トランプ次期米大統領が世界を騒がせている。選挙期間中の、メキシコとの国境に不法移民阻止の壁をメキシコの金で作る、といった奇抜な公約もそうであった。選挙に勝利した後も、奇抜な言動は終わっていない。

ツイッターやユーチューブなどを利用したメッセージの発信もそのひとつだ。これにはタヴィストック人間関係研究所支配下の、連日トランプバッシングを続けている米国大手メディアから悲鳴が出ている。

現代の権力闘争はメディアが主戦場になっている。だからロスチャイルドもロックフェラーも巨大メディアを傘下においている。われらの安倍晋三も日夜大手メディアとの飲食に忙しい。

今は世論調査が、国民の洗脳・誘導手段として駆使されている。メディアのでっち上げの支持率で50%を超えておれば、党内も静かになり、長期政権も可能になる。何とも腐敗した、ばかばかしい政治がまかり通っている。

大手メディアは、ネット情報を「フェイクニュース」(偽情報)と描くのに懸命だ。しかし、英国のEU離脱、米大統領選と、「フェイクニュース」は地上波メディアが意図的計画的にやっているものだ。日本でも小沢一郎や小保方晴子バッシングに見られたように、権力とメディアとは一体化して、既得権益の擁護に仕えている。だまされないようにしなければならない。

どうやらわたしたちは、トランプの任期中、大いに揺すぶられそうだ。

その政治スタイルはとてもユニークだ。

トランプから発信される強烈なメッセージによって、様々な人が、その剥き出しの正体を露出している。

フォード・モーターは、メキシコ工場新設の撤回を発表した。着実にトランプ公約は実行されつつある。ゼネラル・モーターズ(GM)のメキシコ投資も取りやめになる可能性がある。と思っていたら、今度はトヨタである。

トランプは、トヨタ自動車のメキシコ工場新設について、「トヨタ自動車は、米国向けのカローラ車を建設するために、メキシコのバジャに新しい工場を建設すると発表した。工場を米国に建設するか、それとも高い関税を払え」とツイートした。

「Donald J. Trump

Toyota Motor said will build a new plant in Baja, Mexico, to build Corolla cars for U.S. NO WAY! Build plant in U.S. or pay big border tax.」

トヨタの豊田章男は、メキシコ工場新設を見直さない考えを示したが、これで済む筈がない。喧嘩を買って出たようなものだ。

トランプへの好悪は別にして、トランプが米国の大統領になった以上、かれの政策は注視しておく必要がある。

トランプの理念、政策の核になるものは何であろうか。一言でいったらそれはオフショアバランシング戦略である。このことは、昨年から、わたしはメルマガやツイッターなどで、何度となく指摘してきた。

最初に指摘したのは、2016年7月4日配信の「オフショアバランシングの東北アジアのターゲット」だった。

オフショアバランシングでは、分担(Burden Sharing)ではなくて、各国に負担を移動 (Burden Shifting)する、負わせるのである。

金だけでなく、血も米国のために流せ。日本を犠牲にしてでも米国は戦争で儲ける。日中戦争を仕掛けるが、米国は引いて、仲裁者として振る舞う。これが差し当たっては日本に適用されるオフショアバランシングである。

わかりやすくいえば、現在、米国の大統領選でトランプが、米軍の駐留費を外国に負担させるとしきりに口走っていることだ。

これまで10回、メルマガで指摘し続けてきた。

今回、『Foreign Affairs Report』の新年号で、コレ・シェイクが同じ見方をしている。

コレ・シェイクは、「揺るがされるアメリカの同盟ネットワーク ― オバマの後退路線からトランプのオフショアバランシングへ」のなかで次のように書いている。

(コレ・シェイクは、米国の外交研究者で、スタンフォード大学フーバー研究所のリサーチフェロー。ペンタゴン、国家安全保障会議、国務省勤務を経て現職)

選挙キャンペーンの演説から判断する限り、ドナルド・トランプは(中略)(オバマよりは 注 : 兵頭)さらに踏み込んだ後退戦略、オフショアバランシング戦略をとると考えられる。同盟関係や自由貿易合意からは距離を置き、中国とロシアが周辺地域で影響力を拡大するのを放置し、国家建設活動から遠ざかり、他国の内政に影響を与えようとする試みの多くを放棄するだろう。

とはいえ、統治の責任を現実に担う段階になると、(大統領候補時代の主張を和らげて)政策の方向性を見直す大統領は多い。実際、オバマは論議を呼んだブッシュ政権の対テロ政策の一部を最終的には踏襲している。

トランプにイデオロギー的なこだわりはなく、そうすることが現実的であると考えれば、より介入的なアプローチをとる可能性もある」(『Foreign Affairs Report』2017 NO.1)

米大統領選中はそれほどでもなかったが、今号(2017年1月号)になってから、『Foreign Affairs Report』のトランプに対する姿勢が厳しくなった。これまではトランプを擁護し、評価する論文もあったのだが、今号はほぼ全面に亘って、トランプ批判あるいは懐疑的な論文である。

ということは、『Foreign Affairs Report』が、世界のトップ層に与える影響力の大きさからして、米国のみならず世界のエスタブリッシュメントは、ほぼトランプ否定に走り出したとみていいのかもしれない。

トランプはたいへんである。ここにトランプの立ち位置のユニークさがある。

世間には、トランプの閣僚の多くが金持ちであることから、それを揶揄したり、否定したりする向きもある。しかし、それは本質的な問題ではない。貧乏か金持ちか、ではなく、政策が1%の側に立つか、99%の側に立つか、である。

トランプの人選を見ていると、過去の行動から間違いなしと踏んだ人物を選んでおり、トランプの政策を忠実に実施する人選をしている。それがたまたま大金持ちだったというわけであり、ここは、「白猫でも黒猫でも鼠を捕る猫は良い猫だ」という鄧小平ふうの現実論に立っているのであろう。

トランプは、オフショアバランシング戦略をとってくる。

米国のオフショアバランシング戦略の骨子は、

1 欧州、中東から兵力を縮小あるいは撤退し、東アジアに軍事力を残し、集中する

2 米軍の兵力を、陸軍から海空軍重視に転換する

3 米軍の負担を同盟国に分担させるのではなく、負担させる

4 日韓を核武装させる

このうち、どれをトランプが採用してくるか。あるいは部分的にトランプ流にアレンジしてくるか。少なくとも「3 米軍の負担を同盟国に分担させるのではなく、負担させる」というのは、日独に対して要請してくる可能性が高い。

コレ・シェイクは、トランプが「同盟関係や自由貿易合意からは距離を置き、中国とロシアが周辺地域で影響力を拡大するのを放置し、国家建設活動から遠ざかり、他国の内政に影響を与えようとする試みの多くを放棄するだろう」と悲壮感を漂わせて語る。しかし、そのすべては、国によって受け取り方が異なる。また、同じ国でも1%と99%とで受け取り方が違ってくる。

トランプの米国が「同盟関係や自由貿易合意からは距離を置」いてくれたら、実質的な米国の植民地になっている外国には独立と自立の好機である。「中国とロシアが周辺地域で影響力を拡大するのを放置し」てくれたら、露中はもちろんのこと、歓迎する国は少なくない。

米国が「他国の内政に影響を与えようとする試みの多くを放棄」してくれたら、少なくとも各国の99%は喜ぶだろう。

現在、トランプに対しては、選挙期間中の発言が、実際に政権を担う段階になったら変わるのではないかという楽観的な見方がある。

しかし、そうだろうか。冒頭に採り上げたように、トランプは、世界最大の自動車会社トヨタに生産拠点を米国に戻せと要求している。

TPP離脱も有言実行してくるだろう。そうしなければならない理由がトランプにはある。それは選挙公約の多くを実行しなければ、4年後には落選するという現実である。

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わたしのようにどの組織にも属さず、辛口の政治評論が中心で、どの政党も遠慮せずに批判し、既得権益支配層を批判するばかりか、だらしのない国民をも叱咤し続けて、3千部達成というのは、珍しいのです。

たまにお便りで読者を知ることがあるのですが、わたしの読者は粒よりで、一騎当千のつわものばかりです。これが何よりのわたしの誇りです。

なにぶん歳なので、いつまで書けるかわかりません。それ以上に、狙われているので、ネットから追放される可能性もあります。皆さんのなかにもわたしのツイートをリツイートして、妨害された方がおられるでしょう。共産党からネトウヨまで、幅広い妨害に遭っております。つまり公認左翼と右翼とに怖がられております。

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