◆このページの目次◆
1 世界同時に進む政治独裁
世界にふたりといないうそつきで無能な首相のもと、独裁とファシズムが進行している。
状況は、世界同時に変化している。
例えば独裁、例えばファシズム。
これは日本だけの現象ではない。
世界的な現象になっており、だから怖いのだ。
日本の近隣を見ても、独裁の概念を広くとると、ロシア、中国、北朝鮮、ラオス、フィリピンなどすべて独裁国家である。
それも独裁の色彩が異なっており、国民に強く支持されているばかりか、世界的に高く評価されている独裁者もいる。
プーチンはその代表である。
政治家としてばかりでなく、人間としても非常に関心を集める人物である。
また、世界への影響力ですでにトランプを抜いた習近平のような独裁者もいる。
国内の民衆の評価が高く、外国の評価が低い独裁者もいる。
フィリピンのロドリゴ・ドゥテルテはそうだろう。
日本の安倍晋三のように、国内、国外とも評価の低い無能な独裁者もいる。
いかに日本人の政治的民度が低いか、また、メディアと法律を使った圧力が強いかを物語っている。
今日のメルマガでは、「新しい独裁者たち —— なぜ個人独裁国家が増えているのか」という論文を切り口に、世界同時的に動いている独裁の問題を考えて見る。
執筆は以下の3人による共同執筆である。
(アンドレア・ケンドール=テイラー(米国家情報会議・副国家情報官 (ロシア・ユーラシア担当)
エリカ・フランツ(ミシガン州立大学助教授(政治学)
ジョセフ・ライト(ペンシルベニア州立大学准教授(政治学))
<私物化された政治制度>
(中略)
データによれば、個人独裁、つまり、権力者個人に権力を集中させる政治システムは、冷戦終結以降、顕著に増加している。
1988年当時、独裁制国家のなかで個人独裁体制を確立していたのは23%だったが、いまやその40%が1人の強権者によって支配されている。「あらゆる独裁制は個人独裁に陥りがちだ」とみなされるのも無理はない。
リビアのカダフィ、あるいはザイール(現コンゴ)のモブツ元大統領のエキセントリックで悪名高いエピソードも、そうした認識の正しさを支えているかに思える。
しかし、現実はそう明快ではない。実際には、第二次世界大戦以降、ほとんどの独裁国家を率いてきたのは1人の強権者ではなかった。
むしろ、メキシコの制度的革命党のようなパワフルな政党か、1970年代から1980年代にかけてラテンアメリカに多くみられた軍事政権が独裁国家を支配してきた。
だが、冷戦終結以降、権威主義政治は姿を変え始め、個人独裁が権威主義の支配的なシステムとなりつつある。<何が問題なのか>
こうした個人独裁の台頭が、外国におけるアメリカの利益を脅かしているだけに、これは厄介な問題だろう。
数多くの研究が、個人独裁制は他のいかなる政治システムにも増して、最悪の結末を招き入れることが多いと指摘している。危険で攻撃的な外交政策をとり、核兵器を開発しようと試み、民主国家との戦争を起こしがちで、国家間紛争を起こすことが多い。
イラクのサダム・フセイン、ウガンダのイディ・アミン、そして北朝鮮の金正恩の冒険主義からも明らかなように、説明責任という概念の存在しない個人独裁国家は、他の独裁国家なら許容しないハイリスクの行動をとるものだ。(中略)
このため、個人独裁国家は、激しい反米レトリックを用いる。
個人独裁体制の政治腐敗はひどく、民主化への道を歩む可能性はほとんどない。
1人の強権者による独裁体制は、いかなるタイプの政府にも増して、権力基盤を維持するために資金を必要とする。このために、個人独裁型指導者たちは、受けとった対外援助を無駄に浪費したり、着服したりすることが多い。
例えば、フィリピンのマルコスやザイールのモブツは、権力者だった時代にそれぞれ50億ドルもの資金を着服している。彼らは制度を乱用して解体へと向かわせ、有能なライバルを脅して権力から遠ざけようとする。
これでは民主主義に近づくはずはない。
個人独裁体制が崩壊しても、民主化へと向かうどころか、ポスト・モブツのコンゴや、モハメド・シアド・バーレ以降のソマリアなどの破綻国家のケースからも明らかなように、結局は新しい独裁者が誕生するだけだ。(『Foreign Affairs Report』2016 NO.11)
2 独裁の何が問題なのか
先の衆議院選挙に現れたのは、北朝鮮の脅威に対処するには、独裁者の方が優れた対応をとれるといった国民の判断だった、といえなくもない。
ここから、国家の安全のためなら武力行使を期待する意識が形成され、安倍自民党支持へと向かったのだろう。
こうなると厄介である。
日本では「北朝鮮の脅威」を強調すれば選挙に勝利できる、ということになるからだ。
けっして大半の国民がだまされているわけではないが。
世界の政治トレンドが独裁に追い風を送っている。
「データによれば、個人独裁、つまり、権力者個人に権力を集中させる政治システムは、冷戦終結以降、顕著に増加している。
1988年当時、独裁制国家のなかで個人独裁体制を確立していたのは23%だったが、いまやその40%が1人の強権者によって支配されている」。
この論文が書かれたのが2016年11月であるから、28年の間に約倍増したことになる。
わが国の安倍晋三もそのなかのひとりということになろう。
論文の執筆者たちは、軍事政権が独裁国家を支配してきたが、冷戦終結以降は、個人独裁が権威主義の支配的なシステムとなりつつある、と指摘する。
こうなると非常に厄介だ。
なぜならクーデターによる軍事政権と違って、選挙の洗礼を受けた個人独裁は、より強固な独裁になるからだ。
この論文では個人独裁の結果として次の9点が挙げられている。
(1)危険で攻撃的な外交政策
(2)核兵器開発
(3)民主国家との戦争・国家間紛争を起こす
(4)説明責任という概念が存在しない
(5)ハイリスクの行動
(6)政治腐敗
(7)受けとった対外援助を無駄に浪費したり、着服する
(8)有能なライバルを脅して権力から遠ざける
(9)かりに個人独裁体制が崩壊しても、民主化へは向かわず、新しい独裁者が誕生する
今後の可能性をも含めて、まるで日本のことが語られているようだ。
「(4)説明責任という概念が存在しない」というのは、すでに森友・加計学園事件で明確になっている。
説明から逃れるために、安倍晋三はモリカケ逃亡解散までやっている。
「(7)受けとった対外援助を無駄に浪費したり、着服する」というのは、外国の独裁政権からのキックバックを含むだろうが、完全なブラックボックスのなかにある。
深刻なのは「(9)かりに個人独裁体制が崩壊しても、民主化へは向かわず、新しい独裁者が誕生する」という指摘だ。
便利で効率的な絶対支配のシステムができているので、新しい指導者はそれをそのまま継続したがるのだ。
指示ひとつで動いていたシステムを、時間のかかる会議の多数決に戻すのは、よほどの指導者でなければやらないだろう。
つまり独裁は継続される。
日本では、安倍さえ倒せば、かりに自公政権のままでも、以前の自公政権に戻ると考えている人たちが多い。
しかし、その期待は裏切られるだろう。
小選挙区制はそのままであり、内閣人事局も日米合同委員会もそのままであるから、安倍無き安倍政治が続く可能性が高い。
政権交代によってしか、独裁を倒すことはできない。
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