最初に、特定秘密保護法案に関する、ふたつのツイートを紹介して本題に入ろう。

岡山博 脱原発、脱同調強要社会

11月20日

「秘密保護法の目的は外国に秘密漏えいを防ぐ事ではない。国民が知ろうとすることに恐怖感を持たせること、知らせないこと、厳罰におびえ、見ざる聞かざる言わざる公務員と国民にすることだ」

山口一臣

11月19日

「繰り返します。いま議論されている特定秘密保護法案は「秘密を守る」「スパイを防止する」ための法律ではありません。役にも立ちません。ただ、行政が都合の悪い情報を隠すための法律になっています。議員のみなさん、よく考えてください。今回は廃案にして、ちゃんとした法律を出し直しましょうよ」

特定秘密保護法案では、異様なことがある。

それは、重罰の対象となる「漏洩の定義」が、日本の場合は「特定秘密の漏洩」となっているが、米国では、「外国政府への漏洩」である。ドイツでは「外国勢力への漏洩」、フランスも「外国勢力への漏洩」である。英国も「敵に有用な情報の漏洩」となっている。日本だけ監視の対象が内向きなのだ。

みんなの党、日本維新の会、自民党3党の修正協議を見て感じるのは、おぞましいほどの政治の劣化であり、この3つの政党に国民を守る気がまったくないということだ。

いかにも野党の修正が入った、自民党は民主的な国会運営をしている、という国民の目くらましを狙った動きである。

日本維新の会などは、むしろ政府案を強化しており、これなら最初から何もせずに賛成してくれた方が国民のためにはよかった、といいたいほどだ。

交渉能力もなく、信念もなく、交渉のテーブルに座ったために、自民党に手玉に取られ、政府原案の強化に利用された、といわれても仕方があるまい。

もっともこれほどバカではあるまいということから、徳洲会絡みで、代表の石原慎太郎を守るために、自民党に尽くしたという見方もある。その結果、このタイミングでやった東京地検が、政府に貸しを作ったという見方だ。

いずれにしても、「唖然だ」のみんなの党と、日本維新の会の修正協議で、むしろ政府原案が強化されてしまった。それを8点にわたって見ていこう。

1 特定秘密の恣意的な指定の拡大

自民党の特定秘密保護法案では、特定秘密の恣意的な指定が問題であった。実質的には公安・警察官僚の利権拡大が問題になっていた。

それに対して合意した、「唖然だ」のみんなの党との協議では、恣意的な秘密指定をチェックする第三者機関の設置は盛らず、「第三者機関的観点」からの首相の関与を明確化し、確保するという結論になった。

首相は最高の権力者であり、政府そのものである。この首相に「第三者」としての客観性中立性を期待するのは、笑い話の類いにすぎない。

もともと「唖然だ」のみんなの党は、第三者機関の設置を要求しなかった。みんなの党は、特定秘密指定の客観的検証も提案しないのだから、そもそも「第三者機関」など言及すること自体がおこがましいのだ。

2 独裁政治の強化

特定秘密保護法案は、政府原案では、内閣が特定秘密指定を一元的に管理するとなっていたのを、修正案では、閣僚らが特定秘密を指定するときは、首相の同意を義務づける、とした。首相権限の強化などをしても、この法案の危険性には何の歯止めにもならない。

また、個々の指定・解除も首相が指揮監督し、必要な際は資料の提出を求める、とした。これも何の歯止めにもならない。

首相の指揮監督権を法案に明記し、必要があれば説明し、改善を指示できるとした。しかし、もともと首相に「指揮監督権」は備わっている。首相が、膨大な秘密事項のすべてをいちいちチェックすることはできない。

現在、すでに秘密にされている情報が40万件ほどあるが、これが法案が成立すれば、すべて特定秘密にされる。この一件をとってみても、首相の「指揮監督」など形式的なうたい文句にすぎないことがわかろう。

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3 秘密の期間の拡大

政府原案では、5年ごとに延長が可能で、30年を超える場合、内閣の承認が必要であった。

ところが、修正案では、日本維新の会との交渉で、「60年で原則指定解除」と逆に期間が2倍に延びた。

しかも例外の7項目が設けられた。

特定秘密指定の「最長60年」の例外7項目とは以下のものである。

(1) 武器・弾薬・航空機その他の防衛の用に供するもの

(2) 現に行われている外国の政府又は国際機関との交渉に不利益を及ぼす恐れのある情報

(3) 情報収集活動の手法または能力

(4) 人的情報源に関する情報

(5) 暗号

(6) 外国の政府または国際機関から60年を超えて秘密の指定を行う事を条件に提供された情報

(7) これらに挙げる情報に準ずるもので、政令で定める重要な情報

本メルマガの購読者は霞ヶ関文学がおわかりだと思う。「(7) これらに挙げる情報に準ずるもので、政令で定める重要な情報」と最後にそっと挙げられることで、行政サイドの思惑で拡大が可能にされている。つまり政府案より2倍も秘密機関が延ばされた挙げ句、永久非公開の根拠を与えてしまったのである。

このように日本維新の会の修正案で、さらに政府原案より国民への隠蔽と弾圧が強化されたといえる。

4 法による特定秘密の増加

政府原案では、特定秘密は、すべての行政機関の長によって指定されるとされていた。

ところが、日本維新の会との協議で、「五年間、指定がない府省庁の権限をなくす」の規定が入った。これは、日本維新の会の、交渉能力のなさを満天下に示すものである。

当然、指定権限を失いたくない省庁は、無理をしてでも秘密指定をやる。つまり維新は、秘密が拡大する根拠を作ってしまったのである。

これほど愚かな交渉は珍しい。

これは交渉のモチーフが、要求の貫徹ではなく、修正協議をやったというアリバイ作りと、安倍政権への協力にあったためである。

(「その3」に続く)

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