10月7日に、またぞろ福島第1原発で、作業員の初歩的な操作ミスで、1号機原子炉の冷却注水が一時停止した。
作業員が間違って電源を止めたというものである。この連中が、北半球人類の存亡を担って、いよいよ福島第一原発4号機共用プールの、1535体の燃料集合体の取り出しに関わる。
わたしの悪夢は、取り出し作業中に電源を止めるバカが出ることだ。このような決定的に重要なことは、えてして基本事項の遵守で正否が決まる。
往々にして信じられないような初歩的なミスでカタストロフィを迎えるものだ。現場の作業にまで政府が関わるべきなのだが、一向にその姿勢を見せない。ご丁寧に今度は米国の技術的援助といいだした。
今や明確になってきたのだが、安倍晋三が、福島第1原発で政治が前面に出ると語ったのは、これまで以上に金を出す、といった程度の意味だったのである。
ところで、この世には、読んだときに気になり、日を置いて読み直し、その度に読後感が深刻になる、といった文章があるものだ。
堤未果の9月29日のツイートがまさしくそれである。それは次のツイートだ。
「米国上院司法委員会では「メディアシールド法」改正案が審議中。「ジャーナリスト」を政府が定義しそれ以外の者による情報発信が違法に。
日本の「特定秘密保護法案」では政府の指定した機密に関する情報の発信が不可になる。世界でもネットジャーナリストの投獄件数は最大。それだけ体制側を脅かしてる」
この「メディアシールド法」改正案によると、政府が国民を、あなたは情報を発信してもいい人、あなたはいけない人、と区分けするわけである。こうなるとジャーナリズムの「権力の監視」も、へったくれもない。表現の自由そのものが奪われてしまうわけだ。
すでに特定秘密保護法案の「第二十一条」で、権力によって、報道や取材の自由への定義がなされている。それによると、
1 専ら公益を図る目的を有すること
2 法令違反又は著しく不当な方法によるものと認められないこと
「公益を図る目的」の「公益」とは、もちろん、時の権力、政府の施策に沿ったものになる。それでなければ「正当な業務による行為」とはみなされないわけだ。
植民地のポチ政権が、宗主国の指示通りにこの法案を日本で通すことは十分に考えられることだ。
そのときに日本のマスメディアは反対しないだろう。なぜなら、かれらはその対象に自分がなるとは思わないからだ。
なにしろ大手メディアの幹部が総理と頻繁に会食し、それが首相の動静として新聞に堂々と載る国である。そこで内密に大手新聞・テレビは対象範囲から外す密約ができてしまえば、狙われるのは堤未果のツイートした通り、ネットである。
ネットによる真実の発信は、政府ばかりかマスメディアも困る。なぜなら御用メディアとして国民の愚民化に務め、洗脳と誘導を繰り返す実態がネットによって、日々、暴かれているからだ。
ネット規制で、政府とマスメディアの利害は一致している。いずれ真実を発信しているネットメディアがネットから放逐され、ネットが、進出してきた地上波メディアだらけになる日がくるのかもしれない。つまりネットは死ぬのだ。
9.11から米国は激変し、植民地の日本もそのあおりを食っている。今のところ日本には車を燃やし、商店を壊すような暴動もなければ、自爆テロもない。
国会は自民党を中心とした保守反動政権が盤石の体制を整えている。世相も中国との一戦を辞さぬほど右傾化している。
つまり米国とは違って、わが国には、かくまでネットメディアを弾圧しなければならない必然性がないのである。
要は猿真似なのだ。何も考えず、宗主国からの指示で動いているだけのことなのである。
ところで、この秋にも採決されようとしている「特定秘密保護法案」のルーツは、日米政府が締結したGSOMIA(ジーソミア)にある。
これは、2007年5月1日に、日本と米国が「2プラス2」(日米安全保障協議委員会)で協定締結に合意し、2007年8月10日に、GSOMIA(General Security of Military Information Agreement、ジーソミア)として締結されたものである。
同盟など親しい関係にある2国あるいは複数国間で、秘密軍事情報を提供し合う際に、第三国への漏洩を防ぐ協定である。日本は米国やNATO、フランスと、この協定を締結している。
この締結の際に、米国から日本での法案化が要請されており、それが「特定秘密保護法案」として現在の臨時国会に提出されようとしている。
つまり日本での過剰なまでの情報統制や国民監視の法案提出には、背後に常に米国の要請や指示があるというたて付けになっている。
さて、ここで「特定秘密保護法案」問題の本質を箇条書きに挙げておこう。
1 上にも述べたように、「特定秘密保護法案」はGSOMIAをルーツとして、米国の要請を元に官僚主導で法案化が進んでいる。
2 法案概要では、次の4分野に分けている。
( 1 )「防衛」
( 2 )「外交」
( 3 )「外国の利益を図る目的で行われる安全脅威活動の防止」
( 4 )「テロ活動防止」
この4分野のうち、国の安全保障に著しい支障を与える恐れがあり、秘匿の必要性が特に高いと考えた情報を、行政機関の長が「特定秘密」に恣意的に指定できる。
3 状況的にいえば、政治は一部の世界的な既得権益支配層(グローバリスト)にまかせておけばよい、国民は政治情報など必要ない、という愚民観が「特定秘密保護法案」の背景にある。
4 絶対的権力は絶対的に腐敗する。権力が腐敗し堕落したときに、その情報を最も早く知り得る公務員が、国民にその情報を知らせるのは、中長期的に国家の利益になることである。評価され賞賛されるべき行為である。そういった哲学が、この法案には決定的に欠けている。
考え方が後ろ向きであり、米国に顔を向けた法案である。
5 安倍晋三の「経済特区」がTPPの先取りであるように、「特定秘密保護法案」は、自民党憲法草案の先取りである。
自民党改憲草案には、21条の2項(新設)に、「公益および公の秩序を害することを目的にした活動を行い、ならびにそれを目的として結社することは、認められない」とある。
それを先取りして、 TPPや原発などで、重要な情報が国民に知られた場合、それを「公益および公の秩序を害する」として厳罰に処するものである。
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