ナシーム・ニコラス・タレブとグレゴリー・F・トレバートンは、共同執筆の「嵐の前の静けさ―次にブラックスワン化する国は」のなかで、次のように書いている。

(ナシーム・ニコラス・タレブは、米国の哲学者で、ニューヨーク大学教授。2007年出版の『ブラックスワン』は世界で大きな話題となった。グレゴリー・F・トレバートンは米国家情報会議議長)

「脆弱な国家の第1の特徴は、意思決定が特定のプレイヤーに集中していることだ。傍目には、中央集権的型の政府はより大きな効率をもち、安定しているように思えるかもしれない。だがそのような安定は幻想だ。単一構造で統合する必要のある軍隊を唯一の例外とすれば、中央への権限と権力の集中は脆弱性を高める」(『Foreign Affairs Report』2015 NO1)

この原則を日本に適用するには、さまざまな手続きがいる。第一、日本は中東の独裁国家のようには単純な構造にはなっていない。

日本を実質的に支配しているのは米国である。戦後70年にもわたって、敗戦国に軍隊を置き続けている国は米国のみだ。

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日本の官僚は、対米隷属を日本支配の戦略としている。官僚という、もっとも強大なネイティブの権力が、外国の支配を利権保持の戦略としたため、敗戦後70年にもわたって戦勝国の軍隊が日本を我が物顔に占領し続けることになった。

そのため国家の脆弱性をいうなら、「米国→官僚(日米合同委員会)」の支配構造こそ、その極限の形といってもいい。これは、本当は植民地の脆弱性のことなのである。

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安倍晋三は確かに独裁制を強めてはいる。しかし、何度もわたしが指摘してきたように、その正体は対米隷属の新自由主義者、グローバリストにすぎない。

したがって、いくら衆参で多数派を形成し、強固な政権運営基盤を作っても(それは全有権者の4人に1人が支持した政権にすぎない)、特定秘密保護法、集団的自衛権、憲法改悪、徴兵制へと戦争へ向かって突き進む政策は、多数派の国民を常に置き去りにした政策なのである。

これからの日本がはらむ深刻な問題は、宗主国の意向を受けて「官僚→自民党(日米合同委員会)」で始める戦争が、国民にどのような意識の変化を生むかという問題である。

道はふたつしかない。

1 植民地の家畜として、従順に宗主国の戦争指示に従い続ける。

2 植民地にナショナリズムが勃興し、対米独立に結びつく。

日米の既得権益支配層が考えているのは、この「1」のケースであろう。「2」のケースになったときは、自公では、もはや対応できないであろう。

ナシーム・ニコラス・タレブとグレゴリー・F・トレバートンは、第2、第3の脆弱な国家の特徴として、次の点を指摘する。

「第2のソフトポットは経済的多様性に欠けることだ。
経済の集中は、政治の集中以上に質が悪い。デビッド・リカード以降のエコノミストは、比較優位をもつ産業に特化すれば、国内の労働生産性が高まり、利益を最大化できると主張してきた。だが、特定の産業に特化すれば、ランダム・イベントへの脆弱性を高めてしまう。

経済の安定を維持するには、特定産業の収益がなくなっても、国の全般的な経済状態に大きなダメージがでないようにしなければならない。

(中略)

ダイアモンド資源に経済を依存するボツワナなど、特定の資源輸出で経済を成立させている国も、日本の自動車産業のように、特定産業に輸出の多くを依存している国も脆弱性を抱えている。

(中略)

もう一つの脆弱性のルーツは国の財務体質だ。大きな債務を抱え、レバレッジ率が高ければ、危機が伴う衝撃が大きくなる。特に大きな債務は脆弱性を高める」

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この「2」「3」の脆弱な国家の特徴もまた日本に当てはまる。日本といえば車であったが、最近になってようやく経済的多様性に日本も務めてきた。しかし問題はその多様性の中身にある。

原発と武器輸出。このふたつとも将来の日本に大きな災いをもたらすだろう。

これは日本の経済的多様性が、主体的なものではなく、後手に回っているためである。順調なときは何も手を打たない。いわば追い込まれて初めてやる、ほとんど思いつきのような多様性なので、原発と武器輸出に集約されたのだ。

しかも安倍晋三のミッションは、日本破壊の米国救済である。

それを消費税増税、インフレ、円安、株高、原発輸出、兵器輸出、集団的自衛権の確立で実現しようとしている。

10%の消費税増税は、すでに決まっている。これは米国債の購入、グローバル企業への法人税減税、米兵機の購入など、米国救済にあてがわれる。

原発輸出。日本が輸出を決めている国は、ベトナム、ヨルダン、トルコなどの発展途上国が多い。放射性廃棄物は、日本が全部引き受けることになっている。日本国内の放射性廃棄物の捨てる場所さえないのにだ。輸出先の廃炉はどうするのか。廃炉の天文学的な費用を、これらの国は払いきれるのか。

それに輸出先で、日本の低い技術の原発が事故をおこしたら、輸出した会社ではなく、国民が賠償することになる。

実は、このシステムは、すでに福島第1原発でできあがっている。東京の大手メディアが、そういった政治を批判しない。したがって国民は何も知らずに黙っている。

これらの日本の国家としての脆弱性は、「1」の「米国→官僚(日米合同委員会)」の支配構造と密接に絡んでいる。グローバル企業の、目先の利益のために、日本国民の未来に対して、無頓着、無責任の精神が横溢している。

ナシーム・ニコラス・タレブとグレゴリー・F・トレバートンは、第4、第5の脆弱な国家の特徴として、次の点を指摘する。

「(4点目として、注 : 兵頭)政治領域での変化や変動に乏しいことも脆弱性を高める。一般に考えられるのとは逆に、本当に安定した国では市民は政権を頻繁に取り替え、政治志向さえも見直すことが多く、穏やかな政治的変化を経験している。

(中略)

第5の脆弱性のルーツは、 「ボラティリティ(価格の変動率のこと。値動きの幅。ボラティリティが高ければ期待収益率から大きく外れる可能性が高いといわれる。注: 兵頭)なき安定はない」という前提に派生するもので、変動なき安定など存在しないことだ。大きなショックに耐えた経験をもっていなければ、脆弱性は大きくなる。

例えば、過去20年間という最近の歴史のなかで最悪の事態を経験し、それから立ち直った経験をもつ国は、そうでない国に比べてより安定している」

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