現在の、ウクライナ情勢の最大のポイントは、ウクライナのロシア系(東側)が分離独立するかどうかである。

今後の劇的な展開があるかもしれないが、状況の推移を見るには、宗主国のメディアにまで転落しているわが国のメディアは、ほとんど役には立たない。

米国務長官ジョン・ケリーが、ロシアの行動を「ウクライナ侵略」と洗脳すれば、日本の米国御用メディアも、旧ソ連のチェコ侵攻を流して同調する有様だ。両者はぴったりと息が合っている。

米国は、他国を「侵略」の蔑称で批判する資格が、地球上でもっとも欠けている国である。米国がやったハードな侵略ではベトナム、イラク、アフガニスタンなど、ソフトな侵略ではイラン、シリア、リビア、ウクライナ、日本、韓国、EU諸国と枚挙にいとまがない。

Ukraine sniper

また、御用政治評論家が、安倍晋三にはやれることがある、プーチンと会談(電話)して、ウクライナが内戦にならないように交渉しろ、といっているが、とんでもない話だ。混乱を起こしているのはEU・米国である。

それにこんな複雑で高度な政治的軍事的問題が、安倍晋三に解ける筈がない。これは、日本の原発を世界でもっとも安全な技術と呼ぶのと同じ、まったく平和ボケの妄想である。

安倍晋三が乗り出せば、かれにできることは、IMFとは別に巨額の支援を約束させられ、カモネギの役を演じるだけだ。

日本民族というのは、どこまで想像力がなく、間抜けでお人好しの奴隷民族だろうか。宗主国が手放さないわけだ。

安倍晋三がやるべきことは国益に沿った行動であって、オバマのポチになって、火中の栗を拾うことではない。だいたい、この連中がプーチンを説得しろ、といっていることがおかしいので、オバマを説得しろ、という声は聞いたことがない。

こういうところに米国の植民地に転落した国の惨状が、無意識のうちに露出しているのである。

今日は、前号の状況把握を踏まえ、現在のウクライナ認識をさらに深めることにしよう。

今回のウクライナ情勢は突発的に起きたものではない。米国の世界覇権に向けた、周到な準備と戦略の結果、起こされたものだ。

何事も動機が重要である。米国の動機は奈辺にあるのか。Paul Craig Roberts は「アメリカ政府の傲慢さ、思い上がりと悪が、戦争の準備を整えた」のなかで次のように述べている。

「2004年、アメリカ政府は、アメリカ政府が資金援助した“オレンジ革命”で、ウクライナを取り込もうとしたが失敗した。

ビクトリア・ヌーランド国務次官補によれば、この失敗以来、アメリカ政府は、ウクライナのEU加盟に向けた運動を醸成する為に、ウクライナに50億ドル“投資した”。EU加盟で、ウクライナは、欧米の銀行家や大企業による掠奪に開放されることになるが、アメリカ政府の主目的は、ロシアとウクライナの国境にアメリカ・ミサイル基地を建設し、ロシアから、黒海海軍基地と東ウクライナの軍需産業を奪い取ることだ。ウクライナのEU加盟は、NATO加盟を意味する。

アメリカ政府がウクライナ国内のミサイル基地を欲しがっているのは、ロシアの核抑止力を低下させ、それによりアメリカ覇権に抵抗するロシアの能力を低下させることだ。

アメリカの世界覇権を妨げているのは、わずか三か国、ロシア、中国とイランだけだ」(『マスコミに載らない海外記事』(2014年3月 5日付)  http://bit.ly/Ntz5KZ

これでもいいのだが、もう少しわたしたちは掘り下げよう。

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1 現在のウクライナ情勢の背後には、EUと米国の策動がある。チェコスロバキアで起きたビロード革命、グルジアのバラ革命、キルギスのチューリップ革命、そしてウクライナのオレンジ革命の延長に、現在のウクライナ情勢はある。

すべて、欧米の支援を受けた不正選挙糾弾のデモ隊から始まり、政権を打倒して終わっている。

EU・米国によって仕掛けられた政変であり、そうでなければ選挙で民主的に選ばれた政権が倒されたり、国外に逃亡したりするような事態にはならない。

2 ヤヌコビッチ大統領は、自らを合法的な政権と呼び、ロシアに支援を求めた。

Ukraine president

3 ウクライナ情勢を見るとき、「ロシア系(東側は、ロシア系住民が多く、ロシア語を話す。政治的リーダーはヤヌコヴィッチ)」と、「ウクライナ系(西側はウクライナ人が多く、ウクライナ語を話す)」の対立が根底にある。

しかし単純な色分けは出来ず、ロシア系(東側)にあっても、EU・米国との繋がりが深く、分離独立を望まないリナ・アクメトフのような富豪もいる。

4 ウクライナ系(西側)には、旧ソ連時代の計画的飢饉(ホロドモール)への怨念があり、ロシア人とユダヤ系住民への反発が強い。他方、ロシア系(東側)には、ロシア系の移住民が多く、計画的飢饉(ホロドモール)への怨念は少ない。

5 ウクライナ系(西側)には、今も解決していないチェルノブイリ発電所がある。それに対してロシア系(東側)には、旧ソ連最大の穀倉地帯が広がり、黒海油田をはじめとする地下資源も多い。それでロシア系(東側)には、以前からウクライナ系(西側)を切り離しての独立志向がある。

EUが、ウクライナを加盟させて取り込みたいのは、この豊かなロシア系(東側)なのである。

それが、ロシア系(東側)が政権をとって分離独立される前に、暴力的な手段でも政権を転覆しようとする行動を生んでいる。

6 米国としては、ウクライナをEU加盟させ、ウクライナを通っているガスパイプラインのコストを上昇させたい。その結果として、米国のシェールガスの輸出市場価格を上昇させる戦略も見え隠れする。

7 チェルノブイリ原発事故を抱えているウクライナ系(西側)は、デフォルト寸前である。

Chernobyl 2

それでウクライナを破綻させ、IMFの管理下におく。ウクライナは、今後1年間のうちにIMFに約40億ドルを返済しなければならないし、かつ、ロシアには約30億ドルの債務がある。

米国は、すでに20人のウクライナ政府関係者への査証発給を禁じ、資産凍結などを発動した。また、ウクライナにとって最善の経済危機に対処するうえで枠組みは、米国傘下のIMFによる支援策だとした。つまり属国化の要請である。

債務の大半は相手先がロシアである。ウクライナを破綻させても、EU・米国は打撃を受けない。損失をロシアに負わせたうえで、ロシア系(東側)の農業、地下資源を手に入れる戦略だ。

8 EU・米国は、ウクライナに混乱を起こし、時間稼ぎをして、何とかしてウクライナをデフォルトに追い込む。逆にロシアとしては、ウクライナがデフォルトになる前にロシア系(東側)の分離独立をやって、ウクライナ系(西側)を切り離す必要がある。

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