日本の景気動向と政治状況を見るときに、不動産市況を見るのは、優れた方法である。

『Forbes』に、長嶋修の[日本の不動産最前線]、「第1回」と「第2回」とが載っている。ここにポイントをまとめておく。

後にリンクを張っておくので、ぜひ全文をお読みいただきたい。日本の官僚と政治家がいかに愚かで無責任であるかが、よくわかる。

1 東日本不動産流通機構によると、3月の首都圏における中古マンション成約件数は3590件と前年比で3.7%減少。6か月ぶりに前年同月を下回った。不動産経済研究所によると4月の首都圏新築マンション発売は39.6%減の2693戸と4か月連続減。契約率は67.6%と、好不調の分岐点とされる70%を再び下回っている。

2 日本の住宅市場は今後、少なくとも新築市場について回復する見込みはない。そのふたつの理由。

(1) 「圧倒的な需要不足」。今後本格的な少子化・高齢化が進み、生産年齢人口は大幅に激減。住宅購入層である30-40歳代の社会保障負担割合が増加し、住宅購入適齢期である30代は年々減少する。

(2) 「供給過剰」。住宅市場では毎年90万戸ペースで新築住宅が量産されている。今後アベノミクスが奏功して新築着工が120万戸ペースに回復すれば、2040年に全国の空き家率は43%、60万戸ペースに激減しても36%になるといった恐ろしいシミュレーションがある。

3 日本の空き家率は2013年時点で13.5%、空き家数はすでに820万戸(総務省・2013年時点)に達し、いまなお空き家は年々増加。2030年には空き家率が30%を超える。

4 住宅市場で好調なのは、都心の超一等地や郊外・地方都市の駅近・駅前物件などほんの一部。物件種別でいえばマンションだけが価格上昇、それ以外の住宅地・戸建住宅はむしろ下落トレンドにある。

5 これから日本の多くの街は「空き家だらけのゴーストタウン」になる。

6 都市の空き家率が30パーセントを超えると都市環境が悪化し、居住快適性が著しく低下する。

7 空き家が増加する根本的な原因は世帯数でも人口減でもなく「新築の造り過ぎ」だ。西欧では多くの国で、10年間の「住宅需要」「住宅建設見込み」を推計し、それを基に住宅政策を決定する。日本にはこうした目安がない。

今も90万戸程度の新築住宅を量産する日本に、空き家が増大するのは自明なのだ。適正な新築数はおそらく45万戸程度。イギリスと同じ7.2%なら年間着工は35.9万戸程度。イタリアと同じなら41.47万戸。10%にするなら49.9万戸程度が適正だということになる。

8 日本全体の住宅価格は2010年から2040年にかけて46%下落する。2000万円の住宅がわずか1080万円になる。

9 実際には立地によってその騰落は大きく異なる。首都圏では鉄道路線によってものすごい格差が広がる。2035年、田園都市線は夜間人口が20.7%増、生産年齢人口が6%増。それに京王線、東横線が続く。一方で最下位は東京スカイツリーライン(旧東武伊勢崎線)。夜間人口・生産年齢人口ともに著しく減少し、とりわけ生産年齢人口は36.1%も蒸発する。全体として極端な「西高東低」の傾向にある。

「マイナス金利が住宅市場に効かない2つの理由」(「第1回」)

「ゴーストタウン化!? 日本都市の空き家が社会問題に」(「第2回」)

「9」の、東京の極端な「西高東低」の傾向は、放射能汚染のせいであろう。要は、東京でも福島に近い東よりほど人口減少が進む。都民の気持ちは、反対の西側に少しでも「避難」したいのだろう。この傾向は年とともにさらに極端になっていくだろう。

ヘンリー・ファレル(ジョージ・ワシントン大学准教授(国際関係論))は、「パナマ文書とトマ・ピケティ ― 格差の全貌を把握する最初のステップ」のなかで書いている。

「パナマ文書がもつ本当の意味の比較対象としてふさわしく、しかも今後の展開を考える上で有益なのは、スノーデンでもジュリアン・アサンジでもない。それは、著名なフランスのエコノミスト、トマ・ピケティだろう。

(中略)

本当の問題は、(格差をめぐる)不十分なデータしか存在しないことだけではない。富裕層は、富を隠す驚くべき手段と動機をもっている。ピケティの共同研究者であるカリフォルニア大学バークレー校のエコノミスト、ガブリエル・ザックマンは7兆6,000億ドルもの隠し資産がオフショア金融センターに存在すると試算している。

(中略)

かつて経済エリートたちは自己資産を守るために国内における法の支配の確立に関心をもっていた。だがいまや彼らは、ミラノビッチに言わせれば「誰もその資金の出所を尋ねることのないロンドンやニューヨークに資金を移すことに躍起になっている

金融のグローバル化は、ウィリアム・ギブソンの風刺的SF小説で描かれたような世界を作り出しつつある。社会の周辺にいる者にとって富裕層は不可知な存在であり、富裕層自身にしか実態はわからない。

ピケティは、この見えない世界の仕組みに光をあて、それを揺さぶりたいと考えている。彼は、普通の人々が富の全体像を理解できないのは、それを客観的に理解する術がないからだと考えている。したがって、富というものがいかに重要で、それを誰が保有しているのかを人々が理解できるような、新たな情報を迅速に広めていく必要がある」(『Foreign Affairs Report』2016 NO.6)

ヘンリー・ファレルの論文で、刮目に値するのは、「パナマ文書がもつ本当の意味の比較対象としてふさわしく、しかも今後の展開を考える上で有益なのは、スノーデンでもジュリアン・アサンジでもない。それは、著名なフランスのエコノミスト、トマ・ピケティ」としたことだろう。

わたしにいわせれば、「パナマ文書」リークのほんとうの意義は、古典的な意味ではマルクス、現代的な意味ではトマ・ピケティの論を比較対象として引き寄せたことであろう。

世界の富裕層は、「富を隠す驚くべき手段と動機をもってい」たばかりではない。お互いに助け合っていたのである。その連帯の強さは、バラバラに分裂させられた99%と好対照である。

ガブリエル・ザックマンの試算では、7兆6,000億ドルもの隠し資産がオフショア金融センターに存在する。

日本の場合、大企業(大銀行)が赤字を出し、公的資金を受けてきたが、実際は、潤沢な資産をロンドンやニューヨークに隠している。

1%の不正の元締めがロンドンとニューヨークである。

問題なのは、多くの99%が富裕層のこの真実を知らないことである。日本にいたっては、社会保障の充実のためには消費税増税10%もやむを得ないと洗脳されている有様だ。

今回、安倍晋三が消費税増税10%を再延期したために、さまざまな社会保障の削減は仕方がないと信じ込まされている。

日本企業は世界第2位の税逃れをタックス・ヘイブンでやっている。そればかりではない。

99%の消費税増税の恩恵を受ける、1%の法人税減税、大企業の輸出戻し税、さらには世襲議員に免除される相続税の特典(政治家の税金はサラリーマンの10分の1)などがある。

また、高級官僚の天下り(官僚の天下り先の公益法人には、原則として税金がかからない)、渡り、宗教法人や大地主への優遇課税、それに安保村利権、原子力村利権なども、広義のタックス・ヘイブンといっていいだろう。

結局、消費税は、1%においしい税制であり、もっとも99%を苦しめる、不公平で非人間的な税制なのである。それを10%に上げたかったが、さすがに99%が音を上げてきた。政権交代になっては元も子もないことから、再延期の選挙になったわけだ。

社会保障の財源は、収入に応じて、富める者から多くをとり、貧しい者からは少なくとって賄う。つまり所得税を中心に考えるのが一番いい。

1%は、先手を打って、資産をタックス・ヘイブン(租税回避地)に隠匿しているのである。

現在、61兆円にも及ぶタックス・ヘイブン脱税額に、法人税をかけると、約14兆円の税収になる。つまり消費税率1%で税収2兆円とすると、ケイマン諸島分だけで7%になる。世界中のタックス・ヘイブン(租税回避地)に逃れている資金を合計すると、消費税増税どころか他の税金もいらないことになる。

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