(今回の記事は、1月6日配信「トランプのアジア政策(1)」の続きになります)

トランプが、「ロシアと良好な関係を持つことは良いことであり、悪いことではない。ばかな人だけが悪いことと考えている」と語った。当たり前のことであるが、これの分からない人は、米日を中心に多数いる。

トランプ戦略の核心にあるのはオフショアバランシング戦略である。それがアジアに対してはどのように適用されるか。トランプのアジア政策を日中韓に限定して考えて見ると、どのようなものになるか。それが今回のメルマガのテーマである。その骨子は、以下のようなものだ。

1 トランプの「アメリカ第一主義」を反映して、経済功利主義、費用対効果が重視される。換言すればイデオロギー色が薄まる。中国敵視論の安倍晋三などは、時代遅れの迷惑な鼻つまみ者にされる可能性が高い。

2 その結果、言葉では同盟強化といっても、「アメリカ第一主義」でなければ、ほとんど無視される。(TPP離脱など)

3 トランプは、米国の利益を傷つけている国家、グローバル大企業に対して容赦ない攻撃を仕掛ける。(トヨタへの米国生産の要請)

4 トランプは多極化を容認する。つまりアジアでは中国の覇権を容認し、共存の時代が始まる。これが、安倍晋三やジャパンハンドラー、米軍産複合体の、中国敵視、中国包囲網と正面からぶつかることになる。

中国敵視でアジアを分割統治し、対中国危機を煽ることで安保利権を確保してきた米日1%の戦略は、トランプ政権では放棄される。

5 中国との貿易赤字が強く意識されており、中国からの輸入に45%の高い課税を適用すると、トランプは選挙中に公約している。これは言葉通り取ると、たいへんな事態になるが、米中両国とも話し合いでうまく処理するだろう。

6 逆に日中間の尖閣諸島の紛争に対しては、トランプは何も発言していない。トランプの冷徹な「アメリカ第一主義」、功利主義からすると、東シナ海の無人島の領有権などに関わっても、百害あって一利なしだからだ。ここが安倍晋三・外務省の、能力が試されるところだが、無能を証明して終わるだろう。

7 日韓に対する駐留米軍負担の大幅増加(日韓の軍事的・同盟的価値の無視)

1月6日配信「トランプのアジア政策(1)」でも引用した「次期米大統領のアジア政策 ― 同盟システムの軽視と単独行動主義」のなかで、ミラ・ラップ・ホッパーは次のように書いていた。

(ミラ・ラップ・ホッパーは、センター・フォー・ニューアメリカンセキュリティー シニアフェロー(アジア・太平洋安全保障プログラム))

「中国にとっては、新大統領がキャンペーンで語っていたように、「同盟関係から距離を置き、取引に応じてくれること」が最善だろう。一方で最悪のケースは、トランプが予見できない軍事政策と報復的な経済・貿易政策をとり、アジア地域全体が不安定化していくことだ。

中国は間違いなく現在の軍備増強路線を続け、最近のマレーシア、フィリピンを含むアジア諸国との政治関係の改善をさらに定着させようと試みるだろう。

とはいえ、「ワシントンが懲罰的行動をとるという見込み」が短期的な抑止力として機能する限り、中国が、トランプ政権が発足して間もない段階で、例えば南シナ海における防空識別圏を設定し、新たに環礁を占拠するといった挑発的な行動に出るとは考えにくい。

北京は、何か行動を起こす前に、まず新政権の特質を注意深く見極めようとするだろう。

トランプのアジア戦略のはっきりした詳細はほとんど分からないが、例外はいくつかある。それは、これまで秩序だった、予見可能なアメリカのリーダーシップに慣れ親しんできたアジア地域に不確実な未来が待ち受けていることだ。

友人であれ、挑戦者であれ、この新しい環境のなかで、「これまでのようにアメリカを信頼することはできない」とアジア諸国が結論づけたとしても不思議はない。アメリカの同盟国は、必要であればアメリカの政策に強硬に反対する姿勢をとり、そのコミットメントについてワシントンに説明責任を問う心づもりをしておくべきだろう。

民主・共和両党の国際主義者は、アメリカのパートナー国にコミットメントの継続を約束して同盟諸国を安心させようとするかもしれない。しかし、トランプが台頭し、驚くべき勝利を収めた以上、いまやこれまでとはまったく違う環境にある。

トランプの政治的勝利の帰結は痛みを伴う、皮肉に満ちたものになるかもしれない。欠陥はあったとはいえ、オバマ政権の米国のリバランシング戦略はアジア諸国に「中国の台頭はアメリカの後退を意味しないこと」をアピールすることを意図していたが、トランプの勝利と彼のチームが意図する「アメリカ第一主義の外交政策」を前に、アジア諸国がアメリカを見放す可能性が出てきていることは、この上ない皮肉だろう」

トランプはあまり中国の出方を気にしないことだ。あくまで経済的な関係を重視すること、そして、軍産複合体・ネオコンの要請には乗らないようにした方がいい。その方が、結果的に軍事的にも中国との良好な関係を築けるように思われる。

「中国は間違いなく現在の軍備増強路線を続け、最近のマレーシア、フィリピンを含むアジア諸国との政治関係の改善をさらに定着させようと試みる」とミラ・ラップ・ホッパーはいう。しかし、もともとアジアリバランス戦略に基づいてTPPによる中国包囲網を画策したのは米国である。

包囲すれば、そこから脱出する試みを生む。仕掛けた米国が、中国に文句をいうのは、中国には筋違いに写るだろう。

中国が、トランプの出方を注視しているのは確かだ。中国の対米戦略は、原則を重視しながらも、妥協と譲歩による老練な外交になる筈だ。トランプのTPP破壊によって、中国はオバマよりはむしろトランプを評価する立場にあるからだ。

しかも、トランプは声高な中国批判とは裏腹に、駐中国大使に、アイオワ州知事のテリー・ブランスタッドを指名した。ブランスタッド知事は、1985年に当時河北省の役人だった習近平と会って以来、親交を深めてきた仲である。この人事に中国政府は歓迎の意を表している。

トランプが中国に期待するのは、米中貿易での、米国の大幅な貿易赤字の改善と、北朝鮮への影響力を行使して、北朝鮮に核兵器開発をやめさせることである。どれも中国との対話と協力なしには実現できないので、トランプの表面的な中国批判には振りまわされないことが賢明だ。

これからアジアには、不確実な未来が待ち受けている。「これまでのようにアメリカを信頼することはできない」とアジア諸国が結論づけたとしても、それは日本を初めとするアジア諸国の自立を促すことになり、好ましいことだ。

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たまにお便りで読者を知ることがあるのですが、わたしの読者は粒よりで、一騎当千のつわものばかりです。これが何よりのわたしの誇りです。

なにぶん歳なので、いつまで書けるかわかりません。それ以上に、狙われているので、ネットから追放される可能性もあります。皆さんのなかにもわたしのツイートをリツイートして、妨害された方がおられるでしょう。共産党からネトウヨまで、幅広い妨害に遭っております。つまり公認左翼と右翼とに怖がられております。

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