報道ステーションの岩路真樹ディレクターについて、殺されたという情報がネットを駆け巡っている。

表向きは自殺として処理されている。

もともとプロの暗殺の手口は、ぶっきらぼうである。シンプルで、大雑把で、暴力的だ。ビルから突き落としたり、車で轢いたり、射殺したり……。凝るほど逮捕を怖れるアマチュアの手口になる。

この残暑厳しいなか、練炭自殺である。練炭が側にあれば、警察はほぼ自殺として片付けるわけだ。

このあたり、殺した側のニヒリズムをわたしは感じる。むしろ黒木昭雄の練炭との連想で他殺と見破って騒いでくれた方が、見せしめ効果になるわけだ。そこでこういった、見え透いた、リアルとネットの両メディアが他殺と見破って大騒ぎする練炭を使ったのだと思われる。

岩路真樹は、知人に「身の危険を感じている。私が死んだら殺されたと思ってください」といっていたというから、自殺の可能性は限りなく低いようだ。

大切なのは、原発問題などをテーマに闘う人間は、精神力の強い人間だということを知ることだ。

心の弱い人間は、こういった危ないテーマには、まして大手メディアで食べていたら、近付かないのである。

田中龍作のツイートによると、「警察が自殺処理にしている報道ステーションの岩路ディレクターはもともと記者だった。権力犯罪の兆しをつかむと「田中さん、あの事件おかしいですからね」と目をギラつかせていた。会社の圧力に屈する後輩記者には、「お前ら(権力の)犬かっ」と叱咤していた。自殺するかなあ?」ということである。弱い男ではなかったわけだ。

死の真相を明らかにするか、それとも闇に葬るか。こういうのは、遺族の判断が大きく状況を左右する。自分は決して自殺しない、それでもし「自殺」したら、それはあり得ないことだから、疑って検死してもらってくれ、司法解剖まで頼んでくれ、と家族に頼んでおくことだ。

また、身の危険を感じたら、テレビや新聞で公開する前に、ネットで先に公開してしまうことだ。石井紘基が教えている教訓はそういうことである。暗殺者が狙っているのは情報の隠蔽なので、先に発表されてしまえば、暗殺理由の大半は消えてしまう。暗殺がやりにくくなる。

ネット上には、遺族の気持ちを察してそっとしておくべきだ、という意見もある。日本ではよく出てくる意見だ。しかし、亡くなった人間の仕事と状況によってこの判断は変わらねばならない。

その故人の仕事が権力にとって都合の悪い仕事であり、命の危険を感じながら仕事をしていた場合の「自殺」は、さまざまな意見の開陳こそがジャーナリズムである。また、故人への敬弔になるのである。暗殺は続くのであり、それを阻止するためにも沈黙は間違っている。

ところがマスメディアはこの事件についておしなべて沈黙している。もともと日本の大手メディアにジャーナリズムは存在していないので、これから出てくるのは自主規制のさらなる徹底であろう。暗殺者の狙った萎縮効果は実現されるに違いない。

早速、報道ステーションでは、「原発事故関連のニュースをきょうも放送できませんでした。時間がなくなったからです。申し訳ありませんでした」とテロップを流した。

nuclear power plant

こういった姑息なやりかたはやめることだ。恭順のサインでしかないのだから。

東京の大手新聞に月4,000円も払うのは、ドブに金を捨てるようなものだ。権力を監視するどころか、逆に権力に監視され、権力の広告広報に堕落しているのだから。

岩路真樹ディレクター追悼映像

さて、日本の個人的な死から、ウクライナの集団の死へ目を転じてみよう。

ジョン・ ミアシャイマーは、「悪いのはロシアではなく欧米だ――プーチンを挑発した欧米のリベラルな幻想」のなかで、次のように書いている。

かれはシカゴ大学教授である。政治学を専攻し、スティーブン・ウォルトとの共著『イスラエルロビーとアメリカの外交政策』は、米国でベストセラーになった。

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「ウクライナ危機を誘発した大きな責任は、ロシアではなくアメリカとヨーロッパの同盟諸国にある。危機の直接的な原因は、欧米が北大西洋条約機構(NATO)の東方への拡大策をとり、ウクライナをロシアの軌道から切り離して欧米世界に取り込むとしたことにある。

同時に2004年のオレンジ革命以降のウクライナの民主化運動を欧米が支援したことも、今回の危機を誘発した重要な要因だ。

(中略)

プーチンは、欧米に参加しようとする試みをキエフが放棄するまで、ウクライナを不安定化させる戦略をとるつもりで、彼が反転攻勢に出たことには何の不思議もない。「欧米はロシアの裏庭にまで歩を進め、ロシアの中核的戦略利益を脅かしている」と彼は何度も警告していた。

国際政治に関する間違った概念を受け入れていた欧米のエリートたちは、今回の事態の展開を前に虚を突かれたと感じている。

「リアリズム(現実主義)のロジックは21世紀の国際環境では重要ではない」と思い込み、法の支配、経済相互依存、民主主義というリベラルな基盤にヨーロッパは統合と自由を維持していくと錯覚していたからだ」(『Foreign Affairs Report』2014 NO.9)

この論文には多くのことを考えさせられた。

米国の外交政策に多大な影響を与える『Foreign Affairs Report』の巻頭論文に、米国批判の論文が載ったということは、相当にオバマには頭の痛いことだろう。

これはウクライナ情勢と無縁ではないように思われる。ウクライナでは親露派が攻勢に転じ、ウクライナ軍の士気は低いと伝えられる。

ウクライナのヤツェニュク政権は、もともとこの紛争を米・EUとロシアとの世界戦争にもっていくつもりだった。しかしプーチンは停戦から和平にもっていくつもりだ。戦争で一儲けが、プーチンに通じなかったのだ。これを知って、EUが、ドイツを中心に一挙に国益重視に傾いた。

しかも8月中旬からウクライナ軍が敗北を重ね始めた。単独ではウクライナは親露派に勝てないことが明白になってきた。ここでNATO軍を投入すれば、一挙に世界大戦になる。

欧州が戦場になる。問題は、もともとロシアがEUに一発の銃弾も撃ち込んでいないことだ。それに現在の、ネオナチが4人も入っているヤツェニュク政権は、欧州を戦場にしてまで守る政権ではなかった。

このような問題意識と、この論文の掲載とは、深部でつながっていると見た方がよいだろう。

「「(欧米のエリートたちが 注 : 兵頭)リアリズム(現実主義)のロジックは21世紀の国際環境では重要ではない」と思い込み、法の支配、経済相互依存、民主主義というリベラルな基盤にヨーロッパは統合と自由を維持していくと錯覚していた」という分析は、そのまま日本の対中政策の誤りに重なる。

「法の支配、経済相互依存、民主主義というリベラルな基盤」に立って、安倍晋三は中国敵視政策をとってきた。一言でいえば、自由主義という価値観に沿って中国敵視の包囲網を形成しようとしてきたのである。現在に至ってもそうだ。

しかし、米国も韓国もインドも、「リアリズム(現実主義)のロジック」で動いている。同じ価値観の仲間だ、といいながら、日本が孤立しているのは、安倍晋三の根本の外交姿勢が間違っているからだ。

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