以前のメルマガで、ジョン・パーキンスの、『エコノミック・ヒットマン 途上国を食い物にするアメリカ』を採り上げた。そのなかで書いた内容を、ここでさらに深化させる作業から始めよう。「4」は、わたしが新たに加えた内容である。

EHM(エコノミック・ヒットマン)の戦略

1 米国のEHM(エコノミック・ヒットマン)が、世銀やIMFなどの国際金融機関の資金を外国に貸し付ける。発注した仕事は米国系企業のものだ。借金を膨らませて、その国を実質的な植民地にするのである。

あるいはCIAなどの謀略で、その国を最初から暴力的に内乱状態にもってゆく。そして米国の傀儡政権を打ち立てる。この傀儡政権に世銀やIMFなどの国際金融機関の資金を貸し付け、実質的な植民地にする。

2 その国の指導者が米国から自立しようとすると、最初はEHM(あるいはCIA)がやめるように警告する。植民地のリーダーが傑物で、それでも自立をやり遂げようとすると、「ジャッカル」が暗殺に出てくる。

3 「ジャッカル」も手に負えなくなったら、イラクやアフガニスタンのように米軍の登場である。いずれ集団的自衛権はそれにも使われるだろう。

Iraq battle

4 侵略した国の復興は、日本などを中心に当たらせ、投じられた巨額の復興資金を米国企業に還流させる。

これから、この4段階の戦略を、朝鮮半島の統一に見てみる。

安倍は、集団的自衛権で落ちた支持率を上げるために、これからお友だちの北朝鮮に頼み、拉致問題を政治テーマに掲げるはずだ。それで今日のメルマガでは<朝鮮>をテーマにして考えてみる。

元米中央情報局(CIA)上席分析官で、現在コロンビア大学東アジア研究所・シニアリサーチフェローのスー・ミ・テリーは「北朝鮮の崩壊を恐れるな――リスクを上回る半島統一の恩恵に目を向けよ」のなかで次のように書いている。

「朝鮮半島の統合はおそらく次の三つのシナリオのいずれかによって実現するだろう。

韓国が望んでいるのは、北朝鮮が中国の経済モデルを導入し、軍事路線を控え 、ソウルとの段階的な和解策に転じるというソフトランディング・シナリオだ。これを第1のシナリオとしよう。

一方、第2のシナリオは魅力的なものではなく、経済・社会的な重圧によって迷走する北朝鮮が内側から崩壊し、韓国に吸収されるというハードランディング・シナリオ。

第3は、北朝鮮が韓国を攻撃し、米韓連合軍が北朝鮮を粉砕し、軍事的に半島が統一されるという、より劣悪なシナリオだ。

この3つのシナリオのなかで、もっとも現実性に乏しいのがソフトランディング・シナリオだろう。金正恩は改革路線にはほとんど関心を示していない。

第3の軍事的統一というシナリオにも説得力はない。いくら喧嘩っ早いとしても、金正恩が彼の父や祖父以上に自滅さえも厭わない無謀な人物には思えない。

そうなると、第2の「内からの崩壊」というハードランディング・シナリオがもっとも現実味がある」(『Foreign Affairs Report』2014 NO.7)

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朝鮮半島統一のケースは、大きく分けるとこの3つであろう。そのなかで、もっとも可能性が高いのは、スー・ミ・テリーのいうように北朝鮮の内部崩壊であろう。

また、同じ論文のなかで、スー・ミ・テリーは次のように書いている。このあたりには米国の狙いとともに、米国の日本を見る目がじつに鮮明に出ている。

「北朝鮮には、総額6兆ドルの価値をもつ石炭、ウラン、マグネサイト、レアメタル資源が存在する。現在はこうした資源を開発できずにいるが、韓国の技術があれば、これらの鉱物資源を開発できるようになり、資源の開発と輸出はグローバル経済の成長にも貢献することになるだろう」

「半島の統一プロセスをスムーズに進める上でも、日本の後方支援や経済援助は不可欠だ。例えば、ソウルが北朝鮮の核の兵器庫を引き継がないことを条件に、中国と日本を北朝鮮の再建に貢献させることも考えるべきだろう。

中国は電力を安価に提供し、インフラ再建を支援することで(旧)北朝鮮の再開発に貢献できるし、日本は人道支援、経済支援、投資、専門知識を提供できる」

冒頭に掲げた「EHM(エコノミック・ヒットマン)の戦略」の、「4 侵略した国の復興は、日本などを中心に当たらせ、投じられた巨額の復興資金を米国企業に還流させる」が、ここに出ている。

わたしは、違う体制の下に分断された民族の統一は、その民族に任せればよいのだと思う。

自明の前提も疑ってみるべきだ。そういうものはないのだから。

沖縄の例を見てもわかるように、統一は必ずしも幸福をもたらさない。沖縄は、日本に統一されるより、独立した方が良かったのである。

まして北朝鮮の資源に注目し、米国が主導して日本を巻き込み、北朝鮮の内部崩壊に介入する、というようなことは、やめたほうがいいのである。

北朝鮮の内部崩壊といっても、内戦を含めてさまざまなケースが考えられる。ウクライナ問題を見てもわかるように、米国の介入は、混乱と破壊をもたらすだけで、決してその国に幸福と豊かさをもたらしていない。

Kiev riot

スー・ミ・テリーの夢想するような、統一後の薔薇色の朝鮮半島など幻想である。ハレ経済研究所の試算によれば、20年に及ぶ東西ドイツの統一コストは1兆9,000万ドルだった。朝鮮半島の統一コストはこれを遥かに超えるといわれている。

狙われているのは、政治の劣化した日本である。それは次のように描かれている。

「半島の統一国家に日本が食糧、医薬品を提供し、支援スタッフや医療関係者を送り込めば、現地における反日感情を克服していく大きなチャンスになる。

すでに日本は世界有数の援助拠出国であり、朝鮮半島北部の再建を助けることで、敬意を勝ち取ることができるだろう」

朝鮮半島北部でもっとも敵意を持たれているのは米国である。米国こそ北朝鮮を助けて「敬意」とやらを勝ち取るべきだろう。

不思議なことに、この論文のどこにも、米国の支援が書かれていない。

北朝鮮ばかりではなく、韓国を含めた朝鮮民族の、日本民族に対する敵意や恨みは複雑である。根が深く、消えることはないと思った方がいい。「価値観の共有」(安倍晋三)といった子供だましで消えるものではないのだ。それは現在の韓国を見れば容易にわかる。

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