柳瀬唯夫の参考人招致が終わった。

「自分は首相秘書官だが、官邸で誰とでも会う。しかし、誰と会ってるかはわからない。メモはとらないし、総理にも報告しない」。思い切り野党と国民をバカにしたこの答弁は、しかし、あらかじめ予想されたものだった。

国家戦略特区は認定事業数が283もある。柳瀬が会ったのは加計学園だけで、しかも3回も首相官邸で会っていた。出世(カネ)のために、うそをついているのである。それに対する野党の追及は迫力を欠くものだった。

安倍政権に倫理を説いても仕方がない。これほど愚かなことはない。泥棒にモノを盗むな、と説くようなものだ。

野党はこれまでとは違った闘い方をしなければならなかったのである。しかし、新しい工夫は何もなかった。事前に、愛媛県に聞き取り調査に行くような初歩的なこともしていなかった。このやる気のなさは、もしかするとモリカケの実質的な幕引きを告げるものだったのかもしれない。

10日の参考人招致は、プロ野球なら、グラウンドにモノが投げ込まれるケースだ。何回好機がきても三振ばかり。まるで相手を勝たせる政治ショーを見せつけられて、いい加減、うんざりさせられる。

そのためか、ツイッター上にも、熱気はなかった。最初は関心を示した人たちも、すぐにTLから去って行った。

今日のメルマガは、わたしたちが生きていくうえで欠かせない、水問題を採り上げる。種子の売国から、今度は水の売国になりそうである。とにかく徹底してグローバル大企業に国を売り飛ばし、安倍は国を破壊するつもりだ。

スコット・ムーアの「グローバルな水資源危機の本質 ―― 何が対策を阻んでいるのか」を切り口にして考える。

(スコット・ムーアは、ペンシルベニア大学クレインマン・エネルギー政策センターのシニアフェロー)

あらかじめ断っておくが、わたしはここで述べられているスコット・ムーアの考え方に反対である。それでは、なぜかれの論文を採り上げるのか。それは、麻生太郎が日本に導入しようとしている水道事業の民営化の背景にある、グローバリズムの根本的な考え方が述べられているからだ。

スコット・ムーアは、用心深く発展途上国の水不足や水質汚染の問題を重ねながら善意を装っているが、グローバル大企業による水の支配、水の利権獲得にあるのだとわたしは見ている。

読んでみよう。

世界の水資源問題への技術的解決策のほとんどは、何らかの形で、人々が使用する水に対してもっとコスト負担を増やすように説得できるかに左右される。

(中略)

清潔な水を供給するのにもかなりのコストがかかる。(2030年までに)清潔な水への普遍的アクセスを実現するという国連の持続可能な開発目標における目的を、適切な衛生基準を満たしつつ実現するには、毎年1140億ドルのコストが必要になると試算されている。

(中略)

多くの国において、政治家が信頼できる支持母体である農業団体のような集団への補助金を打ち切るのを嫌がることに不思議はない。さらに、水道料金の引き上げに反対する道徳的根拠は、人間の健康や繁栄を維持していく上で水資源が果たす不可欠な役割への認識を喚起する「人権としての飲料水アクセスの保証(Human Rights to Water)」キャンペーンによって強化されている。

この主張は国連でも支持され、南アフリカ憲法にも書き込まれている。当然、政策決定者が「その人権を行使するには課金する必要がある(あるいは負担を引き上げる必要がある)」と主張するのは、道徳的、政治的にかなりの問題がある。水資源の利用に料金を設定するには、水資源がもたらす環境、文化、景観的な恩恵をどのように評定するかという問題も浮上させる。

さらに、世界の政治指導者たちが、水道料金の価格引き上げを仮に実現できたとしても、どれだけの人がそれを支払う余裕があるか分からない。比較的豊かな国で水道料金を引き上げるのと、人口の3分の1以上が貧困ライン以下の生活を余儀なくされている国でそうするのでは話は違ってくる。例えば、ケープタウンのような都市で、もっとも基本的な社会サービスの料金を上げるのは容易ではないだろう。

しかも、世界における水資源の主要な消費産業である農業部門の所得は低く、農業就労者は貧困ラインすれすれの生活をしている。水道料金を引き上げれば、農村から都市への移住者が増え、都市部の失業率を上昇させ、一方で食糧安全保障が脅かされる。水資源不足と貧困、社会の不安定化が重なり合っている国はさらに深刻な事態に陥るだろう」(『Foreign Affairs Report』2018 NO.5)

スコット・ムーアは、「世界の水資源問題への技術的解決策のほとんどは、何らかの形で、人々が使用する水に対してもっとコスト負担を増やすように説得できるかに左右される」という。確かに、グローバル大企業が水を管理し、支配したときには、利潤を求めて水道料金は上がる。しかし、自治体が税金でまかなうとき、予算の分配で、生命の根源的な維持に必要な水道料金を維持あるいは下げることができる。

もともと日本は豊富な水に恵まれている。ほとんどの水は海や川や湖に注ぐ。飲み水としてすべてを利用しなくてもいいほどだ。

しかも飲み水としてそのまま利用できる湧水が全国至るところに点在する。名水百選といったりもするが、実は地元のごく限られた地域で愛飲されている無名の湧水も多い。

清潔な水を供給するのにもかなりのコストがかかる、といったスコット・ムーアの論文のほとんどは、日本には当てはまらない。

農業用水の使用量の問題も日本には、ほぼない。「グローバルな水資源危機の解決」などといわれるのは、世界の一部の問題であって、日本の場合はグローバル大企業に、水の管理・支配を売却するといった、政治の貧困の問題だといっていい。

日本では、安倍の悪政のために国民は生活苦に喘いでいる。種子に続いて水まで外国資本の支配下に置かれたら、食糧安全保障は完全にこの国からなくなってしまう。

つまり、「水道料金の価格引き上げを仮に実現できたとしても、どれだけの人がそれを支払う余裕があるか」といった問題ではなく、国民の飲料水がグローバル大企業の支配下におかれるといった問題なのだ。

こうなった場合の悲惨な現実は、すでに外国資本に水を売り払った外国に例がある。

以前にメルマガでも紹介したが、マニラの場合、グローバル大企業のベクテル社が、マニラの水道事業を買い取ってやったことは、以下の4点である。

(1)ベクテル社が民営化してまずやったのは、雇用の削減だった。5400人の職員を2000人も削った。

(2)水道料金をそれまでの4~5倍に値上げした。

(3)採算が合わない貧困地区への水道管の敷設をしなかった。

(4)困った人に水を分け与えることも禁止し、公園などのただの水も飲めなくした。

これが民営化の現実である。サービスは極端に悪化する。公園の飲み水が止められたら、ホームレスなどは死と直面することになる。さらには公園など、公共施設の水洗トイレなども料金を徴収されることになろう。

一度水道事業をグローバル大企業に売り渡した国でも、水道料金の値上げやサービスの悪化に驚いて、あわてて公営に戻している。世界ではその数が2015年時点で235事業体にも及んでいる。日本では、かりに米国の要請があっても、民営化すべきではない。

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