3月26日に、財団法人日本青少年研究所が、高校生の意識調査の結果を公表した。この調査は昨年9~11月、日本、中国、韓国、米国4か国の高校生計約6,600人にアンケートした。それによると日本の高校生の「出世欲」の低さが際だつとした。

同研究所はその理由として「不況の影響か、『とにかく就職さえできればいい』といった意識が垣間見える」と分析している。

バカな分析だ。「偉くなりたいと思うか」という質問に「強く思う」と答えたのは、中国37%、米国30%、韓国19%で、日本はわずか9%だった。

日本の若者が将来に夢を持たないというのは、これまでも様々な調査から明確になっている。何も「不況の影響か、『とにかく就職さえできればいい』といった理由のためではない。

若者が夢を持たないというより、夢を持てない社会を大人が作ったのである。正確にいうとこの国の既得権益支配層が、とりわけ自民党の政治が作ったのである。

高校生が将来偉くなりたいと思わないのは正しい。

なぜなら偉くなりたいと思っても、今の日本では不可能なことをよく知っているからだ。

米国や中国にはまだその可能性があるのである。だから高校生たちは夢を持てるのだ。

我が国の若者はデモひとつしない。デモをやって、もし警察に捕まったら、学校ににらまれ、「反社会的」 「危険人物」 「過激派」の烙印を押される。

デモは世直しの行為であり、この国を愛するからこそ立ち上がった、考える若者たちの行為であるという共通認識が、 68~69年の全共闘運動の敗北以来、既得権益支配層によって奪われた。そしてそういった若者の主張を決して社会が受け入れない時代が続いている。

60年安保闘争、全共闘運動では、まだそういった認識が政治家にも知識人にもマスメディアにも存在した。

今の若い人たちは意外に思うかもしれないが、新聞はもちろん、テレビ、週刊誌、月刊誌も、スクラムを組んで立ち上がり、政府に抗議のデモをする若者たちに理解を示していたのである。

路上の市民からの声援はもちろん、デモの若者にカンパする市民も大勢いた。

この国は変えられる、この社会は変えられる、という共通認識が若者にも大人にも存在した。それが今はもうない。

68~69年の全共闘運動の敗北以来、若者はもう立ち上がらない。むしろ資力さえあれば考えられるのは国外への脱出であり、移住なのだ。

大学知を批判した教え子たちを、警察権力に引き渡した大学教師は自信を失って沈黙し、消費税増税にも原発再稼働にもTPP参加にも何も発言しない。

大学知は国民との接点を失い、状況から逃げ回るばかりだ。たまにメディアに登場する大学教師はほとんど御用学者であり、既得権益支配層を支持することしかいわない。その理由は明白である。自分たちが既得権益支配層そのものだからだ。
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政治の劣化はもっと著しい。民主党の野田佳彦はTPP参加に賛成しながらISD条項を知らなかったし、自民党の安倍晋三は「憲法改正」を唱えながら、我が国の憲法学会で最も著名な憲法学者の名前を知らなかった。

安倍晋三の、この体たらくが明確になったのは、2013年3月29日の参院予算委員会でのことである。民主党小西洋之の、「安倍総理、芦部信喜さんという憲法学者ご存じですか」との質問に、安倍は「私は存じ上げておりません」と答えた。「私は憲法学の権威でもございませんし、学生だったこともございませんので、存じ上げておりません」

ところが質問した小西は、事前に質問を通告し、当日に資料配布もしていたというから呆れる。

芦部信喜(1923~1999)は、べつに法学部の学生でなくても一般教養で憲法を学べば必ずといいほど名前の出る学者である。

わたしは学生時代に文学部で日本文学を専攻した。しかし、憲法の宮沢俊義、民法の末川博、我妻栄、刑法の団藤重光といったところは学生時代に著作を紐解き、末川博の講演は何度となく聴き、個人的にも話を伺い、氏のサイン入りの著作もいただいた。

デモをしない学生も梯明秀や丸山眞男、吉本隆明、黒田寛一といったところを読んでいたし、読まない向きも名前は知っていた。

こういうのが60年代、 70年代の大学を覆っていた一般的な空気であった。

それが安倍晋三のように「憲法改正」を長年の政治的主張としている政治家が、我が国で最も著名な憲法学者にして、文化勲章授章者の名前も知らなかったというのは、笑い話では済まされない。

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