情報を外国に向けて発信する。これがどれだけ多くの力を持つか。そのひとつの例を挙げる。

ことの発端は、「桜乱舞流」という名前の、日本のロックバンドを名乗る者が、従軍慰安婦出身の女性を売春婦だとののしる歌詞のCDを、元慰安婦の女性らが住む京畿道広州(キョンギド・クァンジュ)の「ナムヌの家」に郵送した。

小包には「売春婦ばばあどもを殺せ。朝鮮のやつらをたたき殺せ」、「売春ババア殺せ、チョン斬れ」という歌詞のCDが入っており、韓国語訳の歌詞が同封されていた。

ところが、小さな「悪戯」が、本人たちも予想だにしなかった大きな国際問題に発展してきた。

これは、一連の、日本維新の会橋下徹の問題発言や、西村真悟衆院議員(後に維新から除名処分)の「韓国人の売春婦はまだうようよいる」発言の前だった。

ところで、在日米軍の風俗業活用の勧めと、従軍慰安婦を巡る橋下徹の発言の影響で、日本維新の会の支持が急落してきた。

もともと小沢潰し、日本未来の党(当時)潰しのために、マスメディアによって作られた偽物の実力、偽物の人気である。日本維新の会の正体は、第二自民党であり、橋下徹は自民党安倍派ということである。それに国民が気付いてきた。そこへ橋下の女性蔑視発言が追い打ちをかけた。

ついに、参院比例選に立候補する予定の松本和巳元衆院議員が、5月23日になって、明確に橋下徹の発言を理由に出馬辞退するところまで発展してきた。

おそらくこの動きは松本にとどまらないだろう。

参院選の前に都議選があるが、この都議選の結果を見て、参院選立候補辞退と離党の動きが加速するだろう。

日本維新の会国会議員の暴言は、実は暴言ではない。どのひとつをとっても信念に基づいている。確信犯なのである。

話を元に戻そう。

国連の社会権規約委員会が、「日本は(日本国内の)ヘイトスピーチ(特定の人種・性・宗教などに対する憎悪が混ざった発言)と元従軍慰安婦の女性たちを侮辱する行為を防ぐため、国民に慰安婦に対する搾取の問題を教育すること」を求めてきた。

この国連の社会権規約委員会は、国連の人権保障条約である「経済的、社会的及び文化的権利に関する国際規約(社会権規約)」の締約国を対象として、定期的に見解を発表している機関である。実際の法的な拘束力はないが、締約国政府はこの見解を誠実に受け入れる義務がある。

社会権規約委員会の日本審査では、複数のNGOが国内の人権状況を報告したという。そのなかで、「桜乱舞流」が「売春婦ばばあどもを殺せ。朝鮮のやつらをたたき殺せ」、「売春ババア殺せ、チョン斬れ」という歌詞のCDを、韓国の元従軍慰安婦に送りつけたことも報告された。

わたしは、韓国のロビー活動が相当に強烈に展開された結果だと思う。

日本の人権問題で最も深刻なのは、福島の子供たちの被曝である。それが取り上げられた形跡がない。そして喫緊の人権問題として、ほんの一部の右翼が叫んでいるヘイトスピーチが取り上げられる。

「桜乱舞流」のような、はみだしグループは世界中にいる。これは、はみだしグループではないが、れっきとした韓国の大手新聞『中央日報』(2013年5月20日)の社説が「安倍、丸太の復讐を忘れたか(1)」として次のように述べた。こういうのは社会権規約委員会は問題にしないのだろうか。
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「神は人間の手を借りて人間の悪行を懲罰したりする。最も苛酷な刑罰が大規模空襲だ。歴史には代表的な 神の懲罰が2つある。第2次世界大戦が終結に向かった1945年2月、ドイツのドレスデンが火に焼けた。 6か月後に日本の広島と長崎に原子爆弾が落ちた。

これらの爆撃は神の懲罰であり人間の復讐だった。ドレスデンはナチに虐殺されたユダヤ人の復讐だった。広島と長崎は日本の軍国主義の犠牲になったアジア人の復讐だった。

特に731部隊の生体実験に動員された丸太の復讐であった。同じ復讐だったが結果は違う。

ドイツは精神を変え新しい国に生まれた。だが、日本はまともに変わらずにいる。

(中略)

満州のハルビンには731部隊の遺跡がある。博物館には生体実験の場面が再現されている。実験対象は丸太と呼ばれた。真空の中でからだがよじれ、細菌注射を打たれて徐々に、縛られたまま爆弾で粉々になり丸太は死んでいった。少なくとも3000人が実験に動員された。中国・ロシア・モンゴル・韓国人だった。

丸太の悲鳴が天に届いたのか。45年8月に原子爆弾の爆風が広島と長崎を襲った。ガス室のユダヤ人のように、丸太のように、刀で頭を切られた南京の中国人のように、日本人も苦痛の中で死んでいった。放射能被爆まで合わせれば20万人余りが死んだ」
(引用終わり)

日本で「桜乱舞流」というバンドを知っている人はほとんどいないだろう。それが送りつけたCDがヘイトスピーチ防止ということで国連で報告され、取り上げられる。しかも教育などを通じたヘイトスピーチ防止を求めるというのは、教科書問題でいつも抗議してくる韓国の、国連でのロビー活動を強く印象づける。

他方、『中央日報』は韓国の大手新聞であり、その組織だった影響力は「桜乱舞流」の比ではない。

広島と長崎に投下された原子爆弾は、「神の懲罰であり人間の復讐だった」し、「日本の軍国主義の犠牲になったアジア人の復讐だった。特に731部隊の生体実験に動員された 丸太の復讐であった」とする。これほど極端な、組織だった、圧倒的な影響力を持ったヘイトスピーチはないのではないか。

国連のような国際機関がもっともやってはいけないことは、中立公平の立場を忘れて、一方的な情報で結論を出すことだ。

韓国で日本バッシング、日本へのヘイトスピーチがあっても日韓両国とも問題にしない。ところが日本で韓国バッシング、韓国のヘイトスピーチがあると、韓国よりも先に日本で問題にされ、首相が国会で追及される。

わたしはそれが悪いといっているのではない。過去の歴史があり、軍国主義に戻ろうとする日本の政治状況があるからだ。

ただ『中央日報』の社説は明らかに一線を越えている。広島・長崎の原爆投下で死んだ人々は、普通の庶民である。「神の懲罰」がこの世にない以上、神に成り上がって復讐を遂げているのは『中央日報』であり、書いたキム・ジン論説委員である。

広島市の松井一実市長は「被爆者の思いを共有する両国民、日韓両国民のまっとうな気持ちを傷つけるようなことをなぜするのだろうか」と社説を批判した。

田上富久長崎市長は「内容は論理的でなく感情の産物で、日韓関係を悪化させている」とし「お互いの文化に対する理解を深め、友好関係を構築できるよう努力することが重要だ」とこれも批判した。

『中央日報』のような国民の反日を煽る行動は、日本のためにならないばかりか、韓国のためにもならない。こういう韓国の動きは、日本の反韓・嫌韓ムードを強める。そして『中央日報』がもっとも恐れた日本軍国主義の復活を早める。キム・ジンはけっして利口な人物ではないのだ。

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