5月29日に、FIFA(国際サッカー連盟)で開いた会長選挙で、ブラッター会長が5選を果たした。

しかし、その直前、米国の司法当局が、FIFA幹部に賄賂などの受け渡しがあったとして、FIFAの関係者9人と関連会社の幹部ら5人を組織的不正の罪などで起訴した。

これに対してプーチン大統領が怒っている。

モスクワオリンピック、昨年のソチ冬季オリンピック、そして今回のW杯の開催と、これまで米国はロシアの世界的な催し物をことごとく妨害してきた。

2018年のワールドカップはロシアでの開催がすでに決まっている。この決定には現職のブラッター会長の意向があったと報じられている。

これは、会長選挙の直前に逮捕されたことから、現職のブラッター会長の5選を妨害するためのものであろう。

5選は果たしたものの、これで2018年のワールドカップロシア開催はどうなるか、混迷してきた。

ロシアのプーチン大統領は、「ブラッターFIFA会長の再選を妨げようとする明らかな試みだ」
「問題が起きたとしても、米国の領土内で起きていない問題は米国には関係がない」「自国の司法権を他国に適用しようとする(米国の)露骨な試みだ」
と述べ、FIFAへの強制捜査を批判した。

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この問題はFIFAの汚職問題という側面も確かにある。しかし、新冷戦の現象として捉えることが何よりも大切である。

ロバート・レグボルド(コロンビア大学名誉教授)は、「ロシアとの新冷戦を管理するには」のなかで、「20世紀の冷戦と現在のそれが大きく違っているとはいえ、新冷戦はかつての冷戦と特質の多くを共有している」として、次の5点を挙げている。

「<新旧冷戦の共通項>

第1に、現在のロシアと欧米の指導者たちは、20世紀の冷戦初期にみられたような非常に強い調子で対立を描写している。スターリンは1946年2月に、イギリスのチャーチル首相はその1か月後に、両陣営の対立がもはや避けられないことを明確に表明する演説を行っている。

同様に、現在のプーチンも2014年3月のクリミア編入を擁護して、次のように強弁している。アメリカとヨーロッパの同盟国は、国際法ではなく銃の掟を指針としている。自らの「例外主義」ゆえに主権国家に対して国際法を踏みにじってでも武力行使ができると考え、「われわれの側に付かなければ、われわれに敵対している」とみなす強引な原則を基に連帯の形成を試みている。

一方、同年5月にはNATOの ヴェルシボウ副事務総長も、もはやロシアは「パートナーではなく、敵とみなすべきだろう」と表明した。

第2に、かつての冷戦初期同様に、双方は「相手国の特質、あるいは行動」のせいで、現在の対立がもたらされたと一方的に考えるだけで、現在の冷え込んだ関係が複雑な相互作用によってもたらされていることに目を向けようとしない。

相手に責任のすべてを押しつけようとするこの態度は1950年代末から1960年代初頭の米ソ関係を想起させる。当時の米ソは相手を本質的に相容れない異質な存在とみなしていた。

(中略)

第3の共通点は、20世紀の冷戦期同様に、互いに相手との関係に多くを期待しなくなっていることだ。特定のアジェンダをめぐって双方の利益が重なり合うときには、一時的に協調する機会が浮上するかもしれない。だが、関係全般を変化させるために、全面的に協調できるとは双方とも考えていないし、その方向に向けた第一歩を先に踏み出すつもりもない。

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第4に、モスクワにペナルティを課し、さらなる侵略の代価を示唆する現在のアプローチも、冷戦期の報復スタイルと似ている。すでに2014年3月以降、軍部間の交流もミサイル防衛に関する交渉も中断されている。

(中略)

第5に、ヨーロッパ中枢での安全保障をめぐる対立が20世紀の冷戦の震源となったのと同様に、中央・東ヨーロッパにおける安定の不透明化が今回の冷戦対立のメカニズムを形作っている。1990年代以降、バルト諸国を含むNATOの東方拡大によって、ヨーロッパの政治的・軍事的境界は旧ソビエト国境と隣り合わせになり、ベラルーシ、モルドバ、ウクライナを新たな東西の境界国家にしてしまった。

かつてポーランドやオーストリア=ハンガリー帝国が支配したこの地域は、19―20世紀に大国が攻防を繰り広げ、悲劇的な結末に直面した地域だ。いまや、モスクワはロシアの西部軍管区の戦力を強化し、NATOもロシアに焦点を合わせている。その動員解除に冷戦後の20年を要したヨーロッパ大陸におけるかつての対立状況が、いまやヨーロッパの東端で再現されつつある。(『Foreign Affairs Report』2014 NO.8)

新冷戦は進捗している。安倍晋三は、そのことを理解していないようだ。イスラエルに続いて、安倍はウクライナとの関係強化に赴こうとしている。おそらく米国指示の行動だろう。

安倍は、6月5、6日にウクライナを訪問し、ポロシェンコ大統領と会談する。間違いなく日本国民の巨額の血税がばらまかれることになろう。

イスラエル、ウクライナとも、米国世界戦略の最前線の国である。とりわけウクライナは、新冷戦の最前線に位置する国だ。劣化した日本の政治では、火中の栗を拾うことになるのは目に見えている。

今後のウクライナの推移によっては、日本はロシアにぶつけられるかもしれない。ほんとうに情けないほどの家畜の国だ。

(戦争の正体は、99%の若者の死を代償にした、1%の金もうけ)
(戦争の正体は、99%の若者の死を代償にした、1%の金もうけ)

安保法制審議が始まって、自衛隊員の不安が高まっている。当然である。どこに行って、何をやるのか。それがわからないのだ。しかも必要性も必然性もない戦争になる。

せいぜい米国の要請とか米国の救済、あるいは日米同盟の深化といった、抽象的な「大義」が突きつけられるだけだろう。

何のために死ぬのか。これがわからない兵士の死は、総家畜化した日本の、象徴的な死になる。

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この日本の危険な政治状況について、『Sputnik 日本』(スプートニク日本)(2015年5月28日)に「集団的自衛権関連法の防衛的側面:米国は日本を犠牲にする、ウクライナをそうしたように」という題で、モスクワ国立国際関係大学軍事政治問題センターのアレクセイ・ポドベリョスキンへの独占インタビューが載っている。

長いので、ポイントを兵頭の方で箇条書きにまとめた。

1 日本がここ数年、自らの軍事力を、防衛的なそれから攻撃的なそれへ変身させているということは、まったく明らかだ。背景には2つのことがある。

(1) 軍国主義の根は日本では伝統的に非常に強い。日本人は、ナショナリズムに、そしてミリタリズムへと世界観を一新し、イデオロギー的に、また政治的に、生まれ変わろうとしている。

(2) 米国は自らの海兵隊を使用しなくてよい国家として、東アジアでは、日本にその課題を負わせようとしている。

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