日本民族には、中国のように権力を監視してその動向をつぶさに書き言葉に残した文化も歴史もない。

むしろ権力に都合の悪い重要文書は「紛失」や廃棄によって、闇から闇へ隠滅してきたのが日本の為政者たちである。

それは現在の為政者(官僚・政治家)にも牢固として受け継がれている。情報公開法が施行されたのは2001年4月1日である。わずか12年ほど前のことだ。

先進国としての、この異様なまでの情報公開の遅さは、日本の為政者に、国民に自分たちの為政の情報を与える文化がまったくなかったからである。

情報公開法はできても、少しでも為政者に都合の悪い情報は公開されていない。ほとんど情報公開法の意味がないような、ほぼ全面にわたって墨で消された「公開情報」を、読者も御覧になったことがあると思う。

公文書管理法ができたのは、 2009年7月1日(最終改正は2012年1月26日)である。つい最近のことだ。

公文書管理法は、行政機関等の公文書を対象としており、司法・立法の公文書は含まれていない。また、地方公共団体の公文書は努力規定となっている。非常に不十分なものだ。

消えた年金や、小沢一郎裁判で明らかになった司法の闇などは、すべて情報公開と公文書管理文化の立ち遅れを物語るものである。

例えば、3.11以降、原発関係の重要事項を決めてきた「原子力災害対策本部」の議事録も作成されていなかった。これは原発事故以降の最大の隠蔽工作であろう。

自明のことを述べるが、会議は司会者と書記の存在を確認してから始まる。それを21回も見逃してたというのは、意図的な情報隠蔽工作である。

また、東日本大震災関連15会議のうち10会議の議事録が「廃棄」された。このうち3会議は議事概要さえない。

民主党政権のだらしのない政治姿勢を浮き彫りにするものである。これはなんと公文書管理法ができた後の2012年のことだ。つまり公文書管理法の制約などほとんど意味がないことがわかる。

このとき、政府は、会議で記録をとられると話しにくいから、と弁解した。もし国際会議でこれをいえば、その幼稚さは物笑いの種になるだろう。

もともと記録を残して教訓化する政治文化がないのであり、政治家が無責任で、保身だけに走っているのである。3.11には何も起こらなかった。政治家に失政はなかった。為政者たちはそういいたいかのようだ。それで福島第1原発事故のあと、原発の維持のみならず、外国への原発輸出が続く。

日本の官僚政治が様々な基準値を緩めるのは、まるで子供の成績を「優」だけに操作する学校現場のようだ。日本の技術はすばらしく、日本人はすばらしい。朝から晩まで犬HKを初めメディアはそのことを繰り返す。

家が燃え盛っている最中に祭り(東京オリンピック)を行う現実無視は、棄民政策の上に成り立ち、政治貴族たちの、保身と利権を保障するのである。

観念領域の非常な頽落、言葉に関わる者の退嬰が、70年代から進捗している。民主党や自民党のみならず、日本の政治家たちのマニフェスト無視、理念の軽視は、強烈な愚民観に基づいている。わたしたちは、愚民観が理念を嗤笑する時代に生きているのである。

この日本の体たらくに対して、米国原子力規制委員会は、福島原発事故発生直後の、3月11日から10日間にわたる、詳細な3000ページ超の議事録を公表した。これによると、米当局は最初からメルトダウンを想定して対応していた。彼我の何たる違いであろうか。

日本側には議事録がないので、世界は今後、米側議事録で日本の福島第1原発事故を研究することになる。

これほど恥ずかしいことはないのだが、マスメディアが行政と一体化しているので、国民はその意味を知らないのである。

情報公開もそうであって、今まで日本の官僚・政治家が国難を救おうと、誰も知らない情報を公開したことなどないのである。すべて米国で公開された日本関係の情報で、日本が大騒ぎしているだけのことだ。

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国民は、国家に公にできない情報が存在することくらいわかっている。しかし、永遠に闇に隠される情報は、あってはならないのである。

なぜなら、それを許せば、ひとりの大臣の恣意的な、あるいは党派的な利権のために、秘密に指定され、60年後に廃棄される情報が出てくるからである。

しかも、そのときの大臣が、非常に愚かであった場合、個人的な理由で秘密に指定し、あるいは廃棄する可能性が出て来る。現在の政治を見ると、その危惧は100%現実化するだろう。

はっきりいうが、「特定秘密保護法案」が狙っているような権限を特定の大臣にもたせるというのは、とんでもない間違いである。

あのCIAでさえ、その諜報活動と情報の隠蔽とが、国益をもたらさず、「Legacy of Aches(灰の遺産)」であった、と退任時のアイゼンハワーは慨嘆している。

ティム・ワイナーの『CIA秘録』には、世界最大の権力の場での、情報と秘密の取捨選択の様が、証言を元に描かれている。

「秘密工作に夢中になったアレン・ダレスは、大統領に情報を提供するという中核的な任務に集中することをやめてしまった。

ダレスはCIAのほとんどの分析家とその仕事の多くを故意に侮っていた。

(中略)

ダレスはいつしか「説明の内容を重さで評価する癖」がついてしまっていた、とディック・レーマンはいう。

レーマンは30年間、 CIAの上級分析官をした後、大統領に毎日届ける報告の作成に当たった人物である。

「ダレスは手で書類を持ち上げて、目を通しもせずに、受け付けるかどうかを決めていた」

当面の危機について助言するため、午後の時間にダレスの奥の院に招き入れられた分析官は、得てして執務室のテレビでワシントン・セネターズの野球の試合を観ている長官の姿を目にしたものである。

安楽椅子にくつろぎ、足を足置き台に乗せて試合に見入っているダレスに、不運な分析官はテレビの後ろから話しかける始末だった。説明が重要なポイントに差しかかっても、ダレスは試合の分析に忙しかった。

ダレスは、目前の生死に関わる問題についても注意を払わなくなっていた」

日本の場合はいささか事情が異なる。劣化した官僚がさらに劣化した大臣に、この情報は秘密に指定したほうがいい、とアドバイスする。官僚のアドバイスが、ダレスの「説明の内容を重さで評価する癖」なのであり、 「大臣は官僚のアドバイスを聞いて、目を通しもせずに、秘密に指定するかどうかを決め」ることになる。

劣化した官僚・政治による、劣化した官僚・政治のための秘密。しかし、国民に閉ざされる情報も米国には提供される。

安倍政権がまとめた「特定秘密保護法案」の最終案では、第九条で以下のようになっている。

「第九条 特定秘密を保有する行政機関の長は、その所掌事務のうち別表に掲げる事項に係るものを遂行するために必要があると認めたときは、外国の政府又は国際機関であって、この法律の規定により行政機関が当該特定秘密を保護するために講ずることとされる措置に相当する措置を講じているものに当該特定秘密を提供することができる」

自国民には情報を隠蔽し、知ろうとした者には重罰を課する。しかし宗主国には進んで情報を提供する。

これは、菅政権によるSPEEDIシステムによる核拡散予測情報を想起させる。菅政権は、SPEEDI情報を、米軍には3月14日には提供していた。にもかかわらず、国民に情報を提供したのは3月23日だった。9日間の時間差は何を物語るのか。

これは、「下々の皆さん」(麻生太郎)は、情報を知る必要はなく、まして政治に関与する必要はなく、政治は自分たちがやる、というグローバリストの宣言なのだ。

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