原子力規制委員会の田中俊一委員長の、「安全だとは私はいわない」との発言が顰蹙を買っている。これくらい狡猾で、かつ恥知らずでなければ、現在の日本では国の要職につけないのだろう。

自分たち原子力規制委員会の仕事は、電力会社から出された内容が、新規制基準に適合しているかどうかを判断するだけだという。

九州電力川内原発の、将来の原発事故を見越して、だからわたしは安全だとはいわなかった、と責任をあらかじめ逃れたのである。

しかし原子力規制委員会設置法は、原子力規制委員会の任務として、次のように定めている。

「(任務)

第三条  原子力規制委員会は、国民の生命、健康及び財産の保護、環境の保全並びに我が国の安全保障に資するため、原子力利用における安全の確保を図ること(原子力に係る製錬、加工、貯蔵、再処理及び廃棄の事業並びに原子炉に関する規制に関すること並びに国際約束に基づく保障措置の実施のための規制その他の原子力の平和的利用の確保のための規制に関することを含む。)を任務とする」

明確に「原子力利用における安全の確保を図ること」と任務が決められている。

しかし、何とか将来の原発事故の責任から逃れたい。そこで必死に考えついたのが、自分の任務は、電力会社から出された文書が新規制基準に適合しているかを判断することである、したがって何も安全などとはいわなかった、という無責任の論理であった。

つまりそれだけ事故の可能性が高いわけだ。

これで原発稼働を許可するのは政府ということになった。その政府を選挙で選んだのは国民である。最終責任は国民だと、田中は婉曲にいっているのである。

田中の発表を受けて薩摩川内市の岩切秀雄市長は、川内原発は安全だと理解する、と喜んだ。同様に安倍晋三も、安全だという結論が出れば再稼動を進める、と喜んだ。

それぞれに手回しよく、田中が安全だといったから、とこちらも責任転嫁を図ったのである。

nuclear power plant irresponsible

このように日本の支配者たちは、けっして責任をとらない。これは戦前・戦中・戦後と受け継がれている。

世界史でも最大の環境破壊事件を起こしながら、東電は、結局、司直に責任を問われることもなかった。また右翼が、皇居を放射能で汚染させた、と東電を糾弾することもなかった。

東電の経営者たちは、国内の非難と放射能汚染を避けて、海外で優雅な避難生活を送っている。仲間の1%に対してはこういった甘い政治をやっていて、99%に対しては容赦のない、冷酷政治が続いている。その究極が集団的自衛権の行使容認である。

それも一内閣による解釈変更で、実質的に憲法を変えたのである。まさに暴挙である。普通の世間知さえ備えておれば、あるいは政治家としての普通の常識があれば、やらなかったことだ。

安倍晋三は、内では消費税増税、集団的自衛権の行使容認、原発再稼働をやるかと思えば、外では原発と武器の売り込みをやり、戦争の準備に余念がない。

現在、イスラエルがガザ地区への猛攻撃を加えている。このガザには逃げ道がない。第三国に逃げることができないのである。いわば檻に入れられたうえで殺される図に、ガザの現状は似ている。

Gaza (10)

鼎談「シリア内戦の現状を問う――ポストアメリカ時代へ向かう中東」のなかで、チャールズ・W・ダンは、次のように語っている。

ダンは、国家安全保障会議イラク担当ディレクターを経て、現在はフリーダムハウス 中東・北アフリカプログラム・ディレクターである。

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「いまやシリアの周辺国のすべてが政治的緊張と社会暴力に覆われている。レバノンでは、シリア内戦に派生する社会暴力が頻発している。イラクとシリアの紛争が一体化しつつあるとみなすこともできる。

特にISISの戦士たちが、国境を越えてイラクとシリアを行き来している。

また、シリア内戦に刺激されて、イラクの反政府派や反体制武装集団が勢いづいている。

人道問題については、ヨルダンを例に指摘しよう。 1年ほど前に私がヨルダンを訪問した時点で、シリア難民の規模はこの国の人口の約20%に達していた。いまやヨルダンは、人口面でみれば、ヨルダン市民よりもシリア難民の方が多くなっている。

これがヨルダンの社会と経済に対する大きな圧力を作り出していることは容易に想像がつくだろう。もちろん、ヨルダン政府がこれらの圧力を口実に政治改革を先送りしている部分もある。周辺のあらゆる諸国が余波にさらされている。

シリア紛争には外部勢力が加担しており、これが戦闘の1つの側面を作り出している。この状況が、イランと近隣諸国の関係を規定し、現状では、イランの地域的影響力が強化されている。

次に、アメリカが問題への関与も控えているために、中東の指導者たちは、次第にアメリカという要因を外して、意思決定を試み始めている。中東はポストアメリカ時代へと向かいつつある」(『Foreign Affairs Report』2014 NO.6)

中東は地獄の様相を呈している。すべての国が政治的緊張と社会暴力に覆われている。ISISの兵士が、国境を越えてイラクとシリアを往来している。

地獄の現実は、ヨルダンの人口の割合が、シリア難民の方が多くなっていることから容易に想像できる。これは中国で内乱が起きて、難民が周辺国に押し寄せ、日本では、日本人より中国難民の方が増えた、と想像したらよい。いかに異常事態が中東で起きているかがわかる。

イランの地域的影響力が強化され、それがイスラエルを刺激している。中東はポストアメリカ時代へと向かいつつあるという指摘は重要だ。

オバマは中東への弱腰外交の非難を避けるために、日本を巻き込み、介入させようとしている。

Netanyahu On Diplomatic Trip To Japan

このことに関しては、同論文のなかの、次のクロッカーとピラーの発言がそのヒントになる。

ライアン・クロッカーは、元駐シリア米大使で、現在はテキサスA&M大学公共政策大学院・学院長である。

「クロッカー

サウジは明らかにアメリカがもっと大きな役割を果たすことを望んでいる。アメリカが関与を控えているために、イランやヒズボラのような、サウジの敵対勢力が有利な状況を手にしていると状況を憂慮している。

カタールやクウェートも一定の関与をしているが、これは逆効果になっている。この地域のアメリカの同盟諸国がもっと建設的な役割を果たすように、ワシントンはもっとエンゲージすべきだろう」

オバマに対して、もっと中東への軍事的関与を強めろ、という声は強いのである。米国が介入できないなら、「この地域のアメリカの同盟諸国がもっと建設的な役割を果たすように、ワシントンはもっとエンゲージすべき」という意見は重要である。

「エンゲージ」の対象になる「この地域のアメリカの同盟諸国」といったところで、イスラエルしか現実にはいない。そのイスラエルを動かすために、遙かに離れた極東の日本に、白羽の矢が立った可能性が高い。

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