また新たな汚染水問題が出てきた。

東電のタンクから、高濃度の放射性物質を含む汚染水300トン余りが漏れたばかりである。

その漏れた場所の近くに掘った観測用の井戸の地下水から、ストロンチウムなどの放射性物質が高い値で検出されたのである。

つまり漏れた汚染水は海に流れたばかりではなく、地下に染み込んで地下水を汚染した可能性が高くなってきた。こんな調子で福島原発については、次々と新たな問題が起きてくる。とてもオリンピックどころではないのである。

2020年オリンピック開催都市は、7日のIOC総会で東京に決まった。イスタンブール、東京、マドリードの順にプレゼンを実施して、開催都市が発表されたのは午後5時(日本時間8日午前5時)だった。

2020年東京オリンピック決定は、世界の1%の富裕層で決めた大会である。世界のジャーナリストも排除されている。様々な密約・取引が裏であり、政治的に東京が決まった。

これで福島は完全に切り捨てられた。いや、被曝し続ける日本国民そのものが切り捨てられた。国際原子力マフィアの底力がわかった総会だった。

4日 、ブエノスアイレスのホテルで、東京招致委員会が国内外向けに記者会見を開いた。そこでは福島原発の汚染水漏れ問題への懸念が相次いだ。会見で出た質問6問中4問が汚染水絡みだった。

竹田恒和理事長(日本オリンピック委員会会長)は「東京の放射線レベルは世界の他の都市と同じでまったく問題ない」、「最後のプレゼンテーションで、安倍総理大臣がこの問題について語ると思うし、安心していただける」の一点張りで切り抜けようとした。

これが逆効果で、記者会見後にある外国特派員は「(この記者会見での竹田の答え方は)壊滅的」と評した。 これはどういうことかというと、わが国の要人は日ごろから日本の御用メディアに接している。そこでは黒を白といっても追及されることはなく、そのまま報道してくれる。

マスメディア自体が既得権益の最大の享受者である。その権益を守るためには消費税増税に賛成して、その見返りにメディアへの減税を要求するような劣悪な存在である。

しかし世界のメディアは違っていた。

トヨタ自動車名誉会長の張富士夫評議委員(日本体育協会会長)が、「東京五輪はビジネスチャンスになる」、「東京でオリンピックが開催されれば、大会スポンサーに日本企業が殺到することは間違いない」と述べたことも、ロイター通信は、「招致の失敗につながりかねない汚染水問題から目をそらすために、経済力を強調した」と切り捨てた。

「多くの質問が繰り返されたのに、竹田理事長は詳細を明かすことを拒んだ」(英国を拠点とする五輪専門メディア『インサイド・ザ・ゲームズ』)

「東京は安全性を強調するばかりで、この問題に正面から答えていない。これは深刻な問題で、もっと真剣に考えるべきだ」(イギリスのインターネットメディア)

「会見の答えには満足できない。この質問はこれからも聞かれ続けるだろう」(米国の通信社)

これが本当のジャーナリズムなのだ。しかし、日ごろから日本の劣悪な御用メディアに接しているので、日本の支配層は対応できなかったのである。

日ごろからツイッターやフェイスブックなどで、脱原発のために精力的に情報発信を繰り返しているドイツ在住の Emi Kiyomizu は、9月5日のフェイスブックで、「ドイツテレビの日本でのオリンピック開催をテレビで宣伝していることについての批判!」と題して、次のように投稿している。以下は Emi Kiyomizu の紹介するドイツテレビの司会者の発言である。

「福島第1原発から4時間で死亡する高放射線が流出されているのに、日本のテレビはオリンピックの宣伝がされている。

東電は事故後から放射腺の流出が分かっていたのに、何も準備をしなく、遮水壁も節約する為に作らなかった。国民も福島第1原発事故の事は忘れたようで普通の生活をしている! 安倍首相は2020年には放射腺が無くなっているから心配は無いと発言した! まるで夢のような事を言ったのである!」
(引用終わり)
http://bit.ly/17D0ikv

これが世界の99%を代表する意見だ。

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オリンピック開催は、世界の良識と、日本の利権層(とくに原子力村)の嘘との、対決だった。

東京は安全だ、と世界を騙してまで利権にしがみつく。2020年オリンピックまでに汚染水問題を解決する、と不可能なことを約束してまで利権が欲しい。

ルソーは『エミール』のなかで「嘘には二種類ある。過去に関する事実上の嘘と、未来に関する権利上の嘘である」と書いた。

安倍晋三はこのふたつにまたがって嘘をついた。ひとつは、東京は安全だという過去に関する事実上の嘘であり、2020年には汚染水問題は解決しているという、未来に関する権利上の嘘である。

開催国が日本に決まったので、日本は大変なことになった。ところが、安倍晋三が世界に向けてついた嘘を、どのメディアも問題にしない。追及しない。少なくともこの二日間、朝から晩まで大はしゃぎである。

IOC総会当日、安倍晋三は、IOC委員から汚染水問題について質問を受けた際、「新聞のヘッドラインではなく、事実を見てほしい」と答えた。つまり、日本のマスコミ報道よりは事実を見よ、と発言したのだ。これへの怒りの反論がないのは、日頃から嘘ばかり報道しているので、何とも思わなかったのかもしれない。腐っているのである。

『真実を探すブログ』が、「政府が世界版SPEEDI(WSPEEDI)で作成した放射能汚染地図」を紹介してくれている。これは「各地の測定データとも一致しており、何よりも「政府が作成した」ということで、これが最低ラインの汚染であることを確認」できるとしている。

この汚染状態を見て、東京は安全といえるだろうか。
http://bit.ly/163H1Z6

それ以外にも、これまで来日して東京を独自に調査してきた世界の学者たちの、放射能汚染地図がある。今後、それらの学者たちから厳しい批判が出るだろう。IOCに対する責任問題も追及されるだろう。

欧米を中心に世界中のメディアに取り上げられることで、これまで東京の放射能汚染に無関心で観光旅行に来ていた人たちも、もう来なくなるだろう。観光客の激減に結びつく可能性が高い。

知られているようにすでに世界各国の税関で日本人は、とりわけ福島県人は厳しい検査の対象になっている。

最悪の問題は、安倍晋三が2020年までの汚染水の解決を国際公約としてしまったことである。

本人は、7年後には総理を辞めているから、と高をくくっているだろうが、劣悪な日本のマスメディア、それに政治的民度の低い日本国民と、世界のジャーナリズム、世界の政治とでは、責任の問い方、取り方が違っている。世界は福島原発の汚染水問題と日本政府の取り組みをどのように見ているのか。それをルモンド紙の9月3日付けに見てみよう。

「福島事故を収拾できない日本政府、自滅する東京電力~「嘘をつく東電」から「無能の東電」へ

東京電力は目に見えて社会の信用を失い続けており、福島原発で次々と発生する不祥事のために衰退の一途をたどっている。

参議院選挙が終わった翌日の7月22日、東京電力は福島原発事故の発生以降2年以上にわたる否認の末に、一日300トンもの放射性汚染水が太平洋へと流出している事実を認めた。

以来、壊れた原発で起きている新たな不祥事が報告されない日は一日も無い。

8月31日、東電は汚染水貯蔵庫の近くで高い放射線量が確認されたことを認めた。それは10日前に測定された値の18倍に上る高い数値で、4時間でその場に居合わせた人全てを殺すのに十分なレベルに至っていた。

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