英国EU離脱の衝撃が拡大している。

英国では、離脱に対する若者の怒りがおさまらない。嘘の情報で離脱が誘導されたことがわかってきたからだ。

英下院のインターネットの再投票請願が300万人を超えた。これは26日午前の時点なので、さらに増えていそうだ。

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英国は明確に分断された。これだけでもキャメロンは三流の政治家である。

離脱派は、18~24歳では27%にすぎなかった。しかし、65歳以上では60%に上った。高齢者を中心に大英帝国復権の夢が強かったことがうかがわれる。

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興味あるのは、別の署名サイトで、ロンドン独立でEUに加盟といったラディカルな請願も出た。これは15万人以上が賛同している。もっとも現実味があるのは、スコットランドの独立運動である。独立してEUに加盟するというものだが、つくづくキャメロンなる政治家の無能・無責任に驚かされる。

他方、労働党にまで分裂の危機が走っている。マコービン党首が残留に熱心でなかった(隠れ離脱派?)ことから、影の閣僚11人が辞任してしまった。

英国はどうなるのだろうか。そう考える前に、どうするのだろうか、と考えてみる。水面下の離脱交渉で無理難題をEUに突きつけ、交渉をまとめない手にでるかもしれない。

そして時間だけを先延ばし、選挙で残留か離脱かを再度国民に問い、残留派の政党が多数派を占めたら、それを大義名分として離脱交渉を打ち切り、残留するのである。

ただ、こういったマキャベリズムをEUが認めるかどうか。これまでの英国はEU内で高慢な態度に終始してきた。シェンゲン協定もユーロの通貨統合も拒否する。いいとこ取りの特権的な振る舞いをした挙げ句、ロシアが嫌う東方拡大策を持ち込み、東欧諸国をEUに引き入れた。ウクライナ問題で危うく第三次世界大戦の入り口までEUを連れて行った。独仏は怒っているので、早く出ていってくれ、ということだろう。けっして英国を止める気はない。

これまで英国のEU離脱に警告してきたオバマは、離脱の結果を受けて、表面的には、「イギリス国民の決定を尊重する」「アメリカ政府は、イギリスとの特別な関係を絶つつもりはない」とのみ語っている。しかし、裏側で英国の残留を画策する可能性が高い。

それは、英国の大陸破壊の伝統を知っているからで、将来の独・露の接近を阻止するためにも、EU破壊を今のうちに英国とともにやりたいのである。

プーチンは、英国の国民投票は、「重要な国際問題に対処する上でのイギリス政府の表面的な見方や高慢さに起因するもの」「「今回の投票の結果は包括的なものになるが、その利益と損害に関する最終的な結果を判断するには時間が必要だ」と述べている。
『Pars Today』(2016年6月25日)

また、プーチンは、国民投票について、英政府は「一国、そして欧州全体にとっての重大な決定に決着を付けるやり方としては、英国首脳部の考えが甘く、思慮が足りなかった」「当然、情勢はしっかり見守っていたが、わが国がその過程に影響を及ぼしたことはなく、影響を及ぼそうと試みたことさえない」と述べた。

米国の投資家ジョージ・ソロスは、「今、多くの人が恐れていた破滅的なシナリオが数学化され、EU崩壊を事実上、不可逆的なものとした」「大規模な衝撃が英国を待っているようなことはないが、深刻な損失は被るだろう」「EUを離脱した英国は、最終的に他の国よりも繁栄するかもしれないし、そうならないかもしれないが、英国経済と住民は中、短期的に損失を被るだろう」と述べている。
ジョージ・ソロス氏:EU崩壊は事実上、不可逆的」(『Sputnik日本』(2016年6月26日))

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これは代表的な意見であるが、世界の政治家、投資家の見方は、英国の大失敗ということで一致している。

『エコノミスト』(2016年6月18日号)が「英国のEU国民投票」を載せている。

「リベラルな離脱派は、幻想を売り込んでいる。離脱の現実に接すると、彼らのプランはバラバラに崩れ落ちるだろう。もしEUから離れると、英国は、より貧しくなり、開放度も減り、革新力も落ちるだろう。グローバルな将来展望を取り戻すどころか、英国の影響力は小さくなり、より地方的になるだろう。そして英国抜きでは、欧州全体の地位も下がるだろう。

まず経済を見よう。離脱派も、短期的なダメージがあることは認めている。より重要なことに、長期的に見ても英国は繁栄しそうにない。英国の輸出のほぼ半分は、欧州向けだ。シティ(ロンドンの金融街)にとって、また外国直接投資を呼び込むために、欧州単一市場へのアクセスは不可欠である。そのアクセスを維持するには、英国はEUの規則を守り、EU予算に貢献し、ヒトの自由移動を受け入れる必要がある――これらはまさに、離脱派が避けようとしているものだ。そうではないと装うのは、人を欺くことになる。

(中略)

迎合は、移民についてもっと恥知らずなものだった。離脱派は、数百万のトルコ人が英国に侵入しようとしていると警告してきたが、それは露骨なウソである。医療や教育といった公共サービスでの過重負担を移民のせいにしているが、実際は移民は国庫への純貢献者であって、英国の財政を助けている。離脱派は、<英国は殺人者、レイプ者、テロリストを締め出すことができない>と言うが、実際には締め出し得る。

英国人は、自分たちは活気のある自由市場派であると思いたがる。彼らはすぐ、自分たちの苦痛をブリュッセルの官僚主義のせいにする。だが実際は、英国人は誰よりも規制中毒を患っている。成長への最大の障害の多く――少なすぎる住宅建設、貧弱なインフラ、技能の格差――は、英国製の規制から生じている。保守党が政権に就いてきた6年間、彼らは規制を撤廃できなかった。EUを離脱しても、撤廃が容易になることはあるまい

「離脱の現実に接すると、彼らのプランはバラバラに崩れ落ちるだろう。もしEUから離れると、英国は、より貧しくなり、開放度も減り、革新力も落ちるだろう」。それはすでに離脱する前から、交渉の入り口から始まっている。EUが離脱手続きを急かせている姿勢に端的に現れている。

EUには、英国はいいとこ取りの特権的な振る舞いをしてきたという認識がある。それが離脱の結論をだしたことで、どうぞ一刻も早く出ていってくれ、となっている。離脱予備軍を牽制する必要もあり、EUの姿勢はハードなものになるだろう。

英国のイルミナティ(と米国)としては、EU破壊(ロシア阻止)とその後の欧州統合(将来のワン・ワールド政府)のために英国を残留させたいのだが、独仏が許すかどうか。

もし離脱したときの英国のダメージは、短期的にも長期的にも厳しいものになる。つまり英国の凋落は加速度化する。これから長い緩慢な死を迎えるということだ。

英国の輸出のほぼ半分は、欧州向け、しかもロンドンの金融街にとって、EUは必要不可欠なものだ。日本ばかりか中国もまた「EUの英国」に進出したのであって、「離脱した英国」に進出したのではない。

現在の英国に、移民の労働力は不可欠なものだ。しかも英国の移民は、働き、英国に納税している。

これまでブリュッセルの官僚主義のせいにしてきたことは、離脱後には英国の官僚主義が取って代わるだけのことだ。

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