ジャン・ボードリヤールは、『消費社会の神話と構造』のなかで書いている。

「ジャーナリストと広告業者はモノや出来事(イベント)を演出し筋書きを考え出す神話的世界のオペレーターである。彼らはそれらを「解釈しなおして」人びとに引き渡し、極端な場合には捏造することもある。

だから、客観的判断が要求されるなら、広告とニュースを神話のカテゴリーに分類しなくてはならない。神話は、真実でも偽りでもなく、信じる信じないは問題ではないからだ」

ジャン・ボードリヤールがこれを書いたのは、1970年である。44年前のことだ。

「「解釈しなおして」人びとに引き渡し、極端な場合には捏造することもある」ジャーナリストと広告業者は、今はさらに深化し、堕落し、首相と堂々と会食し、それを大手新聞が恥ずかしげもなく掲載する。金のために権力に魂を売り、洗脳と誘導を繰り返す。

つまり今日では、ジャーナリストが広告業者と一体化し、新聞・テレビは政府の広告機関と化したのである。

その力関係は、第5権力としての電通・博報堂などの広告代理店が、むしろ第4権力としてのマスメディアを支配し、管理している。

選挙へのメディアの介入は、広告の民意への介入といってよい。政府と一体化して、第5権力が民意を支配するのだ。

その現象が、前回のメルマガ「東京ゆりかご総括」で分析した次の3点である。

1 「都民の関心の薄い都知事選」というマスメディアの棄権誘導

2 マスメディアの「脱原発」の争点隠し

3 舛添要一圧勝というマスメディアによる選挙中の世論操作

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事前の捏造に基づく洗脳と誘導の結果、都民がこれを信じて、棄権し、あるいは勝ち馬に乗って舛添要一に投票し、神話を現実化たらしめるのである。

あるいは、ことはもっと深刻な状況に陥っている可能性がある。

選挙期間中にマスメディアが繰り返し報道した支持率調査、舛添の得票に、「脱原発」の細川と宇都宮の合計票が、及ばないという神話、「脱原発」より都民は原発維持・推進だという神話にそって、ムサシが数字をだしてきたのである。

これは、かりに「脱原発」で一本化しても勝てなかったばかりか、「脱原発」候補一本化のために、しきりに降りることを勧められた宇都宮健児を細川より上位にして、決定的な反目・分裂を「脱原発」陣営に固定化するものだ。

いずれにしても、広告業者たちのいう通りの結果が出ている。

急がれるのは、次の改革である。

1 ムサシによる集計作業の廃止

2 選挙期間中の支持率調査発表の禁止

3 供託金制度の廃止

4 平日を投票日にして、その日を休日に改める

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さて、今回の都知事選には、さまざまなことを考えさせられた。皆さんも同じだろう。

わたしが考えたことのひとつは、若い人たちの左翼に対する無知である。特に共産党に対する無知である。

共産党の末端の党員には、素晴らしい人も少なくない。かれらはよく勉強していて、論の構成が緻密であり、戦術も巧みである。

しかし、この政党に権力を取る気などはなく、少数野党の現在に十分に満足している、というのが、わたしの見方だ。

第一、もし労働者が立ち上がり、資本の鎖を断ち切って自由になったら、前衛の存在理由もなくなる。

それでも革命後の社会に位置を保とうとするなら独裁を敷くしかない。

Lenin Stalin

民衆への弾圧と党中央反対派への粛清を繰り返し、前衛としての既得権益を守るしか術はなくなる。

それでも打ち倒されたのが、ソ連共産党や東欧の共産党であり、経済を資本主義化しながら、辛うじて共産党が独裁の支配階級として踏みとどまっているのが中国である。

資本家階級を打ち倒したら用済みになる。労働者を解放することこそ怖ろしいことはない。前衛が打ち倒される。権力を握ってはならない。これこそが、世界の共産党が陥った自己否定の悪夢である。

今回の都知事選の2日後、『日本経済新聞』(2月11日)に「民主は反省、共産「大健闘」 都知事選を総括」と題する記事が載った。

「民主党の海江田万里代表は10日、東京都知事選で実質支援した細川護熙氏の落選について「もっと早い段階でオーダーが来ていればいろんなことができた」と述べた。出馬表明が遅れたこともあり十分な支援ができなかったとの反省だ。幹部は支持団体の連合と足並みがそろわなかったことに触れ「関係修復が今後の課題になる」と語った。

共産党の志位和夫委員長は10日、同党が推薦した宇都宮健児氏と党本部で会談し「大健闘だ」と総括した。宇都宮氏は「元首相連合に勝った。達成感がある」と伝えた」

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志位和夫は「大健闘だ」と総括し、宇都宮健児は「元首相連合に勝った。達成感がある」と胸を張る。つまり、敗北した悔しさなどは微塵もないし、まして核武装の軍事国家に向かう状況への危機感などはないのである。

細川護熙と小泉純一郎に勝った、2位だった、大健闘。

これが敗北必至の候補者と、その候補者を担いだ政党トップの総括である。

宇都宮健児には人間的魅力がない。それはかれが喋っている動画を見ればわかる。実際に付き合わなくてもわかるのだ。2012年の都知事選で、かれに投票したのは、ほとんど組織票だった。

もっと身近で、かれを見た人も、人間的な魅力のなさを指摘する。『澤藤統一郎の憲法日記』に、澤藤統一郎の息子の澤藤大河が貴重な体験を書いている。

これは2012年の都知事選の体験記である。かれは、「宇都宮選対で候補者の随行員として働き、不当な任務外しを受けた「被害者」の一人」という父親澤藤統一郎の紹介がある。読んでみよう。

「宇都宮候補について

・候補者としての魅力に欠けること

私が、宇都宮さんの随行員を買って出た動機のひとつには、宇都宮さんから多くのことを学ぶことができるだろうとの思いがあったから。きっと、魅力的な人物なのだろうとの期待が大きかった。

しかし、一緒にいて、その期待が崩れるのに、たいした時間はかからなかった。その後は、宇都宮さんの魅力に感じてではなく、任務として頑張った。

候補者には、人と話をして魅了する資質が必要である。ところが、彼はそもそも話をしない。話しかけても膨らませて会話が弾むことがない。私も、最初は頻繁に話しかけたのだが、話に乗ってくることがなかった。

彼の演説は毎日聴いたが、聴衆を魅了する憲法訴訟の経験談や、人権擁護の熱意がほとばしるという魅力に溢れた演説は一度も聞いたことがない。

私の期待が、そもそも無い物ねだりだったのだ。人を感動させたり引きつけたりする内容のある話ができないのは、候補者として不適格というしかない。そもそも政治家としては向いていないのだと、どうして誰も言わないのだろうか」

http://bit.ly/1iNiZXs

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