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小池百合子は、10月4日に都議会で所信表明をおこなった。

そのなかで「働き方改革が都民の活力を引き出す」という、わざわざ安倍晋三と同じ項目を設けていた。(「2 「新しい東京」を目指して」のなかの「都民誰もがいきいきと活躍できる「ダイバーシティ」

安倍晋三にエールを送ったのである。小池新党はないのかもしれない。

小池劇場とは、どさ回りの田舎芝居のことである。だから大衆的な人気が出るのだ。この芝居がもし芸術性を高めれば、これほどの人気は出ないだろう。それが彼女の強みにもなっている。その田舎芝居の地が露出してきた。

面白いのは、この利権塗れの田舎芝居が、過去を引きずっていることだ。理念やイデオロギー的なものは、彼女の場合は、引っかけやだましのツールにすぎない。端的にいうと、ないのである。

その点、安倍―野田―蓮舫翼賛体制を目指す蓮舫と似ている。ふたりのまなざしは、常に官邸にあるようだ。

ただ、小池百合子は安倍晋三ほどバカではない。安倍晋三の場合は、ジャパンハンドラーの振り付けに添って踊っているだけである。小池の場合は、もう少し自分流を貫いているようだ。

『英国エコノミスト』(2016年10月1日)に、「型破りな政治家たち 戦闘状態に入る 新都知事は既得権益と戦う、ある程度までは」が載っていて、面白かった。小池は、現在、沖縄の翁長雄志と並んで、もっとも外国から注目されている日本の政治家かもしれない。

政治家に限らず、外人が書いた日本人論は、日本人が書いた月旦より面白い場合がある。

もっともいいのは、日本の政治評論家の書くものは、ほとんど付き合いのレベルのものであるが、外人のものにはその遠慮がないことである。

「小池女史は、東京が主催する2020年のオリンピックの急激に高騰する予算を、うまく統制するであろう。開発関係者を激怒させ、また魚市場の汚染除去の失敗の責任を問われている前都知事の石原慎太郎との対立はあろうが、彼女は魚市場問題では勝利をするであろう。

しかし、amakudari(天下り)、又は「天から降る」――上級官僚が退職後、都庁の傘下の多くの関連団体や企業の割のいい仕事に横滑りするもので、最高で1千万円(10万ドル)の年収を得る――などの排他的な習慣の排除には苦戦するであろう。

上智大学の中野晃一は「彼女は苦境に陥っている」と言う。彼女には大衆の支援が必要であり、それは既得権を恐れずに熟視することを意味する、しかし、今のようなことを続けると、辛辣な反撃に直面するであろう」。確かに、タブロイド新聞は、好意的ではない記事の掲載を始めた。

所属する党を何回か変更した小池女史は、政治的生き残りのコツを知っている。しかし、彼女の経歴は、自身で言うように因習を打破するようなものではない。日本初の女性防衛大臣ではあったが、軽微なスキャンダルで就任後2か月以内に辞任した。環境大臣在任中に、電力節減のために、夏の期間にビジネスマンの上着とネクタイを略させた「クールビズ」の推進者として最もよく知られている。

小池女史の戦いは当面、腐敗に対して挑むことのみで、その他の優先事項はその次になるだろうと、観測筋は推測する。彼女の公約の一つに、母親を働きやすくするために、保育施設を増やす計画――日本の労働力不足や頑固な性差別を緩和するために必要なこと――がある。彼女が現実主義者の兆候である。保守主義者であり、伝統的な価値を擁護する民族主義者の会である日本会議の会員でもあるが、これは彼女にとっての自然な地盤ではない。

彼女はまた、同様の地盤の自民党と何らかの形で和解するのではないか。「必要であれば、3日もあれば新党を立ち上げることが出来る」と豪語し、独自の党の立ち上げを排除しない。だが、彼女は、自民党の認可の方を恐らく好むのではないか、なぜならば、東京では多くの同党員や、その同盟党と対立しているからだ。しかしながら、どこまでその対決が行くのかは不明のままである」(英字原文

昨日、『英国エコノミスト』のこの記事にはアクセスがたいへん多かった。小池が世界的に注目されている証左である。

「彼女は魚市場問題では勝利をする」とは、何を意味しているのだろう。豊洲新市場を最終的にやめてカジノに切り替えるという意味か。確かに豊洲移転をやめれば、カジノが自民党・日本財団を納得させる、もっとも有効な手になる。

官僚の天下りなど「排他的な習慣の排除には苦戦する」どころか、小池は手を付けない可能性もある。

「タブロイド新聞は、好意的ではない記事の掲載を始めた」というが、3か月を過ぎてからの、東京の大手(「記者クラブ」)陰謀メディアとの付き合い方は見ものである。

この記事のもっとも鋭いところは、「彼女の経歴は、自身で言うように因習を打破するようなものではない」と指摘していることだ。そこから「新都知事は既得権益と戦う、ある程度までは」といった辛辣なサブタイトルが出てきている。わたしもこの見方に賛成である。

小池が都庁の天下りに手を付けるといったイメージはまったく浮かばない。これは政権をとった旧民主党さえやれなかったことだ。よほどの力量と革命観がなければ、これはやれない。

公約の保育施設の増設。これは十分とまではいかなくても、ある程度はやるだろう。

面白いのは、「保守主義者であり、伝統的な価値を擁護する民族主義者の会である日本会議の会員でもあるが、これは彼女にとっての自然な地盤ではない」としたことだ。小池は風を読むのがうまく、それで日本会議の会員という選択が出てきたのかもしれない。

小池と自民党との和解は、すでにできている。新党の可能性もゼロではないが、自民党のなかからの首相を目指すのかもしれない。

最近は、豊洲新市場の盛り土問題に絡んで、石原慎太郎(元都知事)―小池百合子(現都知事)―内田茂(現都議員)―浜渦武生(はまうずたけお 元都副知事)―栗原俊記(石原の秘書。元鹿島建設)といった人間関係が炙り出されてきた。

すべて都議会の関係者である。骨格だけ整理しておくと、以下のとおりだ。

1 小池百合子と浜渦武生とは、浜渦が、学生時代に小池の父の家に下宿していたという過去がある。これは軽視すべき過去ではない。何年も同じ屋根の下で起居を共にしたわけで、浜渦は小池家に対して感謝と恩義を感じている筈だ。

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小池の初登庁を浜渦武生が出迎え、都議会の各会への挨拶回りに付きしたがったのは、この過去が蘇っていたのである。

2 すでに他界している小池の父の小池勇二郎は、昭和40年代に、この浜渦武生とともに「青年作家・石原慎太郎を総理に」という運動に参加している。その縁で浜渦は慎太郎の秘書になっている。

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3 慎太郎と浜渦武生との関係は、最初は政治家と秘書、後に都知事と都副知事の関係である。つまり浜渦は、小池と慎太郎の両方と話ができる立場にある。そのことからして小池百合子が、豊洲新市場の盛り土問題等に関して、慎太郎の旧悪を暴くことはないと見ておいた方がいいだろう。

4 慎太郎と浜渦武生の知事・副知事コンビ、それと都議会のドン内田茂の関係は、利権を巡るドロドロの権力闘争である。これまでは、内田が勝利を収め、浜渦は副知事を追放されている。

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内田の凄まじい利権の一端を、新恭(あらた きょう)はこう書いている。

「オリンピックも、築地市場移転も、巨大な公共工事をともなうのは言うまでもない。彼(内田茂 注 : 兵頭)の地元は国家権力の集中する千代田区で、そこに本社がある東光電気工事の監査役もつとめている。東光電気工事は、大手ゼネコンとジョイントベンチャーを組み、バレーボール会場の「有明アリーナ」(落札額360億2,880万円)、水泳の「オリンピックアクアティクスセンター」(469億8,000万円)の工事を落札した」(「「都議会のドン」に追われた男が、小池都知事と共に仕掛ける復讐劇」

これから議員も官僚も内田から離れていくだろうが、おそらく内田はすでにポスト小池を睨んでいるだろう。子飼いの郎党とともに雌伏して時の至るのを待つのだと思われる。その芽を摘むべきなのだが、そこまで小池にやれるかどうか。

小池百合子には世界の注目が集まっている。「ある程度までは」と、あまり器用にやらない方がいい。

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