先週の金曜日(7月3日)に藤田孝典の『下流老人 ― 1億総老後崩壊の衝撃』(朝日新書)を紹介しつつ、藤田が「下流老人の具体的な指標」として「3つの「ない」」を指摘していることを紹介した。

それは「(1)収入が著しく少「ない」であり、「(2)十分な貯蓄が「ない」であった。ここまで書いたところで投稿の時間が来てしまった。今日はその続きである。

ちなみに藤田は「下流老人」を「生活保護基準相当で暮らす高齢者およびその恐れがある高齢者」と定義している。しかし、前号でも指摘した通り、年金生活者の実質的な年金額は、生活保護以下になっている。

メルマガを読んでもらえばわかるが、今日の日本の高齢者問題は、政治的な、そして社会的な、実に幅広く奥行きの深い問題である。自分には関係のない、単なる世代的な問題として捉えたら間違ってしまう。

それは若者を経済的徴兵制に追いつめる問題とつながり、弱肉強食のTPPに向かわせる政治とつながり、戦争に向かう日本の状況とつながっている。

誰にも老いは訪れる。死もまた。若い皆さんは、このメルマガを読んだ後に、「下流老人」が明日はわが身の問題であるばかりでなく、現在の「下流若者」の問題であることに気付いてもらいたい。

戦争に負ければ、だれでも日本が滅んでしまったことを認める。しかし本当は、戦争で食べていく国に変わったこと自体が、滅んでしまったことの証しなのである。現象や形式だけを追い求めても仕方がない。人に死せる魂が存在するように、国家にも死せる魂が存在するのだ。

日本はもう滅んでしまった国なのだが、その滅んでしまった姿の一端が下流老人の問題に露出している。

S・Kurodaがこんなツイートをしていた。

「40歳代の5割は安倍ちゃん政権を支持してるとか。20年後、年金資金は空っぽになり年金支給は75歳からになるようだね。払い込みは70歳まで…、このまま非人権政権が続くと40歳代は最悪の人生だョ。その子供や孫は「人権争奪戦」の生活に追われるね」

かりに75歳から年金を支給されたところで、それは実質的には生活保護以下だということは覚悟しておくべきだ。そういった政権を国民が選択し続けるのだから仕方がない。日本民族はきわめて奇怪な民族である。選挙では幸せの受け皿を必ず捨てる。そして自縄自縛の不幸に賭ける。

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藤田孝典は書いている。

「3 頼れる人間がい「ない」(社会的孤立)

下流老人の特徴の三つ目は、困ったときに頼れる人間がいないことだ。

(中略)

じつはこのような気軽に会話ができたり、相談ができるような豊かな人間関係を築いている高齢者が、下流老人には少ない。いわゆる「関係性の貧困」という状態にあり、社会的に孤立している姿が見えてくる。

(中略)

内閣府「平成26年版高齢社会白書」によれば、65歳以上の一人暮らしの高齢者数の伸びは男女ともに顕著で、昭和55(1980)年に男性約19万人、女性約69万人であったのが、平成22(2010)年には、男性約139万人、女性約341万人にまで増えた。

高齢者人口に占める割合も、男性4.3%から11.1% 、女性は11.2%から20.3%まで膨らんだ計算となり、今後も急激に増加すると予測されている。

その一方で、65歳以上の高齢者における子どもとの同居率は、昭和55(1980)年にほぼ7割であったものが、平成11(1999)年に50%を割り、24( 2012)年には42.3%と、大幅に減少している。

これからも高齢化が進むのは間違いないが、とくに一人暮らしあるいは夫婦のみの高齢者世帯は際立って増加していくことだろう。生活に困ったときや助けてほしいときに、家族が周囲にいない状況が当たり前の社会になりつつあるのだ

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多くの家庭で、定年後の父親は単なる同居人、子どもにとっての家とは下宿屋という状況になっている。下宿屋だから、子どもは働き始めると、もっと広い別の下宿を求めて出て行く。

その結果、下流老人には頼れる家族が側にいない現実に直面する。高齢者を取り巻く「関係性の貧困」は政府自ら政策として作っている。

65歳以上の高齢者における子どもとの同居率が、平成24( 2012)年には42.3%である。この減少傾向は今後も続くと思われる。

「日本創成会議」は、高齢者を東京から全国41地域へ移住させるという提言をまとめた。これは平成版「姨捨」である。

高齢者にとって危険なのは、それまでの生活の環境を変えられることだ。それはどんなに小さなことでも打撃になる。まして東京から地方への移住など、若くてもたいへんなことだ。高齢者にとっては、早く死ね、といわれているのと同じだ。高齢者に対する無知とともに、冷酷な棄民が適用されている。

続いて藤田孝典は、「では、下流老人の問題は、社会に対しどのような悪影響を生むのだろうか」と設問し、次の4点の悪影響を指摘している。

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「悪影響1 親世代と子ども世代が共倒れする

まず、身内の誰かが下流老人になった場合、その子どもたちも共倒れするような事態が考えられる。

(中略)

このように、経済的に依存せざるを得ない高齢者を扶養することは、現在のごく一般的な家庭モデルから見ても、子ども世代に相当な負担を強いることがわかる。ましてや、現役世代の平均給与は微減傾向にあるだけでなく、正社員に比べ年収が数百万円も劣る非正規雇用者の数は年々増加の一途をたどっている。

このような社会状況において、家族扶養を前提とした従来型の社会福祉モデルは、もはや限界に達していると言っても過言ではないだろう

政治が下流老人を作ると、親の面倒を見ようとする子どもが倒れる。

政治は年金生活者の年金を減らし、加えて増税までしている。親の面倒を見ようとする子どもたちは年々非正規に追いやらている。

今また政府は、労働者派遣法改悪で永久の低賃金と、不安定な労働条件に派遣労働者を追いやろうとしている。

とても親の面倒をみられないと悲鳴を挙げると、法的に親の扶養を義務づける。これが政治だろうか。

安倍晋三の政治は、後に述べるように明確な弱肉強食、優勝劣敗、適者生存の優生学思想に貫かれている。

「悪影響2 価値観の崩壊

高齢者はこれまで家族を養い、社会や経済の発展に寄与してきた存在である。たいていの文明社会においては、高齢者は多くの人々から尊敬される者のはずだ。しかしこのままいくと、社会的な役割を十分に果たしてきたにもかかわらず、高齢者が尊敬されない時代が近いうちに到来するだろう。

今はまだ、「長生きすることが素晴らしい」という共通認識があるが、長生きする人間が社会の重荷になるのであれば、それは生命の価値自体が軽んじられることにもなりかねない。

(中略)

これはかなり危険なことで、高齢者に限らず、生産能力が低い障害者にも被害が拡大する恐れもある。あるいは生活保護受給者や社会保障を受けている人々に対する差別的意識が強まり、自立を阻害する要因となる可能性すらあるだろう。

もともとわたしたちが大事に築き上げてきた価値観、なかでも子どもの頃に教わったような「命の尊さ」や「生命倫理」が根底から揺らいでしまう時代がくるかもしれない。そして、それが優生思想にもつながる危険な考え方を生む土壌を社会に形成してしまう。

最近は、ヘイトスピーチなども話題になっているが、他の国の人々や価値を尊重しない排斥行動も広がる傾向を見せている。ホームレス等を襲撃する中高生も後をたたず、襲撃して排除することが素晴らしいことだと語る少年まで現れている状況だ。これらはすべて個人の権利や命を軽視する意味で同じだと言える

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