当事者である。エルドアンは、トルコの直面するあらゆる問題を、米国や国内のクルド人、さらには米国亡命中のギュレンのせいにする。安倍晋三も中国敵視一本槍で、諸悪の根源は中国だと国民を洗脳してきた。

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エルドアンの偽旗作戦

エルドアンの偽旗作戦の前に、日本の重要な状況をひとつ採り上げる。

(小出裕章「福島の原発事故は人類がこれまで一度も経験したことがないほど過酷な事故だ。政府や東京電力が計画するような溶融燃料(燃料デブリ)取り出しは全くできないと思う。大変残念で悲しいことだが、諦めたほうがいい。チェルノブイリ原発のように、原子炉建屋全体を「石棺」と呼ばれるような構造物で覆い、放射性物質が外部に出るのを防ぐ対策を急ぐべきだ」(「石棺で覆い封印を」『福島民友』2015年1月1日))

(小出裕章「福島の原発事故は人類がこれまで一度も経験したことがないほど過酷な事故だ。政府や東京電力が計画するような溶融燃料(燃料デブリ)取り出しは全くできないと思う。大変残念で悲しいことだが、諦めたほうがいい。チェルノブイリ原発のように、原子炉建屋全体を「石棺」と呼ばれるような構造物で覆い、放射性物質が外部に出るのを防ぐ対策を急ぐべきだ」(「石棺で覆い封印を」『福島民友』2015年1月1日))

『福島民報』(2016年7月18日)に、「第一原発廃炉プラン 「石棺」表現削除へ」が載っていて、笑ってしまった。いかにも日本的だと思ったからだ。亡国の重大局面を前にして、何もしない、できない、誰も悪者にならず、責任もとらず、ずるずると破局に突き進む。

破局頼みなのだ。破局に至らなければ政府も東電も何もしない。住民は目先のことしか考えず、日々、命を削る。いかにも日本的なのだ。

「原子力損害賠償・廃炉等支援機構の山名元理事長は15日、東京電力福島第一原発の廃炉に向けた戦略プランで、溶融燃料(燃料デブリ)を取り出さず原子炉を覆う「石棺」方式に言及したことに関して「石棺」の表現を削除する意向を表明した。同日、県庁で鈴木正晃副知事と懇談し謝罪。来週中に戦略プランを修正し、公表する方針を示した。

懇談で山名理事長は、デブリを取り出さない選択に言及した政府関係者の存在や県民の不安解消(原子力村の不安解消と読め 注 : 兵頭)を念頭に、「(石棺方式に)技術的問題があることを明確に書いた」と釈明。
(石棺方式には)核燃料物質が将来的に環境中に放置されて漏えいするリスクがあり、避けるべきと考える」と主張した。

その上で「戦略プランに誤解を生じさせる記述が入ったので修正する。多くの福島の皆さま(多くの原子力村の皆さまと読め 注 : 兵頭)にご心配をお掛けしたことを深くおわび申し上げる。今後は一層丁寧な説明に努める」と理解を求めた。

鈴木副知事は、戦略プランで石棺方式に言及した部分に「柔軟な見直しを図ることが適切である」との表現があることに触れ、「石棺方式が根底にあるのかと見える」と指摘。誤解を解くためにも石棺という表現を削除するよう求め、山名理事長は「国語能力の甘さ(山名のあふれる無能 注 : 兵頭)があった」と応じる考えを示した。また、鈴木副知事は燃料デブリの取り出しに全力を挙げて取り組むよう改めて要請した。

■知事 経産副大臣に厳重抗議

内堀雅雄知事は15日、経済産業省で高木陽介副大臣(政府原子力災害現地対策本部長)と面会し、「石棺はあり得ないの一言。復興を諦めるということだ」と厳重に抗議した。高木副大臣は「石棺方式という選択肢は全くない」と強調し、戦略プランを書き直すよう機構に指示したことを明らかにした。

内堀知事は「石棺という言葉に県民(原子力村と読め 注 : 兵頭)は非常に大きなショックを受けた」と強く非難。石棺方式を採用すれば高レベル放射性廃棄物の県内固定化につながりかねず、避難区域の復興再生と地域住民の帰還、県全体の風評・風化対策、福島・国際研究産業都市(イノベーション・コースト)構想-の3点を諦めることになると訴えた。さらに「信頼しているが、今後も(石棺方式への言及が)出てくるのではないかという不安、疑念が残る」と苦言を呈した。

戦略プランは、第一原発の廃炉作業の技術的な裏付けとなるもので、13日に改定版を公表。チェルノブイリ原発事故で採用された石棺について「当面の閉じ込め確保に効果があるとしても、長期にわたる安全管理が困難」と指摘した。機構は現時点では引き続き燃料の取り出しを目指すとしている」(「第一原発廃炉プラン 「石棺」表現削除へ」)

石棺問題は、太平洋戦争末期に、軍部の戦争継続派の反対で、敗戦の決定ができず、ずるずると先延ばしし、膨大な戦死者を出した歴史と重なっている。

日本には、こういうときに論理的合理的に考え、リーダーシップを発揮する政治家が出てこない。むしろそういう人物が出てきそうになると、潰してしまう。権力者がバカでも従うし、変化を嫌う。それがこの石棺方式の拒絶に顕れている。

「(石棺方式には)核燃料物質が将来的に環境中に放置されて漏えいするリスクがあり、避けるべきと考える」などとよくいえたものだ。福島第1原発の核燃料物質はすでに世界の海と海産物を汚染している。米国を初め、世界の多くの国が、放射能汚染の東北・関東の農産物・海産物の輸入を禁止している。それを少しでも食い止めるためには、現実的な石棺しかないのである。

デブリを、どうやって、取り出すのか。その技術の目途はいつなのだ。できもしないことをやり続け、膨大な税金を食いつぶす。これはまったくもんじゅの構造と同じである。原子力村(米国・電力業界・建設業界・政界・財界・メディア・大学)にとっては、この方がおいしいのだ。

もんじゅには、すでに関連総費用として1兆1703億円もかけてきた。すべて税金である。20年間でもんじゅが発電したのは、わずか約37日。もんじゅは、今も年間平均して220億円以上のタダ飯食いを続けている。今にデブリの取り出しもこれと似た無能・「無政治」の象徴になるだろう。

内堀雅雄知事が経済産業省まで出かける。高木陽介副大臣に抗議する。すると高木が「石棺方式という選択肢は全くない」といって、戦略プランを書き直すよう機構に指示したなど、もはや日本政治のお粗末は怒りを超えている。票や金で政治家が動く。「今だけ、金だけ、自分だけ」の政治とは、政治無き政治、「無政治」のことなのだ。これでほぼ永久に東日本は放射能汚染にさらされ続ける。

さて、トルコで「クーデター」が起きた。起こしたのは、(1)トルコ軍、(2)CIA、(3)エルドアン、の3つのどれかだろう。

この「クーデター」でわかるのは、あまりにもやり口が乱暴で下手だということだ。現在のトルコの強権的独裁的な政治状況で、もしトルコ軍あるいはCIAがクーデターを起こしたのなら、真っ先にエルドアンを捕獲あるいは銃殺しただろう。

ところがエルドアンは、まるで予期していたかのように静養地にいて、スマホなどを駆使して国民に街頭に出て闘うように指示した。

Turkey rebellion (2)

こういった状況を見ると、(3)のエルドアンの偽旗作戦だととれなくもない。実際、エルドアンは、軍、裁判所、と政敵の一掃に乗り出した。また、米国に対して、「クーデターの首謀者」としてギュレン師の引き渡しを要求し始めた。

エルドアンから「首謀者」と名指しされた米国在住のギュレン師は、「反乱はエルドアン大統領の仕込んだもので、クーデター軍人などは知らない。自分が黒幕など根も葉もないこと。米政府がエルドアンのいうことを信じるとは思わない」などと反論した。

どうもエルドアンの自作自演の腐臭が漂うのである。ギュレン師のインタビューを見ても、クーデターを外国から画策するような迫力も生々しさも感じられない。

Turkey rebellion (4)

『マスコミに載らない海外記事』(2016年5月25日)に、「トルコ: 軍事クーデターの瀬戸際か?」と題した今日のトルコのクーデターを予測するような記事が載っていた。

トルコの状況は悪化し続けている。民間債務は手に負えない状態で、観光部門は急降下しており、通貨下落があらゆる国民の購買力に悪影響を与えている。益々増大する中央銀行への圧力と、政治的激動のために、トルコの年間成長率は既に減速した。

(中略)

レジェップ・タイイップ・エルドアン大統領は手がつけられない状態のようだ。政敵を投獄し、マスコミを差し押さえて反対派を厳重に取り締まっている。トルコ指導者は、憲法裁判所を解体すると一度ならず脅した。寄せるテロの波のさなか、治安問題が悪化している時期に、そういうことが起きている。

こうした出来事が、エルドアン“皇帝”による支配中、長年隅に追いやられていたトルコ軍を、再び政治的風景中に登場させた。トルコ軍とエルドアンとの間の溝には長い歴史があるが、現在、トルコ国内と国外で激動する出来事によって、それは更に大きくなっている。例えば、北シリアに緩衝地帯を作り、トルコ軍をシリアとイラクに送る計画は、軍幹部に反対された。

(中略)

現トルコ大統領は、飽くなき帝国の野望に対して挑戦するものと見なして、決して軍を信じていない。それにもかかわらず、シリアでの戦争勃発と、トルコ南東部での、クルディスタン労働者党(PKK)に対して継続中の作戦ゆえに、影響力のある勢力として軍の役割が復活することに大統領は甘んじさせられている。

アメリカン・エンタープライズ研究所の研究者で、元ペンタゴン職員のマイケル・ルービンは、トルコにおける差し迫った軍事クーデターを予言している。この専門家によれば、“トルコ人も – トルコ軍も – エルドアンが、トルコを崖っぷちに追いやっていると益々考えるようになっている”。“彼[エルドアン]は、トルコを勝利の可能性皆無で、事実上の分離の可能性が高い道へと導いている”とルービンは考えている。

彼によれば、“もしトルコ軍がエルドアン打倒に動き、彼の取り巻きを投獄した場合、軍はおとがめなしにすむだろうか? 主張ではなく、分析として、答えはイエスだ”。特に、もし彼らが、民主主義回復にむけた明らかな道筋をすぐさま提示すれば、オバマ政権が、クーデター指導者を非難する以上のことをするとは思われないと、ルービンは書いている。トルコもギリシャも、クーデター後も、NATO加盟国資格を失わなかった」(「トルコ: 軍事クーデターの瀬戸際か?」)

外部から「軍事クーデターの瀬戸際」と見られていた状況は、そのターゲットになるエルドアンが、もっとも敏感に理解していたことはいうまでもない。座して死を待つよりは、先手を打って偽旗作戦に打って出て、局面の打開を図ったということは、十分にあり得る。

ギュレン師はエルドアンに追われて米国に亡命しており、「クーデター」の黒幕として利用しやすかったのである。しかし、軍部にとってギュレンの位置は高いものではなかった。

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トルコによる計画的ロシア機撃墜

11月24日、領空侵犯したとして、トルコ軍がロシア軍の戦闘爆撃機スホイ24を、F-16戦闘機の「空対空」型ミサイルで1機撃墜した。ロシア機は、シリア北西部に墜落した。

『Sputnik日本』は、「たった今(モスクワ時間24日21時)入った情報によれば、シリア上空で撃墜されたSu24のパイロットのうち1人は地上からの射撃で殺害された。ロシア参謀本部が明らかにした」として、次の動画を公開している。パラシュートのパイロットを、地上から攻撃したのは、シリア反体制派のトルクメン人武装組織(シリア国内の反体制・反アサド派)である。

「シリア上空で撃墜されたSu24(スホイ24 注 : 兵頭)のパイロット 地上からの射撃で殺害(動画)」(音声が入っている)

「トルコによるロシア軍機撃墜、その瞬間」(これも音声が入っている)

https://youtu.be/qzd5Il3OiqI

また、『Sputnik日本』は、「スホイ24は基地に戻る途中で撃墜された」としている。

ロシア国防省は次のように指摘した

「ロシア軍機スホイ24は、『フメイミム』基地に戻る際に、シリア・アラブ共和国領内でトルコの戦闘機F-16によって撃墜された。客観的な管理データの分析は、トルコ領空の侵犯はなかったことを示した」

在日ロシア連邦大使館は、ツイッターで、ロシア国防省の見解として、「トルコ 軍機側が、我が軍のパイロット達に対し、客観的なコントロール手段によって連絡をとったり、あるいは目に見える信号を送ったりしようとした、いかなる形跡も見られない」と発表している。「正確で客観的なコントロール・データによれば、ロシア軍機は、対トルコ国境を越えていなかった。この事実は、シリアの対空防衛データによっても確認されている」「シリアのフメイミム基地の無線レーダー偵察データによれば、ロシア軍機を攻撃したトルコ空軍機がシリア領空を侵犯した事は明らかだ

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現在、シリアに対して国際社会は何をしてもかまわないような無法状態にある。シリアは独立国家であり、その領空に入るときはアサド政権の許可を得なければならない。米欧・トルコのやっていることは違法行為であり、その点、ロシアはアサド政権の要請に基づいてシリア領内に基地を置き、ISISを攻撃している。この決定的な違いが無視されている。

トルコが領空侵犯だと騒ぐが、トルコ自身はシリア領空を頻繁に侵犯して爆弾まで投下している。領空侵犯だと騒ぐ資格もないわけだ。

さらに、『Sputnik日本』は「シリアで撃墜されたロシア機Su24の救助作業を行なっていたロシア航空宇宙軍のヘリコプターMi8が地上から射撃され、損傷を受けた。これによりロシア海兵隊員1名が死亡。ロシア参謀本部が明らかにした」と述べている。

NATO加盟国によるロシア軍機撃墜は旧ソ連時代の1950年代以来初めてである。これは決定的に重要である。トルコは、冷戦下の米国もしなかったようなことを、無謀にやってしまった。

ここにきて、中東(シリア、ISIS)問題に、ネガティブな意味で重要な位置を占めるにもかかわらず、外交の玄人筋を除いて、これまで脚光を浴びることのなかったトルコが、いきなり国際舞台に登場してきた感じだ。

欧米のメディアは、トルコの言い分に沿って報道している。つまりロシア機のトルコ領空の侵犯があり、トルコ機が5分で10回警告した後に撃墜したというものだ。

しかし、トルコの発表を鵜呑みにする専門家はいない。それは、発表された空域が横断するのに数秒しかかからない距離であるからだ。警告なしの撃墜だった可能性が高い。

トルコには、衝撃的な事件に狼狽するニュアンスはまったくない。このことは、偶発的な事件でなかったことを物語るものだ。

トルコのエルドアン大統領が、「この地域(トルコ国境近く 注 : 兵頭)を爆撃する者は、われわれの同胞であるトルクメン人を攻撃したことになる」と強調したのも、意図的な攻撃だったことを物語る。

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わたしは、この撃墜はトルコ単独によるものではなく、NATO(米国)の了解あるいは指示によるものだと思っている。

2015年11月12日、米空軍は、トルコにF-15Cイーグル(12機)とF-15Eストライクイーグル(6機)を相次いで派遣していた。一応、トルコ政府からの要請で領空をパトロールする、という体裁をとっているが、この間、トルコ側からロシア機の領空侵犯への抗議があったことから、米国の思惑が働いたものと思われる。

『FLY Team』(11月13日)は、明確に、「F-15Cの派遣はロシア機の領空侵犯に備えるもので、10月にアメリカとトルコ政府が合意していました。アメリカはNATO加盟国の安全確保とISILを敗北させることの両方に関与しているとしています」と撃墜の11日前に書いていた。

(「2015年11月12日、トルコのインジルリク基地に到着したF-15Eストライクイーグル」『FLY Team』11月13日)

(「2015年11月12日、トルコのインジルリク基地に到着したF-15Eストライクイーグル」『FLY Team』11月13日)

ロシア機を撃墜したF-16戦闘機が、準備され、計画的な行動をとったことは明らかだ。

トルコのガスの6割はロシアから供給されており、報復としてガスを止められたら困るのはトルコである。それでも撃墜するというのは、米国の指示なしにはあり得ない。意図的計画的な行為だったことを物語る。ガスについては、それに代わる計画もすでに準備しての撃墜だろう。

トルコとISISとの繋がりは深い。トルコは、ISISが盗掘したシリア(ラタキア)の石油を安値で買い上げ、EUにタンカーで運んでいた。いわば、ISISの財政を助け、米国のネオコン、戦争屋たちとの支持を受けながら、自らも暴利を貪ってきた。

それがロシアのISISの石油採掘場・燃料輸送タンカーへの空爆で、壊滅的な打撃を受けていた。

問題は、この戦争のどさくさに紛れた闇の商売を、トルコのエルドアン大統領の息子がやっていたということだ。BMZ社といわれる。

繰り返すが、今回のロシア機の撃墜は、前線部隊の偶発的なものではないと見るべきだ。米国のジョン・マケイン上院議員らネオコンを中心とする戦争屋たちは、ロシア空爆によるISISの、壊滅的な状態に危機感を覚えている。

トルコの腐敗した利権政治と、米国の戦争屋との連携があったと見るべきである。

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『Sputnik日本』(11月24日)は「シリアにおけるロシア機スホイ24への攻撃は「裏切り行為」」と題して、次のようなプーチンの発言を載せている。

「ロシアのプーチン大統領は24日、ヨルダンのアブドッラー2世国王と会談し、ロシア機スホイ24をめぐる事件について、次のようにコメントした。

「シリアでのスホイ24の墜落は、テロリズムとの通常の戦いの枠外であり、これはテロリストの共謀者たちによるロシアに対する裏切り行為だ

「ロシア機スホイ23はトルコ機の空対空ミサイルによってシリア上空で撃墜された」

ロシアのパイロットとロシア機は、トルコにいかなる脅威も与えなかった。これは明白だ」

ロシア機は、トルコとの国境から1キロのシリアで攻撃され、(国境から)4キロの場所に墜落した

「シリアで撃墜されたロシア機は、「IS(イスラム国)」との戦いに関する公然たる任務を遂行し、テロリストに対する予防的攻撃を行っていた

ロシアは、ISが管理下に置く油田から(採掘された)原油がトルコ領内にたくさんあることを、ずいぶん前から確認していた

「トルコは、ロシアが米国とこのような出来事を防止するための合意を締結したにもかかわらず、ロシア機を攻撃した」

「シリアにおけるロシア機をめぐる悲劇は、ロシアとトルコ関係にとって深刻な影響を持つことになるだろう

政治の劣化は、日本だけの現象ではない。世界中で1%による政治の私物化、利権化が進んでいる。その最たるものは、テロとの闘いの商品化だ。テロとの闘いを本気でやる者は罰せられる。大切な商品がなくなっては、儲けられなくなるからだ。

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