選挙も中盤から終盤に入ってきた。『朝日新聞』によると、衆院選のテレビ放送が激減しているという。解散から1週間の放送時間が、前回の2012年と比べて約3分の1に激減しているということだ。

例の自民党によるテレビ各局への「公平」報道の要請(という名の圧力)が効いているという。そうだろうか。自分たちのことを評して、まるで他人事のような言い方だ。

わたしは安倍と東京の大手メディアとは仲良くやっているのだと思う。採り上げないほど安倍にも、そして安倍を勝たせたいメディアにも都合がいいのだ。選挙を盛り上げないことで、ともに狙っているのは低投票率である。

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東京の大手メディアは、数少なくなった選挙情報のなかで、予測当選数を必ず出している。これで余計、大衆は「自民党の圧勝だ。安倍晋三は支持されている。投票しても仕方がない。それとも勝ち馬に乗るか」という気持ちに誘導される。

わたしは一貫して、わが国におけるメディアの問題は、情報の問題などではなくて、政治の問題だといってきた。購読者の皆さんには、わたしと同じ考えの人が多いのではないかと思う。

これから、ますます東京の大手メディアを中心に、わが国のメディアは権力の広告・広報機関と化す。戦争に国民を煽っていくのだと思う。すでに産経、読売はその路線のなかにある。きわめて政治的なメディアだ。

(以下、「過去の冷戦の残り火から燃え広がるもの」の一部だけ公開します)

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さて、前回のメルマガで、新冷戦のなかの中ロ同盟が、「レーニン・毛沢東」の共産主義イデオロギーの共有遺産をもとに構築されると述べてきた。そしてその同盟の強さが、分断策が通じないほど強固なものであることを述べてきた。

今日のメルマガでは、その同盟の強固さが一体どこから来るものなのか、を探ってみたい。

12月10日から特定秘密保護法が施行された。この平成の治安維持法の施行を前にして、少なくない、著名なブログが自主的に閉じられている。

購読者の皆さまはご存知のように、わたしの表現は公開された情報をもとにしたものだ。国家秘密を管理しているような高級官僚や政治家との付き合いは、わたしには何もない。

文字通り、高級官僚も政治家もひとりもわたしは知らない。知らないというのは、面識がないということだ。したがって国家秘密を知るすべもないわけだ。

しかも表現活動に、そのようなスクープ的なことはあまり意味がないのだとわたしは考えている。吉本隆明も江藤潤も特定の高級官僚・政治家との付き合いはなかった。仮に偶然何かの情報を耳打ちされたとしても、かれらが書かなかったことは確かだ。尋ねもしないのに、耳元で囁かれる、誰も知らない情報の多くは、リーク情報であるからだ。

吉本も江藤も、立ち位置は思想家・文学者であった。狭義のジャーナリストではなかったのである。したがってスクープは必要なかったのだ。

表現で、もっとも価値のあるのは、既成の手垢にまみれた観念を超えて、世界に新しい発見・感動をもたらすことである。その発見・感動を通じて、同時代の人の生き方を、そして世界を変えていくことである。

現在、ブログを閉鎖するのみならず、過去のツイートやブログ記事を削除している人がいる。せっかくの表現を、どうしてそう簡単に消し去るのか、削除できるのか、もったいない気がする。それに、いったん公開した表現を完全に消し去ることは不可能である。ここは冷静に対応してもらいたいものだ。

「法の不遡及(ほうのふそきゅう)とは、実行時に合法であった行為を、事後に定めた法令によって遡って違法として処罰することを禁止する、大陸法系近代刑法における原則。 事後法の禁止、遡及処罰の禁止、法律不遡及の原則ともいう」(ウィキペディア)。わが国でも法の不遡及原則が採用されている。新しく作った法律で、過去の表現を罰することはできないのだ。

過剰に反応して官僚に嗤われないようにすべきだ。

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さて、本題に戻ろう。今回のメルマガで考えてみたいのは、中ロ同盟の強さがどこから来るのか、というテーマである。それは日本の現在においても非常にシリアスなテーマなのだ。なぜならわが国はこの二国とも領土問題を抱えているからだ。尖閣問題にも北方四島問題にも、中ソ同盟が深い影を落としてき始めた。

今後、中国は、尖閣問題に対応するときにロシアを意識し、ロシアも北方四島に対応するときに中国を意識する。当然、日本もそれに対応しないといけないのだが、そのような問題意識が、安倍晋三にも官僚にもないから困るのである。

わたしたちは、現在、一国のトップの、資質の問題に逢着している。

世界史をひもといてみればわかるが、どのような転換期にもリーダーの資質の問題が大きく影響してくる。

もし政権を担っているときの民主党が、代表選で菅直人や野田佳彦を選出せずに、小沢一郎を選出していたら、現在の中国との険悪な外交関係や、軍国主義に向かう世相は形成されていなかったのである。

ひとりのリーダーの資質で、一国の運命が、すなわち民衆の運命が変わってしまうのである。その恐ろしさを日本国民は知らないのである。大切な選挙を棄権してしまう姿勢にそれが現れている。

「証言 いかに冷戦は終結したか―ドイツ再統一とNATO加盟問題」のなかでロバート・ブラックウィルは次のように証言している。(( )内は兵頭の注である。ロバート・ブラックウィルは米外交問題評議会シニアフェロー)

bush&Gorbachev

「(訪米中の)ゴルバチョフはとりとめのない話を(初代ブッシュ大統領と)していたが、そのなかで彼は、「それがどのような同盟であれ、(統一されたドイツがNATOに)加盟するかどうかは(冷戦後に統一された)ドイツ人が決めることだ」と語った。もちろん、この発言も通訳された。シュワルナゼはゴルバチョフに身を寄せて何かを話そうとしたが、ゴルバチョフはこれを無視した。

私はブッシュ大統領にメモを書いて、この発言に話を戻し、彼の立場をわれわれが的確に理解しているかを確認すべきだと促した。大統領はその通りにし、ゴルバチョフは同じ表現を繰り返した。

食卓の向こう側には10名ほどのソビエトの高官たちがいたが、誰もが自分の母親が死んだことを知らされたかのように、茫然としていた。穏やかに表現するとしても、彼らは動揺を隠さなかった。

当時のことを今から考えると、90年代半ばにソビエト軍の将校と交わした会話を思い出す。

1988年12月にゴルバチョフは、ソビエト国防相には一切相談せずに、国連に行ってソビエト軍の規模を50万人削減すると表明した。

この将軍は「ゴルバチョフがモスクワに帰ってきたときに、飛行場で彼を射殺すべきだった」と当時の憤りを表現した。

退役したソビエト軍の高官たちに話をしてみればわかるが、多くの軍高官が同様の感情をもっていた。「別のやり方があった」と彼らは考えていた」(『Foreign Affairs Report』2014 NO.12)

この証言を読むと、ゴルバチョフは、当時の旧ソ連の、優秀な外務官僚とも軍部とも話をせずに、ほぼひとりですべてのことを決めていたことがわかる。

このことの評価はおいておく。今回のメルマガのテーマとは外れるからだ。

わたしたちが注目すべきは、NATOに入るかどうかは、ドイツが決めていいよ、と語ったときの、ソ連官僚たちの様子だ。

「食卓の向こう側には10名ほどのソビエトの高官たちがいたが、誰もが自分の母親が死んだことを知らされたかのように、茫然としていた。穏やかに表現するとしても、彼らは動揺を隠さなかった」。

それはそうだろう。多くの犠牲者のおかげで実現したロシア革命の、あまりに呆気ない、プライドをズタズタに引き裂かれる、急激な崩壊。敵国での無残なまでの譲歩。

ドイツでさえ「ドイツ統一はNATO不参加が条件」と諦めていたのである。米国も、旧ソ連の出方に固唾を呑んで見守っていた段階だった。それをNATO参加はドイツが決めていい、とあっさりといわれたのである。

「誰もが自分の母親が死んだことを知らされたかのように、茫然としていた」という文章は忘れがたい表現だ。これはこの場だけの屈辱だったと思ってはならない。いたるところで、その後も革命のプライドと怒りはゴルバチョフによって踏みにじられていったのだ。

その屈辱と怨念は、冷戦終結後も消えなかった。残り火になってくすぶり続け、米欧のNATO不拡大の裏切りを挟み、現在の新冷戦になって燃え広がり始めたのである。

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