民主党代表の海江田万里が、福岡市内で次のように街頭演説をした。

「先の党首討論で二つのことを感じた。安倍晋三首相はホームレス、年金生活者、中小企業の経営者、若い失業者といった人たちの声をくみ上げる認識がないこと。

もう一つは日本維新の会の石原慎太郎共同代表、みんなの党の渡辺喜美代表も安倍首相と議論したが、安倍自民党内閣に正面から対決する政党は民主党しかないこと。安倍さんの支持率が高くても、しっぽを振るような政党ではいけない。

私たちは手をさしのべてもらいたいと思っている人たちのための政治を行う。今度の参院選をスタート台にして、政権与党の座に返りたい。もう一度、民主党にチャンスを下さい」

海江田万里といえば、 09年の政権交代を果たした後の最初の国会で、首相の鳩山に向かって「君子は豹変する、という言葉は、悪い意味ではない」と説いた姿を、わたしは今でも鮮明に覚えている。

いずれにしてもこんな街頭演説をしているようでは、民主党に明日などない。

民主党に向けられた国民の怒り・絶望を、海江田は十分に掴んでいない。民主党がやってしまった悪政の自覚が足りないのである。

「安倍晋三首相はホームレス、年金生活者、中小企業の経営者、若い失業者といった人たちの声をくみ上げる認識がない」とはよくいえたものだ。目糞鼻糞を笑う、とはこのことだ。安倍晋三と同じことを菅直人と野田佳彦がやったことは歴史的事実である。

野田がやった消費税増税は、これから「ホームレス、年金生活者、中小企業の経営者、若い失業者」を直撃する。

貧困率が、2006年データによると、我が国は15.6%である。西欧諸国の大半の貧困率が10%以下である。日本は凄まじい超格差社会になっている。

しかも、警察発表でも自殺率は英国の3倍、米国の2倍。西側先進国でぶっちぎりの1位だ。これから野田民主党のやった消費税増税が、その自殺者を激増させる。

自民党の橋本政権時に、2%の消費税増税値上げで、自殺者は1万人も増加した。今度は5%の値上げだ。誰が責任をとるんだ。民主党ではないか。

しかも我が国の自殺者は、警察発表の年間に3万人以上どころではなくて、実は10万人を毎年超えている。それが14年間続いていて、なおかつ消費税増税をやるというのは、自殺者を何とも思わない、自殺者を前提とした経済システム、国家ができあがっているからだ。

政治家も企業家も、民族という概念は、もうないのである。彼らの国民を見る目は、限りなく奴隷を見る目に近い。

何が「もう一度、民主党にチャンスを下さい」だ。それよりこれから何年にもわたって、民主党は自分たちの悪政の悲惨な結果を見ることになる。それは、消費税増税による自殺者の激増、脱原発を明確にしなかったための放射能まみれの恐怖の国、TPP参加による米国の植民地化、等である。

それに民主党には、民主党壊滅のA級戦犯、菅・岡田・野田・前原・枝野・安住・玄葉らが無傷のまま残っている。

万が一、海江田の呼びかけに応じて民主党が再び政権の座につけば、このA級戦犯たちが再び政権の表に顔を出してきて、以前にも増して国民無視、少数野党無視、民主主義無視の悪政を再開することは明らかである。

もともと民主党には、嘘つきの他に、もう一つ忌まわしい党文化がある。それは無責任という文化だ。

参院の選挙で惨敗しても菅は責任をとらなかった。小沢が無罪になっても岡田は知らぬ顔である。何十名離党しても野田は辞める気配はなかった。不可解なのは、辞めろという、大きな声が起きなかったことだ。この嘘つきと無責任の党文化に下された審判が、先の衆議院選挙での民主党惨敗だったのである。

民主党に待っているのは、200億円余の政党交付金をめぐるぶんどり合戦と、夏の参議院選挙での党の壊滅である。

唯一生き残る可能性があるのは、民主党壊滅のA級戦犯たちを除名処分した後に生活の党と合流し、再度小沢一郎の指南を受けることだ。しかし、そのような知恵も膂力も民主党には残されていない。

A級戦犯を中心に、民主党は自分たちの政治家としての破たんに気付いておらず、これから未来にかけて自殺する何万人もの国民の血で濡れていることもわかっていない。

「くそっ、バカでお人好しの国民に知恵をつけやがって」と彼らは怒るかもしれないが、彼らはいつでもまたわれわれを裏切るのである。
ブログランキング・にほんブログ村へ
ところで、古今東西、民衆の側に立って真実を語るものは常に少数派だ。この少数派は貧しい民衆の側に立つことによって体制に攻撃され排除され、実入りの悪い世界に追いやられる。それに耐えられるかどうかが、本物の知識人か、そうでないかの分水嶺になる。

ここで断っておくが、私はここで政治家も含めて知識人と呼んでいる。

消費税増税を悪政と知りながら、民主党内で出世を奪われることを案じて、菅直人や野田佳彦につき従った政治家たちも、三流の政治家、三流の知識人である。

ここで重要なことをひとつ述べておく。それは菅直人や野田佳彦に大勢順応でつき従った政治家たち、あるいは消費税増税に賛成し、原発維持推進に賛成し、 TPPにも賛成する現在の「記者クラブ」メディアの連中(彼らもまた知識人である)は、これらの問題が国家と国民に災いをもたらすことがわかっていて賛成しているということだ。

ただわかっているとはいっても、軽く、浅く、わかっていて、その理解に哲学や思想や想像力が関与していないのである。だから処世の天秤にかけて、軽く、浅く、裏切ることができるのだ。

ここで政治家とは違う知識人を見てみよう。最近、TPP参加反対に、大学教員870人が賛同して表明した。

「TPP参加交渉からの即時脱退を求める大学教員の会」というのができていて、呼びかけ人は次の大学教員である。

伊藤誠・大西広・金子勝・鈴木宣弘・醍醐聰・萩原伸次郎

この大学教師たちは、早くから様々な機会をとらえてTPP参加の警鐘を鳴らしていたから、わたしは何もいうことはない。

しかし大学教師たちの、何という動きの鈍さ、行動の遅さであろうか。

まるでアリバイ作りに上記の会を立ち上げ、声明を発表したといわれても仕方がないほどの遅さである。このことは誰もいわないだろうから、わたしがいっておく。

この「TPP参加交渉からの即時脱退を求める大学教員の会」が声明を発表したのが、2013年4月10日である。

「即時脱退を求める」となっていることからもわかるように、すでに安倍晋三は参加を表明している。誰が見たって声明の発表は参加表明の前に行われなければ有効ではないのだ。

今頃になって大学教師が反対声明を出したところで、安倍晋三が引き下がる訳ではない。

当然、この声明の2日後の4月12日に、安倍晋三はTPP交渉参加に向けた日米間の事前協議が決着したと発表した。

大学教師の声明の10日後、4月20日には、参加11か国すべての承認を得て、7月のTPP交渉参加が正式に発表された。

運動としては何の効果もなかったわけだ。一部の大学教師が一応反対声明はだした、という間抜けな事実が残っただけだ。

大学教師が反対声明を出すなら、遅くとも菅直人がTPP参加を打ち出し、「第3の開国」と、はしゃいだときである。ここで「第3の開国」論のまやかしを暴露し、 TPP参加の危険性を国民に展開してこそ、大学知の存在理由と矜恃があるのだ。あまりにも遅すぎる。

ブログランキング・にほんブログ村へ
この続きは、

有料メルマガ『兵頭正俊の優しさ出前』 でご覧いただけます。

2011年10月1日より「兵頭正俊の優しさ出前」(月額:840円(税込)/配信サイト:まぐまぐ)を配信しております。

月・水・金・それに号外と発行しております。

「記者クラブ」メディアの情報操作と国民洗脳を対象化し、あなたを現在とは違うステージに招待します。

携帯の送受信の制限を考慮して、分割して送信するように改善しました。

価格以上の価値があると自信があります。ぜひ購読のご検討をお願い申し上げる次第です。

なお、この号の続きは読めませんが、無料メルマガ『兵頭正俊の知らなきゃ滅ぶニュースの真相』PC用 携帯用 を2011年8月29日より、配信サイト「まぐまぐ」から配信しております。

無料で、ほぼ週刊です。

携帯の送受信の制限を考慮して、分割して送信するように改善しました。

ご登録をよろしくお願いします。
ブログランキング・にほんブログ村へ