2015年8月11日、参議院「平和安全特別委員会」で、とんでもない文書が出てきた。出したのは、小池晃議員(共産党)である。

「小池晃議員(共産党)

本日は新たな資料をお示しを致します。これは統合幕僚監部の私どもが入手した内部文書であります。これは『ガイドライン及び平和安全法制関連法案について』ということで5月の末に作成されたようです」(『晴天とら日和』)

この日の参議院「平和安全特別委員会」でわかったことをまとめると、次の8点である。なお、中谷は、答弁に窮し、しきりに「予告なしに出てきた資料」といった弁明を繰り返した。しかし、実は2時間半前に配られて、自民党議員にも配布の了解を得ていた文書である。

ちなみに、4月27日に日米両政府は新ガイドラインに合意している。
5月の末に統合幕僚監部が「ガイドライン及び平和安全法制関連法案について」を作成していた。

1 同じ表題の資料が確かに存在する。

2 この重要文書の存在を、担当大臣の中谷防衛大臣が知らなかったこと自体が、大問題である。

3 まだ国会の審議の最中に、統合幕僚監部が、すでに新ガイドラインと戦争法案(安保法制)を受けた今後の方向性の検討に入っていた。これは、シビリアンコントロールの逸脱であり、無視である。

4 中谷防衛大臣も、国会の審議中に法案の内容を先取りするようなことは控えなければならない、と表明した。

5 新ガイドラインで新たに設けられることになった同盟調整メカニズム(ACM)が常設になることが明記されている。ACM内には運用面の調整を実施する「軍軍間の調整所」が設置される、と明記されている。「軍軍間の調整所」は、ガイドラインにも法案にもない。つまり法が成立する前提で、その後のことを検討している文書である。

恐ろしいのは、これからは、ガイドラインさえふれていない、米軍と自衛隊とが、直接、軍事作戦の「調整」を行うことが明らかになったことだ。現実的には、米国の要請で派遣された自衛隊は、戦場では、この「軍軍間の調整所」での軍議で作戦を立てることになる。

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6 日程表には、まだどこでも議論されていないことが書かれていた。8月に戦争法案(安保法制)成立、1月にキーンエッジ(日米共同統合指揮所演習)、2月から法施行と書いてある。PKOは、クジ隊が出発をして年明けの2月からは新法制に基づく運用をする、と書かれてある。つまり南スーダンPKOを年明けから今度の法制に基づいて運用するのだ。

7 PKOの延長を決めた閣議決定は、先週の金曜日。8月の末に終わる予定だった。それがもうクジ隊ということで書かれている。それを現行、新法制の下で運用すると書いてある。法案の成立を前提とした、克明な自衛隊の部隊編成計画まで含めて出されている。これは戦前の軍部の独走と同じである。

8 小池議員が、こんなものが出たままで議論はできない、もうこの法案は撤回するしかない、もう止めていただきたい、はっきりさせていかないと、これ以上議論できない、と発言。

このあと、鴻池委員長が散会を宣言した。

小池議員が参議院「平和安全特別委員会」に提出した資料「自衛隊統合幕僚監部資料」(PDF)

「2015.8.11 参院安保法制特別委員会 小池晃議員の質問」動画

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衝撃はネットに走った。

「岩上安身

明日(8月12日 注 : 兵頭)、その共産党の小池議員に緊急インタビューします!RT @siratamaneko: 共産党が凄い資料を出したよう、対応出来なくて国会散会。どうやら安保法案成立前に自衛隊軍部はアメリカと何やらスーダン派兵の約束をしてるとか? 完全な国会無視国民無視。自衛隊軍部のクーデター?

pontpont999

参議院にて、共産党小池議員の自衛隊内部文書により、自衛隊が安保法制成立前提で軍としての活動を予定していた事が判明。中谷防衛相が答弁不能に陥り参議院散会! 詳細をまだ把握してないがこれ大問題だろ!南スーダンってどういう事?

ふじおか義英 戦争法案絶対反対長野県代表

小池議員が暴露した統合幕僚監部の内部文書。自衛隊が戦前の「関東軍」と同じ様に、まだ法律として成立していない安保法制の内容で勝手に行動していたことに。防衛大臣が文書の存在を「知ってた」と言ったら、大臣の責任になる。逆に「知らなかった」と言えば、文民統制が機能していないとして大問題。

小池議員が暴露した自衛隊内部文書について
岩上氏「今回の内部文書が特定秘密保護法違反にあたらないか」
小池議員「そんなことをすれば独裁国家だと世界中に喧伝することになるからやるはずがない」「もし逮捕されれば獄中闘争をやるだけ」「そういう覚悟がなければ共産党議員はやれません」

きむらとも

我が国の安保政策、国会審議にはまったく関係なく、米国の要請と指示の下、「官僚」と「軍部」によって勝手に決められていくことが、これでハッキリした。今回の法案はもちろん、今後この国では「安保関連法案」なるものが立案されても、一切まともな国会審議など出来ないことが、これで明白となった」

元自衛官

紛糾した安保法案審議。
法案成立ありきで防衛省がフライングで作成した内部文書には、まず南スーダンPKOでの駆け付け警護に着手するとか。
「ホルムズ海峡の機雷掃海」「中国の脅威」そして「南スーダン」…この政府のいい加減さは何なのだ?
欺くだけの答弁しかできないなら廃案にすべきだ。

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『ガイドライン及び平和安全法制関連法案について』が出てきた背景と、本質を考えてみる。

このような自衛隊の暴走は、実は必然であった。

2月22日(2015年)の『東京新聞』が、「「文官統制」廃止へ法案 制服組、立場対等に」と題して、次のように報じていた。文中の漢数字は、兵頭の方で算用数字に改めてある。この記事は、すでに削除されている。

「防衛省が、内部部局(内局)の背広組(文官)が制服組自衛官より優位を保つと解釈される同省設置法12条を改正する方針を固めたことが分かった。自衛隊の部隊運用(作戦)を制服組主体に改める「運用一体化」も改正法案に盛り込む。背広組優位からの転換となり、背広組が制服組をコントロールする「文官統制」の規定が全廃される。

制服組や制服OBの国会議員からの強い要求を受け入れた形。3月に設置法改正案を通常国会に提出するが、万が一、制服組が暴走しようとした際に、阻止する機能が低下するとの懸念もある。

設置法12条は、大臣が制服組トップの統合幕僚長や陸海空の幕僚長に指示を出したり、幕僚長の方針を承認したり、一般的な監督をする際に、背広組の官房長や局長が「大臣を補佐する」と規定。これにより「文官統制」ができる仕組みになっていた。改正案では、官房長、局長らは各幕僚長と対等な立場で大臣を補佐すると改める。

1954年の防衛庁、自衛隊発足時、旧軍が暴走した反省から設けられたのが文官統制だ。制服組の政治への介入を阻むため、文民統制(シビリアンコントロール)が日常的に行われるよう文官が関わる制度で、その要は、内局の局長らが所掌を超えて大臣を直接補佐する参事官を兼ねる「参事官制度」だった。

しかし、自衛隊の地位向上や国民からの支持増大などを背景に制服組が反発を強め、2004年に参事官制度撤廃を要求し、09年に廃止。制服組は、設置法12条を「背広組が制服組より上位と解釈される」として強く削除を求めていた。

改正後は、運用面でも「自衛隊の行動の基本」を所掌してきた内局の運用企画局を廃止し、統合幕僚監部(統幕)に一元化。内局が持っていた運用計画を作成して大臣決裁を求める権限が統幕に移行する。作戦計画を文官がチェックする機能が弱体化することに、背広組幹部は反発を強めている。

◆歴史の教訓全否定

<纐纈(こうけつ)厚・山口大教授(政治学)の話> 政府の十分な説明もなく、国民的議論もないままに文官統制を実質無にする案にぼうぜんとする。大胆な恐るべき改悪だ。このまま法律が変われば、文官は軍事的分野に立ち入れなくなり、制服組優位が実質化してしまう。防衛強化の流れの中で非常に不安が大きい。

戦前、軍事専門家である軍人に全てを委ね、国民が知らないうちに決定がなされ、戦争に突入してしまった。その反省からつくられた文官統制をほごにするのは、歴史の教訓の全否定につながると考える

こんな時代にしたのは、第一義的には、安倍晋三という、血族だけで金を回す、メディア支配で成立する自公安倍政権が悪い。しかし、自公に政権を奪還させたわたしたち国民も、猛省しなければならない。

受け皿はあったのである。 

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