汚染水の問題は、結構理解するのが難しい。

その理由のひとつは、東電の隠蔽体質が絡み、かつ東電自体もわからないことが沢山あるからである。

現在、福島第一原発の汚染水は、3つに整理してとらえると、全体が理解しやすい。

1 ひとつは山から流入してくる地下水である。これは毎日800トン(最近の東電の発表)ほどが流れてきて、そのうち半分の400トンほどが原子炉建屋に流入している。残りの400トンほどが海に流れている。この地下水も堤防近くで井戸を掘って調べると汚染されていることがわかっている。

よく圧力のバランスといわれるのは、この原子炉建屋に到達した地下水と、原子炉建屋内の汚染水との圧力のバランスのことである。

ここで問題になるのは、原子炉建屋に到達する地下水の水位(圧力)の方が下がると、原子炉建屋内の汚染水が外に漏れ出てくるという問題である。

つまり、原子炉建屋に流入した水は、建屋の中と外とで、微妙なバランスを取っていることがわかる。それほど多量の水ということだ。

2 もうひとつは、循環注水冷却方式から生まれた汚染水である。

冷却するために原子炉に水を注ぐ。ところが原子炉に亀裂が入っていて冷却水が漏れ出ている。漏れ出た冷却水が、外側の格納容器にたまる。ところが格納容器にも亀裂が入っていて、さらに下に漏れ出て原子炉建屋の下にたまる。(土台はコンクリート)

その汚染水が隣のタービン建屋にまで移動する。(ここも土台はコンクリート)

この汚染水を吸い上げてセシウムを濾過し、淡水化する。その水を再び原子炉に入れる。

これが循環注水冷却方式と呼ばれるものである。ホースの長さはすべてで4キロにも及ぶ。

循環であるが、1号機から3号機まで1日に400トンを冷却水として注いでいるが、これが不思議なことに800トンに増えて戻ってくる。

理論上は、1日に400トンを原子炉に注いで冷却すれば、4キロのホースを循環して同じ400トンで戻って来なければならない。ところが不思議なことに倍の800トンになって戻ってくる。

原子炉建屋やタービン建屋に地下水が400トン流入しているわけである。それで増えた冷却水(汚染水)400トンを汲み上げて、地上のタンクに入れて保管している。つまり1日に400トンずつタンクは増える。 1,000トンのタンクなら2日半でいっぱいになる。それが私たちがテレビなどでよく見ているあの林立するタンク群なのである。

3 最後に残った3つ目の汚染水は、地上に貯めたタンクから漏れ出た汚染水である。

これは東電も想定外の汚染水である。400トンの冷却水が日々800トンに増えて戻ってくる結果、400トンの汚染水を地上のタンクにためたわけである。

漏れ出たタンク近くの井戸を掘って調べると、地下水が汚染されていることがわかっている。つまり漏れ出た汚染水はすべて海に流出したわけではなく、すでに地下に染み込んで地下水を汚染している。

以上が、福島第一原発の汚染水の全体像である。現在、東電やメディアは、しきりにタンクの汚染水を取り上げる。これはもともと「2」の循環注水冷却方式が日々生み続けているものだ。

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ところで、『週刊現代』(9月9日)が「日本全体が隠蔽体質、全くオープンにされない原発事故、ダダ漏れの「原発汚染水」に世界中激怒」と題して、次のように報道している。

「欧米人記者A 日本はこれほど世界中を不安にさせておいて、オリンピックに手を挙げる資格などあるのか?

田中 国際社会に大変迷惑をかけたことについては反省している。

9月2日、東京・有楽町の日本外国特派員協会で開かれた田中俊一・原子力規制委員会委員長の記者会見は、世界中のメディアの特派員たちから、英語の集中砲火を浴びた。日本では詳しく報じられていないが、田中委員長は、まさに火ダルマになったのだった。

欧米人記者B 福島の放射能汚染水は、アジアの海を、取り返しのつかない汚染の海にする危険性を秘めているのではないか?

田中 現状は汚染は港内にとどまっている。トリチウムの汚染量が20兆ベクレルと報道されたが、これは最大で35gにすぎない。

欧米人記者C 規制委員会はこの2年半、一体何をやってきたのだ? 東京電力が隠蔽体質を持っているからこそ、規制委員会が規制を強めなければならないのではないか。

田中 実際、東電はタンクの水位すら測っていなかった。監督責任について言い訳はしたくないが、福島第一原発はずっと不安定な状況にあり、ガレキ一つ動かすのもリスクなのだ。

欧米人記者D 東電だけでなく、日本自体に隠蔽体質があるように見受けられる。なぜもっと海外の専門家も入れて、オープンにできないのか。

田中 アメリカ、イギリス、フランスの3人の専門家をアドバイザーに指名して、適宜メールなどで連絡を取っている。国際社会に今後とも適切な状況を伝えていきたい。

田中委員長は、まるで針のムシロに座るように、肩をすぼめ、時折ため息を交えながら、小声で答えたのだった。『ニューヨーク・タイムズ』のマーティン・ファクラー東京支局長が嘆いて言う。

「2年半前に福島原発であれだけの事故を起こして、日本は解決を約束したのに、なぜ状況が悪化していくのか。特に太平洋は、日本だけの海ではない。放射能汚染水の問題は、日本という国の信頼性が問われているのだ」

この記者会見には、各国政府の外交官たちまで参加していた。各国は自分の問題として考えており、切実に捉えている。

「「フクシマの問題は、日本だけでなくカナダの問題でもあり、国民が強い関心を抱いているので、話を聞きにきました」(カナダ・ケベック州在日事務所・マルク・ベリボー広報官)

「放射能汚染問題は、二重の意味で、われわれにとって他人事ではないのです。一つは福島の汚染が台湾にまで広がるのかということ、もう一つは台湾の原発が同様の事故を起こすことはないのかということです」(台北駐日経済文化代表処・許国禎広報部長)」

(中略)

カリフォルニア州立大学医学部放射線生物学科のレオン・カップ氏が、専門家の立場から、福島原発の汚染水の危険度について警告する。

「日本政府は、非常時における飲料水の汚染基準値を、1Lあたり60ベクレルに設定しています。しかし東京電力によれば、福島原発の地下水の放射線レベルは、310~650ベクレルです。仮に300ベクレルと低く見積もったとしても、10~15回分のレントゲンを一度に受けた量と同等になるのです。

また、放射性物質の種類がセシウムならば、人体に吸収されても排泄されますが、ストロンチウム90ならば骨内に蓄積されていくので、大変危険です。

とにかく、福島海域での漁業を、直ちに中止すべきです。そして福島近海の魚は、絶対に食べてはいけません」」

わたしは、最近、日本と世界との、福島第一原発への危機感の乖離について懸念している。

ほんとうにわたしたちはわかっていないのである。わかっていないことがふたつある。まず原発の危機的状況について、日本人は世界のような危機感をもっていない。

2点目に世界の危機感にまともに向かい合おうとしていない。たとえば石原慎太郎のように無視する。

慎太郎は、福島第一原発の汚染水問題が世界で深刻に取り上げられていることについて、「被曝体験のない外国人は放射能について非常にナーバス(神経質)になっている。ハンディキャップになっている」と語る始末だ。

この認識はまったく間違っている。被爆体験は確かにあるが、肥田舜太郎が証言するように、敗戦後の米国の命令もあって、放射線の恐怖について日本は無知の状態におかれて今日に至っている。

むしろヨーロッパの方が、チェルノブイリ原発事故の影響もあって、よく理解しており、正当に恐れているのだ。

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