日本政治の劣化が凄まじい。それは同じ日本人として寂しくなるほどのものだ。

中国が新しい防空識別圏を設定した。防空識別圏とは、外国の不審機が接近した際に緊急発進を行う基準となる空域のことである。

中国は、「防空識別圏内を飛行する航空機は、飛行計画を中国外務省又は航空当局に提出する義務を負う」とした。

米国は「東シナ海の現状を変えようとする一方的な行動だ」(米ケリー国務長官)とし、また「今回の中国の発表を受けても、この地域で米国がどのように軍事作戦を遂行するかには一切変更はない」(米ヘーゲル国防長官)として認めないとした。

しかし現実的に不測の事態が起きて自国民に危険が及ぶことを考慮して、米国の民間機に対しては中国当局に飛行計画書を提出するよう求めた。これでいいのである。

日本の全日本空輸と日本航空は、昨年の11月25日に、中国当局に飛行計画の提出を始めた。両社は「提出しないと緊急発進(スクランブル)を受けかねない」(日航)として、中国側の要請に従うことを決めたのである。

ところが、ここから劣化した日本政治が顔を出す。

日本政府は、「中国当局に飛行計画を提出すると、防空識別圏を認めることになる」として、日本の航空各社に対し、飛行計画書の提出には応じないよう要請した。そのため、一時は計画書を提出していた各社も27日以降は提出していないのである。

この彼我の違いは決定的である。

この問題を整理しておくと次のようになる。

1 これで日中の偶発的な武力衝突と開戦の可能性が高まった。

2 日本政府は、偶発戦を避けると口ではいいながら、具体的現実的な対応では、逆に可能性を高める政策をとった。戦略がないのである。

3 米国は、11月26日に、直ちにアメリカのB52爆撃機2機が防空識別圏を航行するなどの意思表示をしながら、政治としては米中関係を維持するという、軍事と政治を明確に分けた対応をとっている。

わたしは、この一件での、日米両政府の対応の違いに見て、3.11直後の自国民への避難指示を思い出した。

米国政府は正確な情報に基づいて80キロ圏内の住民を避難させた。ところが日本の菅政権がとった対応は、どの外国政府とも違って3キロから始まり、小出しに10キロ、20キロと拡大する冷酷なものだった。

自国民の安全への自覚が皆無なのだ。賠償金の算盤勘定をしていたのである。

今後、この空域を飛ぶ日本の民間機は、日中両国のメンツの犠牲に供されることとなる。

国家利害が私的利害に優先し、自己犠牲が不条理に強制される。戦前・戦中は呆気なく復活したのである。

かりに飛行機が撃墜されても誰も責任はとらないだろう。政府も、民間会社も。誰も責任をとらない戦中日本の「無責任の体系」(丸山真男)は、牢固として現代日本に生き残っていたのである。

ちなみに軍部が政治を凌駕して、国民が幸せになった時代はない。中国・米国・日本とそのようになっている。

世界で、現在、もっとも危険な地帯は東シナ海である。その際、最も危険な要因は、日中とも戦争を知らない世代が権力を握っていることだ。

現在の日本政治は、非常に単純なうえに間抜けであるといわねばならない。例えば世界中が知っている汚染水漏れに対して、安倍晋三は、IOC総会で、福島第1原発事故を完全にコントロールしており、汚染水をブロックしている、と真っ赤な嘘をついた。

オリンピック招致のために嘘をついたわけで、非常に単純で間抜けでわかりやすい。

領土問題が紛糾すると、韓国とも中国とも外交チャンネルを失う。これも非常に単純で間抜けでわかりやすい。

この単純で間抜けな政治が、唯一、価値判断にしていてぶれないのが、米国への隷属である。

現在の日米同盟の実態は、日米共同体に深化し、さらにそれが、日本は、米国の利用対象国にまで深化してきている。

米国にとって日本のトップは、どんなおバカでもいいが、米国益に外れるおバカは許さない、そういう利用対象国なのである。

その利用対象国としての日本政治の体たらくを、「唖然だ」のみんなの党と日本維新の会、それに公明党に見ておこう。

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この三党に限らず、「自・公+民・みんな・維新」といった日本政治の与党は、すべからく対米隷属と官僚隷属、財界隷属を旨としている。

これらの政党にとって現代の「公」とは米国なのである。

その「公」のために滅私奉公を競うのが日本の政治である。

したがって消費税増税はしないとの国民との契約は簡単に破棄され(民主党) 、 TPPには参加しないという公約(自民党)も簡単に破棄される。

それは実質的な主権者が国民ではなく米国であるからだ。

ここで米国を最大の「公」とする日本政治の惨状を、「唖然だ」のみんなの党、日本維新の会、公明党に見ておこう。

「唖然だ」のみんなの党は、すでに「自民党渡辺派」だと揶揄されている。

野党編成どころではなくなっているわけで、渡辺喜美はまったく江田憲司前幹事長との確執で政治の亡者と化してしまった。

日本の安全保障政策について「危険なところに行けない国は、一人前とはいえない」と述べ、集団的自衛権の行使容認に前のめりになるあたり、安倍晋三の背後にいる「公」としての米国に忠誠を誓っているのである。

また、「安倍晋三政権の最大のネックは、自民党内に業界団体のしがらみの中で当選した人たちがいることだ」、「自民党内の抵抗勢力よりわれわれのほうが安倍首相の考えに近い」と発言するに至っては、渡辺喜美の今後の道行きは、自民党に復帰することはないとしても、純化された対米隷属、官僚隷属の、自民党補完勢力として、連立を目指すしかないであろう。

自民党や民主党と同じで、「唖然だ」のみんなの党も、代表の渡辺喜美によって、いとも簡単に結党の大義が破壊されてしまったといえよう。

みんなの党のホームページには、渡辺喜美の「みんなの党 アジェンダ2013 「みんなの政策」」と題する政策が今も掲げられている。

「国家経営に必要不可欠な官僚制度が時代遅れとなっており、民間並みの信賞必罰の効いた制度に直す必要があります。

国家社会主義体制の1940年前後に完成した官僚統制・中央集権システムが、今なお、岩盤のように残っているのが日本の病弊です。我々は、こうした戦時体制を賛美する勢力とは一線を画して参ります」

特定秘密保護法案の本質は、公安・警察を中心とした官僚利権の拡大、戦時体制の復活にあるのだから、まったく真逆なことをやりだしたわけである。次の選挙では第二の民主党になるであろう。

一方、犯罪的なのが日本維新の会である。修正協議で、秘密指定可能期間を「最長60年」に2倍に延ばして自民党を喜ばせ(同時代の大人は殆ど死んでいる)、その後、いちゃもんをつけて、採決では反対し、いい子になった。

電光石火の、政府原案をさらに大幅に悪化させた修正協議決着は、徳洲会問題が石原慎太郎に波及するのを止めるためだった、との情報が永田町を駆け巡っている。

検察は政府に貸しを作ったわけだ。小沢一郎への政治謀略取調で地に落ちた検察は、政治的には復活したといわれ始めた。

有田芳生は昨年11月30日のツイッターで次のようにツイートしている。

「官邸周辺の情報を総合すると、右往左往の参議院与党の現場とは空気が違う。あくまでも12月6日の会期末には特定秘密保護法案を可決するとの方針だ。メディアでは、そこまで急ぐ理由を徳州会問題が政権にまで及ぶのを怖れているのではないかとの憶測が流れている。継続審議への闘いは来週が山場だ」

そこまで東京地検がやるだろうか。いずれにしても検察が政治日程を動かしている可能性があるわけで、相変わらず官僚に支配された立法府なのである。

「唖然だ」のみんなの党、日本維新の会と述べてきて、特定秘密保護法案にまつわる現在の政局を述べるのに公明党を外すわけにはゆかない。

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