米中貿易戦争

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米国の凋落と中国の躍進。世界の覇権は米一極覇権から多極化へ、そしていずれ中国一極覇権へと向かうとこれまで書いてきた。

米国もそれはわかっているだろう。しかし、理屈でわかるのと、感情でも納得するのとはまったく違う。わたしは現在の米中貿易戦争にはこの米国の苛立ちが底流となっているように思っている。覇権の座から軟着陸するのは、わたしたちが考える以上にたいへんなことのようだ。

今日のメルマガでは、アリ・ワインの「米中貿易戦争の安全保障リスク―― 対立は中国をどこへ向かわせるか」を切り口に、米中の貿易戦争を考えてみる。

(アリ・ワインは、ランド・コーポレションの政策アナリスト。アトランティックカウンシルのシニアフェロー。三極委員会、カーネギー国際平和財団などを経て現職。専門はアジアの安全保障など)

トランプは対中貿易赤字への苛立ちを頻繁に表明しているが、貿易上の緊張のルーツは貿易赤字の大きさよりも、むしろ、ハイテク部門での競争にある。アメリカは中国の技術的進化を国家安全保障上の脅威とみなし始めている。

これを裏づけるように、大統領の経済トップアドバイザーの1人であるピーター・ナバロは「中国の戦略テクノロジーへの投資は、アメリカの製造業と国防産業基盤に非常に深刻な危険を作り出すかもしれない」と警告する一方で、「関税(引き上げ)はアメリカの産業にダメージを与える略奪的貿易慣行の重要な防波堤になる」と主張している。

一方、中国は先端製造業のグローバルなリーダーになろうと模索している。「メイド・イン・チャイナ2025」構想は、情報テクノロジー、航空宇宙機器、新素材を含む10の産業を優先課題に据え、国内で使用される「核心となる基礎部品と基礎材料」の国産品シェアを2020年までに40%、2025年までに70%に引き上げることを目的にしている。(『Foreign Affairs Report』2018 NO.9)

正直にいって、トランプがここまで本気で対中貿易戦争に踏み切るとは予想していなかった。日本などと違い、中国は関税引き上げの脅しに黙って屈したりはしない。必ずやり返すだろう。その中国の報復を見て、トランプは高関税で「アメリカ第一主義」を貫くエゴイズムを引き下げ、何もなかったように振る舞うだろうと見ていた。しかし、事態は好転するどころか悪化するばかりである。

これまで米中の貿易不均衡は、中国側の政治的な大量の買い物によって、あまり正面切って取り上げられなかった。いまやトランプも習近平も全面的な貿易戦争のノブに手を掛けている。

このままトランプが突き進めば、習近平は対米貿易に見切りをつける可能性が高い。すると、当然、「一帯一路」構想を中心としたイランやロシア、北朝鮮との関係強化に走る。それは貿易戦争から米中間の安全保障問題に繋がっていく。

複雑でかつ深刻なのは、トランプの貿易戦争が安全保障と密接に繋がってくるのは将来のことでないことだ。いま、ここにある安全保障問題としてこの貿易戦争が存在してしまっている。

それはどういうことなのか。

米国から見た米中貿易問題の核心は、貿易赤字の大きさではない。ハイテク部門での競争にある。「アメリカは中国の技術的進化を国家安全保障上の脅威とみなし始めている」。これは米国から見たら当然であり、必然である。何度もこれまで述べてきたように、将来の覇権国家はAI(人工知能)を制しなければならない。AIで最先端を走る国が覇権を手にするのだ。

そのため、当然、中国は先端製造業のグローバルなリーダーになろうと模索している。その自信には根拠があって、中国のAI関連の特許出願数はすでに世界一である。発表された研究論文数は米国を抜いている。米国の苛立ちには根拠があるのだ。

これ以上の中国の躍進に米国は手を貸したくないのだ。

これからの戦争は、「情報」戦争から「インテリジェント」戦争へと移行する。中国軍は、司令官の戦場での判断にまでAIの採用を考えている。こういった徹底ぶりが、余計、米国に恐怖感を与える。

山口や秋田の、高価な「イージス・アショア」を攻撃するのは、AIを組み込まれた安価なドローン編隊なのかもしれない。もっとも良心的で覚醒した住民が考える以上に、仮想敵国中国のAI(人工知能)能力は優れている。いずれ郷里を捨てることになるだろう。

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