今回のメルマガは、いつもとは違って、日本における芸術家の生活について考えてみたい。年に何回かは、文学や映画、それにスポーツについても書いてみようと思う。辛口の批評になると思うが。

「第27回東京国際映画祭」が、10月23日から9日間にわたって開催されている。

その「キャッチコピー」が物議をかもしている。それはこういうものである。

「ニッポンは、
世界中から尊敬されている映画監督の出身国だった。
お忘れなく」

これが会場に貼り出され、新聞広告にも使われた。それで映画関係者などから顰蹙を買っているということだ。

しかもご丁寧に、この「キャッチコピー」には英語の訳文がついている。

Lest we forget; our nation gave birth to some of the world’s most respected directors.

「Lest we forget」は、英国などで使われる言葉で、戦死者を追悼して「決して忘れない」という意味だ。口語として使われることはほとんどない。

過ちを繰り返さない、という意味も含むので、先達の映画監督を称賛する意味で使うのは、おかしいのではないか。

日本語「キャッチコピー」の感覚は、芸術家のものではない。政治の臭いがする。それも三流の政治の臭いだ。

先人の栄光にすがる。今はダメな日本になってしまったけれど、過去は世界中から尊敬されている映画監督がいたのだ。「お忘れなく」というわけだ。もうここまで日本は追い詰められたのである。

この「お忘れなく」とは、誰に向かっていっているのだろう。外国人に向かっていったのか。みっともないから、やめるがよい。

国威発揚を芸術家がやり始めたら、もうお終いだ。芸術家は作品で勝負するがいい。

採り上げたのは、ファッショ化する状況と、この「キャッチコピー」の感覚が同じだからだ。「日本人は凄い」「日本人は立派だ」と、犬HKを先頭に刷り込み(洗脳)が続く。それに伴走する「キャッチコピー」である。

深刻なのは、この凄い日本人論が、凄くない日本人の裏返しとして、凄くない日本人によって出てきていることだ。

明らかに福島第1原発事件は、日本を根底から覆した。

nuclear power plant

ghost town

あぶり出された日本の経済人も政治家も官僚も、まったくお粗末な連中だった。人類史上、最悪の環境汚染事件を起こしながら、やったことは同胞の棄民だった。

同胞を切り捨てて、自分たちは生き残ろうとしたのである。

それだけではない。「ピンチはチャンス」とかいって、金儲けに走り出した。原発輸出や武器輸出、それに東京オリンピック開催などがそれだ。

まったく恥さらしなことは、この「キャッチコピー」と同じで、世界が見ている前で、ぬけぬけとやってしまったということだ。

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日本では、「加害者の東電・国」に対して「被害者の福島」というシェーマでこの問題を扱っている。しかし、世界は「加害者の日本・福島」に「被害者としての米欧」という見立てになっている。しかもこの動きが次第に強くなってきた。

「凄いよ、日本」「クールジャパン」。これは誰が、誰に向かっていっているのか。日本の支配層である1%(米国・朝鮮・官僚・経営者・東京の大手メディア)が、ネイティブの日本人に向かっていっているのだ。

日本民族は褒められるのが好きである。また褒められると弱い。ほとんどこれで支配し、滅ぼすことができるといっていい。

1%は、それで動いている。それも世界の1%もそれで動き始めた。

日本民族ほど可哀想な民族はいない。懸命に働いて巨大な富を産出する。しかし、1%にもっていかれてしまう。

また、人の才能を評価し、尊重するのが、非常に苦手である。その一例を芥川賞作家の柳美里に見てみよう。

彼女がブログ『柳美里の今日のできごと』(10月15日)で、雑誌『創』連載エッセーの休載理由を書いている。そこで彼女は、「もう何年も稿料が支払われていない」事実を書いた。

「『創』休載の理由

(前略)

実は、もう何年も稿料が支払われていないのです。

先月、意を決して、「稿料未払い分を計算して、振り込んでください。全額振り込まれるまで、次の原稿を書くことはできません」と篠田博之編集長にメールしました。

篠田編集長から、9月2日にメールが届きました。

「返信が遅くなって申し訳ありません。ショッキングなメールでしたので、考える時間が必要でした。
おっしゃること、もっともだと思います。何とかしようとは思っているのですが、大変な時期に力になれずにいて申し訳ありません」

篠田さん、何故、支払ってもらえない稿料を支払ってください、とお願いすることが「ショッキング」なのでしょうか?

わたしは、原稿を書くことで収入を得ています。
原稿執筆労働者です。
1枚数千円の原稿を毎日書いて、家族を養い、猫たちを養い、猫の糖尿病治療費や、福島県南相馬市への交通費や滞在費を捻出しているのです。

篠田さん、筆者に稿料を支払うことは、筆者の「力になる」ことではありません。
労働の対価を支払うことです。

10月5日に届いた篠田編集長からのメールです。

「弊社から『黒子のバスケ』脅迫犯の手記がようやく発売になり、これが売れるとある程度入金もあると思いますので、可能になり次第、原稿料を振り込んでいきます」

もし、手記が売れなかったら、原稿料は支払われないのでしょうか?

まず、2007年8月連載開始から現在まで、原稿用紙何枚分の原稿料が未払いで、そのうちいくらを何月何日までに支払い、残額を何月何日までに支払うのかを明らかにしてください。
(そちらで明らかにしないのであれば、税理士に相談して、計算してもらった上でご請求いたします)

そして、篠田さん、読者には、編集長として休載(あるいは、連載終了)の理由を説明すべきだと思います。

おかしいですか?」

柳美里は正論を書いている。言い分は論理的である。何のおかしいところもない。

政治が芸術を理解できないように、ほんとうは編集者が芸術を理解できないのである。若い読者は驚くだろうが、小説のわからない、小説担当の編集者など掃いて捨てるほどいる。ひどいのになると、自分の知らない漢字を誤字だと校正するのまでいる。

編集者のすべてが、売れる小説がいい小説であり(そんな小説しか出さない)、賞をとった小説は優れた小説だと勘違いしている。

深刻なのは、一般の読者もまたそう思っていることだ。

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