『産経ニュース』(9月3日)が「汚染水 自民から菅政権批判」と題して、次のように報道した。

「東京電力福島第1原発の汚染水漏洩(ろうえい)問題は3日、政府が総合的対策を決め、自らが前面に出る姿勢を明確にしたが、自民党から民主党政権の責任を問う声が出ている。事故発生時の菅直人首相が「東電任せ」に終始したことが、問題の背景にあるという論法だ。

原子力損害賠償法は「異常に巨大な天災地変」による損害に対し電力会社を免責し、国が責任を負うと定めているが、菅政権はこの規定を適用しなかった。

自民党の脇雅史参院幹事長は3日、党役員会で「本来はこの規定でやるべきだったが、民主党政権は該当しないと判断をした」と民主党を非難した。石破茂幹事長も、役員会後の記者会見で脇氏の発言を紹介し、国が前面に出て対応を取りやすくするための法整備の必要性を強調した。

実際、汚染水問題は民主党政権時代からの懸案。2日の同問題に関する党会合でも「民主党政権と東電の対策は絵に描いたモチだった」との声が上がった。

ただ、自民党の脇氏は記者会見で「民主党政権の対応に大きな問題があったが、われわれの与党としての対応が早くあってもよかった」と述べ、安倍政権にも対応の遅れがあったと指摘した」
(引用終わり)

目くそ鼻くその類いの、下らぬ政党間の与太話を紹介した記事である。記者が大真面目で書いていることが哀れであるが。

汚染水の本質は、どのような政治が前面に出るか、と問うべき問題である。漫然と政治が前に出たから一歩前進といった形式的な問題ではない。

国と東電が福島原発事故を起こしてから2年半がたった。それで「レベル3」の重大な放射能汚染事故である。

政治家も官僚も技術者も学者もメディアも、無能で無気力で無責任で、はっきりいうが、わが国は原発といった危険な代物をもつ資格も技術もない国なのである。事故が起きても対処できないのだから。

亡国の危機が起きると、ぼうっとして、思考停止に陥る。そして死屍累々となり、時間だけが過ぎてゆく。太平洋戦争の末期と同じだ。

しかもまたぞろ隠蔽していたのである。参院選で原発推進の姿勢を取る自民党が大勝した翌日に、汚染水の発表があった。

自民党が前に出たことで汚染水問題は、純粋に経済行為に変質した。ひいては原発問題の収束も解決も遠のくことになった。

現時点で汚染水問題で押さえておくべきことは、次の6点である。

1 汚染水問題で世界は厳しい目でわが国を見ているのだが、それは怒りに変わり、今や嫌悪や侮蔑が混じり始めた。

これはわが国の未来の世代にとって、忌まわしいひとつの予兆になっている。

未来の世代は大量にこの国を出てゆくことになるのだが、世界で待ち受けているのは、極東の島国から移住してきた日本人に対する偏見とバッシングになろう。

それはいつにかかって世界の海洋と海産物を汚染し、貴重な食材を奪った民族への反発と憎悪である。

汚染水の海洋投棄はそれほど深刻さをもっているのだが、それにもっとも気付いていないのが、日本の与党政治家である。

2 東電問題の処理はふたつある。ひとつは一時国有化。これは法的な破綻処理である。もうひとつは実質国有化。公的資金投入による東電の救済である。

似た名前だが、処理の仕方はまったく違う。菅直人の民主党も安倍晋三の自民党も、官僚隷属、財界隷属の政党である。東電の処理には、官僚と財界の利権が大きく絡んでいるために、ふたつの政党とも東電を法的な破綻処理(一時国有化)することはできないのである。

これで助かるのは大株主の東京都であり、財務省の天下り先の日本政策投資銀行であり、社債を大量にもつ犬HKなどのメディアである。

東電の救済は、国民の税金に転嫁された。今も自民党が500億円の汚染水対策費(税金)を計上したばかりだ。自民党も民主党と同じ穴の狢なのである。

3 東電を破綻処理させないから、株主責任、債権者責任を問うことができない。東電の経営責任も、株主責任も、貸し手責任も問われない。そればかりか、東電の刑事責任も不問に付している。

これも民主党も自民党も同じである。欧米だったら、とっくに東電を破綻処理させ、検察と警察が、国と東電の捜査に入っている事案である。1%の富裕層には甘く、99%の国民には厳しい政治姿勢こそ、この両党に共通した原理である。

それが、東電は税金で救済し、福島県民は放射能汚染地帯に封じ込める政策になって現れた。

東電の旧経営陣、A級戦犯たちは、いまや自分たちが原因を作った放射能汚染からも逃れて海外に移住し、余生をのんきに送っている。国の責任者も、まだのうのうと歳費暮らしを送っている。

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4 東電は現実的には破綻しているのだから、自ら会社更生法を申請すべきなのだが、それをしないのも政治・官僚に止められているからであろう。電力会社は政治銘柄なのだ。

それは原発がプルトニウムを生産するからである。

安倍晋三、石原慎太郎、石破茂など、日本の軍国主義者たちの野望は、憲法を改悪し、日本を原爆保有の軍事国家にすることに集約されよう。そのためにはプルトニウムが必要だ。

したがってどのように悲惨な原発事故が起きても、原発の再稼働はやめないし、事故を起こした電力会社を税金で救済し続けるのである。

しかし極東の原爆保有の核大国、軍事国家は、中・韓のみならず米国・ロシアとも対立する戦略になる。

米国と国際原子力ロビーは、日本に原爆を作らせないためにプルトニウムを原発再稼働に使えという。このため、プルトニウムだけが増え続けている。

わたしは日本民族のエモーショナルな特質、海岸線に54基の原発を抱え込んだ戦略的な弱点、そして政治的な民度の低さ、危機管理能力の極端なまでの無能、無気力、無責任を考えた場合、原爆保有の軍事国家にはならない方がいいと考えている。

それは原発と同等に危険な代物であり、日本民族の手に余る代物だ。

5 安倍晋三が唐突に国が前面に出て、汚染水問題に取り組むといい出したのは東京オリンピックのためである。ここにきて各国で東京の放射能汚染水問題が懸念され始めた。

国際オリンピック委員会(IOC)で、2020年五輪開催都市決定の1回目に投票権を持つ委員は、ロゲ会長と、立候補都市のあるスペイン3人、日本、トルコ各1人の計6人を除いた、IOC委員97人である。

それで、2020年東京五輪招致委員会の竹田恒和理事長が、7日の開催都市決定に投票権を持つ国際オリンピック委員会委員に手紙を送った。福島原発の汚染水漏れ問題で、「東京は影響を受けておらず、安全だ」などと訴えた。

東京は安全ではなく、すでに2年前から危険な放射能汚染のなかにある。

汚染水も問題だが、オリンピック開催に直接関係するのは放射能汚染である。呼吸や食材からくる内部被曝が問題なのだ。

ドイツ放射線防護協会会長セバスティアン・プフルークバイル博士は、ベルリンの講演会で、次のように語っていた。

「東京は安全圏ではない」

「現在の東京の状況は、チェルノブイリのときのキエフと同じようなものだと言える。あのときも、ウクライナ政府はキエフの汚染を認めるわけにはいかず、プルトニウム汚染地図では汚染はちょうどキエフ市の手前で止まっていた。

人口の多い首都を避難区域にすることができないから、どうしても汚染の事実を認めないのだ」
(引用終わり)

この発言は2011年11月27日のものだが、最近に至るまで、外国や国内の良心的な学者の意見は、東京が危険ということで一致していた。

今後、東京オリンピックは、ショック・ドクトリン(大惨事を利用して実施される過激な市場原理主義改革)として、「消費税増税忘却」、「フクシマ忘却」、「TPP忘却」をもたらすことになる。

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