読者に橋下徹批判を理解させるのは難しい。かれのツイッターのフォロワーは133万7000人だ。そのなかの相当数は橋下批判者、あるいは面白半分だとしても、熱烈な信者が存在することは間違いない。

信者といっても、あまり真面目に政治を考えているのではなさそうだ。橋下徹は改憲賛成、徴兵制賛成である。理屈からいえば信者たちも改憲賛成、徴兵制賛成になる。そんな日本にしたいのか、というと、そういうことでもなさそうだ。

橋下徹に対する漠然とした改革者のイメージと、世代的な共感がない交ぜになって、信者の多くが作られている。

しかし、橋下徹は出自としての差別に敗北した、心の弱い男である。そこから権力志向が生まれている。どこから見ても改革者ではなく、秩序志向、既得権益擁護である。うまくやろうとしており、だから安倍晋三にもとりいるのだ。

知事や市長をやったのだから、少なくとも大阪が日本で、もっとも社会的弱者、マイノリティーに優しい共同体になったかというと、そんな形跡は何もない。政治は結果なのだから、橋下の信者たちも、もっと論理的に深く考えるべきだ。

圧倒的な人気と、校長への民間人登用などに見られるバカげた政策。威勢のいいパフォーマンスと、からっぽの実績。勝手に始めて勝手にやめる出処進退。そういう意味では石原慎太郎とよく似ている。

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その橋下徹が、「退任表明をしている以上、大型の新規改革案件の指示はしない。これまでの改革案件をしっかりと進める。組織が判断を求め指示を仰いできたときに、それに対応する。それがない場合には、役所には行かない。メールでやれることはメールでやっている。ちちんぷいぷい(関西のテレビ番組 注 : 兵頭)、いい加減な事を言うなよな」とツイートしている。

うらやましい身分といおうか、いい加減な男だと改めて思った。

橋下は、政治家としての「消化試合」に入っているのである。引退表明の前後で給料は変わらないだろうから、大阪市民にとっては迷惑な話だ。

もしやる気があれば、「大型の新規改革案件」もやるべきである。次の市長が受け継げばいいだけの話だ。大阪都構想だけが市民の望んだ改革ではないはずだ。しかし、「組織が判断を求め指示を仰いできたときに、それに対応する」そうで、まったく受け身の姿勢である。

公務員たるもの、市長がこんな姿勢に転じると、いっぺんにサボり出す。トップをばかにして、手抜きでやりだす。そういった公務員(とりわけ組合)の習性を橋下徹が知らないはずもなかろう。

あきれたことに「組織が判断を求め指示を仰いで」来なかったときは、「役所には行かない。メールでやれることはメールでやっている」という。

何も予定がないときほど、職場に行けば、忙しいものだ。市長に時間があるのを見て、いろいろな組織から相談がくる。橋下徹の方から、部長クラスを呼んで、仕事の進捗状況を訊くこともできる。さらには、視察にでかける時間もとれる。

うらやましい身分といおうか、いい加減な男だと改めて思った。

橋下徹の方法とは、できもしないし、本人も実現不可能なことをしゃべって人気を博することだ。たとえばこんなツイート。

「3、安全保障法制。一番の歯止めは、防衛出動を国会が認めた場合には、前線に国会議員を送り込むこと。

自分が死ぬかもしれない状況の中で国会議員に判断させればいい。安全な環境で命が守られる国会議員に防衛出動の判断は任せられない。

前線で国会議員が死んでもいくらでも替わりを選べることができる。その状況下で防衛出動の判断ができるかどうか

吉本のノリで、面白いだけである。実現性などない。ところが、こんな橋下節に人気があるのだ。

政府の判断に何の影響力もない、とびきりの変わり者議員が、パフォーマンスでやるかもしれない。しかし、そんな変わり者に来られた自衛隊こそ迷惑である。

たかが数時間の視察で何がわかるのか。自衛隊は幹部総出で応対し、敵の攻撃がなかったら、ほっと胸をなで下ろす。万が一、攻撃でもあろうものなら、ひとりの国会議員を無事に脱出させるのに、どれだけの人員と犠牲者と費用がかかるか。

経験しないとわからない政治家は、無能である。人間には想像力や思考力がある。それがある者が安保法制に反対している。戦争を知らない世代で、想像力や思考力を欠いている者たちが、集団的自衛権にも安保法制にも賛成しているのである。

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その橋下徹が、労働者派遣法改悪が採決される直前になって、わざわざ上京して安倍晋三に会った。

政局では、自民党を助けるのが維新のミッションである。しかし、これほど露骨にやられると、唖然とする。

ふたりは、6月14日夜に、都内のホテルで会った。菅官房長官、維新の松井一郎顧問(大阪府知事)も同席した。報道では3時間となっているから、相当に詰めた話になったはずだ。

いずれにしても、これは東京の大手メディア幹部が、安倍と会食する以上の、野党の堕落である。

報道によると、この会談で、橋下が民主党などの「抵抗野党」路線との野党共闘に、慎重な姿勢を示したという。わたしの推測では、そんなことでわざわざ上京しないので、野党を分断する策が練られたのだと思う。

橋下は、民主党とは法案ごとに是々非々で対応する考えを伝えたという。

これをもっと明確に表現したのが、翌6月15日の、橋下の次のツイートである。

「今の日本には自民党に対峙できる政党が必要だ。大阪都構想を進めるため、そして新しい野党ができる少しのきっかけになればと国政政党を0から立ち上げた。ただし民主党という政党は日本の国にとってよくない。なぜなら政党の方向性が全く見えない。もちろん個別メンバーは別。

維新の党は民主党とは一線を画すべき。自民党と国の在り方について激しく論戦できる政党を目指すべき。維新はイデオロギーにとらわれず、既得権に左右されず、現実的合理性を重視する。空理空論の夢物語りだけでは行政運営はできない。責任ある立場での現実的合理性を重視する。民主党とは決定的に違う

真に弱い人を助けながら自立切磋琢磨を重視する。一部の人が得ている特権を正す。イデオロギーに振り回されない。責任を負った立場で発言をする。国民を戦争の不幸に絶対に陥れない。特にバカな政治家の判断で戦争になることはまっぴらゴメン。政治家を絶対視しない。維新の党はこの点をとことん考える

自民、公明、維新、民主でそれぞれ憲法9条について改正案(現状維持なら現状維持)を作るべき。国民投票に付すための外形を整えて、各案国民投票にかけるべき。国会議員やメディアが騒いでいるだけでは国の方向は決まらない。国民投票で決めるべきだ」

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笑いなしでは読めないツイートだ。それもテンネンの笑いである。

分析する前に、今回の維新の裏切りが、自民党にもたらした成果をまとめておこう。

1 野党の、とりわけ民主党と維新との共闘にくさびを打ち込み、分断できたこと。

2 維新の裏切りで、強行採決の非難をかわせるようになり、労働者派遣法改悪採決に持ち込めること。

3 労働者派遣法改悪採決の見通しが立ったことで、日米の1%(無国籍の株主・グローバリスト)の評価をえたこと。

4 (これはまだわたしの推測の域を出ないが)「政界引退」を表明していた橋下徹の、中央政界進出が決まったこと。

5 維新を、自民党二軍として固めることができたこと。

6 維新裏切りのどさくさに紛れて、解雇規制の緩和(会社にとって面白くない労働者を解雇できる制度。すでに附則に、こっそり盛り込まれている)も採決できる見通しがたったこと。
(「現在の制度では、不当に解雇された労働者が裁判所で「解雇無効!」と勝訴判決を取れば職場に戻る余地がありますが、会社がお金さえ払えば、クビにできる制度です。

会社に対して何かしら「物言う労働者」は、気にくわなくても金を払って切られてしまうことになります」)「「同一労働・同一賃金」推進? ~派遣法のどさくさ紛れに解雇自由化へ(定額¥クビ切り放題法)~」(嶋崎量)

以上の6点が自民党の成果であろう。

「今の日本には自民党に対峙できる政党が必要だ」というのは、橋下の頭のなかでしか通用しない幻想である。「対決」とはいえずに「対峙」というところに本音が顕れている。この「対峙」こそ、「反対して通させる」自民党二軍の偽物ぶりを表現したことばだ。

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